スバルエンブレム 本塗り

先日本塗りを終えていたスバルエンブレムです。裏側の青い被膜を削り落とし、見る角度で色相が変化するクロマフレア顔料=所謂マジョーラカラーで塗装行いました。

今回使用した色はアンドロメダⅡに該当する物で、これに使われている原色=米JDSU社の顔料をスタンドックスのベースコート用樹脂=MMIX599に混合して使用しています。

尚、今回は最後の仕上げとして、アクリルプレート表面にクリアーを塗装します。

表面を#800→#1300相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン→オレンジ)で足付け処理をしてあります。最初の色に比べると全然違うように見えますが同じ物となります。

スバルのエンブレム(PMMA=アクリル樹脂)は長い期間紫外線に当たっていると表面が劣化して細かいクラックが入るとの事で、耐候性の良いアクリルポリウレタンを表面にコートしてそれを防ぐ効果を期待します。

よく脱脂清掃し、プラスチックプライマーを塗ったらクリアーをコートして本塗り完了です。お待たせしました!

今回はクリスタルクリアーでは無く、少し前に導入した常温1時間程で硬化するタイプのクリアーを採用しています。クラス的にはクリスタルクリアーより上位で、ただしベースコートを塗る場合はそこにもハードナーを添加しなければならない為、今回のようにクリアー単体の場合のみの使用が基本となっています。

どちらも同じ色ですが、置く位置によって見る角度が変わるのでそれぞれ違う色に見えます。凄いですよね。

光源に対して正面に立った時の透かしがこういった紫色で、

反対側=光源を背にした時は黄色味が出ます。

クロマフレア顔料についてGoogleのAIに聞いてみたところ、以下のような回答がありました。


クロマフレア顔料の原理は次のとおりです。
  1. 5層構造の顔料フレークが塗料の中でさまざまな方向を向いて定着される。
  2. 光が当たると、表面層で約50%、中央層のオペイク・リフレクター・メタル(Opaque Reflector Metal)で約50%が反射される。
  3. この分光効果で干渉波長(決まった色の波長)が発生し、視覚化される。

この色が見る角度=光の当たり方によって、

ここまで色相が変化するのは面白いですよね。

動画も撮影したのでそちらも紹介します。

ちなみにクロマフレア顔料自体は結構古くからあり、最初に見たのが私が自動車塗装業界に入るよりも前、30年くらい前でした。初めて見たそれはDUPONT社(現CROMAX)のクロマリュージョンカラーと呼ばれる物で、名前としては日本ペイントのマジョーラの方が有名ですが、恐らくこれが一番最初だったのではないでしょうか(同じアメリカの企業ですし)。

ちなみにSTANDOXでもこれっぽい色=Standox Xclusive Lineなる色は存在いているのですが、今回のように原色単体という訳ではないので、こうなると仕方なくベースコートとトップコートを違う会社の物にするか、もしくはマジョーラにニッペ(日本ペイント)のクリアーを使うかなどの方法となり、ただそれは気分的に良くないので当店としてはSTANDOXの塗装システムとして使えるようにしています(顔料単体での販売は契約違反になるとの事でスタンドックスのベースコート用樹脂=MIX599に添加して制作・販売して貰っています)。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スバルエンブレム&シルトノブカバー本塗り

先日クリアーの下塗りを行っておいたスバル純正エンブレム前後です。通常であれば60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させていますが、今回は常温で硬化するタイプのスタンドックスK9600エクストリームプラスクリアーを使っているので、そのまま作業を行ないます。ちなみに通常は熱を入れないまま塗装を行うと「チヂレ」が発生して最初からやり直しになってしまうので、慣れるまでは結構怖いです。

