スバルエンブレム アクリルプレート下準備

現在進行中のスバルエンブレムです。上の画像では2セットですが、もう1台分(そちらは一個のみ)を含め、現在以下の3案件を並行して作業しています。


スバルエンブレム(表スモーク/裏赤+枠艶黒)塗装承ってます

スバルエンブレム(表スモーク裏赤:枠艶黒)塗装承ってます

スバルエンブレム(93033AG043)塗装承ってます


それぞれ違う車種(片方はSKフォレスター)ですが、一部同じ部品が使われているので(アクリルプレートは同じで枠が違う)、それぞれ間違えないよう印をつけて作業を行っています。まずは裏側の青い被膜の除去ですね。

逆アールに湾曲しているので一般的なダブルアクションサンダー(125mm径)が余り使えず、なので径の小さいタイプ(80mm)や角パッドのオービタルサンダー、後は手作業で研磨しています。空研ぎ最終#320まで行ったら、

#600→#800の水研ぎでペーパー目を均し、

窪んだ六連星部分はナイロンブラシとウォッシュコンパウンドで足付け処理を行います。

以前はこのまま上塗り(今回の場合はレッドキャンディー+シルバーメタリック)を行っていましたが、2割くらいの確率でトラブルが生じるので、

現在は本塗りの前に一旦クリアーの下塗りを行うようにしています。

恐らく車の塗装屋さんからすると「それで採算合うの?!」と思うかもしれませんが、比較的場所を取らない小物に限定している事、そして納期を長く設ける事で採算合わせるようにしています。今回もクリアー塗装だけですが、他に色物を先に塗っていて(大抵は企業様案件のマイク)、最後にそれらのクリアーを塗る際に合流して一緒に塗装を行っていたりします。

こちらの小さなエンブレムは、六連星のメッキも剥がし、裏側は先日クリアー下塗りを行っています。なので今回は表側のクリアー塗装ですね。

プラスチックプライマーを塗布し、クリアーを塗ったら下塗り完了です。

2液のアクリルポリウレタンクリアーは完全硬化すればその上に塗る塗料の溶剤によって素地(今回の場合PMMA=アクリル樹脂)が侵される事はありませんから、無用なトラブルを事前に回避出来るようになります。やらなくても大丈夫かも知れないけれどやっておくと安心な任意保険みたいな感じですね。

尚、唯一怖いのはこれらのクリアー塗装が新たな塗装で侵される「チヂレ」で、それが起きないようしっかり完全硬化させておきます。具体的には乾燥炉(恒温器)に入れっぱなしにして60℃40分を数ターン行うか、もしくは工場屋根裏(この時期は50℃超え)に保管しておくような方法ですね。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

日産フーガ ステアリングカバー塗装承ってます

先日到着しておりました日産Y51フーガ用のステアリングスイッチパネルです。こちらのオーナー様は前回同車のテールランプ塗装をご依頼頂いた方で、この度も当店をご贔屓頂き誠にありがとうございます!

状態としては黒い樹脂に艶消し黒の塗装(恐らくはクリアー塗装無し)が施されています。

状態としては良く、梨地やシボ模様も無いので(平滑な状態なので)、下地処理は足付け処理のみを予定しています。

色につきましては見本としてこちらのパーツを一緒にお預かりしているのですが、これは塗装では無く「メッキ」となりますので通常の塗装ではここまでの表現は出来なく、ですので当店規定のSPFシルバーに、艶あり仕上げ、クリスタルクリアーの仕様で承っています。

ちなみにこういった半光沢の落ち着いたメッキ仕上げは、近年の自動車内装部品に多く採用されていて、メッキなのか塗装なのか判り難い所があります。簡単な見分け方としては、塗装の場合は塗り難い箇所(穴の内部)などは入らなく、メッキの場合はドブ漬けなので入り組んだ細かい所も比較的ムラなく仕上がっているのが特徴です。ただしそのままだとメッキの光沢が強いので、それを落ち着かせるよう表面に艶消しクリアーなどを塗って敢えて輝きを鈍らせるといった方法が採用されています(下地をサンドブラスト等で荒してその後メッキを掛けて半光沢にする方法もありますが、自動車内装部品の場合は前者が多いように見受けられます。

参考までに、ネットで販売されている部品の画像を一例として紹介します。

こちらはトヨタ30系ヴェルファイアのスイッチパネルに被せる社外品のカバーですが、見た感じ今回の見本と同じように見受けられます。

表面から見ると半光沢で落ち着いた感じに見えますが、

裏側を見ると装飾クロムメッキ特有の輝きがあるのが判るかと思います。これだとちょっとクドいので、この上に艶消しクリアーを塗る事で輝きを抑え、丁度良い具合に仕上げているといった感じです。

