ハーレーフェンダー&ラジエターカバー 本塗り

harley53 先日二度目のサフェーサーを塗布しておいたハーレー用の社外品FRP製ラジエターカバーです。

全体に黒をパラパラとスプレーしてそれを研ぎの目安とし(ガイドコート)、まずは#320の空研ぎでラインを出します。

harley54 一回目のサフェは#180→#240での空研ぎでしたが、今回はこのまま本塗りとなるので#320からのスタートで、その後当て板を小さくしたり柔らかい物に変えながら#400の空研ぎで仕上げます。

harley55 その後は#600→#800の水研ぎで、被塗面に映り込む背景を見ながらラインを整えていきます。

harley52 最後は研磨粒子が均一な足付け用副資材(アシレックス)を使ってペーパー目を均し、綺麗に清掃して本塗り準備完了です。ここまでの作業は先日までに終わらせておき、一旦保管しておきました。

harley50先に下地処理を終えていたフロントフェンダーをセットします。

harley51 吊って塗る場合はどうしてもスプレーのエアーで被塗物が揺れてしまうので、今回は天井から5方向、下側にウェイトを吊るして極力振れないよう安定させています。

harley56 ラジエターカバーは白い部分(ゲルコート)が残ると格好悪いので(装着されれば見えない筈ですが)、先にベースコートの黒を塗っておきます。

harley57 裏側に塗った黒のベースコートが乾いたら台に固定します。

harley58 フェンダーは吊るした状態で裏表全体にベースコートの黒を塗布し、さらにクリアーを塗って本塗り完了です。

harley59 色はハーレー純正色の「VIVID BLACK」(カラーコード:DH)ですが、一緒にお預かりした部品の色から確認したところ、スタンドックスの原色MIX854単体の方が近かったのでそれで対応しています。

harley60 オーナー様が気にされていた肌も良い具合に出来ていると思います。ただ今回はご希望される仕上がり具合もシビアなようですので、この後完全硬化したらフルポリッシュも行います。

harley61 少々クドイですが全方向から塗装しておきました。今回のご依頼は既に塗られた物を(恐らく一度も装着せずに)再塗装ですからね。

harley63 裏側については表とは別工程で塗る方法もあったのですが(当然その方が仕上がりは良いです)、さすがに裏側はある程度塗られていればと言う事で今回は表面と一緒に塗っています。

harley62 そして問題のFRP製ラジエターカバーです。

harley64 さすがにサフェーサーを二度打ち(2工程分)していますので、粗が出易い複合逆アールのラインも美しく表現出来ていると思います。

harley65手前の方は富士山型の末広がりですが、途中から端が山なりになってきて、最後はさらに谷ラインが消えると言う複雑な形をしています。

単に山・谷の二次元的なラインであればそんなに難しくは無いのですが、狭い範囲でこれらが融合していると普通の当て板ではどうしても角が当たってしまうので、使う当て板とペーパーを徐々に小さくしたり、エッジの当て方を工夫して表面を削ぐような感じで削っています。

この後熱を掛けて硬化させ、こちらも磨き処理を行ってからの完成となります。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ハーレーフロントフェンダー 下地処理

harley14中央のアルミ製フロントフェンダーは現状パウダーコートにて塗装された状態ですが、オーナー様的にゆず肌が気になるとの事で今回こちらの塗装をご依頼されました。

harley45 パウダーコートとの事なので恐らく粉黛塗装だと思うのですが(詳しくは知りません)、通常のリキッドタイプ(液体)の塗料で塗った場合を例にすると、入れなければならないとシンナーを入れ忘れて塗ったような感じでしょうか。