平面は#1300相当の布状研磨副資材(アシレックスオレンジ)で研磨し、凹んだ六連星部分はナイロンブラシとウォッシュコンパウンドを使って足付け処理を行います。

手で持って塗れるよう芯棒に固定し、台にセットします。

よく脱脂清掃を行います。

既にクリアーが塗られているのでここでプラスチックプライマーを塗る必要はありません。

シルトノブパネルも同じくクリアーで下塗りしてあるのでプラスチックプライマーの塗装は必要ありません。凹んだ箇所は研いで平滑にしておきました。

シフトノブカバーには、最初にアンダーカラーとしてベースコートの黒を塗布します。

スバルのエンブレムは反対側から見るので、黒では無く先にクロマフレアカラー=マジョーラアンドロメダⅡに該当する色を塗布します。分類としてはパールに入るのでこれ単体では隠蔽は出来ませんから、この時点では反対側に貼ったマスキングテープの色味が影響されてしまいます。

なのでクロマフレアカラーがしっかり塗られているかの目安として、黒に塗ったアクリル板に同じ膜厚(コート数)だけ同じように塗って色味の確認をします。ただ今回はシフトノブカバーも一緒に塗っているので実は不要だったんですよね。

クロマフレアカラーは合計4コート塗りました。特注で作って貰っているスタンドックス仕様(MIX599)のこれは、マジョーラに比べると含有量が多いように見受けられ(マジョーラの樹脂に対して顔料がどれくらいの割合なのかは不明なので言い切れません)、なのでそれに比べるとコート数は少なくて済みます。

下色=アンダーカラーの黒を塗った上に当店規定のクロマフレア顔料=CF-ANDⅡを4コート程塗った状態です。

1色(一種類)の顔料でここまで色相の変化を得られるのは本当に面白いですよね。

エンブレムの方は逆の順番で、クロマフレア顔料の後にベースコートの黒を塗布します。

裏側なのでこれで終了でも構わないのですが、2K型の塗料(2Komponente) はクリアー中のハードナーがベースコートに浸透する事によって起こる化学反応(イソシアネート基(−N=C=O)と水酸基(−OH)が反応して生成する−NH−CO−O−の構造)によって塗膜が形成される為、この後クリアーも塗るようにします。

ちょっと専門的な内容=スタンドックスユーザーにしか判らない話になりますが、最初に下塗りとして使った常温硬化型K9600クリアーの場合、溶剤型ベースコートでMSハードナーを20%添加する事が必須となっていますが(HSハードナーの場合は15%、VOCハードナーの場合は10%)、この理由としては、クリアー中のハードナー(この場合エクストリーム専用ハードナー4570~4590)が溶剤型ベースコートの芯までしっかり浸透しない事による物ですね。尚、水性ベースコートの場合はそもそもビスコシティアジャスターを20%添加する事が必須なのでわざわざこの説明は不要という訳です。なので溶剤型ベースコートを使っている当店としては、一見便利なK9600を使う場面は限られているという訳です。

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

スバルエンブレムの裏側にも塗ります。

このクリアー中のハードナーがベースコート=クロマフレアカラー層→黒色まで浸透して一つの塗膜を形成する訳です。

それにしても玉虫色とはよく言った物で、ちょっと角度が変わるだけで色相が大きく変化します。

ちなみにクロマフレア顔料は材料自体が高いので(0.9キロで15万円くらい)、3コート塗装割増とは別に材料費も必要となります。

尚、クロマフレアに似ていても実際にはそうでは無い顔料=クロマフレア風カラーであればそこまで材料費は高くないので追加費用は必要ありません。

模型界隈の塗装ではこれらを総称して「マジョーラ」と呼んでいたりしますが、それは日本ペイントが販売している商品名であって、他にはCROMAX(旧DUPONT)であれば「クロマリュージョンカラー」といった製品があります。これらに使われている原料(顔料)が米JDSU社のクロマフレア顔料「ChromaFlair」という訳です。この辺についてはこちらの記事で紹介していますので宜しければご参照くださいませ。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

調色作業

年明け早々に行われるライブイベントで使われるマイク塗装のご依頼が入っているのですが、肝心の被塗物であるマイクが諸々の事情で届かず、なので事前に出来る事を最大限やっておく事にしました(画像は本件とは関係無くイメージです)。

