ランエボⅩヘッドカバー 本塗り

先日お預かりしておりましたランサーエボリューションXのアルミ製ヘッドカバーです。全体的にオイルの膜があってヌルヌルしていたのでアルカリ洗浄槽で浸け置きをし、シンナーで洗い流すようにして脱脂清掃を行っておきました。

尚こちらのヘッドカバー、鋳造時に出来たトゲトゲが全体的にあって、

そのまま結晶塗装を行っても問題は無いのですが、ちょっとウェスが当たるとその繊維が引っかかるような感じなので、

#120~#180で研磨して均しておきました。

その後リン酸処理を行い、

よく清掃した後、各部をマスキングして本塗り準備完了です。

ホースパイプ部は一緒にプライマー塗装→ベースコートの黒で塗ろうと思っていましたが、元のメッキは比較的しっかりと残ったので、今回はマスキングをして塗らない事にしました。

と言う訳でまずは全体にプライマーを塗布します。

プライマーは厚く塗る過ぎないよう注意しつつ、入り組んだ箇所もしっかり入るようにします。

そして結晶塗装用の塗料=リンターを塗布します。

比較的しっかりと膜厚をつけつつ、全体的に均一になるように塗っています。

その後、赤外線ヒーターで120℃~170℃30分程の熱を掛けます。

温度にばらつきがあるのは赤外線ヒーターだからで、この場合どうしても上面と側面で温度が変わってしまいますから、規定の温度(120℃20分)より多めになるようにし、この後は温度を一定に管理出来る恒温機(乾燥炉)で二度焼きを行います。

とりあえず一回目の焼き入れが完了です。

全体的に均一に結晶目が出てくれたと思います。

今回は鮮やかな赤の結晶塗装で、日産系の「どす黒い赤」はこれに黒を足した物となります。

今回は凸文字が無いので、二度焼きを行って数日寝かしたら完成となります。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

トヨタ2000GTヘッドカバー塗装承ってます

先日到着しておりましたトヨタ2000GTのヘッドカバー2個分です。この度も当店をご贔屓頂きありがとうございます!

現状としては、比較的状態の良い物と、

比較的状態の悪い物となります。

どうやら既に腐食が発生した状態の物に、そのまま上から結晶塗装を重ねたように見受けられます。

ネットオークション等で「サンドブラスト&塗装済み品」 のヘッドカバーが比較的安価で販売されていますが、そもそも下地の状態(塗装前の状態)の画像が無いので、見た目は綺麗でも軽くサラッとしかサンドブラストをしていなければ、この様に腐食は簡単に再発してしまいます。まあそもそもプライマー塗っていない時点でどうしようも無いのですが・・・(私的な見解ですが、金属素地に直接塗れる上塗りは存在しないと思っています)。

元々塗られているのも結晶塗装なのが判ります。

こちらの比較的程度の良い方は、

目が細かくて判り難いのですが、よく見ると一応結晶塗装なのが判ります。

御依頼内容は黒の結晶塗装で、状態が悪い方に関してはサンドブラスト(軽め)も行う予定です。

以前施工した時の画像を紹介します。

この時も2個を同時に御依頼頂いていて、今回の作業内容もこちらと同様となります(追加で一個のみサンドブラストを行います)。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。この度も当店をご贔屓頂きありがとうございます!

尚、現在の御依頼状況もかなり多くなっておりまして、納期は大よそ三か月~六か月くらいが目安となっております。フェラーリヘッドカバー結晶塗装のお問合せが非常に多いのですが、さすがに六か月間お待ち頂くのは難しいようで、ご不便をお掛けして申し訳御座いません。何卒御理解頂けますようお願い申し上げます。

NCロードスター樹脂製ヘッドカバー塗装 完成

先日本塗りを終えていたマツダNCロードスターの樹脂製エンジンカバーです。その後恒温機で120℃30分程の2度焼きを行っておきました。

通常のアルミ素材であれば結晶塗装後に凸文字部を削って光らせる事が出来ますが、今回のようにプラスチック素材で色が黒だとそうは出来ないので、先にシルバーを塗ってから凸文字の天面部をマスキングして結晶塗装を行う方法にしています。

それ故に多少なり仕上りが悪くなってしまう場合があるので、最後に細部を修正します。例えば上の画像だと「C」の左上の部分ですね。

結晶塗装された部分はマスキングテープがくっ付かないので、この場合はガムテープで貼り付けます。

その後凸文字の周り(山のライン)でマスキングをします。

一度に全部を塗ろうとすると大変なので、一文字ずつ虱潰しに塗り直していきます。面倒臭そうに見えますが、塗る箇所が一個ずつ分割されているので一度に塗る範囲も少量で済みますから対応のしようはあるので助かります。

普通のエアーブラシだと塗料が出過ぎるので、口径0.3mmのエアーブラシを使用します。

ただ小さいからといってドライコートで塗ると表面が荒れて傷が付き易い塗膜になってしまうので、揮発速度の遅いシンナーを使って塗料が馴染むよう=ザラつかないようにスプレーします。

そして完成です。大変お待たせしました!

