メルセデスベンツAクラス アウターハンドル 本塗り

 先日お預りしておりましたメルセデス・ベンツAクラスのアウターハンドル一式です。

元々塗装済みですが、肌が悪いので#800の水研ぎで凸部の頭をカットして表面を均しておきます。

 その後はスコッチとナイロンブラシとウォッシュコンパウンドを使って足付け処理を行い、よく水で洗い流して洗浄しておきます。

 塗り易い位置に固定し、よく脱脂清掃をしたら、

ブースのファンを回して、しつこいくらいエアーブローを行います。

 まずはベースコートを塗布します。色はボディ同色のメルセデスベンツ純正色「カルサイトホワイト」(カラーコード:650)となります。

そしてクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

 今回クリアーはより傷の付きにくいSTANDOX VOCプラチナクリアーをご指定頂いております(製品によってはお受付出来ない物も御座いますのでご了承くださいませ)。

 VOCプラチナクリアーは「1.5コート」と言う塗り方なので、いつものように2回に別けてコートするのではなく、ハーフコート(0.5コート)後、フラッシュオフ無しで続けて本コート(1コート)を塗ると言う方法になります。一度それを手に握ったら一回でクリアーが終了するので、実は非常に楽な方法です。

 ちなみに前回アウトランダーのフロントグリルを塗った時は気温が低い時期だった為、クリアーの粘度が非常に高く、シンナーを数%入れて通常通り2コートに別けて塗装を行ったのですが(デモマンにそうアドヴァイスを頂きました)、今回はシャブシャブな季節なので規定通りの方法で塗っています。

 ただ私的な見解としては「1.5コート」と言う塗り方は、塗料メーカーがVOC規制値を抑える為の苦肉の策のような気がしてならなく、正直なところ、しっかりフラッシュオフタイムを設けて二回に別けて塗った方が綺麗に仕上がるのでは、と思います(と言うより実際にその方が綺麗に仕上げられます)。

そういった事を考えると、うちのように3ヶ月かけてようやくクリアー1缶(5kg缶)を使い切るような場末の小物塗装工場には1.5コート吹きは必要ないのでは・・・とも思ってしまいます(ちなみにディーラー在籍時には塗装屋6人で1~3日で1缶といった使い方でした。効率優先だったので足りないよりかは作り過ぎる方に傾き、無駄に捨てる量も半端なかったです)。熱を入れる際もある程度の数が溜まってから一緒に行うようにしているので、過度に促進剤の入ったVOCエクストリームクリアーみたいなのも要らないんですよね。

この後は一晩以上自然乾燥させ、後日60℃~65℃45分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。以前の旧プラチナクリアーでは二度焼きをしていましたが、現VOCプラチナクリアーには促進剤が入っているようなので(クリスタルクリアーより締まり切りが早いです)、1度だけで大丈夫となりました(ただ加熱後も恒温器の余熱で回しっぱなしにしているので、実際には65℃~60℃120分くらいの熱の入れ方になっています)。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

HONDA CR-Xヘッドカバー 結晶塗装 完成

 大変お待たせしました!先日本塗りを終えていたホンダバラードCR-X(前記)のヘッドカバー結晶塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介しますね。

詳しい事情は判らないのですが、元々は既存の結晶塗装の上に艶あり黒がそのまま塗り重ねられたような状態でして、ただしこれでは元の塗装(色)が判らないと言う事で、

後日わざわざご友人の方から、恐らくは新車時の塗膜が残ったヘッドカバーをお借りして送って頂きました。

それを基に色を作製し、本塗りを行いまして、

 その後「HONDA」の凸文字部分を研磨し、

 最終は#800まで使ってアルミ素地を光らせ、

クリアーを筆で塗って腐食の進行を遅らせるようにしています。

 その後さらに60℃40分程の熱を掛けてクリアーを硬化させ、完成となります。

 ボルト穴やプラグホール周りは元々アルミ素地が露出した状態だったのですが、そのままだと腐食してしまうのでプラスチックプライマーを塗り、ベースコートの黒を薄膜に塗って仕上げてあります。

 ネジ穴はマスキングして塗ってあります。

 ホースパイプ取り付け部もメッキが劣化して腐食していたので、サンドブラスト→プライマー塗装→艶消し黒(ベースコート黒)で塗装しています。

それでは後程完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!