RUNDUCE Brake Caliper

いつもご贔屓頂いている業者様から御依頼頂いた、RUNDUCEブレーキキャリパーです。フロント8ポット、リヤ6ポットです。

ブレーキキャリパー全体は未塗装で、アルマイト処理が施された物と見受けられます。

ロゴ部は切削されて一段低くなっていて、その中に透明な赤の塗料が流し込まれています。

スチール製のボルト部は錆が出ています。

アルマイト被膜に塗装は密着しませんので、

素地調整(足付け処理)としてサンドブラストを行います。凹み文字部の塗装は予め溶剤で剥がしておきました。

尚、キャリパー全体はショットブラストが行われた為か比較的大きいザラザラとした梨地で、そのままだと気持ちの悪い仕上りになりますから、目立つロゴ面は#120→#180の研磨である程度平滑に均しておきました。

まずは全体にプライマーを塗り、膜厚を着けたく無い箇所にベースコートの黒を塗ってマスキングをします。

ボディ取り付け部にタップリクリアーを塗ると固着したり後で緩んだりする為、極薄膜でプライマーとベースコートの黒だけを塗り、この後は最後までマスキングをして塗らないようにします。

今回は凹んだロゴ部を「赤」で承っていますので、まずはベースカラーのグレーメタリック(日産GT-Rに採用されているKH2)を全体に塗り、

一旦クリアーを塗って塗膜を完成させます。

この後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

その後全体を足付け処理し、凹み文字部の周りに赤を塗って余分を除去し、

最後にもう一度クリアー、今度は艶消し仕様となります。

クリアーは今年発売されたSTANDOX K9150スーパーマットを単体で使用しています(K9140は半艶で、艶の調整をする場合はそれぞれを混ぜて使います)。通常使うクリアー(艶あり)と同様2液硬化型の塗料となります。

二度塗り=本塗りを二回に別けて行う事で凹んだロゴの塗り分けと、ザラザラとした梨地を平滑に見えるようにしています。

その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、さらに数日寝かしたら完成です。

 

一般的な考え方だと、グレーメタリックに塗装後、凹んだ部分に塗料を流し込むような事を想像されるかも知れませんが、足付け処理無しにそういった事をすると経年で塗装が剥がれて浮いたりする為、当店ではそういった事は行いません。

また今回のような未塗装でもそのまま塗れる訳では無く、サンドブラスト等の素地調整が必要です。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

ボディ当たり面に塗ったベースコートの黒部分は、二回目の本塗りでも同じようにマスキングをし直し、最後まで無用に膜厚が付かないようにしています。

艶々の赤仕上げと言うのも良いですが、今回のように敢えて目立たない仕様も良いかと思います。

MITSUBISHI LANCER Engine Cover

いつもの業者さんからの御依頼で、三菱ランサーエボリューションのマグネシウム製ヘッドカバーに塗装を施しました。

最初の状態も紹介します。

元々はいつもの2コートキャンディーレッドの塗装が施してあり、

今回はこの3本フィンとMgマークを削り落とし、

EVOLUTIONの凸文字は天面を削って金属素地を露出させて光らせるよう承りました。

まずは全体をシンナーで洗い流すようにして脱脂清掃を行います。

その後3本フィンとその周りにある▲とMgマークをシングルサンダー#120で削り通し、ダブルアクションサンダー#120~#320で均します。

全体を足付け処理し、再び脱脂清掃を行います。

全体にプライマーを塗布します。

続けてベースコートを塗布し、凸文字の天面を削って金属素地を光らせます。

色はポルシェ純正色の「アゲートグレー」(カラーコード:M7S)となります。

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

その後さらに数日寝かしたら完成となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

純正よりも地味な色になりますが、凸文字を研磨して光らせる事で高級感のある仕上がりになっているかと思います。

この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

SENNHEISER E945 Microphone Pink

ゼンハイザーE945ボーカルマイクです。

今回のオーナー様は恐らく日本在住の海外の方で、この度開催されるライブに間に合わせたいとの事でお急ぎ=納期指定のオプションで塗装の御依頼を頂きました(施工事例のあるマイクの場合はこちらのオプションに対応可能です)。

御希望の色はこちらのRGB値で表現されたピンクで、何気なく見ると通常の塗料(顔料)で出せそうな色ですが、実際には塗装で再現するには物理的に不可能な色ですから、以前施工したマゼンタ80%のピンクの時と同様、蛍光顔料を使って対応する事にしました。

マイク本体は800番相当の布状研磨副資材で、グリルはそれにナイロンブラシとウォッシュコンパウンドを併用して足付け処理をしてあります。

まずは下色として、白=MIX570と「鮮明な青赤味」=スカーレット(MIX857)を混ぜて作った物を塗り、元々あった黒を完全隠蔽させます。黒や他の色を混ぜていないので通常顔料としてはこれでもかなり鮮やかなピンクになる筈ですが、これが通常顔料の限界という訳です。

そしてその上に蛍光顔料のピンクを使った色を重ねます。車を塗っていた時は全く使っていなかった顔料で、小物塗装屋になって一応一式揃えていた物ですが、まさか在庫が無くなる日が来るとは思いませんでした(なので今回追加で2つ購入しました)。

蛍光顔料をそのまま使うと派手過ぎるピンクになってしまうので、最初に塗った下色にそれを混ぜるといった使い方にします。

画像の色はオーナー様より頂いた画像=RGBで表現された色で、それに合わせて色を作成します。

作成した蛍光顔料入りのピンクを塗ります。

これ単体で塗ると蛍光色っぽく見えませんが、

通常顔料だけで塗った左側の下色と比べるとその差は歴然です。参考の為にこれはこれで色板としてデータを残しておくようにしています。

画像のピンクとも見比べて、「大体似たような感じであればOKです」との事ですので、この場合は色板への塗装は行わない非調色作業となり、5分程度の簡易的な色の作成となりますので調色費は必要ありません。

