いつもご贔屓頂いている業者さんからランエボ純正ブレンボキャリパーの塗装をご依頼頂きましたので、作業内容を纏めて施工事例として紹介させて頂きます。
現状はいつものように表面のクリアー層が剥がれています。下塗りの赤の硬化(焼付け)が進みすぎた状態で、中研ぎ(足付け処理)無しに上から塗ったクリアーが密着しなかった為に起こる問題ですね。
クリアー層が剥がれて赤が白っぽくなっているのはチョーキングが起きているからで、工業用製品や商業車等に使われる熱硬化型塗料(焼付け塗料)ではよく見られる光景です。郵便局の車で艶具合が継ぎ接ぎになっているようなものを見かけますが、褪色している方が新車時の塗膜で、後から補修した箇所は2液ウレタンなので再塗装したパネルは褪色せず色鮮やかに残っていたりする為です。プラスチック製のバンパーは焼付け塗装が出来ないので同じ理由でここだけ褪色せず鮮やかな赤が残っていますよね。
まずはいつものようにブレーキ屋さんにて洗浄~サンドブラストをお願いしました。
ブレーキ屋さんについては以下の記事で紹介していますので宜しければご参照くださいませ。
ブレーキキャリパーの下地処理
そのままでも塗れる状態でしたが、塗りあがった時に艶が出るよう梨地の部分を#120シングルアクションで削り、#120~#180のダブルアクションサンダーでペーパー傷を均し、#240手研ぎで研磨しています。
その後よく脱脂清掃し、ブースにセットしたら本塗り開始です。
普通にウェスで拭くような方法では細部の脱脂が出来ないので、シリコンオフをスプレーで上からジャブジャブと掛けて洗い流すようにし、ふき取り→エアーブローを繰り返しています。色々下地処理をしてもこの脱脂処理がちゃんと出来ていないと全てが水の泡ですからね。
よくエアーブローをして埃を飛ばしたら、
まずはプライマーを塗布します。
厚塗りしないよう薄く2コート程を塗布します。
金属素地の部分が残らなくなったら、
膜厚をつけたくない箇所=車体取り付け部やガスケット当たり面、ブレーキパッド固定用シャフトを通す穴の内側にベースコートの黒を塗布します。
特段この黒は塗らなくても良いのですが、プライマーのままだと格好悪いので、新品時の黒アルマイト仕上げを模すような感じで行っています。
ベースコートの黒が乾いたらマスキングを行います。
続けてご指定の色=ランエボ純正ブレンボ近似色のどす黒い赤を塗布します。
F50ブレンボの赤は明るくて鮮やかな赤で、それに比べるとこちらは濃く暗い感じとなります。
続けてbremboのロゴを白で塗装します。
こちらの白はVW社のキャンディホワイト(カラーコード: LB9B)を採用しています。
そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。
ロゴの部分はどうしても塗膜の段差が出来てしまっているので、
完全硬化後にはペーパーを当てて均し、磨き処理を行います。
マスキングした箇所は2回目のクリアーを塗り終わったら直ぐに剥がしてバツ切り際の塗料が馴染むようにしています(そのまま固まってしまうと鋭利な段差が出来てしまいます)。
そして完成です。
作業中の撮影は暗い場合などもあるのでシャッタースピードを速くして手振れ防止優先とし、その後明るく加工していたりしますが、
完成時の画像はサイズの縮小以外は未加工としています。
初期の頃(10年以上前でまだ知人の工場に間借りしていた時)は完成時の画像も明るく補正したりしていましたが、その後カメラを扱うようになって「撮影後の加工で幾らでも綺麗に出来る」(画像編集ソフト=Lightroomの使用)と言う事を知ってからは、「撮ってそのまま」を基本とする事にしました。
使用しているカメラも比較的古い物=NIKON D200となります。
直ぐにノイズが出るのでISOは200、シャッタースピードと露出はマニュアル、ホワイトバランスはオートとしています。
レンズは二種類、20mmと40mmを使っています。上の画像のように全体を収めたい時には広角の20mmで、
部分的に撮りたい時は40mmのマクロレンズを使っています。
手振れ防止機能なども無く、またそこまで明るくないのでシャッタースピードは大体1/20~1/50秒で、手持ちでこうだとどうしてもブレてしまいがちですから、とにかく枚数は撮るようにしています。
同じカットでも5枚くらいは撮ってます(成功率が1/5くらいなので…)。
作業中然り、完成時然り、撮影して画像をアップするのは結構な手間なのですが、これ以上信用性の高い事は無いかと思っていますので、出来るだけこのスタイルを続けていければと思っています。