スーパーカブウィンカーレンズ2セット 本塗り

先日下準備を行っておいたスーパーカブ2台分のウィンカーレンズ一式です。

最終脱脂処理を行い、よくエアーブローをして埃を飛ばします。

被塗面は勿論ですが、裏側や持ち手の部分にも埃はついているので、全体を満遍なくそして強力にエアーブローします。

エアーブローは被塗物だけでは無く作業者(私)体やスプレーガンなどもしっかり行います。

こちらのウィンカーは背面部分を黒で承っていますが、

とりあえずは他の物と同じく透過性の橙=オレンジキャンディーで塗装します。

こちらのレンズは一部をクリアー抜きにしますので、オレンジに塗りたくない箇所をマスキングします。

まずはプラスチックプライマーを塗布します。

 

続けていつものイエロー:オレンジ =5:1の透過色=キャンディーカラーを塗布します。

2コート塗った状態ではイエローにしか見えませんが、赤味は強いのでこのままコート数を重ねていくとオレンジになっていきます。

が、以前塗った時に比べると明らかに赤味が足りないので、

ここから色を変更して、イエロー:オレンジ=1:1のキャンディーカラーに変更しました。

画像は全部で4コート程塗った状態で、以前施工した時の色味に近づいたと思います。

クリアー抜き部分のマスキングを剥がし、プラスチックプライマーを塗布します。ちなみにプラスチックプライマーを塗ってからマスキングをするとくっ付き過ぎて糊が被塗面(レンズ)の方に残ってしまうのでNGです。どうしてもその順番でやりたい場合にはプラスチックプライマーの上にベースコートクリアー(透明なベースコート)を塗ります。

そしてクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

こちらのウィンカーは背面を黒でご指定頂いていますが、とりあえず一旦クリアーまで塗ってしまいます。まとめてやろうと思えば出来ない事も無いのですが、万が一の失敗(部品交換)を避ける為の安全策ですね。

尚、見える部分は正面=上の画像だと右側のみなので、背面(左側)はオレンジはしっかりは塗っていません。

ちなみに今回は事故によってレンズが損傷した為でのご依頼でしたが、

レンズ一個だけを塗っても他のレンズと色味が変わってしまう為、1台分セットでご用意頂いての塗装となっています。

自動車のボディカラー=下地を完全隠蔽しつつ配合データから計量調色出来るのであれば100%に近い数値で元の通りの色を作る事が出来ますが、今回のような透過性の塗装だと塗料中の顔料含有率や塗り方で簡単に色味が変わってしまいますので、たとえ塗り直すのが一個だけでも全部一緒に行うが基本となります(そういった理由から恐らく部品代も塗装費も相手方の損害保険で賄えたかと思います)。

フチのマスキングは2コート目のクリアーを塗り終わったら直ぐに剥がしています。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

背面を黒に塗るウィンカーは下地処理(足付け処理)とクリアーコートも今回と同じようにレンズ全体に塗るようにします(なので2個分+マスキング費となります)。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

NISMOタワーバー&台座塗装承ってます

少し前に到着しておりましたニスモのアルミ製タワーバーです。

こちらのオーナー様は先日BBSのホールキャップを、その前はIMPULのアルミシフトノブ、さらにその前にはブレーキキャリパーやヘッドカバー、テールランプの塗装もご依頼頂いています。この度も当店へのご依頼、誠にありがとうございます!

ご依頼内容は黒結晶塗装+ブルーパールで、参考までに以前施工した時の画像を紹介します。

この時と同じく、黒の結晶塗料(リンター)にパウダータイプのブルーパールを添加し、ぱっと見は黒で光に当たるとフワッと青味を感じるようなイメージですね。

また塗装完了後には同梱頂いたNISMOのアルミプレート取り付けも承っています。

結晶塗装の上に両面テープだとくっ付き難いので接着剤で取り付ける予定です。位置は丁度真ん中を想定しています。

また取り付け時には前後裏表を間違えないよう、各溶接跡を撮影しておきました。

土台との接合面はプライマー塗装後にベースコートの黒を薄膜で塗装し、結晶塗装はしないようマスキングをしておくようにします。

そして後日届いたのがこちらの土台部分です。

現状は既に黒の結晶塗装が施されていて、

ちなみにこちらは14年前に当店にて塗装をさせて頂いた物となります。その時の画像も紹介しますね。

この頃は川崎にある知人の自動車修理工場の中に間借りをさせて貰っていた時ですね。光熱費等を入れると今の家賃等固定経費の1/10程度で済んでいましたから、比較的安価に出来ていた時代でもあります。

