転車用ダイナモハブ塗装 完成

先日本塗りを終えていた先日本塗りを終えていた自転車フロント用のダイナモハブSON NABENDYNAMOです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、マスキングの為に嵌めていたビスを外していきます。

 こんな感じでスポーク穴の内部は塗装しないようにしてあります。

見本としてお預かりしたトップキャップとハブです。今回の艶消し塗装だとどうしても見本の着色アルマイトより艶が出てしまっていますが、塗装でここまで艶を消そうとすると傷が付き易い塗膜になってしまうので、実用する物であればこれくらいが限界かと思います(プラモデル等の塗装はそもそも触れる事を前提としていないので艶が消せますし、ドライコートもOKとされています)。

そして完成です。大変お待たせしました!

最初の状態も紹介します。

元々は艶あり黒だったこちらの状態に、

見本に合わせて調色作業を行い、

艶消しクリアーで塗装を施しました。

横のギア部分は塗装を行なわないよう、隙間にピッタリ合うマスク型をアクリル板で作成し、それを嵌め込んで塗り分けをしています。

こちら側は本体とプラスチック部分との間に可動部があって、そこでマスキングをするとグリースが漏れ出てくる可能性があったので、本体のフランジ状になった谷の部分で塗り分けをしています。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

着色アルマイトの場合、その金属感(メタリック感)はアルミ素地のそれとなりますが、今回の塗装ではホワイトパールを使ってそれに似せています。

元々あったレーザー彫刻の文字も薄っすら残っています。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

自転車用ダイナモハブ 本塗り

先日調色作業を終えていた自転車フロント用のダイナモハブSON NABENDYNAMOです。

スポークを嵌める穴には、丁度良いタッピングネジを差し込んでプラスチックワッシャーで固定しています。

元々の素地は黒の塗装が施されているかと思いましたが、もしかしたら黒アルマイト仕上げの可能性もあったので、

念のためプライマーを塗っておく事にしました。

その後下色としてベースコートの黒を塗布します。

続けて調色して作成した色を塗布します。

一応色見本のハブと見比べて問題無さそうなら、

最後に艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。

・・・が!

この後時間が経過し、さらに熱を入れて確認したところ、思っていたよりも艶があって違和感が強かったので、

再度足付け処理をして艶消しクリアーだけを塗り直しました。艶消しクリアー自体は同じ物ですが、最初に使ったスプレーガンの口径を1.2→0.6に変更し、シンナー希釈率も5割程上げて調整しました。

見本のハブ程に艶を消そうとすると今度は耐久性が低下してしまいますが(爪で引っ掻くと簡単に傷が付くような感じ)、そうならない程度で艶消し感を強くするようにしています。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

自転車用ダイナモハブ 調色

先日下準備をしておいたダイナモハブと一緒にお預かりした色見本用のハブです。

まずは似たような色を簡易的に作り、方向性を確認します。

ちなみにハブと一緒にお預かりしたトップキャップですが、どちらも同じ色の設定だと思いますがそれぞれ色が違っているのが判ると思います。塗装もそうですが、着色アルマイトで色を合わせるのは難しいのかも知れません。尚今回はハブの方を参考にして調色を行います。

「簡易的な色の作成」と「調色」との大きな違いは、実際にスプレーガンで色板に塗装する事で、これによってスティックで見ていた時とスプレーした色との違いが判ります。簡易的に作っておいた色がこの時点で全く違う!と言う事もあり、ここで改めて使う原色を変えたりして色を調整=調色していきます。

 ハブ本体の方は着色アルマイトなので塗装とは全然違いますが、今回は彩度の低い色なので何とか近い感じに出来たと思います。

また念のため、それぞれクリアーを塗って確認もしておきました。

この2枚の色板はそれぞれ同じ色ですが、その上に塗るクリアー=艶によって全然色の見え方(明度・彩度・色相)が違ってみえるのが判ると思います。

使った原色はこれらの種類で、黒をベースにブルー・バイオレット・グリーン・極細目のホワイトパール(MIX836)を使っています。

当初は色を表現している素材が金属(アルミアルマイト)と言う事で、メタリックや粗目のパールを使いましたが、結果的に一番細かい目のパールが近かったです。

また今回は今後の追加依頼に備えてタッチアップ用塗料もご用命頂きました(単品では扱っておらず、塗装を御依頼頂いた方のみの対応となります)。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

自転車用ダイナモハブ 下準備

先日お預かりしておりました自転車フロント用のダイナモハブSON NABENDYNAMOです。

よこのギザギザの部分は塗らないので、まずはそこの隙間に入れるマスク型を作成します。

内径を測り、外径は少し塗装面より少し食み出るような感じでリング状のデータを作り、それを分割します。

カットした分は焼失してしまっているので、何度かカット→データ修正を繰り返し、

ピッタリになる物を作成しました。

こんな感じで溝に嵌めるようにします。

その後足付け処理を行います。スポークが入る穴は塗らないようにしつつザグリの部分(テーパー状になっている部分)でボカシをしたいので、ナイロンブラシとウォッシュコンパウンドでその辺りを優しい感じで足付け処理します。