色に関しては「画像では無く実際に塗られた色を見てみたい」という場合も対応は可能で、ただしこの場合は「調色費」と「色板作成費」が必要となり、今回の場合だと塗装費よりもそちらの方が金額が高くなります。作業内容としては以前イヤホンを塗った時の記事が判り易いかと思いますので宜しければご参照くださいませ。

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。

 クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

この後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

その後磨き処理を行い、さらに数日寝かしたら完成です。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

ぱっと見は蛍光色に見えませんが、

通常顔料では出ない色味となります。

ちなみにもっと派手なピンクにする事も可能で、今回はあくまでも御希望される色味に似せて調整しています。

パウダータイプの蛍光顔料は、その顔料特性からどうしても艶引けが生じてしまう為(艶消しクリアーで言うシリカゲル顔料のような感じ)、磨き処理もしくはクリアーの二度塗りが必要となります。

パステルカラーの場合は画像が映えるよう、色見本帳を下に敷いて撮影するのが定番となっています。

この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

SENNHEISER E945 Microphone

先日お預かりしておりましたゼンハイザー社のボーカルマイクE945です。

ロゴのデータを送って頂き、イメージイラストを作成して位置やサイズを調整します。

マイク本体は#800相当の布状研磨副資材 (アシレックスレモン)で、グリルのリング部を#1300相当の同社品(アシレックスオレンジ)で研磨し、ペーパーが入らないメッシュ部は液状の研磨剤(ウォッシュコンパウンド)とナイロンブラシで足付け処理を行っています。

色はトヨタ「ホワイトパールクリスタルシャイン」(カラーコード:062)で、まずカラーベース(白)で完全隠蔽させ、続けてパールベースを塗ります。

30分程度自然乾燥させます(指触乾燥)。

ロゴはサイズが小さく、これをマスキングシートをカットして塗装で行うのは難しい為、今回はデカールで対応します。

印刷したデカールをカットし、水溶性の接着剤(木工用ボンド)を溶かした水で台紙を剥がし、

デカール専用の接着剤を使って所定の位置に貼り付けたらよく乾燥させます。ただし熱を掛け過ぎたり時間を空けすぎるとこの後のクリアーの密着性が悪くなって剥がれてしまう為(層間剥離)、規定の時間内に留めます。

そしてクリアーを塗って本塗り完了です。

デカールを使った場合はその厚みで段差が出来てしまう為、完全硬化後にその部分を研磨して均し、磨き処理も行います。

クリアー塗装後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

さらに数日寝かしたら完成となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

MITSUBISHI LANCER Engine Cover

三菱ランサーエボリューションXのアルミ製ヘッドカバーです。

いつもご贔屓頂いている業者様からの御依頼で、艶あり仕上げの塗装で御依頼頂きました。

状態としては未塗装で、

全体には腐食した跡が見られます。

アルカリ洗浄槽で浸け置きをして油分を除去した後、

各部をマスキングし、

ブラストボックスに入れて、

サンドブラストを行いました。

その後洗浄とリン酸処理を行い、

ヘッドカバー天面を#120→#180で研磨して均します。

天面以外をマスキングします。

ぱっと見は平らに見えますが、洗濯板の様に段々凸凹としていたり、

鋳造時に出来た巣穴があるので、

まずはエポキシプライマーサーフェサーを塗布し、

続けてウレタンサーフェサーを塗布します。ヘッドカバー全体にサフェーサーを塗るとその研ぎ作業にかなりのコストが掛かってしまう為、研ぎやすく且つ目立つ天面のみに留めています。以前施工した同車の樹脂製ヘッドカバーと同じ方法ですね。

その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと塗ります。

サーフェサーを#320→#400→#500→#800で研磨して均します。

全体シリコンオフで洗い流すようにして脱脂清掃したら、

ヘッドカバー全体にプライマーを塗布します。

ホースパイプ取り付け部はベースコートの黒を塗り、マスキングをしておきます。

まずはカラーベースを塗布します。こちらはマツダ「ソウルレッドプレミアム」(46V)となります。

色については「渋めの赤だけど映えるように」「マツダのソウルレッドがもっと深くなった感じ」「ラメが入ってた方が好みとのこと」「ですがショーカーのような派手なのではなく、キラキラしていれば良い感じ」といったご要望を伺っていますので、

46Vのカラーベースに、若干量の粗目のメタリック=STANDOX MIX598を入れて最後にコートしました。

 

粒子が粗くなったのが判るかと思います。

その上に、いつもテールランプに使っている透過性の赤=レッドキャンディーを塗布します。

通常マイクのレッドキャンディーに使う鮮やかな赤とは違うタイプで、褪色し難い分、塗れば塗る程色味が濃くなる傾向にある赤となります。

ここまでがベースコートで、

最後にトップコート=クリアーを塗って本塗り完了です。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

ブース内だと全体から光が当たるのでキャンディーカラー特有の深みが判り難いので、

片方の壁の照明を消して光源を一方向からにすると、通常の2コート塗装では得られない深みのある色味を感じる事が出来ます。

動画の方が判りやすいかと思いこちらも撮影しておきました。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

そして数日寝かしたら完成となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

プラグキャップが装着される箇所は腐食も出ていなかったので、こちらは塗装せずアルミ素地をそのまま残しました。

この度も当店をご利用頂きまして誠に有難う御座いました!