この時はただの黒の結晶塗装で、今回はこれに日産ブルーブラックのような青味をブルーパールで表現するような感じですね。

前回の塗装ではボルト固定部周り(切削部)を塗装せずアルミ地をそのままにしていますが、今回は土台もタワーバーも黒くなるのでアルミ地が残っていると格好悪いですから、この部分もプライマー塗装後にベースコートの黒を塗って薄膜にしておくようにします。

この時のような感じですね。

こちらも元々はアルミ素地にクリアーが塗られていた物ですが、全体をサンドブラスト後、ボルト取り付け部はベースコートの黒を、その他はグレーの結晶塗装で仕上げています。

また車体へのナット取り付け部も同じようにアルミ素地では無く薄膜の艶消し黒で仕上げておくようにします。

そして元々貼ってあったアルミシールは無事剥がせました。こちらは接着剤では無く両面テープで貼り付けていたので、裏側からドライヤーで熱々に熱して粘着力が弱くなったところにヘラを差し込んで曲げずに取り外す事が出来ました。

尚結晶塗装はその原料となる焼付リンターが廃盤になったので現在受付は停止中ですが、今回のように当店で施工した物の再塗装には対応が出来るよう多少在庫は残しています(ただし使用期限があるのでこちらもいずれは終了になるかと思います)。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

スーパーカブウィンカーレンズ2セット 下準備

先日お預かりしておりましたスーパーカブ2台分のウィンカーレンズ一式です。

こちらのレンズはオレンジとクリアーをそれぞれ塗り分けるので、マスキングの位置が判るよう土台に装着した状態で(内部反射板の壁の位置が判る状態で)作業が出来るよう、レンズ裏側に透明フィルムを使ってマスキングを行います。

その他のレンズです。バツ切りマスキングになる箇所は塗装完了後すぐに剥がせるよう最後に貼るようにします。ついつい最初に貼りたくなりますが、逆です。

こちらも同じような感じで、フチ以外の部分を最初に貼り、最後に見切り箇所を貼るようにします。

被塗面を#800→#1300相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン→オレンジ)を使って研磨~足付け処理を行います。

脱脂清掃をしたらそれぞれ手で持てるよう芯棒を固定しておきます。

塗り分けを行うレンズは一旦工場二階に場所を移します。明るい場所で作業をする為ですね。

レンズ内部と土台に塗料がつかないよう、マスキングを行います。

裏側もしっかりマスキングをしたら、

内部の反射板の壁に合わせて塗り分け位置のマスキングを行います。あとは本塗り直前にクリアー抜きにする箇所を養生する感じですね(今貼ってしまうと糊が残ってしまう可能性がある為)。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

バイクカーボンリアフェンダー塗装承ってます

先日到着しておりましたバイク用のカーボンケブラーリアフェンダーです。こちらのオーナー様は先日アプリリアの純正テールランプ塗装をご依頼頂いた方で、この度も当店をご贔屓頂き誠にありがとう御座います!

現状としては恐らくは新品未使用の状態なのですが、

「表面がよく見るといまいちな感じなので」との事で、表面をクリアーでの塗装と、

裏面を艶消し黒(【激安コース】仕様)で承っています。クリアーは塗らず、ベースコートの黒に直接ハードナーを添加して仕上げる方法ですね。バイクカウルの裏側等ではよく行う手法です。

尚、カウル表側のカーボン表面には予めクリアーゲルコートが塗られていて、パッと見はそんなに悪く内容に見受けられますが、実際には表面に傷や凸凹があるので、通常であれば「研磨→サフェーサー塗布→完全硬化→研磨」といった下地処理を行いますが、今回のようにカーボン地をそのまま残す場合はサフェの代わりにクリアーを使う事となり、まずはこれを1~2回程行って下地を整えてから本塗りを行います。予定としては下塗りクリアー2回+本塗りクリアー1回といった感じで、クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様で承っています。

屋外だとちょっと判り難いので、室内でも撮影してみました。

こんな感じでクリアーゲル(透明なポリエステル樹脂)表面には、カーボン繊維の凸凹が出てしまっている状態となります。

尚、これを研磨して平滑にしてから改めてクリアーを塗装しても完全にこれを防ぐ事は出来ず(凸凹の原因はカーボン繊維と樹脂との差異による物なので)、ただし今回の塗装でこれについては大分軽減は出来ると思っています。

