スバル WRX S4エンジンカバー&エンブレム塗装 完成

 大変お待たせしました!先日本塗りを終えていたバルWRX S4の樹脂製エンジンカバーと、それに装着されるエンブレムプレートの塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介します。

エンジンカバーは未塗装で、

エンブレムもDITの周りは黒の樹脂素地状態でした。

 今回のご依頼ではエンジンカバーの両サイドとV字の溝をフェラーリの赤=ロッソコルサ(カラーコード:300)に、

DITのエンブレムはスバルチェリーレッド(STIピンク)にしています。

 黒い部分も塗り直し、全体を艶消しクリアーでコートしています。

このエンジンカバーの素地はザラザラとした梨地やシボ模様があるのが特徴ですが、

艶消し仕上げだとそのままでも違和感が無いのが判ると思います(これを艶あり仕上げにするには下地からやり直さなければ美しくは仕上がりません。というよりかなり気持ち悪い仕上がりになるかと思います)。

 各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

エンブレムはDITの周り部分のみの塗装となります。

こちらもベースコート+艶消しクリアーの2コート仕上げとなります。

 ピンクの色はSTIの純正エンブレムの色を参考に作成しています。

DITは外れないのでマスキングでの対応となりましたが、よく見てもそれとは判らない(後から塗ったとは思えない)仕上がりに出来ているかと思います。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度も当店をご利用頂きまして誠に有難うございました!

尚こちらのオーナー様は以前スバルのエンブレム(前後)をご依頼頂いた方で、先日車体に取り付けた画像を送って頂きました。こちらの画像投稿&レビューページで紹介をさせて頂いておりますので宜しければご参照くださいませ。この度もご贔屓頂き誠に有難うございました!

スバル WRX S4エンジンカバー&エンブレム 本塗り

先日下準備を行っていたスバルWRX S4の樹脂製エンジンカバーと、それに装着されるエンブレムプレートです。その後よく脱脂清掃し、本塗り用のマスキングを行います。

エンブレムプレートは背面の黒い部分(樹脂素地)だけを塗るので、それ以外の部分を覆います。

よくエアーブローして埃を飛ばし、マスキングに毛埃が噛んでいない事をよく確認したらプラスチックプライマーを塗布します。

エンジンカバーはフチまでしっかり塗りたいので浮かした状態で台に固定してあります。

こちらもよく脱脂清掃し、まずは全体にプラスチックプライマーを塗布します。

最初に下塗りとして適当なピンクを塗ります。

 同じくエンブレムプレートにも塗ります。

エンジンカバーの方は普通のスプレーガン(IWATA W-50極みmini)を使いますが、エンブレムプレートの方は口径の小さいエアーブラシを使います。大きい面積を小さいガンで塗ろうとするとドライコートになって肌が荒れ密着性が落ちてしまいますし、また小さい面積を大きいガンで塗ろうとすると吐出される粒子が大きくなってこれも汚い仕上がりになるのでそれぞれにあった物を使います。

尚、いつもならエンジンカバーとエンブレムは別々に塗ったりするのですが、今回は同じトップコート=艶消しクリアーなので同時に塗る事にしました。

その後エンジンカバーをフェラーリロッソコルサ(カラーコード:300)に塗ります。中央は黒なので塗る必要は無いのですが、ミストが粉っぽくなって密着不良の原因になるので、途中1コートだけ一緒に塗っています。

ここでテープフリーな状態になるよう十分な乾燥時間を設けます(大抵はここで昼食=休憩としています)。

ベースコートが十分に乾いたらマスキングを行います。見切りの部分はカーブしているので普通に貼るとフチが浮いてしまいますから、1mm幅のマスキングテープを使ってマスキングします。

そして赤く塗った部分のマスキングが完了です。

 そしてベースコートの黒を塗ります。

ベースコートに艶が消える成分(具体的にはフリップコントローラー=シリカ顔料等)が入っていなければ、この様に若干艶のある仕上がりになります(艶消しと半艶の中間くらい)。

