トヨタパブリカ ステアリング 下準備⑭

 先日サーフェサーを塗っておいたトヨタパブリカ700の純正ステアリングです。

その後60℃40分程の熱を掛け、全体にベースコートの黒をパラパラと塗ってガイドコートとしておきました。

 最初に#320~#400の空研ぎでライン出しを行い、その後#600~#800の水研ぎで全体を均しています。

アルミ製のホーンプレートも同じようにして研いでおきました。

まだ手を入れたいところはあるのですが、このまま続けるとさらに一年時間が掛かってしまいそうなので、これで下地処理は完了とします。よく「妥協しない」といった言葉を聞きますが、塗装に関しては妥協をしないと一つも完成する物は無いので、とてもそうは言えません。

 そしてトップコート(クリアー)についても検証しておきました。

色については一年前の今頃に既に作ってあって、クリアーに関して今回オーナー様からは「余りギトギトさせたくない」との事でしたので、裏技的にクリアーに5%程ベースコートを入れてテストをしてみました(一応メーカーと言うかデモマンも認証済みの方法です)。

 使うのはこちらのメタリックアディティブで、塗料の見た目は半透明の白といった感じです。主にメタリックの粒子をぎらつかせる場合に使いますが、クリアーに入れると黒ずみを抑えたり、質感を劣らせられたりする効果があります。

ただ私はそういうのは使わない派だったので、STANDOXでは今まで使用した経験が無く(DUPONTではよくやっていました)、なので今回は一応事前にテストを行っています。

また今回ロゴ入りのキーホルダー作成も承っていましたので、それを入れない仕様の色見本も一緒に塗装しています(有料にて承っています)。

以前ご依頼頂いて作成した画像も紹介しますね。

TOYOTA86のブレンボキャリパーを塗った時に一緒にご依頼頂いた物です。この時は配合データが残っていたのでそちらを入れてあります。

塗ったばかりの状態では違いが判りませんが、

その後熱を掛けて硬化させた物を見ると、確かにMIX008を入れた方が透かしが白く、少しぼやけたような感じになっています。まあMIX008は元々白っぽいですし、またつや消しの効果もあるので、これは当然と言えば当然だと思いますが・・・。

とりあえず悪いことは起きていないので、本塗りでもこの仕様で行ってみようと思います。またこれについては今後も検証を続けていこうと思います。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

フィアットテールランプ オレンジキャンディー塗装

先日下準備をしておいたフィアットの純正テールランプです。

最終的にはこのようにレッド+オレンジ+スモークとなりますが、これらを一度には出来ないので、まずはウィンカー部分を透過性のオレンジに塗装します。

またオレンジとレッドは重なる部分がある為、それ用に0.5mmサイズを大きくしたマスキングシートを用意しています。

その0.5mm大きくしたマスキングシートの、まずはガイド用のそれを貼ります。位置を調整出来るよう水を使っています。

それに合わせて雌型のマスキングシートを貼ります。

ガイド用として貼った雄型のマスキングシートを剥がします。わざわざこうしているのは位置を出し易いようにです。

オレンジに塗る箇所以外をマスキングし、最終脱脂処理をしたらプラスチックプライマーを塗布します。

続けて「イエロー:オレンジ=5:1」にしたキャンディーカラー(ベースコート)を塗布します。

画像だとイエローにしか見えませんが、これを塗り重ねていくと・・・、

鮮やかなオレンジになります。

場合によってはさらにオレンジを足して赤味を強くさせますが、レッド&オレンジにする場合は敢えて黄色寄りのオレンジにしています。

現状赤味が足りないと感じていても以前から施工しているデータがありますので、私的にも安心して出来ている所があります。これを「長年の経験が」というと、どうしても記憶に頼っている感が否めませんので、私的にはそういう表現は控えるようにしています。思い込みは本当に恐ろしいです。

そして再びプラスチックプライマーを塗布し、最後にクリアーを塗って下塗り完了です!

