先日お預かりしておりましたロティフォームのホイールセンターキャップです。
メルセデスGクラスにホイールを履かれるとの事で、こちらをスリーポインテッドスターへの変更&塗装でご依頼を承りました。
製品は既に完成してオーナー様にお納めしておりますので、作業内容を纏めて施工例として紹介をさせて頂きます。
今回ホイールキャップのサイズは直径70mmで、以前制作したエッティンガー用のホイールキャップが68mm、その時に作ったスター(上の画像はその時作成した当店在庫予備品)を乗せてみるとちょっとサイズが足りないのですが、土台のエッジを滑らかにすれば違和感は大きく無さそうと言う事で、今回はその時のシリコーン型を使用する事にしています(これにより原型とシリコーン型の作成費を省けます)。
以前作ったシリコーン型を使い、レジン(注型用ウレタン樹脂)を流し込んで素体を複製します。複製作業は個人的な趣味と言う事で社外記の方で紹介しています。
裏側からダブルアクションサンダー#120を当てて面を平滑にしつつバリを削ります。
うっかりすると簡単に割れてしまいますから、それを想定して多めに作成しています。
面取りとバリを除去したら油分をしっかり落とします。シリコーン型に塗った離型剤が巣穴に残っていたりする為ですね。
その後はナイロンブラシとウォッシュコンパウンドで足付け処理&洗浄を行います。
台にセットします。
くっつかないよう細く丸めたガムテープを間に挟んでフチを浮かせた状態で固定しています。
通常であればサーフェサーを塗りますが、今回はコスト面を考えて1コートソリッドのグレーで下塗りとしました(STANDOX 2Kエナメルです)。
この後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきます。
土台部分のパーツは、アクリル板をレーザー加工機でカットして作成します。趣味で使うには決して安い買い物では無かったのですが、仕事にも十分活用出来ていて元は取れたと思います。
上の画像の上段が元々のホイールキャップのパーツで、今回使うのが下段のパーツとなります。
レーザーで切ったそのままだとエッジが立っていて、
その上にスターを乗せた時にサイズが合わなく見えてしまう為、
エッジを研磨してスターに合わせてみました。
これでスターのサイズが足りなくても違和感は拭えたと思います。
それぞれ準備が整ったらいよいよ本塗りです。
土台のパーツはアクリル樹脂なのでプラスチックプライマーを塗布します。
続けてベースコートの黒を塗布します。
そしてクリアーを塗って本塗り完了です。
今回ご依頼頂いてるのは5個ですが、一応サンプルとして残しておきたいと言う事もあって余分に作って塗っています。あとは万が一というかワンオブサウザンド方式ですね。
クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。
この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分の熱を掛けて塗膜を硬化させます。
完全硬化後、各パーツを組み付けます。
まずは土台のプレートとスリーポインテッドスターの接着です。
それぞれをエポキシ接着剤で固定します。
続けて今回作成したスター部分と土台部分を組み付けます。こちらは両面テープとシーラーを併用します。
そして完成です!
各完成画像はサイズの縮小以外は未加工となります。
土台とスリーポインテッドスターはエポキシ接着剤で固定しています。

背板(土台)はクリアーの肌が極力残らないように塗りました。
クリアーを平滑にしようとした場合、乾燥性の遅いハードナーやシンナーを選択し、
尚且つしっかりと塗り込む必要があって、その際どうしてもフチに表面張力でクリアーが溜まり気味になりますが、
今回は上からスリーポインテッドスターを被せるという事でそこは無視出来ますから、
鏡面のような肌になる事を優先して仕上げました。
土台のフチを面取りしたお陰でサイズ違いの違和感も少ないかと思います。ホイールとツライチならエッジが立っていても(立っていた方が)格好良い場合もありますが、今回は元のキャップより1ミリ以上厚くなっているのでホイールより一段高くなっている事を想定しています。
オーナー様からは「想像の100倍の仕上がりに大満足です!」とのお言葉も頂戴しました。

その後無事装着されたようで、オーナー様より画像とコメントも頂戴しました。
「先日製作して頂いた、センターキャップの取り付けをさせて頂きました。
完璧な仕上がりで、年老いたゲレンデ君も大喜びです…。何かありましたらまたよろしくお願いします!ありがとうございました😊」
今回の色=艶あり黒は、ホイールに合わせています。
まるで純正品のようですね。言われなければ手作りされた物とは判らないと思います。この度のご依頼、誠にありがとう御座いました!