ランエボヘッドカバー塗装 完成

先日下塗りを行っていたランサーエボリューション純正のマグネシウムヘッドカバー、フェラーリロッソコルサ(カラーコード:300)で完成です。

最初の状態も紹介します。

元々は2コートのキャンディーレッドで塗られた新品状態で、

予め凸部を研磨してマグネシウム素地を露出させ、

一旦全体に腐食防止の為のエポキシプライマーサフェーサーを塗布し、

フェラーリロッソコルサで本塗り(下塗り)を行いました。

その後凸部を研磨してマグネシウム素地を光らせ、

部分的に足付け処理→クリアーを塗りました。所謂「プレスライン暈し」ですね。

こちらのMgマーク(マグネシウムマーク)は研磨後に筆でクリアーを塗っています。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

こちらはいつもブレンボキャリパー塗装の御依頼を頂いているショップさんで、無事納品も完了しております。この度も当店をご利用頂きまして誠にありがとう御座いました!

ランエボヘッドカバー 下塗り

いつもの業者さんからご依頼頂いているランサーエボリューション用のマグネシウムヘッドカバーです。

マグネシウム製ヘッドカバーで中古品の場合は腐食が発生している場合が殆どで(態度が良さそうに見えても塗膜の下で既に腐食している)、その場合は当店のサンドブラストでは浸食された奥まで削り落とせない可能性が高い為、より強力な直圧サンドブラストを行ってくれるブラスト専門店へお願いしています。

ただそうすると往復の送料、またその後浸食された箇所を埋めるなどの下地処理を含めると新品部品が2個くらい買えてしまう金額になってしまうので、素地の粗さを隠してくれる結晶塗装では無く、今回のように艶あり仕上げで行う場合には新品未使用品を御用頂くのが基本となります。

マグネシウム合金はアルミの比じゃないくらい腐食し易くさらに再発し易いと言う事もあり、再塗装するにはかなり厄介な素材なのです。

今回はMIVEC TURBOの凸文字を鏡面状仕上げで承りました。

ただしマグネシウム素地を露出したままではやはりそこから腐食が発生し易いので、この部分も一緒にクリアー塗装を行うようにします。

またマグネシウム合金の場合は通常使うプライマーでは相性が悪いので、それの対応として本塗りを2回に分けて行うようにしています。

まずは凸部を#120で粗研ぎをしておき、

全体の足付け処理→脱脂清掃=スプレーガンにシンナーを入れて上から下に洗い流すような方法で汚れや油分を除去し、全体に耐食性の高いエポキシプライマーを塗布します。所謂ウェットオンウェットですね。

2コート程塗ってマグネシウム素地が露出している箇所をしっかり覆いつくしたら、

ベースコート塗布(フェラーリロッソコルサ:300)→トップコート(クリアー塗装)を行って1回目の本塗りが完了です。

今回はベースコートにもハードナーを添加し、トップコートは常温で硬化するタイプのスタンドックスVOCエクストリームプラスクリアーを使いました。他にも塗りたい物があった為ですね。

通常のクリアーなら熱を入れてさらに数日寝かして締まりきりを待ったりしますが、このクリアーは空気中の湿度と反応して非常に硬化が早い為、塗った後に熱を入れずともそのまま持って帰れます(乗って帰れます)。

デメリットもあるのですが、場面ごとに使い分ければ非常に効率的に作業が出来るのでかなり重宝しています。情報を教えてくれた愛知の塗装屋さんと、わざわざサンプルを用意してくれた川崎の塗装屋さんには非常に感謝です。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。次は凸部を研磨してマグネシウム素地を露出させ、部分的にクリアーを塗ります(所謂プレスライン暈しですね)。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

NISMOタワーバー&台座塗装 完成

先日本塗りを終えていたニスモのアルミ製タワーバーの台座部分です。予め外しておいたアルミシールに、サイズを合わせてレーザー加工機でカットした両面テープを貼り付けます。

土台と蓋の位置を合わせ、タワーバーと水平になるようシールを合わせます。

同じように反対側も貼り付けます。

そして完成です。大変お待たせしました!

