アウディエンブレム&内装パーツ 下塗り

先日お預かりしておりましたアウディクワトロのエンブレムと、エアコン吹き出し口の「つまみ」部のパーツ2セット分4部品、あと色の見本として一緒にお預かりしたエアコン吹き出し口のASSYパーツです。

エアコンつまみ部品は#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)で研磨し、その後ナイロンブラシとウォッシュコンパウンド(液状研磨剤)を使って足付け処理を行います。クワトロのエンブレムも同様に行います。

よく洗浄して乾かしておきます。

赤はこちらの吹き出し口パーツの塗装を見本として簡易的に作成します。

本来の調色作業は、スプレーガンに塗料を入れ、実際に色板に吹いてしっかり乾燥させてからさらにクリアーも塗って色の確認する必要がありますが、そこまでするとスプレーガンの洗浄作業等も含め結構な手間と時間が掛かってしまうので、今回のように近似色=「大体似たような感じでOK」という事で宜しければ、このようなコスト(費用)の掛からない方法での対応も可能です(ただ仕上がった色が結構違う!という場合もあります)。

それぞれのパーツは手で持って塗れるようワニクリップ等で芯棒に固定します。

エアコン吹き出し口のつまみパーツは動く部品なので、可動部に塗料が着かないようマスキングしています。

まずはプラスチックプライマーを塗布します。

こちらはメッキの上に艶消しクリアーが塗ってあると思われますが、そうではない場合も考え、

念のためプライマーを塗ってからの上塗りとしています。

まずはベースコートを塗布します。

今回は細かいザラザラ(サラサラ)なのでそのまま上塗りのみで大丈夫かと考えていましたが、実際に塗ってみると艶が引けて肌が悪いのが判ったので、二度塗りで対応しようかと考えています。本来下地が平滑ならこの時点でもう少し艶のある仕上がりになる筈なんですよね。

こちらも同様で、

どうもザラザラとした感じが残っているので二度塗りで対応しようと思います。

と言う訳で一回目の本塗り=下塗りが完了です。

塗装工程自体は通常の本塗りと同じですが、

完全硬化後にもう一度クリアーだけを塗ろうと思います。

というのも、現在テスト的に新しいクリアーを採用しています。

今回は通常通り(ご指定通り)クリスタルクリアーを使っていますが、

それとは別に、こちらのVOCエクストリームプラスクリアーを使おうと思っています。

こちらのエクストリームシリーズのクリアーは初期の頃にサンプルで貰っていて、さらにその後知り合いの塗装屋さんからこちらのマイナーチェンジ後の物を小分けして貰ってその後何度か趣味的な物(色見本キーホルダー)への塗装を行っていたのですが、使ってみて良かったので(問題も起きなかったので)本格的に導入しようと思った次第です。

ちなみに少し前に採用していたVOCエクストラクリアーはどうも使いきれない所があり、その後フェイドアウトしています(ただ密着性が非常に高いので、色見本キーホルダーに使うラメパウダーを塗着させる際にはこれを採用しています)。

ただ使用上のネックいうか面倒な点として、こちらのVOCエクストリームプラスクリアーを使う際に溶剤ベースコートの場合ではハードナーの添加が必須で(MSハードナーだと20%)、これをうっかり忘れてしまうとベースコートとクリアーコートとの密着不良、もしくはベースコートの反応不良が起きてしまう恐れがあり、なので使う用途は限定しようと思っています。

それが今回想定している「クリアー単体での使用」で、2度塗りでトップコート=クリアー塗装のみの場合はベースコートへのハードナー添加を考えなくて済みますからうっかりミスを防げるという算段です。

尚、クラス(品質)としてはクリスタルクリアーより上位になりますのでご安心くださいませ。

このクリアーの大きなメリットとしては「常温で完全硬化」が可能で、塗った数時間後には磨きが可能!というくらい反応が早いクリアーとなります。恐らくは環境負荷を考えての事で、ただこの点としては小物専門で行っている当店としてはほぼメリットは無いのですが(熱を入れる際もまとめて行うので、当工場で消費するエネルギーコストは一般的な普通家庭で使うよりはるかに少ないのです)、それでも用途によっては使い勝手が良かったりします。例えばスバルエンブレムを塗装する際にはクリアーの下塗りは必須としていますから、これを朝に塗って自然乾燥で午後には本塗り!なんて事も可能な訳です。普通は「チヂレ」が生じてしまうようなところ、全くその心配が無くなります。