こちらは厚さ0.5mmのABS板を、内径1.7mm、外径4mmで同じくレーザー加工機でカットした物です。

今回のザグリに丁度良さそうなネジを選び、それに合わせてナット代わりの物をABS板で作ったという訳です。

穴は傾斜が着いている箇所なのでザグリも斜めになっていますが、それに合わせるとネジの頭が食み出てしまうので、外側のフチに合わせる感じにしています。

こんな感じで各穴にタッピングビスを固定しました。これで塗装の準備は完了で、次は調色作業ですね。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

自転車用ダイナモハブ塗装承ってます

先日到着しておりました自転車フロント用のダイナモハブSON NABENDYNAMOです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

ご依頼内容としては、今回見本として一緒にお預かりしたこちらのCHRIS KING社製の色に似せてという事で、塗装とは別に「調色作業」を、艶具合については当店規定の「つや消し」で承っています。

元々の黒は塗装で、一応#1300相当の研磨副資材で削ってみたところ傷が付く事を確認しています。これがもしアルマイトだと#1300程度では全く傷が付かず、なのでその場合はサンドブラスト+プライマー塗装が必要となります(アルマイトに密着剤を塗れば一時的にはくっ付きますが、経年劣化で密着剤の効果が落ちた場合、ペリペリと塗装が剥がれてしまいます)。

今回の塗装でネックとなるのが分解が出来なく、その一部に「可動箇所」がある事で、それの対応方法としては今回この箇所の周りの部位を塗装しないという事で対応する事にしました。例えば上の画像だと左側のプラスチック部分が動くので、本体との隙間からは油が出て来る可能性があるのですが、

ハブ本体側にある幅2ミリくらいのフランジ部分を塗らないようにし、「谷」のラインで塗装を見切る事で、可動部が固着したり、隙間から油分が出て来る心配がなくなります。例え「完全防塵防水」と言われている物でも、こういった隙間からちょっとでも油分が出ると塗装は取り返しのつかない事態(全面ハジキ等)が起こるので、こういった事には必用以上に神経質になっておく必要があります。

こちらのギザギザとした箇所は、見本のリヤハブでは同色のブルーグレー(アルマイト)になっていますが、今回はここは塗らないようにします(そもそもこのギザギザした箇所=スプライン部はディスクローターがはまるので無塗装希望との事でした)。塗り分けの方法としては、隙間に合う形にアクリル板をカットし、嵌め込むような方法にしようと思います。

そしてネックなのがスポークが入る穴で、前回塗装したハブの作業では、自転車屋さんが「スポークが入らないので穴の中は塗らないように」とのご指摘だったので、今回もそちらと同様に承っています。

ただ前回に比べ斜めの部分=ザグリが広く、今回はこの部分も塗らないよう承っていますので、

前回のように棒を入れるだけでは無く「ネジ」を使う方法を考えていて、M2辺りのサイズで色々な頭の形状のネジを取り寄せてみました。

こんな感じでピッタリでは無く多少隙間が出来るくらいの物を選んで採用しようと思います。ザグリ部分はウォッシュコンパウンドとナイロンブラシでしっかり足付け処理をしつつ、微妙な隙間を利用して色とクリアーを暈す感じですね。

反対側のネジの固定については、通常のナットだと六角形をしているのでピッタリ穴に嵌らない為、

この時と同じような感じでプラスチック製のワッシャーをレーザーで作成し、ナットの代わりに固定しようと思います。内径はナットを固定出来るようピッタリにし、外径は表側と同じようにザグリに合わせるような感じですね。

ちなみにアルマイトの艶消しと塗装の艶消しは全く違う物で、

アルマイトの場合は、アルミ素地にサンドブラスト等でザラザラにする事で艶消し感を表現しています。

なので艶のあるアルミ素地にそのままアルマイトを掛けるとやはり艶が残ったままの仕上りになります。

対して塗装はクリアー=トップコートで艶具合を変えていて、それぞれ仕上りは同じ様に見えてもアプローチは全然違うのです。

尚、前回施工したハブは「艶あり黒」で、参考までにそちらも紹介させて頂きます。

こちらの外装はスチール製で錆も出ていましたから、サンドブラストとプライマー塗装を行った上で上塗りを施しています。

今回のオーナー様曰く、「他社では塗装ができなく困っています」との事ですが、恐らくは出来ないのではなく、単に「やりたくない」と言うだけかと思います。出来れば私も避けたいところですが(十分な金額のお見積もりになっていますが本音はそれでも遠慮したい仕事ではあります)、いずれ歳をとったら今よりも出来る事が減る筈なので、今のうちに体に(と言うか心に)鞭を打って多少無理にでも引き受けるようにしています。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!