もしくは、近年はメッキ調塗装も比較的やり易くなったので、これを行った後に艶消しクリアーを塗れば似たような質感にはなるのですが、このメッキ調塗装は「完全硬化した艶あり黒塗装の上に、足付け処理無しでそのまま上塗り」という塗り方となる為、密着性が著しく低く、ですので当店ではお受付していません。出来ない訳では無くやらないという感じでして、何卒ご理解頂ければ幸いです。

尚、今回艶あり仕上げなのは、ただでさえメッキ感の無いSPFシルバーを艶消し仕上げにするとさらに金属感が目減りし、ただのシルバーにしか見えなくなってしまうからです。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

オーディオ用置物 本塗り

先日下準備を行っておいたオーディオのルームチューニング用置物、Acoustic Resolution Exciter RHR-21です。左上のある黒いパーツは見本用の物で、これを参考に艶消し黒で塗装を行います。

プライマーを塗った表面を軽くサンディングし、よく脱脂清掃したら本塗り開始です。

上部の穴は貫通していないので色が入り難く、なのでスプレーガンのエアー圧を下げて出来るだけ置くまで届くようにします。

まずはベースコートを塗布します。

エアースプレーガンの塗装では塗料が奥まで入らないのはオーナー様もご理解済みで、ただ元の色が見えてしまうのは格好悪いですから、出来るだけ中まで黒が入るようにします。

そして最後に艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

艶消しクリアーはいつものSTANDOX K9150です。既存の物に比べ艶消し顔料(シリカゲル)が15分の1のサイズにまで小さくなっている為ダマになり難く、それ故にアジテーターカバーでの使用(攪拌)が可能になっています。既存の艶消しクリアーの場合、保管している際に顔料が缶の底で固まってしまう為、使う度に攪拌棒でそれらを攫ってあげる必要があり、またそれ故に使っている内に顔料の含有分が変わってしまうので艶消し具合にムラが生じるという問題がありましたが(なのでこれまでは使用毎に数時間撹拌機で揺らしておくという事で対応していました)、それらに比べつと飛躍的に安定して使い易い艶消しクリアーとなっています。

その後時間の経過と共に艶が消えていきます。

塗膜の強度としては、近年ポルシェやメルセデスベンツのボディに施工されている艶消し塗装と同様と考えて頂いて大丈夫です。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ホンダN-VANメッキフォググリル 下準備

先日お預かりしておりましたホンダNVANの純正メッキフォググリルです。

自動車部品のメッキパーツは大体がABS樹脂に装飾クロムメッキが施された物で、その特徴としては「耐食性が高く傷が付き難い」であり、美観に優れている反面これに塗装をしようとすると密着し難いので厄介な物でもあります。

確実なのは薬品でメッキを剥がしてしまうという方法ですが、少々手間が掛かる事と、部品自体の強度が落ちるという事もあるので通常は行いません。なのでメッキを残しつつ通常の塗膜と同様の密着性が得られる下地を作ってからの上塗りとしています。

被塗面に素地調整を行い、よく脱脂清掃した後にまずはプライマーを塗布します。

メッキは被塗物全体に施されているので、それを覆うように裏側にもしっかりプライマーを塗っておきます。

このままウェットオンウェットで上塗りを行う事も可能ではあるのですが、仕上がりが劣ってしまう場合がある為、

一旦サーフェサーを塗って区切りをつけるようにしています。特に今回のように艶消し仕上げの場合には艶具合が下地に依存してしまうので、そのまま上塗りを行う事はまずありません。塗装屋さんなら判ると思うのですが、ウェットオンで艶あり仕上げにした場合は艶が引け、逆に艶消し仕上げだと艶が出る(ダマとムラも出る)ので通常はしません。ここまでの工程でゴミが付いたらそれでお終いですし…。

メッキパーツはそれ自体でラインが出ているのでここでサフェを厚塗りをする必要は無いのですが、この後研ぎ作業を行った際に下地のメッキが露出したら最初からやり直しになってしまうので(厳密にはその時点でプライマーを薄膜にしたウェットオンで対応)、一応3コート程を塗っておきます。

爪の部分はサフェを塗らないようにしています。

ちなみにここまでの工程は、先日スバルのメッキ枠にサフェを塗った時と一緒に行っていました。どちらも同じABS+装飾クロムメッキ製品なので作業内容はほぼ同じなので効率をよくする為ですね(現在の料金設定ではいずれも単品での施工では採算が合わなく、なのでタイミングを合わせて他のご依頼品と一緒に作業するようにしています)。

その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと塗っておきました。

こちらのガイドコート、余り意味が無いように見えますが、

右が水研ぎ後の状態で、それぞれの違いが良く判るかと思います。

サフェは膜厚が充填できるという効果がある反面、それ自体で凸凹とした肌を作ってしまうのでそれを平滑に研ぐ必要があり、ただ肉眼ではそれが判り難いので、研いだ跡が良く判るよう今回のようにガイドコートを行うのは必須となります。エンジンバルブの擦り合わせで当たり面を確認する際に使う光明丹と同じような役割ですね。

