THERMOS黒メタリック 本塗り

結構前にお預かりしておりましたサーモスと、同社製スターバックスのケータイマグ3本です。ヤギのイラストについて色々打ち合わせをしておりまして時間が空いておりました。そちらはまた別記事で紹介したいと思います。

まずはこちらのサーモスケータイマグで、元々黒系の塗装が施してあるのですが、今回こちらも序でに(恐らくはクリスタルクリアー仕様にして今後の塗装剥げを防止したいのでは)と言う事で、こちらを「真っ黒」の「メタリック」で御依頼頂きました。

オーナー様のご要望が「真っ黒」と言う事ですので、極力黒さが損なわれないよう今回はガラスフレークを使う事にしました。

その名の通りガラスの粉末で、特別な物と言う訳では無く普通に自動車のボディーカラーにも使われています。確かランクル系と、レクサスにも使われていたのではと(間違っていたらすいません)。

その他一番粗めのメタリック(MIX598)と、少しアクセントを加える為やはり粗目のブルーパール(MIX845)を極少量入れました。

 本体は足付け処理を行い、台にセットした状態です。

 先程の色(ベースコート)を塗りました。

フチ周りは綺麗にラインを出したいので、テープのフチを少し折り返した物でマスキングし、ベースコートが塗り終わった時点でそれは剥がしてしまいます。

さらにその下には少しだけオフセットした位置にマスキングテープが貼ってあるので、このようにしてベースコートとクリアーコートをそれぞれ違う位置でマスキングする事によってここの仕上りを綺麗にする事が出来ます。塗った事がある方なら判ると思いますが、ここを一度で仕上げようとするとラインがガタガタになる筈ですので。

 そしてクリアーを塗って本塗り完了です。クリアーは3本とも高品位なタイプの「クリスタルクリアー」で承っています。

メタリックの粒子が細かいとその分量を入れないといけない為、黒さが明るくなってしまうのを避ける為に今回は粗目のメタリックとガラスフレーク(とパール)を極少量だけ入れて効かせるようにしています。

その他イエローパールとホワイトパールの仕様も一緒に塗り上がっていますので続けてそちらも紹介しますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

GMCホイールキャップ サフェ入れ

 先日スプレーパテを塗っておいたGMCのホイールセンターキャップ(エポキシ樹脂製複製品)です。その後熱を掛けて完全硬化させておきました(と言うか他の案件と一緒に熱を入れさせて貰っています)。

 全体にベースコートの黒をドライコートで塗布し、それをガイドコート(研ぎの目安)として全体をサンディングします。最初は#120と当て板でカッチリとしたライン出しを行います。

 その後2ミリ厚のアクリル片に#180のペーパーを貼ってGMCの文字の内側を研磨します。

ちなみに当店で使用している空研ぎペーパーは全て裏側に粘着糊が付いているので、それを何かしらに貼れば手で抑える必要はありません。と言うか近年の塗装業界では糊が付いていない空研ぎペーパーの方が稀です。

 穴の内側は筆の柄にペーパーを巻いてグルグル回します。

 最後に表面を#180と当て板で研磨し、角やフチを#240手研ぎで面取りします。

 よくエアーブローをして巣穴に詰まったパテ粉を吹き飛ばし、脱脂清掃を行います。

 サフェーサーを5~6コート程ウェットで塗り込みます。毎コート間には自然乾燥で表面の艶が消えるまでのフラッシュオフタイム(乾燥時間)を十分設けます(内部に溶剤が籠ると表面に小さい巣穴が、また最悪ブリスターを発生します)。

凹み文字部は意外としっかり研げることが判ったので、その部分も容赦なくサフェーサーを塗っておきました。

ようやくこれで形が出来て来た状況で、次はサフェ研ぎと、カバー上部側面に開けた穴に4ミリのシャフトを打ち込み~接着します。そしていよいよ色の確認ですね。随分と時間が掛かってしまいまして申し訳御座いませんがどうぞもう少々お待ちくださいませ!

Cartier Pens

カルティエ・サントスのボールペン、胴軸部のパーツです。元々何かしらの塗装が施されていたと思いますが、オーナー様自ら剥がしてのご依頼となります。

 そのままだと塗料の食い付きが悪いので、表面をペーパーで荒らしてこの後に塗るプライマーの密着性を高めます。

まずはプライマーを塗り、

 サフェーサーを塗布します。

 60度40分程の熱を掛けてサフェ―サーを硬化させ、表面を研磨して平滑にします。 色を準備します。

各色は自動車のボディーカラーでご指定頂き、さらにその内の何色かには透過性の塗装=キャンディーカラーを塗り重ねる3コート塗装で承りました。

 キャンディーカラーは通常の2コート塗装では得られない色の深みなどを表現出来ます。

 クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」への変更で承りました(オプションで変更可能です)。

本塗後、60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させます。左にある四角い色板が「ベースカラーのみ」の塗装で、右側のミニカー型の色見本がそれにキャンディーカラーを塗り重ねた塗装です。中央にあるパイプの一番右の濃緑のみ通常の2コート塗装となります。