デメリットとしては使用期限で、主剤・ハードナー共に開封後は一カ月という事ですが、幸いにして1リットル設定があるのでこの範囲内で使い切るようにし、もし余ってしまったら趣味的な物に使おうと思っています。

やはりというか素地の影響を受けて肌が悪いのが判るかと思います。

目立つ面としてはこちらの極小さい面積なので問題は無いかと思うのですが、

どのみちこちらのエンブレムはこの後凹み部を黒で塗り、再度全体にクリアー塗装を行うので、その時のついでとして2度塗りを行うような感じですね。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

エアフィルター用遮熱板 塗装承ってます

先日到着しておりましたアルミ製のエアフィルター用遮熱板2枚です。こちらのオーナー様は以前GRヤリスのテールランプ一式の塗装をご依頼頂いた方で、今回も恐らく同車用の物と思われます。この度も当店をご贔屓ありがとうございます!

現状はつや消し黒の塗装が施されていて、ただ恐らくはアルミ地にそのまま塗られているかと思われますからこの後剥がれる可能性が高く、ですので一旦全部これらを除去し、リン酸処理→プライマーを塗ってからの上塗りとします。

ご依頼内容は「結晶塗装の黒」で、こちらの大きい方のパーツは裏表に、

こちらの小さいパーツは画像の面(表面)のみ、裏側はつや消し黒にするか、もしくは一緒に塗れるようであれば(コスト高にならなければ)両面とも結晶塗装の黒で塗ってしまおうと思います。

現状塗られている塗装は艶が消え過ぎていて、それ故にちょっとした事で傷が付き易かったりします。なので通常自動車外装に塗られている艶消し仕上げは一般的に3分艶~5分艶と言われるような感じで、あくまでの実用範囲内での使用を想定しての物となっています(それでも屋内保管は必須、水垢が付いたら対応は出来ない等かなりの注意事項がある筈です)。ショーケースの中に飾る模型の塗装とはそもそも違う内容となっています。

今回と似たような物として、以前ECUを入れるアルミボックスに結晶塗装を行った事がありますので、参考までにそちらを紹介します。

こちらも元々はアルミ無垢の状態で、この時は黒では無く赤の結晶塗装で仕上げています。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

スバルWRXフロントグリルモール&カーボン枠 本塗り

先日一旦本塗りを終えた物を再度下地処理からやり直し、サーフェサーを塗っておいたスバルWRXのフロントグリルカーボン枠です。

左右グリルモールは問題無かったのですが、色ブレが生じる恐れがあったのでこちらも一緒に塗り直す事にしました。

前回の塗装をした後に60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、再び足付け処理をしてあります。

よく脱脂清掃後、下色としてベースコートの黒を塗布します。

同じく左右グリルモールにも黒を塗布します。

続けて粒子が細かく輝度感の高いSTANDOX原色JLM-906を塗布します。

こちらも前回と同様に原色そのままでは無く、ベースコート用の樹脂=MIX599を混ぜた物を採用しています。

全体的にムラ・ダマが無いよう塗り重ねていきます。

今回もガイド用(テスト用)としてベアブリックのフィギアを使って様子を見ながら塗装を進行しています。

ちなみにこちらは昔ペプシ?のおまけとしてついていたような物で、メルカリ等でまとめて20個¥1,000!みたいに安く販売されているのを見つけた時にまとめ買いをしています。単に平面的な板を塗るだけだとフリップフロップ感(見る角度によって色や陰影が変わる感じ)が判り難く、なのでこういった立体的な物を使うようにしています。

下色の黒を2コート、SPFシルバーを4コート程塗りました。ここまでがベースコートですね。

そして最後にトップコート=クリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

今回はライン出し(研ぎ作業)を行ったので、純正部品と同様に違和感の無い仕上がりになったと思います。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーとなります。

平面だとどうしてもコントラストが弱く感じますが、

こうやって立体的な形状で見ると、普通のシルバーメタリック塗装に比べて金属感があるのが判るかと思います。

さらに判り易い感じとしては、こちらの恒温器に入れた方が良いですかね。多少薄暗い場所の方がコントラストが強調されて判りやすいと思います。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

日産フーガ ステアリングカバー塗装承ってます

先日到着しておりました日産Y51フーガ用のステアリングスイッチパネルです。こちらのオーナー様は前回同車のテールランプ塗装をご依頼頂いた方で、この度も当店をご贔屓頂き誠にありがとうございます!

