先日お預かりしておりましたスカイラインGT-R(BCNR33)用ブレンボキャリパー一式です。その後いつものブレーキ屋さんにて洗浄~サンドブラスト処理~マスキングまでを行って頂き戻ってきました。
このままの状態から直ぐに塗装も出来るのですが、
今回は目立つキャリパー前面部の打痕や深い傷・梨地を均す下地処理も承っていますので、
まずはある程度この部分を研磨して均しておきます。取り切れない打痕はこの後に処理します。
まずは一旦全体の研磨~脱脂処理を行います。
続けてキャリパーの前面以外の部分をマスキングします。
エポキシサーフェサーは硬くて(粘りが強くて)非常に研ぎ難いので、塗装の際がバツ切りにならないよう(段差にならないよう)暈すような感じにマスキングを行います。
ちなみに研磨だけでも傷を除去する事は不可能ではないですが、一番深い箇所まで削るとなると本来のラインが崩れてしまいますので、
これをまずエポキシ系プライマーサーフェサーで覆い、
続けて充填性のあるウレタンサーフェサーを重ねます。それぞれ違うタイプの塗料を半生の状態でくっ付けるような感じのウェットオンウェットですね。
その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと吹きました。
水は使えないので(錆びるので)、空研ぎ#320→#400でライン出しをし、
続けて布状研磨副資材の#500→#800(アシレックススカイ~レモン)でペーパー目を均します。ガイドコートは打痕を研ぎ遺さない為ですね。
その後全体をシリコンオフで洗い流すようにして脱脂清掃をしたらブースにセットして本塗り準備完了です。
しっかりエアーブローをして埃を飛ばします。
まずは全体にプライマーを塗布します。
この時点で塗るプライマーは薄膜で、それ故に打痕や傷などを埋める効果はありませんから、それぞれの特徴を使って作業を2回に分けているという感じです。
続けて塗膜を厚くしたくない箇所=ボディへのボルト取り付け部とガスケット当たり面、パッドを固定すシャフトを通す穴にベースコートの黒を薄膜で塗ります。
その後それらの箇所をマスキングします。
まずは隠蔽力の高い赤=ベンガラ等の無機顔料が入った原色を使って下塗りを行います。プライマーは明るいグレーなのでそのまま鮮やかな赤=ブレンボレッド近似色を塗っても隠蔽はし易いですが、黒の上だと中々染まらない為ですね(「染まる」は例えというか業界用語で実際に染色している訳ではありません)。
続けてブレンボレッド近似色を塗布します。
テープフリーな状態になったらロゴ入れを行います。ロゴは元と同じようフロント80mm、リヤ54mmでマスキングシートを作成しました。
ロゴの色は白=フォルクスワーゲンのキャンディホワイト(LB9A)を使用しています。
ロゴの白が塗り終わったらマスキングを剥がし、
タッククロス(不織布に粘着物質が塗布された物)で擦ってバリを取り除いておきます。
そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!
ブレンボキャリパーの塗装は個人の方からは勿論、
ボディショップ(自動車板金塗装屋さん)やチューニングショップ、街の整備工場やディーラー内製工場(集中センター)など色々な所からご依頼を頂いております。
以前、これまでにも多くリピートを頂いてるショップさんに「当店で塗ったキャリパーで何か問題が起きた事とかないですか?」と伺ったところ、「サーキットでも使用しているが全く問題無いです」とお墨付きを頂いております。有名なショップさんなので信用度は高いと思います。
この後は一晩自然乾燥させ、
後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。
それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!