 それぞれ判り易い様に並べてみました。四角い板はキャンディーカラー無しの2コートメタリックとなります。

 キャンディーカラーを塗り重ねた方が色に深みが出ているのが判ると思います。

 赤も通常のソリッドカラーと違い、透明感のある色味となっています。

高品位なクリアーとの組み合わせで、レーザービームのような質感にも見えます。

後日オーナー様からコメントも頂けましたので以下に紹介をさせて頂きます。

「使うのが勿体ないくらいの綺麗な仕上げでビックリしました。
私も黄緑の綺麗さにとても気に入りました。
このボールペン軸はカルティエ・サントスの物なのですが、黒・紅・群青・深緑しかシリーズになかったので「モンテベルデ社」のカラフルな替芯を使おうにもリフィルの色とボディーの色が合わないので悩んでいたところに小物を塗装して頂ける会社がある
ことを知りお願いしたものです。
元々は黄緑のみをお願いしようと思っていたのですが他の色も一緒のクオリティーで塗装して頂いた方が統一感があってよいかなぁと思ってお願いした次第です。なので黄緑の綺麗さには驚きました。同じように「ビームサーベル」と称された水色も大変気に入りました。(どれも予想以上で気に入っているのですが)


仕上がりを気に入って頂けたのか、さらにその後こちらの5本をご依頼頂ける事となりました。

 二回目にご依頼頂いたのがこちらの5色で、

ボールペン塗装元々お持ちだった純正塗装品と併せ、後日こちらの画像を送って頂きました。

その時に頂いたコメントも紹介させて頂きますね。

「商品を受領いたしましてから1ヶ月が経ったので組み立てを行いました。
素人の携帯での撮影なので綺麗に撮影できておりません。せっかく綺麗に塗装して頂いたのにすみません。

1.jpgは今回塗装していただいた本のみです。
2.jpgは前回塗装して頂いた分と正規品(左から2番目の赤、11番目の青、13番目の黒、14番目の銀、15番目の金)です。

当初は小物を塗装して頂ける業者さんがなかなか見つからなかったので、自分で塗装しようかとも考えていましたが、こうやって並べてみると改めて塗装を頼んで良かったと実感してます。本当にありがとうございました。」

こちらこそこの度のご依頼、誠に有難う御座いました!

SHURE Super55マイク 本塗り

 先日サンドブラスト処理を行っておいたSHURE Super 55ガイコツマイクです。

 アームとヘッドの固定部には間に樹脂製のワッシャーが入るのでそこは普通通り塗装し、外側のボルト固定部はギザの入った緩み止めのロックワッシャーが入る為、そこには塗膜が付かない様にマスキングしています(動かす度に塗装がグニュっとなるのは忍びないので)。

 まずはプライマーを塗布し、続けてベースコートを3コート程塗り重ねます。

 最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

 色はホンダの「ナイトシェイドメタリック」(カラーコード:NH-726M)で、クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」の仕様となります。

 パッと見は単純な黒メタリックに見えますが、使われている原色は黒系が1種、青・黄色系が2種ずつ、メタリックとホワイトパールに、フリップコントローラー(透かしを明るくして表面を暗くする、メタリック・パール感を強調させる添加剤的な顔料)の8種類が使われています。

この後一日(一晩)自然乾燥させて塗膜中の溶剤をゆっくりと抜き、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させます。

また今回は組み付け作業もあるので、その後数日寝かしてからウィンドスクリーンの貼り付けを行います。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

GMCホイールキャップ 素地調整

GMCホイールキャップ 注型完成

先日注型作業が完了していたGMCのホイールセンターキャップです。ようやく塗装工程の作業に移ったので、今後はこちらの日記の方で紹介したいと思います。

注型して出来た物は何度も洗浄していますが、それでも離型剤は取り切れないのでスコッチブライト&ウォッシュコンパウンドで足付け処理をしつつ脱脂洗浄をします。

 良く乾燥させ、台にセットします。

 そのままサフェーサーを塗るには少々不安だったので、今回はその間にスプレーパテを入れる事にしました。サフェーサーはウレタン系ですが、こちらはポリパテと同じくポリエステル系の樹脂となります。

凹文字部が埋まらないようにそこを避けつつ、4~5コート程塗り重ねます。

この後熱を掛けて硬化させ、全体を研磨したら次はサフェーサーの塗布、その後色の確認となります。ようやく塗装屋の仕事っぽくなって来ました。どうぞもう少々お待ちくださいませ!