AUDI R8のカーボンパネルが装着されたようです

audi5昨年から今年に掛けてお預かりしていたアウディR8のカーボンパネルが無事装着されたとの事で、オーナー様からメールと画像を頂いておりました。ご感想も頂いたので紹介させて頂きますね。

「先日、無事車両が納車されました。連絡遅くなりましたが、装着時の写真になります。

ディーラーの方いわくオリジナルの状態よりもクリア層の厚みがあって深みがあるような状態に仕上がっているとのことです。自分も色がついていた状態の車体よりもずっとよくなったとお願いしてよかったと思っております。

なかなかお願いできるお店のない中、チャレンジしていただいたことはとても嬉しいことにつながっています。

また仕事を次にお願いできる機会を楽しみにしております。」

との事です。有り難いお言葉誠に恐縮です。

audi4

ご依頼頂いた時のカーボンパネルの状態は、このボディカラー同色のホワイトパールに塗られていました。今回のご依頼はそれを全部剥がして本来あったカーボン素地に戻したのです。誰もが嫌がる作業だと思いますが当然私も同じですよ(笑)。今思うとぞっとします。

こちらは完成時の画像です。取り付けはディーラーさん(またはその指定工場)で行われたようです。私もディーラーに居たから解りますがこういった仕事は受け付けないのが普通ですよね(笑)。 無事完了して本当に安心しまいた。

ちなみに「サイト見ました。これと同じようにして欲しいのですが」なんてお問い合わせはどうぞお控え下さい(苦笑)。

この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

AUDI R8 カーボンパネル 完成です!

大変お待たせしました!アウディのカーボンパネルは無事完成となります。物が大きいだけにいつもの場所では撮影出来ずブースの中で撮っています。

 

完成です!

上に塗られていたホワイトパールを削り落としましたが、元々カーボンの上に塗られていたクリアーはその殆どを残した状態に留めまして、その上に下塗りのクリアー(主にライン出し用)、そして上塗りのクリアー(耐候性などを重視した高品位なクリアー)となっていますからかなり深みのある質感になっているかと思います。

ちなみにご依頼時の状態はこんな感じです↓ホワイトパールに塗られていました。

純正の状態だとこれが本来の姿で、それをボディ同色に塗られていたのが上の白いパネルですね。

自転車のフレームとは違って平面的ですからエアーツール(ダブルアクションサンダー)が使えたのは幸いでしたが、予想以上に旧塗膜が分厚かった事と、ラインの修正はやはり大変でした。久しぶりに車のボディパネルの難しさと楽しさを感じられたと思います。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

アウディR8 カーボンパネル 磨き作業

audi14

大変お待たせしました!アウディR8のカーボンパネルも遂に完成となります。

画像は磨き作業を終えた状態で、久しぶりに小物塗装屋では無く「自動車塗装屋」的な仕事をしたような気がします。やる事はいつもと同じではあるのですがどうも身構えてしまうと言うか変なプレッシャー(笑)があるのだと思います。

画像の床に置いてあるのはポリッシャーやらコンパウンドなどの類ですね。バケツは¥100ショップで購入した物に自作で作った「DUPONT」のシールを貼った偽物(苦笑)なのですが多分5年以上使っていると思います。ちなみにこれの「STANDOX」バージョンもあって、そちらは「下地作業用」のバケツでこっちが「磨き用」として識別出来るようになっています。下地と磨きではそれぞれのバケツを別けないと研磨粒子が混入して「タオルで拭いたら余計に傷が付いた!」という事態になってしまうのです(実はこれに気付くまでに数年掛かりました・・・)。

磨きの時は比較的低い位置に設置してある水銀灯を照らしているのでカーボン感が凄い出てますよね。この姿に無事戻せて本当に、本当に良かったです(今回のご依頼は上に塗られていた白い塗装を全部剥がしてのやり直しなのです)。上手く行かなかったらどうしていたのかと思うと恐ろしいです(怖くて部品の値段については気にしないようにしていました・・・)。

と言う事で、完成画像と完成のお知らせについては後日改めてご案内致しますね。とりあえず作業は完了しておりますのでどうぞ御安心下さいませ。

なんだかんだ一ヶ月以上は掛かってしまいました。本当にお待たせしました!

AUDI R8のカーボンパネル 本塗り

本塗り前

ようやくここまで来ました・・・って感じです。まだ終わった訳ではありませんから気は抜けませんが、実は当初はどうなる事かと思っていまして年末年始の休み中も気が気ではありませんでした。危うく逆流性食道炎になる所でしたし・・・(いや、単なる食べ過ぎですかね。笑)。

画像は本塗り前の状態で、塗装の表面には下塗りのクリアーが塗られていて、昨日はこれを研いでライン出しをしています。

 

クリアー素地状態で、クリアーの表面にはモヤモヤと模様状になっているのが解かると思います。これは先日塗ったクリアーを昨日行った研ぎ作業で突き破ってしまった為です。

「おいおい、大丈夫か?」って感じもしますがこれくらいしっかり研ぎ付けないとライン出しの意味がありません。それくらい表面にはまだ歪が残っていたという事です。これを柔らかい当て板(ゴムとかスポンジなど)で行っていたらこうはならないと思いますがそれだけラインは歪んだままでしたからその方が考えると恐ろしいです。