ちなみに「クリアーを塗らず、オレンジを良く乾かしてからマスキングして、そのままレッド&スモークじゃ駄目なの?」と思う方もいらっしゃるかと思いますが(もちろん出来ないことはありません)、今回塗っているオレンジにはハードナーを添加しているので、余り時間が経ちすぎるとその上に塗るクリアーが密着しなくなってしまいます。これは同じSTANDOXを使う知り合いの塗装屋さんから聞いた話ですが、「海外のTDSで、ハードナーを入れたベースコートの場合は、最高の接着を得る為に 20℃ 8時間以内と明記してある」という情報を頂いたので、それに倣うようにしています(ただし「日本のデータシートには書いてないので何が正しいのかは良く分かりません。」という後述もあるのですが)。TDS=テクニカルデータシート(使用説明書)の事です。

塗装の場合、「効果は良く判らなくてもとりあえずやっておいた方が良い」といった事が余りにも多く、普通は経験を積めばその分仕事も早くなる筈なのですが、そういった事から実際にはこれが全く逆になってしまいます。深く知れば知るほどそれらをやっておかないと気が済まなくなってしまうので、塗装屋(現場の人間)は貧乏暇なしを絵に描いたような終末が待っています。まあそれも塗装の楽しいところではあるのですが・・・。

この後は熱を掛けてしっかり塗膜を硬化させ、再び足付け処理を行ったら他のテールランプと共に本塗りを行います。作業進行しましたらまた紹介をさせていただきますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

透過性塗装 下準備

先日に引き続き、透過性塗装(スモーク塗装等)の下準備となります。

塗装する部分以外をマスキングし、

被塗面を足付け処理します。フチと、洗車傷などが多いレンズは最初に#800相当(アシレックスレモン)で粗研ぎをし、その後#1300相当(アシレックスオレンジ)でレンズがしっかり曇るまで研磨します。

その後、各レンズのマスキングシートを作成・準備します。Valenti社製のインプレッサ用テールランプは、外側(クォーターパネル側)は純正と同じ型がそのまま使えました。

テールゲート側のレンズは純正と全く形が違うので、新たに型から作ることにしました。

まずは見切りのラインに沿ってマスキングテープを貼り、

それを石刷りの要領で輪郭線を描きます。

それをスキャナーでパソコンに読み込み、ベクトルデータの作れるソフト(Illustrator)で輪郭線を作成します。細かい部分はここで修正も行います。

その後はカッティングプロッターで専用のシート(ポリプロピレン製)をカットします。

それを実物に合わせ、大丈夫なら本番用のシートをカットしておきます。

こちらはフィアットの純正テールランプです。てっきり前回作った型が使えるかと思っていましたがそれでは駄目だったので、新たに作り直すことにしました。

先ほどのインプレッサテールランプと同じように見切り線に沿ってラインテープを貼り、

コピー用紙をずれないように固定して鉛筆の芯を当ててマスキングテープの形を映します。細かい部分は後のデジタル作業で修正するので大体判ればOKです。

コピー用紙をスキャナーで読み込み、モニターを見ながらラインのデータを作っていきます。

 下側のバックランプ部は楕円形で、ちょっと判り難いのですが、黒い点の印が付いている部分が長辺となります。

ウィンカー部分は透過性のオレンジに塗る為、0.5ミリオフセットして大きくしたマスキングシートを用意しておきます。赤と橙の境界部分に隙間が出来るととても格好悪い(と言うか私的に信じられない)ので、それぞれ0.5ミリだけ重なるようにする為です。

こちらはBMW MINIの純正テールランプで、同じようにしてウィンカー部分とバックランプ部分のマスキングシートを作成します。

データが出来上がったら本番用の分をカットしておき、本塗り当日に備えておきます。

当工場は二階建てになっていて、埃っぽい作業や溶剤を扱うのは一階作業場で、こういった作業は二階で行うようになっています。最初に工場探しをしていた時は二階建ての工場は敬遠していたのですが、今となってはこれが本当に良かったと思っています。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