その後マスキングを剥がし、気になる細部を修正します。

そしてベースコートの塗装が完了です。

そしてエンブレムプレートです。

こちらはSTIチェリーレッド(STIピンク)となります。

 そして艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

艶消しクリアーの場合は艶あり程には塗り込まず、ただし同じように2コート塗っています(1コートだけだと艶は消え易いのですがムラが出てしまう為)。

エンブレムプレートも同じく艶消しクリアーで、ただしこちらはクリアーも口径の小さいエアーブラシを使います。

その後時間が経つと艶が消えていきます。

ベースコートだけの時よりも艶が消えてシットリと仕上がっているのが判るかと思います。

素地はザラザラとした梨地でしたが、艶消し仕上げだとそれも目立たなくなるのが特徴です(逆に梨地の上にそのまま艶あり仕上げにするとひどく気持ちの悪い仕上がりになります)。

この後は一晩以上自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スバルWRX S4エンジンカバー 本塗り

 先ほど紹介しました「下準備」に続き、いよいよ本塗りとなります。と言っても下準備作業もまだまだ続いているのですが。

 予め型を作ってカッティングプロッターでカットしたマスキングシートですが、PP(ポリプロピレン)に直接貼るとなると粘着力が足りず、貼っている傍から端が浮いて来てしまいます。まあ足付け処理の時点でそれも判っていたのですが(苦)。

 と言う訳で改めて普通の和紙タイプのマスキングテープをプロッターでカットし直しました。

 それでも中々気が遠くなるような作業ですが、

 やっていて先が見えないという訳でも無いのでそんなに大変な作業ではありません。

 と言うか、今の工場ではとにかく明るい環境で作業が出来る為、こういった細かい作業が非常に楽です。見えるって素晴らしい…。

 と言う訳でマスキング作業が完了です。

 ちなみに最初の足付け処理では、向かって右側のダクトが塞がった個所はマスキングをしていましたが、その後思う所があり、再びそこも足付け処理を行う事にしました。

最初にプラスチックプライマーを塗布し、 塞がれた部分には予め黒を塗っておく事にしました。

 また本塗りの為のマスキングではピッタリ位置を合わせたいので、作成したマスキングシートを使うのは端の部分のみとします。

 パット見は同じに見えたのですが塞がれている5カ所はどれも微妙に形が違う為、こんな感じで微調整しながらマスキングしていきます。

 またマスキングする面も直接PPでは無くベースコートの黒の上になる為、密着性も良好で端が浮き難くなっています。

 再び場所を一階に戻し、いよいよ本塗り開始です。

 まずはプラスチックプライマーを塗り、

 ベースコートにシルバーを塗ります。ちなみに色はホンダのサテンシルバーM(カラーコード:NH-623M)としています。

 シルバーを自然乾燥させてテープフリーな状態になったら、アクセントカラーとなるチェリーレッドを塗る為のマスキングを行います。

 DITのエンブレムには一旦ベージュを下色に塗ってからチェリーレッドを塗布しています。

 マスキングを剥がし、

 さらに部分的に修正します。ここはチェリーレッドのラインが一部塗り過ぎたのでシルバーを塗り直しています。

 こちらは例の塞がったダクト穴で、食み出たシルバーを黒で塗り直しています。

 そして最後に艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。

 同じくDITのエンブレムにも艶消しクリアーを塗りました。

 また早速新☆色見本プレートの為の色見本も作成しています。これを2セット用意し、今回は艶消しを塗ってもう1セットは後日他の物と一緒に艶ありを塗ります。

 その後一時間くらいして艶が消えた状態です。クリアー自体はまだ柔らかいので、マスキングを剥がすのは周りのフチだけに止めておきました。

ザラザラとした素地の梨地はそのまま残りますが、艶消しなので違和感も無く、むしろスウェード調のようで上品に見えなくもありません。

取り敢えずこのまま常温で見た目硬化をさせてから全てのマスキングを剥がし、その後60℃40分程の熱を掛けて完全硬化させます。

完成次第改めて紹介しますのでどうぞもう少々お待ちくださいませ!