最初の状態も紹介します。

元々はシルバー色だったタワーバーと、

14年前に塗らせて頂いた台座部分を、

サンディング~サンドブラストで素地調整を行い、

黒の結晶塗装にパウダータイプのブルーパールを混合して塗装を施しました。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

ぱっと見はクロニ見えますが、

光に当たるとふわっとした青味を感じられるかと思います(とは言っても比べないと判らないレベルですが…)。

土台と蓋はそれぞれ結晶目が揃うよう、組み合わせた状態で塗装を行っています。

ボルト固定部はプライマー塗装後にベースコートの黒を薄膜で塗装し、その後マスキングを行って結晶塗装を塗らないようにしています。

同じくタワーバー取り付け部も、

判り難いですが結晶塗装は塗らなく、ベースコートの黒で仕上げています。

同じくタワーバー両端も、

黒アルマイトか黒皮のような感じに仕上げています。

結晶目自体は80℃~100℃くらいで現れるのですが、その後120℃30分程の熱を2度焼く事でしっかり硬化(熱重合)させています。2液タイプなら熱を入れなくてもいつかは固まるのですが、結晶塗装用の塗料=リンターのような1液タイプの熱硬化型塗料は規定温度まで上がらないと塗膜として完成しないので注意が必要です。

尚、今回使用している塗料=焼付リンターは廃盤となった為、現在結晶塗装のお受付はしておりません。ご注意くださいませ(以前よりお問合せ頂いていた案件のみとなります)。

結晶塗装 受付停止のお知らせ

それぞれを仮組みしてみました。めちゃくちゃ渋いですね!

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!


ちなみに本塗り前に結晶目を確認する為に塗っていたこれらのパーツですが、

そのまま廃棄にするのではなく、この様な感じで趣味で作っている色見本キーホルダーのパーツとして利用しています。勿論事前テストとして塗っている物なので塗装に失敗した物や、熱を入れた際に変形している物などもあり、半分程度はボツ品になってしまうのですが、その中から良く出来た物を使って製品化しています。

今回は知り合いの塗装屋さん(?)と一緒にデザインフェスタに参加するので、特別にコラボして作成した製品等も販売します。

今の環境では到底採算が合わないのですが、こういう事をしているお陰で塗装を続けていけているのだとも思っています(結構辛い職業なので知り合いの殆どは途中で辞めてしまっています…)。

NISMOタワーバー&台座 本塗り

先日下準備を行っていたニスモのアルミ製タワーバーです。

それぞれの両端に全ネジを差し込み、針金を取り付けて吊るせるようにしています。

上下それぞれに針金を吊るしているのは1コート目と2コート目で上下を入れ替える為で、これにより塗りムラを解消して膜厚を均等にするようにしています。塗り方についてはどうしても長年体に染みついてしまった癖というのがあるので、被塗物の方を変えて強制的に均等化させようという感じですね。

こちらは台座=土台部分です。

土台と蓋で結晶目が変わるのが嫌なので、本塗り時はこの様に仮置きした状態で塗るようにしています。フェラーリのヘッド&プラグカバーを塗る時もこれと同じ方式ですね。左右と位置も判るよう裏側に印を付けてあります。

また結晶目の確認の為、本塗りの前の試験的な感じでこちらを塗装します。趣味で作っている色見本キーホルダーの背板のパーツですね。

それとは別に、5mm厚のアクリル板(画像手前)を塗りました。

それぞれを恒温器に入れ、80℃程の熱を掛けた状態です。

それぞれ塗り回数(膜厚)を変えて結晶目の確認をしています。

5ミリ厚のアクリル板で丁度良い感じの結晶目が出たので、これを目標として本塗りに挑みます。

尚今回は単なる黒の結晶塗装では無く、この時をイメージしたブルーパール(パウダーパール)を入れて光が当たった時に青味が出るようにします。

クリアーコートして艶を出した場合はパールが活きる(パール感が際立つ)のですが、結晶塗装のように艶の無い状態だとパール感をさほど感じられなくなるので、少し多めに入れるよう意識しています。

色板(テストピース)に塗った時の感じをイメージし、本塗りを行います。

スプレーガンのノズルを90度回してパターンを横向きにし、ガンを上下にスライドして塗っています。尚、裏表は気にせず、どちらも理想の結晶目になるように塗っています。ウェットで4コートといった感じですね。

