スバルエンブレム(SKフォレスター)メッキ枠 本塗り

少し前に下準備を行っていたスバルエンブレムのメッキ枠です。その後60℃40分程の熱を何度か掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと塗っておきました。

スバルエンブレムは現在3台分(5個)を並行して作業していて、それぞれのメッキ枠も一緒に作業しているのですが、内容が分かり易いようそれぞれを別けて紹介させて頂きます(一部の説明は使い回しをさせて頂きます)。今回は5月にお預かりしていた以下リンク先のエンブレムです。一方がとても大きく、もう一方は穴が貫通していないタイプの組み合わせですね。

スバルエンブレム(表スモーク裏赤:枠艶黒)塗装承ってます

2液のウレタンサーフェサーはプラモデル等に使う1液の物とは違って比較的固いのでいきなり#1500とかで研いでも歯は立たなく、なので最初は#600~#800で凸凹した塗り肌を削り落とし、その後#1200~#1500でペーパー目を均し、最後にペーパーの入り難い箇所や下地が露出しやすいフチを当たりの柔らかい布状研磨副資材(アシレックスレモン)で足付け処理を行います。

今回並行して作業を行っているスバルエンブレムのメッキ枠は全て「艶あり黒」なので、これらの本塗りは一緒に行っています(紹介はそれぞれ別にするようにしています)。

車体を塗っていた時は裏側などは気にしなかったので台にそのまま置いて塗ったりしましたが、

小物専門になった現在は、こういったパーツは車体に取り付けない状態でオーナー様にお渡しするので、裏側も比較的見れるように仕上げるようにしています。実際よくあるのですが、部品番号が記載されたシールや両面テープが残ったまま塗ったり、触ると粉が落ちるようなバサバサのミスト状態で仕上げたりする塗装屋さんも少なくはありません(確かに車体に装着されれば見える事は無いのでそれでコストや環境負荷を下げているのであれば一概に悪い事とは言い切れないのですが)。

まずはベースコートを塗布し、

クリアーを塗ったら本塗り完了です。

ちなみに近年はソリッドカラー(メタリックでもパールでも無い色)でも「ベースコート+トップコート」の2コート仕上げが一般となっていますが(多分)、ゴミの付着等を気にする環境(ブースが無い場所での塗装)では「1コートソリッドが主流だと思います。むしろ昔ながらの塗装屋さんなら「なんでわざわざ2コートで塗るの?」と思うかも知れません。私が業界に入った時はディーラーの内製工場(集中センター)でもそうでした。

当店では1コートソリッド用の塗料=STANDOX VOC 2Kエナメルもあって、確かにそれを使えば今回の本塗りの時間も10分の1くらいまで短縮できるのですが(2時間が10分くらい)、それ以外に余りメリットを感じられないので余程の事が無ければ2コート仕上げとしています。特に今回のようにクリアーの種類をご指定頂いた場合は2コート仕上げでしか対応が出来ないですしね(2Kエナメルの上にさらにクリアーを重ねるという事も可能ですが、超高温多湿の今の時期にそれを行うとワキが出るのでそれこそメリットが無いですよね)。

尚、こちらも中央に嵌るアクリルプレートは現在裏側のキャンディーレッドまで塗装が終わっていて、次はいよいよ表面のスモーク塗装となります。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

レヴォーグテールランプ塗装承ってます

先日到着しておりましたスバルレヴォーグの純正テールランプ一式です。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

ご依頼内容はスモーク塗装べた塗りで、クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーへの変更で承っています。

濃度については参考となる画像をご指定頂いていますのでそちらを紹介します。

最初のお問合せでは「極薄めと薄めの中間」といった文章でスモークの濃さをご指定頂いたのですが、同じスモーク塗装でも画像によって濃さが変わって見えてしまうので、最近では今までの完成画像の中からご希望の濃さの物を選んで頂き、それを見ながら濃度の調整をするスタイルにしています。この方がお互いイメージを共有し易いのではと思っています(少なくとも私はこの方が安心して塗れます)。