スバルWRX S4エンジンカバー 下準備

 先日STIのチェリーレッド色を作成しておいたスバルWRX S4の樹脂製エンジンカバーです。

 裏側には遮熱の為のシートなどが貼ってある為、汚れないよう養生しておきます。外そうと思えば外せない事は無いのですが、各固定部は溶着されているので基本的に外れない(外さない)構造です。

 表側も同様に、塗らない部分は汚れや傷が付かないよう早めに養生しておきます。

 ちなみにエンジンカバーの向かって左側にはダクト穴が空いていますが、

 右側は塞がっています。代わりに水抜きの為の小さい穴が空いていて、さらにそこからは裏に貼ってある遮熱材の白が見えます。一体何故…。

尚シルバーに塗るのはフィンの部分のみで、その周りの枠は塗装せずそのままとします。今更ですが、ここをマスキングするのですが・・・と。

 そしてこちらは先ほどのエンジンカバーの中央に着くエンブレムプレートです。

 メッキっぽくなっているのは凸状になった天面のみで側面部分は黒くなっていますが、ここもマスキングして塗らず、チェリーレッドに塗装するのは底面のみとします。

 ちなみに先ほどのフィン部分ですが、手作業でマスキングするとこういった感じとなり、さらにカーブを緩やかにするとこの倍はマスキングテープを貼っていかなければなりません。しかもそうなるとマスキングテープの厚みで隙間が出来、綺麗には塗れないのです。

 そして何故か貫通していない向かって右側のダクト穴(風)の部分ですが、ここも手作業でカーブした個所を綺麗にカットするのには物理的に難しい為、

 境界線をある程度トレースしたら一旦剥がし、クリアーファイルに貼ってスキャナーで読み込みます。

それを基にソフトを使って美しいベジェ曲線を描き、

 貼ってはデータを修正してを繰り返しマスキングシートを作成します。

「そんなのカッターで直接切れば良いんじゃ」と思うかもしれませんが、補修塗装(所謂「板金塗装」)の現場でそういった方法はタブーなので、そういう発想は余り無いのです。

と言うか一般的な板金塗装の現場で、見習いの時期に塗膜にカッターの刃を入れたりしたら後ろから頭を思いっきり叩かれても仕方ありません。叩かないにしても怒鳴られるのが普通で、「直す」と言う塗装である以上塗膜や被塗物に刃を入れるなんて通常あり得ません。

ただしカスタムペイントはそういった趣向では無い為、逆にそこは気にしないのが普通なのかも知れません。私の場合は、と言う事です。

 そしてようやく下地処理です。念の為ですがこれらのマスキングは足付け処理の為の物で、本塗り用のそれとは別の作業となります。

 今回は下地(サフェーサー)は無しで直接上塗りを行う為、ペーパーでは無くスコッチ(#800)とウォッシュコンパウンド(とナイロンブラシ)のみで足付け処理を行います。

 裏の防熱シートを汚したくはないので、本来なら水を使わない「空研ぎ」で行いたいところですが、今回塗る色はシルバーで、この色はペーパー目が非常に目立ちやすい色でもありますから、足付け処理は慎重に&しっかりと行う為に水を使ってのこの方法としています。

濃色系やソリッドカラーならペーパー目は余り気にならないので空研ぎで行っていたと思います。

 逆にこちらはそういった理由では無く、ペーパーでは角までしっかり足付け処理が出来ない為、ナイロンブラシとウォッシュコンパウンドを併用して足付け処理を行います。同じようなやり方でもそれぞれ理由が違います。

 見切りのラインを美しく仕上げるのにはマスキングテープの種類や貼り方・剥がし方が重要となりますが、それ以上に密着性=足付け処理も重要な為、この辺はしっかり行っておきます。