イヤホン テストピース(色見本)作製

先日ご依頼を頂いていたイヤホンプレートの色を作製し、実際に塗装した色見本を作製します。

今回のように色自体がオーダーメイドの場合、作製した塗料を色板=テストピースに塗装して発送、実物を確認すると言う事も可能となります。ただし本体のイヤホンプレートとは別に費用が掛かりますのでご注意くださいませ。

オーナー様のご希望としては、既存のプレートにある緑青よりも青味を強く、また参考画像も送って頂きましたのでそちらに合わせて色を作製します。画像の塗料は、キャンディーカラーのブルーとグリーンをそれぞれバインダーに20%添加し、それらを混ぜた物となります。

また他に頂いた参考画像のようにラメ(粗目メタリック)感を出されたいとも承っています。

ただSTANDOXの原色にはここまで粗いメタリックは無い事、また粒子のサイズが大きいと何度もクリアーを塗ってそれを埋めなければならない為、今回のようなマスキングで行う塗装にはお勧めが出来ません(と言うかお受付が出来ません)。上の画像を見ると肌がデロデロなのが判ると思いますが、これくらい塗らないとこのようなラメは埋まらないのです(本来は研いでクリアーを塗ってを何度も繰り返すので、画像の物はまだその途中なのかのかもしれません)。

 と言う訳で、STANDOXで一番粗いメタリック原色(MIX598)を使い、さらにラメの塗装では良く使われる「下地を黒」にしてギラツキ感を出す事としました。

粗目のメタリックは元々隠蔽力が小さい為、黒の上に塗っても下が透けます。

画像は取り敢えず使い捨ての厚紙に塗った物で、それぞれの色を確認したら本番用の色板に塗装します。

また色板の下色は二種類作る事にしました。

手前が黒の上に粗目のメタリック(MIX598)を塗った物で、奥(右)はいつものように一旦適当なシルバー(VWリフレックスシルバー)を塗り、その上に同じくMIX598を塗った仕様です。

また今回は当店用の色見本も作製しておく事にしました。

 色板と同じく、下色に黒を塗り、粗目のメタリック(MIX598)を3コート塗った色見本です。黒の面積が大きいとその分光が反射せず、キャンディーカラーの発色(明度+彩度)が損なわれてしまうので、良さそうな塩梅にしています。

 こちらは下色にVWリフレックスシルバーを塗り、同じコート数だけMIX598を塗りました。ウェットに3コート塗っていますが、それぞれを見比べると下地が透けているのが判ると思います。

 参考画像を基に作製したキャンディーカラーをテストピースに塗装し、良さそうな色を選びます。今回はハウスオブカラーのKK-04オリエンタルブルーとKK-09オーガニックグリーンを4:1にした物と、オリエンタルブルー100%の二種類を使う事にしました。

また下色をシルバーと黒のそれぞれも別けて、合計4種類の色見本を作る事にしました。

色板もそれぞれ違う下色、違うキャンディーカラーで、合計4種類を作製しています。

こちらが下色をシルバーにした物で、

こちらが下色を黒にした色板です。それぞれの上に塗っている(中層の)シルバーメタリックはどちらも同じ原色(MIX598)ですが、粒子の粗さが違って見えるのが判るかと思います。

尚、上層のキャンディーカラーは、上段がブルー:グリーン=1:4で、下段がブルー100%となります。

VWリフレックスシルバー→MIX598→ブルー100%です。

黒→MIX598→ブルー100%です。

適当に作った色を塗って見本を作るのは簡単ですが、今回のようにそれの配合データを残すと言うのは実は結構大変です。上の画像にある色見本も、最初に作った色に少しずつ白を混ぜて塗っていると言う訳では無く、それぞれ一つずつ色の量を計って作製した物です。さらに艶消しになると色の見え方が変わるので併せてそれらも作りました。お陰でその年は大赤字になってしまったのですが、そういった事のお陰で今回のようなご依頼も頂けているのだと思っています。

 

