日産L型ヘッドカバー 2トーン塗装承ってます

先日到着しておりました日産のL型六気筒エンジンのヘッドカバーです。この度も当店をご贔屓頂き有難う御座います!

こちらのオーナー様はいつもハコスカのS20エンジンの塗装をご依頼頂いている業者様ですが、今回はこちらのL型を、また結晶塗装では無く艶有りの塗装で承っています。以前ご依頼頂いた施工例がありますのでそちらを紹介させて頂きますね。

NISSAN GT-R(KPGC10) S20 Engine Cover

ヘッドカバー本体色はホンダのミラノレッド(カラーコード:R81)で、凸部はいつものようなアルミ素地では無く「白」の2トーンカラーで承っています。「NISSAN・OHC」の文字とその上下にあるフィンの天面部分ですね。

ベースと凸部の塗り分け方法としては幾つか方法があって、


↓【凸部を先に塗って天面をマスキングする方法】

BMW M Power head cover& intake manifold


↓【先にベース部分を塗装して、天面とその側面も塗る場合】

TOYOTA AE86 LEVIN GRIle BADGE


↓【先に凸部の色を塗り、後でそれを除去する方法】

BRABUS Emblem


↓あと土台部分には触れず、文字の天面のみ塗装するといったレアなケースや、

Mercedes-Benz 500E Air Cleaner Cover


↓型を樹脂で作ってスプレーすると言う事もやっています。

LOTUS ELISE Engine Cover


今回は先にヘッドカバー全体を白(とクリアー)で仕上げ、その後再び足付け処理をしてから全体に赤を塗って凸部天面を研ぎ出しクリアーを塗ると言う「2度塗り」の方法で行う予定です。

これのメリットとしては、一回目の塗装がサフェーサーの代わりとして多少なり下地を作ってくれるので、細かい傷や粗などを目立たなくしてくれる効果があります。以前施工したRB25のヘッドカバー一式の塗装と同じような感じですかね。尚、素地調整としてはサンドブラスト処理と、下地はいつも通りリン酸処理とプライマーの塗装は行います。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。この度も当店をご贔屓頂き有難う御座います!

NISSAN L-TYPE OHC Valve Cover

nissan 日産のL型6気筒エンジンのヘッドカバーです。恐らくはこちらのDATSUN2400のヘッドカバーがベースになっていて、今回ご依頼頂いたオーナー様が塗装済み品をネットオークションで購入されたとの事です。

nissan1 既存の塗装は艶ありの黒が塗装されています。

nissan2 部品には鋳造特有の素地の粗さが残っていて、通常こういった艶あり仕上げにする場合はパテやサフェーサーで平滑な下地を作る必要がありますが、結晶塗装ではこういった素地のまま上塗り塗装を行っても美しく見せる表現が可能です。

nissan3 色に関してはご依頼品と一緒に塗膜片を同梱して頂きましたので、それを元に近似色を作成するようにいたします。ただし結晶塗装は通常の塗料と違い原色数が限られていますので、あくまでも「似たような色」と言う事でご了承を頂いています。当サイト内の「よくある質問」のページでもご案内しておりますが、色に対してのクレームはお受付しとりませんのでご注意下さいませ。

nissan5 まずは溶剤槽に浸けて旧塗膜を剥離しますが、文字の部分が無くなってしまいました。

nissan7 どうやらこちらはアルミ板を削って作った物が貼ってあったようです。浸けていたのは廃棄するシンナーを再利用した物なので溶解力は強い方では無いのですが、まさかそれくらいで剥がれるとは思いませんでした。

nissan10 結晶塗装は硬化時に140℃~170℃程の熱を掛ける為、その時点でまた文字が剥がれると非常に困りますので、再貼り付けには接着力に優れたエポキシ系接着剤を使います。