上記はフォレスターの純正テールランプで、こちらのページから他の画像も見れますので宜しければご参照くださいませ。

当店は受付窓口を設けていませんので、ご依頼を頂く場合には製品を発送して頂く形となっていますが、

テールランプに使われているPMMA=アクリル樹脂は比較的割れやすい為、輸送中にこういったレンズの角などが割れて届く事が時々あります(2年に一回くらい)。

運送会社さんとしては、「外箱に損傷が見られなければそれはユーザー側の梱包不良」として補償外になってしまいますから、その点にだけ注意をして頂ければと思います。プチプチで巻いただけだとこういった角は殆ど無防備ですから、余裕を持ったサイズの段ボール箱に新聞紙などの緩衝材をタップリ入れて頂ければと思います。イメージとしては段ボール箱の中で部品が宙に浮いているような感じですね。

尚、今回は新品購入時の箱のまま送って頂いたので全く問題ありませんでした。これなら間違いは無いですね。ただ新品時はレンズ面が固定用の段ボールにしっかり当たった状態になる為、塗装後にこれと同じようにすると長時間強い力が塗装面に加わる事でその跡が着いてしまう恐れがある為、少し変えた方法にするようにしています。今回は純正の箱なのでそのまま使えますが、送った時より戻って来た時に段ボール箱が大きくなっているのはこれが理由ですね。割れやすい箇所は勿論、塗装したばかりの物には極力ストレスの無いようにして梱包する必要があるのです。何卒ご理解頂ければと思います(宅配ボックスに入ると思っていたのに入らないサイズになって戻ってきてる!という場合は何卒ご容赦頂ければと・・・)。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせていただきます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

スバルエンブレム アクリルプレート下準備

現在進行中のスバルエンブレムです。上の画像では2セットですが、もう1台分(そちらは一個のみ)を含め、現在以下の3案件を並行して作業しています。


スバルエンブレム(表スモーク/裏赤+枠艶黒)塗装承ってます

スバルエンブレム(表スモーク裏赤:枠艶黒)塗装承ってます

スバルエンブレム(93033AG043)塗装承ってます


それぞれ違う車種(片方はSKフォレスター)ですが、一部同じ部品が使われているので(アクリルプレートは同じで枠が違う)、それぞれ間違えないよう印をつけて作業を行っています。まずは裏側の青い被膜の除去ですね。

逆アールに湾曲しているので一般的なダブルアクションサンダー(125mm径)が余り使えず、なので径の小さいタイプ(80mm)や角パッドのオービタルサンダー、後は手作業で研磨しています。空研ぎ最終#320まで行ったら、

#600→#800の水研ぎでペーパー目を均し、

窪んだ六連星部分はナイロンブラシとウォッシュコンパウンドで足付け処理を行います。

以前はこのまま上塗り(今回の場合はレッドキャンディー+シルバーメタリック)を行っていましたが、2割くらいの確率でトラブルが生じるので、

現在は本塗りの前に一旦クリアーの下塗りを行うようにしています。

恐らく車の塗装屋さんからすると「それで採算合うの?!」と思うかもしれませんが、比較的場所を取らない小物に限定している事、そして納期を長く設ける事で採算合わせるようにしています。今回もクリアー塗装だけですが、他に色物を先に塗っていて(大抵は企業様案件のマイク)、最後にそれらのクリアーを塗る際に合流して一緒に塗装を行っていたりします。

こちらの小さなエンブレムは、六連星のメッキも剥がし、裏側は先日クリアー下塗りを行っています。なので今回は表側のクリアー塗装ですね。

プラスチックプライマーを塗布し、クリアーを塗ったら下塗り完了です。

2液のアクリルポリウレタンクリアーは完全硬化すればその上に塗る塗料の溶剤によって素地(今回の場合PMMA=アクリル樹脂)が侵される事はありませんから、無用なトラブルを事前に回避出来るようになります。やらなくても大丈夫かも知れないけれどやっておくと安心な任意保険みたいな感じですね。

尚、唯一怖いのはこれらのクリアー塗装が新たな塗装で侵される「チヂレ」で、それが起きないようしっかり完全硬化させておきます。具体的には乾燥炉(恒温器)に入れっぱなしにして60℃40分を数ターン行うか、もしくは工場屋根裏(この時期は50℃超え)に保管しておくような方法ですね。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

日産フーガ ステアリングカバー塗装承ってます

先日到着しておりました日産Y51フーガ用のステアリングスイッチパネルです。こちらのオーナー様は前回同車のテールランプ塗装をご依頼頂いた方で、この度も当店をご贔屓頂き誠にありがとうございます!