足付け処理が終わったら、ウォッシュコンパウンドを残さないよう綺麗に洗浄します。

ちなみに当店が好んで使っている「ハジキシラズ」は比較的良いと思って使っている物なのですが、混ぜ物が無く研磨粒子が小さい為か「足付け」としての効力は比較的弱めとなっています。スコッチが古くなってくると(付着していた研磨粒子が取れてしまうと)それに伴って足付け効果も弱くなります。

対して関ペなどのウォッシュコンパウンドは「反応型」と銘打ったりしていてそれ自体で威力が強く、スコッチが古かろうが、そもそも研磨粒子が付いていない物だろうが(そういうのもあります)、かなりの足付け効果が期待できます。

ただしそういった作業性が良い反面、拭き残しなどがあるとその跡が残ってしまう事があり、私的には好きではありません。今は作業中に電話が鳴っても無視する事はありますが(こういった理由からです)、そうもいかない現場ではこれが致命的になる事もあります。

今は判りませんが、ソーラーのコンパウンドは塗膜を柔らかくする成分が強い為か、塗膜に乗せっ放しにするとその跡が残ってしまい大変な事になります(と言ってもこれはそもそものやり方が間違いで、本来コンパウンドはバフ面に垂らすのが正解です。と言っても現場でそれを徹底するのも難しのです)。

と言う事もあってコンパウンドは全て3M製品になっていたりしますが、それぞれ何が悪いという訳では無く、それぞれ作業する人間によって合った材料や使い方があるという事です。仕事上では人が言う事は全て鵜呑みにはせず、自らトライ&エラーを繰り返すのが良いと思います。

本体は既に本塗りが終わっておりまして、後程(もしくは後日)そちらも紹介します。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スバルWRX S4エンジンカバー 色確認

先日お預かりしておりましたスバルWRX S4の樹脂製エンジンカバー(とエンブレム)です。

エンジンカバーの一部と、こちらのエンブレムの一部(DITの周りの黒い箇所)を「STIチェリーレッド」で承っておりまして、今回の色の確認の為にSTIのエンブレムを取り寄せてみました。

こちらがそのSTIエンブレムで、届いてみた時に想像していたよりもピンク感が強かったので念の為購入先に確認したところ、こちらがチェリーレッドで間違いないとの事でご回答を頂きました。ちなみに「チェリーピンクですともっとピンク色しております。」との事です。勿論ですが、スバル純正部品です。

 と言う訳で、一応それらしい色は無いかと思い、色見本帳を調べてみる事にしました。ちなみにこちらはDUPONTの物になります。

 念の為ですが、こちらが一般的な「赤」で、それに比べると今回のSTIエンブレムの色味はピンクっぽいのが判ると思います。まあでも名前が「チェリー」ですから、普通のレッドよりかは桜色っぽい感じでこれで良いんでしょうね。

 と言う訳で余り期待はしていなかったのですが、意外と良さそうな色が見つかりました(と言ってもそれらしい色はこれだけだったのですが)。

重ねてみるとこんな感じで、配合データを見てみると、「白」「青味のある赤」「黄色味のある赤」の3色のみの構成なので、これの「黄色味のある赤」(朱色っぽい赤)の配合率を増やせばそれらしくなりそうです。

ちなみにこんな事をするよりさっさと原色を混ぜてしまった方が(格段に)作業は早いのですが、今回の色も今後使う機会がありそうなのでデータを取っておこうと思った次第です。

そもそもこういった塗色は配合データと言うのが存在しない為、目安となる物は重要です。勿論製品毎に色ブレはあるでしょうが、それはそれでまた比色をすれば手元にあるデータが増えますので、やった事に関してはいずれまた活用出来る時が来ると思っています。

後日実際に色も作成して改めて紹介したいと思います。どうぞもう少々お待ちくださいませ!