先日お預かりしておりましたスバルサンバーのアルミ製ヘッドカバーです。
新品ですが全体に油膜が着いている場合が多いので、全体をシンナーで洗い流すようにして脱脂処理を行います。ちなみに方法としては、剥離時に使う溶剤槽の上にヘッドカバーを吊るし、スプレーガンに入れたシンナーで上から下までゆっくりスプレー、その後上下をひっくり返してもう一度行います。ネジ穴の中などに油が残っていてもこれでしっかり除去出来ます。
その後全体の表面にあるバリを削っておきます。オルゴールのピンのような小さな突起ですね。
その後リン酸処理を行い、よく乾燥させたらマスキングを行います。ボルト穴周りはそのままマスキングでも良いのですが、一応プライマーを塗っておくようこの時点ではそこは養生はしません。
今回本塗り前のテストとして使うパーツです。色見本キーホルダーの制作に使う背板の部分ですね。
結晶塗装にしたくない箇所にベースコートの黒を薄膜で塗ります。
新品なのでホースパイプ部はマスキングして残しても良かったのですが、この部分に使われているメッキは薄い為に経年で錆が出やすく、なので一緒にプライマーを塗っています。黒くするのは単に意匠の問題ですね(グレーのままだと格好悪いので)。
まずは事前にテスト塗装を行いました。それぞれコート数を変え、結晶目が良さそうな方を参考に本番に挑みます。
テスト塗装で行った感覚を参考に、全体が同じ膜厚になるよう意識しながらスプレーをして本塗り完了です。お待たせしました!
本塗りの前にテスト塗装を行うとそれだけ手間と時間が掛かるのですが、
上手く結晶目が出ない場合はこの時点で直ぐに溶剤槽に入れて一からやり直すのですが、精神的に非常によくないので(かなり凹みます)、数年前から今回のように事前のテスト塗装を行うようにしました。
ただ大量生産では無く一品塗装だけでこれを行うとかなり効率が悪いので、今回結晶塗装用の原料(焼付リンター)が廃盤になったのをきっかけに当店も受付を停止する事にしました。社員が何人も居て損益分岐点を考えないといけない状況ならここで粉黛塗装等を導入して新規開拓をしたりする必要があると思うのですが、そもそも利益を追求したくて今の小物塗装を始めた訳ではないので、多少採算が合わなくても楽しく出来る事を優先して続けていこうと思った次第です。
既に120℃30分程の熱を掛けていますが(規定は120℃20分)、後日もう一度二度焼きを行ってから凸部を研磨しようと思います。
それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!