裏側はペーパーが当たり難いので(下地を露出し易いので)ナイロンブラシとウォッシュコンパウンドで足付け処理のみとしてあります。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

Mitsubishi Lancer brembo Matt Gray

いつもご贔屓頂いている業者様から御依頼頂いたランサーエボリューション用純正ブレンボキャリパー一式です。

新品時のブレンボキャリパーに塗られている塗料は焼き付け型で、使っている内に色褪せたり(褪色)、クリアー層がペリペリと剥がれてくるのが特徴です(層間剥離)。

自動車の外装パーツ(ドアやボンネット)と違って形が歪な為にサンダー等での作業が難しく、なので一般的な自動車板金塗装店では敬遠されがちな物だったりします。私も車体を塗っていた時は殆ど扱っていませんでした。

ただその後車体から「小物」の塗装専門にシフトし、またその時間借りしていた知人の工場内に、私と同じような形態で作業をしていた方がブレーキキャリパーのOHや販売等を手掛けていて、それの下請け的に大量のブレンボキャリパーを塗らせて貰う事で作業的に慣れ、現在に至っています。

その後間借りしていた工場から今の場所に移り、現在もこれらブレーキキャリパーの下準備についてはその方にお願いしています。こちらのページで詳しく紹介していますので宜しければご参照くださいませ。

下請け時には先ほどの状態でそのまま塗装を行っていたのですが、現在はそれにサンディングの作業を追加しています。深い傷や打痕、梨地の処理等ですね。

塗装前の脱脂洗浄も2回繰り返すような感じでしっかり行っています。

ちょっと判り難いのですが、こちらは打痕部にエポキシパテを塗っています。

まずは全体にプライマーを塗布します。

膜厚を着けたくない箇所=ボディ固定部やガスケットあたり面、パッド固定用のピンが入る穴の内側等ですね。

続けてベースコートにトヨタ「マットストームグレーメタリック」(D08)を塗布し、bremboのロゴを黒、最後に艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。

艶消しクリアーは艶ありの場合と同様、ウェットに2コート塗っています。垂れるとその後の処理(磨き)が出来ないので塗りなおし確定ですが、肌を荒らしてしまうとその後傷が付きやすい塗膜になってしまうので、艶消しでもツルンとした肌にする事でそれを防ぐようにします。

その後時間の経過と共に艶が消えていきます。

 その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

さらに数日寝かしたら完成となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

装着してしまえば細かい箇所など目立たなくなってしまうのですが、

製品単体の状態でのお渡しとなるとどうしても全体を隈なく見て(見られて)しまうので、そういった点で小物の塗装は同じ塗装屋さんでも嫌がられる傾向にあると思います。まあそもそも車体を塗る為の設備を構えた工場=所謂保険を使った事故修理を主体として作った工場で小物を扱うと採算が合わないという所もありますよね。

私の場合、小学生の頃から小さい物=プラモデルや鉄道模型(Nゲージ)が好きで毎日それらを作っては塗っていたので、それを仕事に出来た現在は毎日が楽しく、非常に幸運だったと思います。

そういった模型塗装の時にはカッティングプロッターやデカール作成、スプレー塗装等の技術が全く無かったので多くのジレンマを抱えていて、その後それらの事を出来るようになったのが楽しくて仕方ありませんでした。自動車のボディなんて絶対ロボットが塗っている!と思っていましたから、それを人の手でやっている姿を見た時の衝撃は今でも忘れられません(まさに動きはロボットのそれだったのでそれも衝撃的だったのですが。笑)。

なので当時の私からすると「艶々」にする事は非常に特別で、それがとても難しい事だと思っていましたが、

実際に塗装を続けていると、むしろ今回のような艶消し・半艶仕上げの方が難しい事に気付かされます。

ただその後、材料=艶消しクリアー自体も進化を遂げていて、昔非常に苦労したDUPONTのAU175に比べると、現在のSTANDOXマットクリアーシステムはとても安定した艶消し仕上げが出来るようになりました。使用されている顔料(恐らくはシリカゲル)が従来の1/15のサイズになったとかで、これによって樹脂中の分散や固形化がされなくなったのだと思います。以前は使う度にしっかり缶の蓋を開け閉めし、底に固まった顔料を攪拌棒で攫っていましたが、これが無くなったのでアジテーターカバーでも使えて作業効率も上がりました(その後検証していて問題無いを確認しています)。

ただ艶消しクリアーは通常のクリアー=5キロ缶に比べて容量が少なくとても割高で、また作業には多くの神経を使うので通常の艶ありよりも割増費用が必要になっています。その点はどうかご理解頂ければ幸いです。