元々シルバーに塗られているオークリーのサングラスフレームです。
今回はこちらをブルーメタリックの艶消し仕上げに、そしてフロントに位置する「OAKLEY」のロゴをデカールで再現します。
フレームの両サイドにあるオークリーの楕円エンブレムは両面テープで貼ってあるだけなので温めてピンセットで外します。
フロントとテンプルとの接合部は一般的なメガネの蝶番と違い、単なる嵌め込み構造となっています。ただしこの方がかなり厄介です。
フロントとテンプルとの接合はこのポッチが要となっていて、分解時にここを潰してしまうと機能的に問題となる為注意が必要です。
色は最初色見本帳の中から選んで頂いたのですが、その後「愛車のBMW MINIと御揃いの色に」と言う事でカラーコードにてご指定承りました。
かなりサイズが小さいのでノギスで測るのも限界で、予め何種類かのサイズを作って実物と合わせる事にしました。
一枚ずつハサミでカットしてオリジナルのロゴとサイズを合わせます。
ロゴデータが決まったらドライプリンターを使ってデカール専用紙に印刷します。シルバーのインクリボンを使いました。
デカールを切り出して実際のロゴに合わせてみました。良い具合です。
平面はペーパーを使って研磨し、入り組んだ隙間はナイロンブラシとウォッシュコンパウンドを使って足付け処理を行います。
同じくオークリーのエンブレムも足付け処理を行います。あまりにも小さいサイズなので歯ブラシを使いました。白い液体は研磨粒子を含んだウォッシュコンパウンドです。
研磨してプラスチック素地が露出した箇所にはプラスチックプライマーも塗布しておきます。
ベースコートを自然乾燥させてテープフリーな状態になったら「OAKLEY」のロゴデカールを貼り付けます。
デカールを切り出し、水性エマルジョン系接着剤(所謂木工用ボンド)を溶かした水に浸します。
さらにデカール用接着剤(マークセッター)を併用し、デカールを貼り付けます。
既存の位置は予め撮影してあるので、それに合わせて位置を決めます。
デカールの接着剤は一日自然乾燥させるか、ドライヤーなどを使って強制乾燥させます。
ただし今回はデカールの段差も平滑にしたいので、これは本塗りではなく下塗りとなります。
完全硬化後、表面を研磨してデカールの段差を均し、再度クリアーを塗ります。
下塗り塗装後は最初と同じように足付け処理を行います。この作業は被塗面に細かい傷を付ける事でアンカー効果を期待し、この後に塗る塗装の密着性を高めます。塗料は接着剤ではありませんのでこの作業をしない限り塗膜は簡単に剥がれてしまいます(密着剤は経年で劣化するのでそれだけに頼るのは良く無いのです)。
デカール部分は平滑になり、全体にもしっかりと細かい傷が付きました。尚ここで傷が深過ぎると塗装後にペーパー目として表れてしまいます。クリアー塗装だけの場合は#1200~#1500程が目安となります。
フレームの両サイドに着く楕円のエンブレムはフロントに貼った「OAKLEY」のシルバーに合わせてSTANDOX MIX818の原色シルバーを採用しました。メタリック粒子が細かく、通常のシルバーよりも金属感があるのが特徴です。
その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、数日寝かして完成となります。
フロントとテンプルは取り付け自体は簡単なのですが、一度付けると無傷で外すのは至難の作業なので、ミスの無いよう各部を確認してから挑みます。
オークリーのエンブレムは新たに両面テープを貼り直して取り付けます。
クリアーを二度塗りしたお陰でデカールの段差は作業した本人でも感じられません。
実は元々付属品は取り外した状態でご依頼頂いていたのですが、折角なのでそちらの取り付けも代行する事にしまして、後日残りの部品も送って頂きました。
艶々も良いですが、シットリ&スベスベした艶消しは落ち着いた感じで良い具合です。
艶消しに使用するクリアーは艶々のクリアー同様「2:1」のアクリルポリウレタンクリアーで、艶が無いかららといって品質的に劣ると言う事はありませんのでご安心くださいませ。
しっかりとクリアー層が保護してくれていますので、使っている内に角の色が擦り切れてしまうという心配もありません。
恐らくはオークリー正規取り扱い店の方に見せても、これを後から塗った物とは判らないと思います。
当店では派手な装飾を施したりは出来ませんが、塗膜自体の耐久性と美観を高め、まるで人の手で行ったとは思えないといった仕上がりをご提供しております。
後日オーナー様にも大変喜んで頂きまして、こちらのレビューページでは頂いたご感想も紹介しておりますので宜しければご参照くださいませ。