続けて土台部分です。

今回は全部恒温器に入るサイズだったので、赤外線ヒーターでは無くそちらに入れて熱を掛ける事にしました。

120℃30分程の熱を掛けて焼付け完了です。

良い感じの結晶目になったと思います。

各マスキングは焼き付けた直後の熱々の状態で剥がしておきます。冷えると糊が固まって剥がし難い&糊の痕が残ってしまう為ですね。

土台と蓋とで同じ膜厚になる事により結晶目が揃いました。

結晶塗装に使う塗料=リンターは熱硬化型の1液タイプで、マニュアル上だと120℃20分で硬化(熱重合)する筈ですが、どうもそれだけだと柔らかい感じがするので、後日もう一度同じくらいの熱を掛けるようにしています(2度焼き)。

こちらも均一で良い感じに結晶目が出たと思います。

尚、現在はこちらの塗料=リンターが入手不可能ですのでお受付はしていません。

結晶塗装 受付停止のお知らせ

今回は以前からお問合せを頂いていたと言う事で在庫していた分で対応しています。今残っている塗料もいずれ消費期限が切れて使い物にならない(縮れない)事になってしまうので、今回は特別といった感じですね。

そもそもこの様に全体を均一に結晶目を出すのが非常に難しく、3回に一回は塗り直し→溶剤槽に浸けて塗膜とマスキングを剥がして一からやり直し!!とするのが体力的・採算的に難しいと言う事もあり、塗料が廃盤になったのは良いきっかけという所でもありました。

尚現代ではパウダータイプの結晶塗装があり、そちらであれば電気的に膜厚を均一に出来ますから、それに対応しているショップさんに相談すれば結晶塗装の可否については問題は無いかと思います。

単体で見るとブルーパールの青味を感じにくいですが、

最初に塗った色板(結晶塗装の黒のみ)と比べるとその違いがよく分かると思います。

この後は2度焼きを行い、さらに一週間程寝かしたら最初に剥がしたアルミシールを貼っておきます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

NISMOタワーバー&台座 下準備

先日サンドブラストを行っておいたニスモのアルミ製タワーバーと土台です。その後リン酸処理を行い洗浄しておきました。

土台の素材はアルミ製ですが、車体に取り付ける箇所はフランジ状になった鉄製のワッシャーが埋め込まれています。黄色く見えるのは錆では無くリン酸鉄皮膜の干渉色ですね。

蓋の部品には元々NISMOのアルミシールが貼ってありますが、その部分も一緒に結晶塗装で塗ってしまいます(剥がれ易いかも知れませんが、もし貼らないという選択肢をした場合塗っていないと格好悪いので)。

土台との接合部は塗らないという選択方法もありますが(昔はそうしていました)、

そこから腐食が起こる可能性もあるので、今はプライマーとベースコートの黒を薄膜で塗るという方法にしています。

まずは裏側から始めます。

腐食の防止策として、鉄ワッシャーが埋め込まれている隙間にシンナーで希釈したプライマーを筆塗りします。

プライマーが乾く前にエアーブローで奥まで浸透させ、且つ余分を拭き取ります。隙間に見えるのはサンドブラストの砂では無く、ローレット加工されたギザギザの模様ですね。

その後全体にプライマーをスプレーします。

最初に筆塗りをしたのは、このスプレー塗装では隙間の奥までプライマー入れられないからですね。自動車ボディの防錆処理としてプールに入れるカチオン塗装みたいな感じと思って頂ければと。

裏側に塗ったプライマーが乾いたら、

ひっくり返して表側にも塗ります。

それも乾いたら再びひっくり返し、ベースコートの黒を塗布します。

結晶塗装を塗りたくない箇所で、ただしアルミ素地のままだと格好悪い&腐食を防ぐ為の物ですね。

干渉する部分は塗装が剥がれてしまうかも知れませんが、それはそれで別に構わないと思います(見えないですし)。

金属が露出して気になる場合には、油などを塗って直接金属素地が空気に触れないようにしておくと良いかと思います。

裏側に塗ったベースコートの黒が乾いたら、

表側にひっくり返して同様にベースコートの黒を塗布します。

これでとりあえず防錆処理が出来たので、タイミングが来たら次はマスキング~本塗りとなります。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!