また判り難いのですがゲルコート表面には細かい傷が多数あり、これを研磨するだけでは除去しきれず、なのでクリアーの下塗りが必要になる訳ですね。

カーボン素地を活かしたクリアー塗装については色々前例がありますのでそちらを紹介させていただきます。

こちらはDUCATIのアッパーカウルですね。元々艶消し仕上げの新品で、この時は下塗り3回、本塗り1回、合計4回のクリアーコートを行っています。

こちらはアウディR8の純正リヤフェンダーパネルです。同じカーボンですがこちらはドライカーボンで、元々ボディカラー(ホワイトパール)に塗られていた物を削り落とし、改めてカーボン地を活かしたクリアー仕上げにしました。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

スバルエンブレム(裏赤)塗装 完成

先日本塗りを終えていたスバルレガシイBL前期型純正エンブレムです。今回は常温硬化タイプのスタンドックスVOCエクストリームプラスクリアーを使ったので熱入れは行わず、そのまま完成となります。塗装後は必ず熱を入れるという工程で慣れてきた身としてはどうしても不安ですが、普通のクリアーより締まりきりが速く塗膜も固くなるので(とても磨き難くなります)ご安心くださいませ。

メッキ枠を塗らない場合にはアクリルプレートのみお預かりが基本ですが、今回は有料で両面テープの作成も承りましたので、それを貼りつけて元の通りにしておきます。

そして完成です。お待たせしました!

最初の状態も紹介します。

元々はこの様な状態で、

背面にあったキャンディーブルーの被膜を削り落とし

透過性の赤+シルバーメタリックの3コートキャンディーレッドに塗装を施しました。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーとVOCエクストリームプラスクリアーの仕様となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

表側からの塗膜構成としては、


・VOCエクストリームプラスクリアー
・プラスチックプライマー
・アクリル樹脂(プレート)
・プラスチックプライマー
・レッドキャンディー
・クリスタルクリアー
・粗目シルバーメタリック(MIX598)
・リフレックスシルバー(LA7W)
・クリスタルクリアー


といった感じになっています。もっと工程を省こうと思えば出来ない事は無いのですが、仕上がりが運次第みたいな所になってしまうので、任意保険を何重にも掛けたような方法としています。趣味でやるなら(自分の物なら)それでも良いのですが、100個塗って100個を理想に近い仕上がりにしようと思うとどうしてもやれる事はやっておかないとという考え方になってしまうんですよね。

同じ塗装屋さんなら「そこまでやったら凄い金額になってしまうのでは・・・」と思うかも知れませんが(実際まともに考えると凄い金額になってしまいます)、極力お預かりする期間(納期)を長めにし、他のご依頼品と一緒に作業をする事でコストを下げています。マックポテトを毎回オーダーが入る毎に一人分を作っていたら大変な事になりますが、予め一度に大量に揚げておくのと同じような感じですね。

シンプルですが非常にスマートで格好良いと思います。

少し日陰の方において光源を狭めるとキャンディーカラー特有の深みをさらに強く感じられます。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

ちなみにこちらが今回並行して塗装~制作していた色見本キーホルダーです。

枠の部分には今回エンブレムに塗装した物と同じメタリックキャンディーレッドを施し、色相環の部分はミラーアクリルにキャンディーカラーだけを塗装した物となります。

ちなみに色見本キーホルダーに使用している赤は、厳密には今回スバルエンブレムに塗った赤とは違います。一緒に塗ってますがわざわざ変えていて、前者の方は発色がより良い赤を、後者の方は耐候性を重視した赤を採用しています。マイクを塗る場合も使用(と保管)は室内が前提なので、同じ理由から前者の赤(具体的にはハウスオブカラーのKK-11をSTANDOX MIX599に添加)を採用しています。

背板にはヘッドカバー等に塗装する結晶塗装を採用していています。

こちらは趣味として作成しているので数が作れませんが、ある程度の数が出来たらウェブショップに出品したり、来月出展するデザインフェスタなどで販売を行ったりしています。それこそ本業から考えると採算性度外視な所がありますが、今のプレッシャーの高い塗装が出来なくなった時でも仕事として塗装を続けていけるよう、今のうちに色々と挑戦するようにしています。これなら今のような設備ではなくても出来そうですしね。