色は以前ご依頼頂いた時と同じもので、その時はそれぞれパントンカラーを参考にしたので塗装用の配合データは存在しなく(パントン色見本帳は印刷物です)、それぞれの塗色については色見本帳を参考にして作成していました(画像は本件とは関係無くイメージです)。

ただ配合データが無いという事は同じ色を作る事はほぼ不可能という事なので、見本としてその時に塗装したマイクを送って頂けるよう算段をつけたのですが、そちらも現在ライブで使っているので届くのは後日という事に・・・(時間が読めない作業は胃が痛くなるので避けたいところです)。

と言う訳ですが、幸いな事にその時見本として塗っておいた色板が手元にあったので、マイクが届く前に色を作っておく事に!

しかも今回は色板が平面で十分なサイズ(5cm四方)があった為、測色機を使ってそれぞれの配合データを入手する事が可能に!

ただパントン色見本帳を参考にして作った色は濁りの無い色味=隠蔽力が激しく弱く、実用的な自動車車体への塗装には使われていないような色が殆どなので、出来上がった色を見てみると使い物になるのは2色くらいのみでした。車のボディに使う色としてはコストやVOC対策の観点から塗料の使用量を抑える必要があり、ある程度の隠蔽力が得られるよう黒や白が入っているのが一般的なんですよね。そもそもこれらの色が車体程の面積になると派手過ぎて不人気になってしまうという事もありますし(インドとかのメーカーならありそうですけどね)。

尚うっかりしていたのですが、今年の春頃に工場のパソコンを買い替えていて、その際に測色機を使う為のソフトを移行していなかったので今の環境では使えない事が発覚しました。

対策としては家に持ち帰って使っていた元々のPCを工場に持って来て測色データを出力して事なきを得たのですが、

折角なので工場外にも持ち出せるようノートパソコンの方にインストールをしておくう事に。

ちなみに測色機を使えるようにするにはスタンドックスのデモマンに来てやって貰う必要があったのですが、その為にわざわざ呼ぶのも申し訳ないと思い、更新版を購入した時に付属していた説明書やドライバを使って色々試してみたところ、無事インストールする事が出来ました。これなら今後「出張測色」も仕事に出来るかも知れませんね(そんな事をやる時間は全くありませんが…)。

スバルエンブレム(SKフォレスター)メッキ枠 本塗り

少し前に下準備を行っていたスバルエンブレムのメッキ枠です。その後60℃40分程の熱を何度か掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと塗っておきました。

スバルエンブレムは現在3台分(5個)を並行して作業していて、それぞれのメッキ枠も一緒に作業しているのですが、内容が分かり易いようそれぞれを別けて紹介させて頂きます(一部の説明は使い回しをさせて頂きます)。今回は5月にお預かりしていた以下リンク先のエンブレムです。一方がとても大きく、もう一方は穴が貫通していないタイプの組み合わせですね。

スバルエンブレム(表スモーク裏赤:枠艶黒)塗装承ってます

2液のウレタンサーフェサーはプラモデル等に使う1液の物とは違って比較的固いのでいきなり#1500とかで研いでも歯は立たなく、なので最初は#600~#800で凸凹した塗り肌を削り落とし、その後#1200~#1500でペーパー目を均し、最後にペーパーの入り難い箇所や下地が露出しやすいフチを当たりの柔らかい布状研磨副資材(アシレックスレモン)で足付け処理を行います。

今回並行して作業を行っているスバルエンブレムのメッキ枠は全て「艶あり黒」なので、これらの本塗りは一緒に行っています(紹介はそれぞれ別にするようにしています)。

車体を塗っていた時は裏側などは気にしなかったので台にそのまま置いて塗ったりしましたが、

小物専門になった現在は、こういったパーツは車体に取り付けない状態でオーナー様にお渡しするので、裏側も比較的見れるように仕上げるようにしています。実際よくあるのですが、部品番号が記載されたシールや両面テープが残ったまま塗ったり、触ると粉が落ちるようなバサバサのミスト状態で仕上げたりする塗装屋さんも少なくはありません(確かに車体に装着されれば見える事は無いのでそれでコストや環境負荷を下げているのであれば一概に悪い事とは言い切れないのですが)。