nissan11 接着面は足付け処理と脱脂を行い、隙間が出来ないよう接着剤をタップリ塗って貼り付けます。

nissan12文字を元の位置に戻します。

nissan13 その後60℃~100℃程の熱を掛けて接着剤を硬化させます。

nissan14 完全硬化後、被塗物が熱いうちに食み出た接着剤を除去します。これが冷えて固まってしまうと非常に硬くなって難儀になってしまうのです。

nissan16 通常は塗装前にリン酸処理を行うのですが、折角接着したフチを溶かしてしまうので今回は先に終わらせてあります。これはパテを使う場合も同様です。

nissan17 まずはプライマーを塗布します。

nissan18 その後結晶塗装を行い、140℃~170℃程の熱を掛けて結晶目を出して本塗り完了です。

nissan19 今回は色見本に合わせてパウダータイプのブルーパールを入れてあります。

nissan20 念の為、色見本となる塗膜片を並べて確認してみました。悪く無いと思います。

nissan30 その後凸部を研磨して光らせ、最後にクリアーを筆で塗っておきます。

nissan21 さらにクリアーが硬化したら完成となります。

nissan22 今回使用したエポキシ接着剤は金属同士の接着に使うような強力な物なのでシンナーの浸け置き程度では剥がれません。

nissan23 nissan24 nissan25 nissan26 色の見本としてお預かりした塗膜辺です。同じ色とは言えませんが雰囲気は似せられたと思います。

nissan27 nissan28 凸部の面研は最初こそエアーツールを使用していますが、その後は#120~#800までを全て手研ぎで行っているのでシャープな仕上がりになっています。

nissan29

日産L型ヘッドカバー 結晶塗装 完成

nissan30 先日本塗りを終えていた日産L型6気筒エンジンのヘッドカバーです。その後凸部を研磨して光らせ、露出したアルミ素地にクリアーを塗っておきます。

nissan21 そしてクリアーが完全硬化したら完成となります。お待たせしました!

nissan22 NISSAN2000の文字は元々違う文字だったらしく、それを削り落として新たにアルミ板で作成した物が貼ってあったのですが、旧塗膜を剥離する際に溶剤槽に浸けておいたら全部剥がれてしまいました。ですので改めてそれらを回収し、今回は構造用エポキシ接着剤で取り付けておいたのでもう今後は剥がそうとしても剥がれないと思います。

nissan23 凸部の研磨は極力エアーツールには頼らないようにしていますので、各部のエッジはしっかり立って平滑に仕上がっていると思います。

nissan24 天面は殆どがアルミ素地になるので、結晶塗装の見た目としては側面の方がメインになる感じです。

最初の状態も紹介しますね。

nissan2元々艶ありの黒で塗られていたのですが、下地処理は行わずそのまま塗られていましたので、アルミの素地が粗がそのまま出ていた状態でした。艶あり仕上げで美しく見せるにはそれ相応の下地処理が必要で、それを行うとS20のヘッドカバーのように美しい仕上がりにする事が出来ます(ただしコストは相当大きくなりますが…)。

nissan25結晶塗装のメリットは、先ほどのような粗い素地のままでも単に塗るだけで美しく見せる事が出来る事です(ただ勿論限界はありますが)。

nissan26 こちらは今回見本として同梱して頂いた塗膜片で、塗装屋の視点からすると到底同じ色とは言えませんが、多少なり雰囲気は似せられたと思います。

nissan27 最初のような角が丸くなったような研ぎはしていませんので、全体的にカチっとした雰囲気を感じられると思います。

nissan28 私も最初の頃はそうだったのですが、面研にエアーツールを多用すると角が取れてしまい平滑な面が出ません。シングルアクションは勿論、ダブルアクションでも同じです。とにかく固い当て板を使ってしっかり#120から手研ぎで始めるとエッジが立ったシャープな仕上りになります。ただ手研ぎでそれぞれのペーパー目を消す作業は結構大変なんですけどね。

nissan29それでは後程完成のお知らせメール差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

日産L型ヘッドカバー 結晶塗装 本塗り

nissan16 先日外れてしまった凸文字を改めてエポキシ接着剤で元に戻しておいた日産6気筒エンジンカバーです。本塗りまで少々お時間が空きましたが、無事本塗り完了しておりますのでご安心下さいませ。

ちょっと余談なのですが、当店で行っている塗装は、ご案内しているお見積もりの金額だと単品ではどうしても採算が合わ無く、他のご依頼品と並行して作業をする事で採算を合わせています。

「どうしても」と言う場合には納期を短縮出来る「納期指定」のオプションをご指定頂くようお願いしておりますが、その場合内容や期間によって変わりますが総額の30%~50%程の割り増し費用が発生します。

かなり高い割増率と思われるかも知れませんが、単品でやる場合はむしろそれが正規の料金で、車の塗装屋さんなら判ると思いますが、今当店で行っている塗装はベンツなどの外国車を保険修理で行う内容と基本的には同じで、それなりにコストは掛かっています。