harley47 通常肌均しは手研ぎか柔らかいスポンジ製の当て板を使いますが、今回はそれでは足りないようなので固い木片を使って肌を落とします。

harley48 固い当て板を使うと表面のラインは多角形のようにカクカクとなりますが、その後ゴムやスポンジの当て板を使って研げば緩やかなラインになります。

最後は手研ぎでラインやペーパー目を均し、裏側も足付け処理をしておきます。

harley49今回は表側と一緒に裏側も塗装する予定で、本塗り時の固定方法については色々考えたのですが、結果としては画像のように番線を使って吊って塗る事にしました。通常吊って塗ると被塗物が揺れて塗り難くなるのですが、番線はかなり太くてしっかりした物を、さらに多方向(多分4方向)から引っ張る事で安定させようと思います。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ハーレーフェンダー&ラジエターカバー 色確認

harley14先日よりFRP製のラジエターカバーの作業を開始しているハーレーのパーツですが、今回は色の確認も承っておりますので、そちらも早速行っておきました。

尚、画像中央のフェンダーは既に他店にてパウダーコートが塗装されていて、今回はこれを塗り直しますから、色を合わせるのは画面右側のパーツとなります。

harley40 カラーコードは「DH」で、まずは配合データそのままで作成して色を確認します。

先ほどの画像の一番右側にあった見本の色と比べると、若干黄色くて明るい感じです。ただバイクのパーツであれば車のように同一角度上にパネルが並ばないのでこのまま塗ってもほぼ色違いは判らなく(塗装屋でも判らないレベルです)、許容範囲内で納まる方だと思います。まあ一応ちゃんとした配合データですしね。

harley39 尚、先ほどの色の配合データでは、黒の原色(MIX854)に対して黄土色(MIX581)と白(MIX570)が入っていますが、どうせならと言う事で新たに黄土色と白を抜いてMIX854だけで確認してみました。尚MIX854(黒)の原色の特徴としては、「M/Pカラー専用ブラックでM/P原色と混ぜると正面に黄味、スカシに赤味」といった内容が記されています。ちなみに「M/P」はメタリックとパールの事で、今回はソリッドカラーですが余り気にしなくて大丈夫です(いつもの事でして問題もありません)。

STANDOXの原色特性についてはこちらのページから確認出来ます。専門的な物ですが誰が見ても大丈夫ですので問題ありません。

harley41 MIX854の原色黒のみを色板に塗って見てみると、こっちの方がより近いです。

harley42色板の位置を変えてみました。塗ってある色は先ほどと同じ物です。

harley43少し気になってパウダーコートで塗られたフロントフェンダーの色も見てみると、なるほどこちらは色見本(実車)の黒と比べてかなり黒いです。恐らくオーナー様はこれが判っていたので、今回配合データがあったとしても一応色を確認して欲しいと言う事だったのだと思います(もちろん費用は掛かります)。

先ほどリンクを貼ったSTANDOX原色表を見て頂くと判るのですが、スタンドックスは黒の原色で7種類あります。恐らくですが、今回フェンダーの塗装に使ったパウダーコートではそこまで黒の原色に種類が無い事、また実車(4輪車・バイク)の配合データなどは存在しないので、そのまま塗った黒がハーレーの黒(DH)よりも黒かったと言う感じでは無いでしょうか(粉黛なのでそう気軽に色も見れないと思いますし、そこは塗料の性質上もう仕方ない事だと思います)。

一応色を確認した結果を改めてメールでお知らせいたします。

ハーレーFRP製ラジエターカバー サフェ入れ

harley33 先日到着しておりましたハーレーのラジエターカバーです。一緒にご依頼頂いているフロントフェンダーは既存の塗膜はそのままで素地調整のみとなりますが、こちらは白ゲルコート仕上げなので先に下地処理を始めておきます。

harley38色が白だと判り難いのですが、FRP製品の場合は多少なり窪みやペーパー目、巣穴などがありますので、最初の段階でそれらを削って処理しておきます。

harley34平面は#120→#180のダブルアクションサンダーで平滑になるよう研磨し、その後角や曲面ラインはクッションパッドを付けたダブルアクションサンダー#240で研ぎつつペーパー目を均していきます。最後は#240で手研ぎ、角の面取りなどを行います。

harley35 よく脱脂清掃し、フチも塗れるよう少し浮いたような状態で台にセットします。

harley36 サフェーサーはウェットコートで6~7回、ただし一度に塗ると溶剤が塗膜中に籠ってブリスターなどを発生しますので、コート毎に10分程のフラッシュオフタイム(乾燥時間)を設けてじっくり塗り重ねていきます。