まずはベースコートを塗布し、

クリアーを塗ったら本塗り完了です。

ちなみに近年はソリッドカラー(メタリックでもパールでも無い色)でも「ベースコート+トップコート」の2コート仕上げが一般となっていますが(多分)、ゴミの付着等を気にする環境(ブースが無い場所での塗装)では「1コートソリッドが主流だと思います。むしろ昔ながらの塗装屋さんなら「なんでわざわざ2コートで塗るの?」と思うかも知れません。私が業界に入った時はディーラーの内製工場(集中センター)でもそうでした。

当店では1コートソリッド用の塗料=STANDOX VOC 2Kエナメルもあって、確かにそれを使えば今回の本塗りの時間も10分の1くらいまで短縮できるのですが(2時間が10分くらい)、それ以外に余りメリットを感じられないので余程の事が無ければ2コート仕上げとしています。特に今回のようにクリアーの種類をご指定頂いた場合は2コート仕上げでしか対応が出来ないですしね(2Kエナメルの上にさらにクリアーを重ねるという事も可能ですが、超高温多湿の今の時期にそれを行うとワキが出るのでそれこそメリットが無いですよね)。

尚、こちらも中央に嵌るアクリルプレートは現在裏側のキャンディーレッドまで塗装が終わっていて、次はいよいよ表面のスモーク塗装となります。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

レヴォーグテールランプ塗装承ってます

先日到着しておりましたスバルレヴォーグの純正テールランプ一式です。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

ご依頼内容はスモーク塗装べた塗りで、クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーへの変更で承っています。

濃度については参考となる画像をご指定頂いていますのでそちらを紹介します。

最初のお問合せでは「極薄めと薄めの中間」といった文章でスモークの濃さをご指定頂いたのですが、同じスモーク塗装でも画像によって濃さが変わって見えてしまうので、最近では今までの完成画像の中からご希望の濃さの物を選んで頂き、それを見ながら濃度の調整をするスタイルにしています。この方がお互いイメージを共有し易いのではと思っています(少なくとも私はこの方が安心して塗れます)。

上記はフォレスターの純正テールランプで、こちらのページから他の画像も見れますので宜しければご参照くださいませ。

当店は受付窓口を設けていませんので、ご依頼を頂く場合には製品を発送して頂く形となっていますが、

テールランプに使われているPMMA=アクリル樹脂は比較的割れやすい為、輸送中にこういったレンズの角などが割れて届く事が時々あります(2年に一回くらい)。

運送会社さんとしては、「外箱に損傷が見られなければそれはユーザー側の梱包不良」として補償外になってしまいますから、その点にだけ注意をして頂ければと思います。プチプチで巻いただけだとこういった角は殆ど無防備ですから、余裕を持ったサイズの段ボール箱に新聞紙などの緩衝材をタップリ入れて頂ければと思います。イメージとしては段ボール箱の中で部品が宙に浮いているような感じですね。

尚、今回は新品購入時の箱のまま送って頂いたので全く問題ありませんでした。これなら間違いは無いですね。ただ新品時はレンズ面が固定用の段ボールにしっかり当たった状態になる為、塗装後にこれと同じようにすると長時間強い力が塗装面に加わる事でその跡が着いてしまう恐れがある為、少し変えた方法にするようにしています。今回は純正の箱なのでそのまま使えますが、送った時より戻って来た時に段ボール箱が大きくなっているのはこれが理由ですね。割れやすい箇所は勿論、塗装したばかりの物には極力ストレスの無いようにして梱包する必要があるのです。何卒ご理解頂ければと思います(宅配ボックスに入ると思っていたのに入らないサイズになって戻ってきてる!という場合は何卒ご容赦頂ければと・・・)。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせていただきます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!