それでも小物の塗装でやっていけているのは、納期を長めに取ってその間に重複する作業を並行して作業するなど、仕上りに関係の無い事のコストを極力省く事で成り立っているのです。何卒ご理解いただければ幸いです。

nissan17 尚、今回はアルミ製ECUボックスを一緒に施工していまして、そちらも後程紹介致します。他には珍しいNISSAN(DATSUN?)のL型ZYエンジンカバーも入っていたりするのですが、そちらは今回の本塗りには到底間に合わず、次回のターンになる予定です。

ZYエンジンカバーについてはこちらのページでも紹介していますが、幻のエンジンと言われる割にはうちに入る割合が多い気がしますが・・・(今回で3度目、4個目の塗装となります)。

と言う事で、まずはプライマーを塗布します。

nissan18 そして本塗り完了です。画像では既に140℃~170℃程度の熱を掛けて結晶目が出た状態です。

nissan19 結晶模様自体は100℃を超えたあたりから発生しますが、結晶塗装に使われる1液性の熱硬化型の塗料(メラミン樹脂)はその温度では硬化はしないので、さらに140℃~170℃で30分くらい熱を掛けます。誤解されやすいのですが、これは「耐熱」と言う訳では無く、単に熱で硬化するタイプと言う事です。

nissan20色に関しては事前にオーナー様から色の見本となる物をお預かりしておりまして、ただ結晶塗装なので(普通の塗装とは違うので)ある程度の色ブレはご了承頂いていましたが、何とか良い具合に出来たと思います。

ちょっと判り難いかも知れませんが、色の見本は塗装の破片を透明なテープで覆った物で、元々この倍の量(サイズ)があったのですが、万が一無くしたらと言う事で半分にカットしてあって、もう半分は最初に届いた段ボールの中に残してあります。

この後数日寝かし、タイミングが来ましたら最後の仕上げに凸部を研磨して光らせ、クリアーを筆で塗って硬化したら完成となります。

完成次第改めて紹介させて頂きますのでどうぞもう少々お待ちくださいませ!

日産L型ヘッドカバー 凸文字貼付け

nissan7先日旧塗膜を剥離するべく溶剤槽に着けておいたヘッドカバーから塗膜と一緒に剥がれてしまった凸文字です。てっきり両面テープかと思っていましたが、どうやら一応は接着剤で固定されていた模様です。ただ、ただのシンナーで剥がれてしまうというのもかなり問題ですけどね。透明なところを見ると瞬間接着剤系かセメダインスーパーX系でしょうか。

nissan9 ヘッドカバーとアルミ板の文字をリン酸処理し、元々あった跡に合わせて文字の上下を確認します。

ちなみに後からリン酸処理を行うと接着剤の際が剥がれて浮いてしまいますので先に行っておく必要があります(リン酸が侵すのはこの場合塗膜では無く金属の方です)。

nissan10 凸文字の接着はいつもの3Mオフホワイトで行います。ビスフェノールA型の構造用エポキシ接着剤ですね。性能についてはこちらのオフィシャルサイトで紹介しておりまして、ちなみにこれなら溶剤に浸け置きしても剥がれたりしません。むしろ一旦取り付けると外す方が大変で、もしどうしても剥がさなければならない場合は場合はアセチレンかプロパンバーナーなどを使って高温にして外します。炭化させるような感じでしょうか。

nissan11 混合した接着剤に直接接着面を押し付け、ピンセットで摘まんで所定の位置に貼り付けます。

nissan12 オフホワイトの良いところは可使時間が60分と長い事で、今回のように微妙な位置決めが必要でも落ち着いて作業が出来るので助かります。ただ熱を入れないと中々固まらないのでその点でDIYでは使い難いかも知れません。冬場だと次の日になってもベタベタです。

nissan13 その後60℃~120℃くらいの熱を掛けて硬化させます。今回はこの後の処理があったので120℃で20分としました(低温でゆっくり熱を掛けていると固くなり過ぎてしまいますので)。

nissan14 接着剤を塗り過ぎて食み出た個所があるので、そこは正面からカッターを入れピックツールで搔き出します。熱が冷めて時間が経つとカッターの刃が入らなくなってしまいますので熱いうちに全部除去しておこうという作戦です(一度大変な思いをしました…)。

nissan15と言う事で剥がれた凸文字は無事元に戻りました。

オーナー様が購入された先の説明からすると、元々使われていた接着剤は「特殊」な物との事でしたが、出来ればどう特殊な物なのかの説明もされる方が宜しいかと存じます(むしろ塗装してから剥がれたら大変でした・・・)。ちなみにオフホワイトは特殊な接着剤でもなく誰でも普通に入手可能です。是非お勧めです。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!