ちなみにサフェーサーに予め促進剤が含まれたような製品だとこの間にガンの中(大抵は蓋の周り)で硬化が始まってしまうのでサフェは二回に分けて作ったりして対応します。昔の話ですが関ぺのJUSTなどはこれで対応していました(余り良い思い出が無いのでもう使う予定はありませんが)。

harley37FRP製品でよくありがちなのが断面の巣穴で、2液のサフェーサーなら大抵は埋まりますが、大きい物は最後まで残っていたりします。こういうのは先ほどの画像にあるように筆を指して埋めておきます。

尚今回の製品は比較的しっかりしている事と、ご希望内容も仕上がり重視ですので、この後はきっちり60℃の熱を掛けて完全硬化させ、もし製品の不具合でブリスターなどが生じたらそこをドライバーなどで抉ってパテ埋めして虱潰していく予定です。

元々サフェーサーは二度打ちも想定していますので、このままサフェーサーを研いだら本塗りと言う事は無く、恐らく同じことをもう一工程行う予定です。まだお時間掛かりますのでどうぞもう少々お待ちくださいませ!

Harley steel fender

harley325年くらい前にご依頼頂いたハーレーのフロント&リヤフェンダーです。恐らく純正品で、素材は鉄です。

harley31このフェンダーは表側は比較的綺麗に見えても裏側はビッシリ錆が発生している事がよくあります。塗装の下で菌糸状に錆が増えている事から亜鉛メッキが施されていないと思われます。

harley30 こうなるとサンダーでの除去は難しいので、強力な直圧ブラストの設備がある専門店にお願いしてサンドブラストを掛けて貰います。画像は既に戻ってきた状態で、フェンダーの上に乗っている白い物は乾燥材です。

harley29 まずはプライマーですが、普通にスプレーをしても鉄板の隙間には入らないので、最初はガンのノズルを合わせ目に近づけて強制的にプライマーを流し込み、さらにエアーブローをして反対側から漏れ出るまで浸透させます。

harley28 プライマーが乾かない内にシンナーとウェスを使って余分を拭き取り、その後は普通に全体にプライマーを塗り、続けて2液ウレタンサフェーサーを塗布します。

harley27 サフェーサーが塗り終わったら60℃40分程度の熱を掛けて硬化させます。

harley26 サフェーサーを研磨し終えたらいよいよ本塗りですが、角やプレスで出っ張った個所などはサフェ研ぎの際に素地の鉄板を露出してしまっている個所もあるので、今度はスポット的にプライマーを塗布します。

harley25 リベットのように突起した個所はペーパーが当たり過ぎて素地が露出してしまいますが、かといって中途半端な研ぎでは仕上がりが悪くなるので、研ぎは普通通りにしっかり行い、露出した箇所は後からプライマーを塗れば大丈夫です。

harley24 ベースコートの黒を塗り、クリアーを塗って本塗り完了です。

harley23 こちらは塗り肌で、必要であればこの後磨き処理も行います(お任せコースでは基本的に磨き処理は行いません)。

harley28 その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、さらに数日寝かして完成となります。

harley30 そして完成です。

harley29 harley31こちらのスチール製のフェンダーを再塗装の際はサンドブラストがセットとなり、また錆の再発防止の為に、下塗りについては耐食性の高い浸透型エポキシプライマーを使っての「重防錆仕様」が基本となります。この場合下地処理費は塗装費以上となり、掛かる費用はどうしても高くなってしまいます。どうかご理解下さいませ。