状態としては黒い樹脂に艶消し黒の塗装(恐らくはクリアー塗装無し)が施されています。

状態としては良く、梨地やシボ模様も無いので(平滑な状態なので)、下地処理は足付け処理のみを予定しています。

色につきましては見本としてこちらのパーツを一緒にお預かりしているのですが、これは塗装では無く「メッキ」となりますので通常の塗装ではここまでの表現は出来なく、ですので当店規定のSPFシルバーに、艶あり仕上げの塗装で承っています。

ちなみにこういった半光沢の落ち着いたメッキ仕上げは、近年の自動車内装部品に多く採用されていて、メッキなのか塗装なのか判り難い所があります。簡単な見分け方としては、塗装の場合は塗り難い箇所(穴の内部)などは入らなく、メッキの場合はドブ漬けなので入り組んだ細かい所も比較的ムラなく仕上がっているのが特徴です。ただしそのままだとメッキの光沢が強いので、それを落ち着かせるよう表面に艶消しクリアーなどを塗って敢えて輝きを鈍らせるといった方法が採用されています(下地をサンドブラスト等で荒してその後メッキを掛けて半光沢にする方法もありますが、自動車内装部品の場合は前者が多いように見受けられます。

参考までに、ネットで販売されている部品の画像を一例として紹介します。

こちらはトヨタ30系ヴェルファイアのスイッチパネルに被せる社外品のカバーですが、見た感じ今回の見本と同じように見受けられます。

表面から見ると半光沢で落ち着いた感じに見えますが、

裏側を見ると装飾クロムメッキ特有の輝きがあるのが判るかと思います。これだとちょっとクドいので、この上に艶消しクリアーを塗る事で輝きを抑え、丁度良い具合に仕上げているといった感じです。

もしくは、近年はメッキ調塗装も比較的やり易くなったので、これを行った後に艶消しクリアーを塗れば似たような質感にはなるのですが、このメッキ調塗装は「完全硬化した艶あり黒塗装の上に、足付け処理無しでそのまま上塗り」という塗り方となる為、密着性が著しく低く、ですので当店ではお受付していません。出来ない訳では無くやらないという感じでして、何卒ご理解頂ければ幸いです。

尚、今回艶あり仕上げなのは、ただでさえメッキ感の無いSPFシルバーを艶消し仕上げにするとさらに金属感が目減りし、ただのシルバーにしか見えなくなってしまうからです。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

スバルWRXフロントグリルカーボン枠 下準備

先日SPFシルバーに塗装を終えていたスバルWRX用のドライカーボン製フロントグリル枠です。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきました。

普通に綺麗に仕上がって勿体ない所はあるのですが、凸凹したところがどうしても気になってしまうので、

固い当て板をしっかり当てて#120~#180で面出しを行い、#240でペーパー目を均しておきました。尚、凸凹が判っても一旦クリアーまで塗ったのはこれもサフェの替わり=充填塗膜として使いたかったからで、この時点の研ぎでもある程度の凸凹を取っておくようにしました。

よく脱脂清掃します。既存の樹脂はウレタン・不飽和ポリエステル・エポキシいずれかなので、ここでプラスチックプライマーを塗る必要は無く、

直接サーフェサーを塗布します。プラスチックプライマーが必要なのは主にPP(ポリプロピレン)とPA(ポリアミド)で、ABS樹脂は溶剤型塗料ならそれ単体でも大丈夫だったりしますが、当店の場合ではこれも念のために塗るようにしています。尚、PE(ポリエチレン)は塗装不可能な樹脂と言われているのでこのプライマーを塗っても殆ど意味は無く、またプラモデル等に使われているPS(ポリスチレン)は耐溶剤性が弱いので、自動車補習用塗料(溶剤型)だと樹脂の表層を溶かして逆に密着しない場合があります。

尚、フチについては既に出来上がっているので(製品としては既に完成していてガタガタしていたりしないので)、今回は置いた状態でサーフェサーを塗っています。修正するのはあくまでも目立つ表面の凸凹です。

その後再び60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと塗ります。

#600で面出しを行い、#800~#1500でペーパー目を均したら下地作業が完了です。

一歩進んで二歩下がるような感じでしたが、今回はこういった事をオープンにしているだけで、他のご依頼でもこういった作業は日常的にあります。塗装の事を判らない上司(社長)からすると全くもって無駄な作業=会社の経営を貶めるような行為でしかないのですが、幸いにして今は比較的ゆっくり出来る環境となっているので、後ろめたい気持ちになるくらいならさっさとやり直してしまおう!という事が出来ています。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!