最初の状態も紹介します。

元々は何も塗られていない未塗装の黒樹脂素地の状態で、

ただしそのまま塗ると経年で塗装が剥がれてしまうので、

素地調整(足付け処理)として全体にサンドブラストを行ってからの上塗り=結晶塗装としています。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

ぱっと見は黒の結晶塗装に見えますが、ブルーパールを入れているので光に当たるとフワっとした青味を感じられます(ただ言われても判らないレベルかも知れませんが・・・)。

画像では付属品(ボルト類)が着いていない状態ですが、梱包前に装着して元の状態にしてありますのでご安心くださいませ。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

NCロードスター樹脂製ヘッドカバー 本塗り

 先日サンドブラストを行っておいたマツダNCロードスターの樹脂製ヘッドカバーです。

よくエアーブローをして、まずはプラスチックプライマーを塗布します。

入り組んだ箇所は塗料が入り難いので、エアー圧を下げてスプレー方向を変えながらしっかり塗り込みます(しかしながら塗り過ぎは逆に密着不良の原因になるのでその点に注意します)。

まずは凸文字の周りに、

高輝度シルバー=STANDOX JLM-906を塗布します。粒子が細かく輝度感の高いメタリック原色ですね。マツダのマシーングレーに使う為に日本向けに販売されている製品との事です(先日行ったオートサービスショーでスタンドックス社の方にそう聞きました)。

シルバーが乾いたら凸文字部のマスキングを行います。

元の文字ピッタリでは無く、0.5mm程食み出る感じにオフセットしています。ピッタリのサイズで貼るとフチに塗料が溜まってガタガタになってしまうからですね。

またマスキングシートは一枚だけだと溶剤に侵されてシナシナになってしまうので2重に貼っています(今回に限らず大体いつもそうしています)。

色はこの時と同様、結晶塗装用の黒原色(リンター)にパウダータイプのブルーパールを入れています。入れ過ぎると黒がグレーになってしまうのでその辺にも注意してですね。

そして全体の膜厚が均一になるよう塗布します。

ウェットで一気に6コートくらい重ねたら直ぐに熱を入れます。今回は赤外線ヒーターではなく、最初から恒温機(乾燥炉)に入れて熱を入れました。

120℃30分程の熱を掛けるとチヂレ目が発生し、塗膜が硬化(熱重合)します。

凸文字のマスキングは熱が冷める前に剥がしておきました(糊の跡が付きそうだったので)。

スプレーの仕方は「被塗面に垂直」が基本ですが、こういった歪な形状の物でそれをやるのは物理的に難しいので、手首の角度を変えつつガン距離は一定にコート毎に角度を変えながら全体の膜厚が均一になるよう意識して塗っています。

ぱっと見は黒にしか見えませんが、光に当たると青味が感じられます。

ちなみに凸文字の塗り分けは多少気になる箇所があるので、二度焼き後に細部を調整(シルバーを再塗装)しておこうと思います。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ホンダライフヘッドカバー塗装 完成

先日本塗りを終えていたホンダライフのヘッドカバーです。その後120℃30分程の熱を掛けて二度焼きを行っておきました。

凸文字部を#120から始めて最終#800で削ってアルミ地を光らせます。エアーツールは使わず、全て手研ぎとしています。

アルミ素地がそのまま露出していた方が金属の質感が良いのですが、そのままだと酸化して曇ってしまうので、腐食の進行を遅らせられるようクリアーを塗っておきます。

その後60℃40分程の熱を掛けてクリアーが硬化したらさらに数日寝かして完成です。お待たせしました!

結晶塗装の色は、以前施工したホンダバラードCR-Xのヘッドカバーを参考にしています。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

こちらのブログで紹介している画像を撮影しているカメラは3種類で、現場作業で使っている物がNIKONのD40、完成時に使っている物がNIKON D200、そして結晶目を近接撮影するこちらの画像はSONY Cyber-shotで、いずれも古い物で、数千円で買えるような安価な物です(壊れても代替品が安く買えるので気を遣わなくて良いのが気に入っています)。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!