で、ここで注意するのは「ベースクリアー」を使わないことです。塗装屋さんなら解かると思いますが、クリアーの塗装でいきなりそのまま塗ったりする事は余り無いですよね?DUPONTならバランサー(XB165)をシンナーで希釈してベースクリアーとしてまず全体に塗りますし(またはABバインダーとかまだ販売されているんですかね?)、STANDOXなら「ベースコートカラレス」(これは高過ぎじゃ・・・)を下に敷いてからクリアーまたは色を塗り始めるのが普通だと思います。いきなりクリアーじゃ「ハジキ」「タレ」のリスクがどうしても高過ぎますので。

私の場合も普通であればまずベースクリアーを1コートないし2コートは塗っておいて上記のトラブル(と言うかミス)を防止するのが基本ですが、このカーボンパネルの状態でそれを行うと「エッジマッピング」(チヂレの一種)を起こしてしまいます。塗膜が切れている(エッジが露出している)のでこれは当然ですよね。

という事で、こういった場合はちょっと怖いですがいきなりクリアーコートから始めます。なのでハジキには十分注意するように脱脂作業は念入りに念入りに行い、タレ防止の為に最初のクリアーコートは乗せ過ぎないように乗せ過ぎないように注意します(わざと二回繰り返してます。それくらい本番では注意しているって感じです)。

クリアー塗布完了

そして無事クリアーコートが完了です。通常は2コートが基本ですが、タレ・ハジキの防止の為に珍しく最初にドライコートで一回りしてから本塗りとしていますので「2.5コート」って感じですかね。パネルは台の上に直置きに見えますがガムテープの芯などを挟んでフチが宙に浮くような感じにセットしています。

 

クリアー塗装完了

塗り方としては最初は周りのフチから始め、給油口のフチ、そしてフチのエッジを地面から45度くらいの角度で、そして上面を下から上に仕上げていきます。上から下でも良いですが、最初に塗った方がクリアーの馴染みは悪く肌は荒れる傾向になる為、「見せる所を最後に」が本塗りの基本ですので。 ただこれはケースバイケースで、どうしても磨きが必要になる場合は「磨き易い場所を犠牲にして」と言う事もありますかね。1BOXのような大きな車体で屋根の肌を荒らしたりしたら最悪ですので(車高の高い車の屋根の磨きは本当に大変です)。

現場作業だけだからといって単に手を動かすだけではなく、どうしたら最短で一定以上のレベルに行けるかを常に考えるのも必要なのです。時間が余ればその分余裕を持った仕事が出来ますし、より上のレベルに仕上げる為に時間も割けますしね。

と言いつつこの時ついでにシャアザクのプラモに下塗り用としてのクリアーを塗らせて貰っていたりもしますが(笑)。

それでは完成までもう少々お待ち下さいませ!

AUDI R8 カーボンパネル

下塗りクリアー完全硬化先日塗っておいた下塗りとしてのクリアーが完全硬化していますので素地調整を行います。多分普通の人が見ても「これ塗り直す意味があるんですか?」といった感じだと思いますが、まだまだ手を入れる余地はあるのです。

 

ライン出し

下塗りのクリアーを塗るまえにもライン出しはしていますが、今度はさらに番手を細かくしての微調整となります。水研ぎでの#800→#1000で、最後は#1200で目を均します。

画像だと当て板は木片を使っていますが、この後にはもう少し短いサイズの「砥石」を使っています。当然ですが木より石の方が堅いので微妙なラインまでを研ぎ出す事が出来るのです。ただし変な力の入れ方をしたりバランスの悪い研ぎ方だと逆に端の角が当たってしまいスジ状の深い傷が掘れてしまうのでこの段階でこういった堅い当て板を使う人は余り居ないですかね。

ちなみに白い泡は洗剤では無くクリアーの研ぎ汁です。かなり気合を入れて研いでいるので実は折角塗った下塗りクリアーは所々で下地が露出していたりするんですよね(苦笑)。まあ当然対応策はありますので御安心下さい。逆にそれを誤るとエッジマッピング(=地図状に見えるチヂレの一種)を起こしますので注意が必要ですが。

 

スカシ

ある程度研ぎ付けたら寝かした角度から透かすように見てラインの確認をします。ここで先日のように水を掛けると艶は出ますが微妙なラインは見えなくなってしまうので、雑巾で拭いて多少濡れた艶がある状態の時にラインを確認しては再度研ぎ付け、を何度も繰り返します。

自動車ボディの場合はこういった作業が非常に悪い体制になるので腰への負担が大きいのです。ついつい作業にのめり込んでしまうと無理な体制をしているのも忘れてしまい、徐々に体が壊れていくんですよね・・・。

と言う事ですが、自動車のボディパネルに触れる作業は本当に久しぶりで、難しい反面結構楽しんでいたりします。ただやはり時間は凄く掛かるんですよね・・・。