状態としては黒い樹脂に艶消し黒の塗装(恐らくはクリアー塗装無し)が施されています。

状態としては良く、梨地やシボ模様も無いので(平滑な状態なので)、下地処理は足付け処理のみを予定しています。

色につきましては見本としてこちらのパーツを一緒にお預かりしているのですが、これは塗装では無く「メッキ」となりますので通常の塗装ではここまでの表現は出来なく、ですので当店規定のSPFシルバーに、艶あり仕上げ、クリスタルクリアーの仕様で承っています。

ちなみにこういった半光沢の落ち着いたメッキ仕上げは、近年の自動車内装部品に多く採用されていて、メッキなのか塗装なのか判り難い所があります。簡単な見分け方としては、塗装の場合は塗り難い箇所(穴の内部)などは入らなく、メッキの場合はドブ漬けなので入り組んだ細かい所も比較的ムラなく仕上がっているのが特徴です。ただしそのままだとメッキの光沢が強いので、それを落ち着かせるよう表面に艶消しクリアーなどを塗って敢えて輝きを鈍らせるといった方法が採用されています(下地をサンドブラスト等で荒してその後メッキを掛けて半光沢にする方法もありますが、自動車内装部品の場合は前者が多いように見受けられます。

参考までに、ネットで販売されている部品の画像を一例として紹介します。

こちらはトヨタ30系ヴェルファイアのスイッチパネルに被せる社外品のカバーですが、見た感じ今回の見本と同じように見受けられます。

表面から見ると半光沢で落ち着いた感じに見えますが、

裏側を見ると装飾クロムメッキ特有の輝きがあるのが判るかと思います。これだとちょっとクドいので、この上に艶消しクリアーを塗る事で輝きを抑え、丁度良い具合に仕上げているといった感じです。

もしくは、近年はメッキ調塗装も比較的やり易くなったので、これを行った後に艶消しクリアーを塗れば似たような質感にはなるのですが、このメッキ調塗装は「完全硬化した艶あり黒塗装の上に、足付け処理無しでそのまま上塗り」という塗り方となる為、密着性が著しく低く、ですので当店ではお受付していません。出来ない訳では無くやらないという感じでして、何卒ご理解頂ければ幸いです。

尚、今回艶あり仕上げなのは、ただでさえメッキ感の無いSPFシルバーを艶消し仕上げにするとさらに金属感が目減りし、ただのシルバーにしか見えなくなってしまうからです。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

オーディオ用置物 本塗り

先日下準備を行っておいたオーディオのルームチューニング用置物、Acoustic Resolution Exciter RHR-21です。左上のある黒いパーツは見本用の物で、これを参考に艶消し黒で塗装を行います。

プライマーを塗った表面を軽くサンディングし、よく脱脂清掃したら本塗り開始です。

上部の穴は貫通していないので色が入り難く、なのでスプレーガンのエアー圧を下げて出来るだけ置くまで届くようにします。

まずはベースコートを塗布します。

エアースプレーガンの塗装では塗料が奥まで入らないのはオーナー様もご理解済みで、ただ元の色が見えてしまうのは格好悪いですから、出来るだけ中まで黒が入るようにします。

そして最後に艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

艶消しクリアーはいつものSTANDOX K9150です。既存の物に比べ艶消し顔料(シリカゲル)が15分の1のサイズにまで小さくなっている為ダマになり難く、それ故にアジテーターカバーでの使用(攪拌)が可能になっています。既存の艶消しクリアーの場合、保管している際に顔料が缶の底で固まってしまう為、使う度に攪拌棒でそれらを攫ってあげる必要があり、またそれ故に使っている内に顔料の含有分が変わってしまうので艶消し具合にムラが生じるという問題がありましたが(なのでこれまでは使用毎に数時間撹拌機で揺らしておくという事で対応していました)、それらに比べつと飛躍的に安定して使い易い艶消しクリアーとなっています。

その後時間の経過と共に艶が消えていきます。

塗膜の強度としては、近年ポルシェやメルセデスベンツのボディに施工されている艶消し塗装と同様と考えて頂いて大丈夫です。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!