色板と色見本はこの時点ではまだクリアーを塗っておらず、そちらは出来上がり次第社外記の方で紹介したいと思います。

どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ワイヤレスマウス塗装承ってます

 先日到着しておりましたロジクール社のワイヤレスマイク、LogicoolG Pro wirelessです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

 マウスとしてはかなり高価な物で、重さもかなり軽く作られています。

今回はこちらを赤紫色の艶消し仕上げ塗装で御依頼を承っております。

 マウスカバーと、ボタンも全て塗装します。

 またサイドボタンは予備用にさらに4個付属していて、自分好みにカスタマイズが出来るようになっています。こちらも同色の塗装で承りました。

 分解については既に終わっていて(難易度は高かったですが無事出来ました)、今回塗装する物はこちらの11点となります。

 外したネジは26本で、内容を知らないとまず元通りには組めないので、各ネジはそれぞれ別にパックし、取り付け場所と順番を記載しておきました。

尚、分解作業についてはサービスで行っていて、今回は私的にも興味があったので(出来そうだと思ったので)対応出来ましたが、製品によってはお受付が出来ない物もありますのでご注意下さいませ。また分解によって生じた破損・不具合などには補償が出来ませんので何とぞご了承下さい。

分解作業については業務外と言う事もありますので、後日社外記で紹介したいと思います。ワールドワイドで情報を探しましたが肝心な所の説明が無く(多分意図的なのではと)、中々苦労しましたが、それらについても出来るだけ紹介したいと思います。

 上部カバーの「G」とインジケータ―ランプ3個は透過するようになっていて、一応素材的には別体になっているのですが、外せそうも無かったので(恐らく外すとマズイ物です)マスキングで対応する事にしました。

 ちなみにインジケーターランプのマスキングについては、いつものカッティングプロッターでは無く、予めカットされた物を利用する事にしました。

 カッティングプロッターは刃を動かしてカットしていくので、小さい物はどうしても綺麗にカット出来ませんが(特に円)、この製品は裁断用の型を使ってカットしているので綺麗な円に出来ています。ハイキューパーツさんの製品ですね。

 サイズは1ミリ~2.8ミリまで、0.2ミリ刻みになっています。私的には0.1ミリ刻みのか、これの間のが欲しいです。

 試しに貼ってみたところ、1mmサイズでピッタリでした。

 そして色についてですが、こちらはオーナー様に参考画像を御用意頂いているんですが、それがどうしても普通の色ではありません。カメラに詳しい方なら判ると思いますが、かなり彩度とコントラストを強くされた画像です。カメラ側を「ビビット」な設定にしたのか、もしくは後から画像加工していると思われます。これを塗装で再現すると通常の顔料では不可能で、蛍光顔料を混ぜたりしなければなりません(ただしそれは避けたいと考えています)。

 ちなみにこちらは当店の色見本ですが、上の画像はいつものようにサイズの縮小以外は未加工の物です。右の色見本は、以前ピンクカモフラに採用した4色の内の一つです。

 先ほどの画像を、フリーソフト(JTrim)で加工した画像です。コントラストを強調しました。作製した色を、後からこうやって画像加工すれば、似たような色味にする事が可能です。

さらに先ほどの画像を、Photoshop Lightroomで編集加工し、見本のマウスの色に近づけてみました。元画像がJPEGファイルなので粗さが出てしまっていますが(これがRAWファイルならさらに綺麗に加工できます)、画像ソフトを使えば色の要素=「色相」「彩度」「明度」は自由自在に変更可能なので、これだけ見ると何が本当の色なのか全く判らないかと思います。

いつも当店で紹介している完成画像に「画像は縮小以外は未加工です」とわざわざ記載しているのはそう言う事で、最近は無料アプリやカメラ側の設定で簡単に画像の加工が出来ますから、内容が判らない物は全く信用が出来ません。

画像の編集加工については以前何度か社外記で紹介していますので宜しければご参照下さいませ。

色の見え方

S-WORKSのRAW画像加工

カメラと撮影

たまにはこんな感じに

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!