日産フーガ ステアリングカバー 本塗り

先日お預かりしておりました日産Y51フーガ用のステアリングスイッチパネルです。

こちらのパーツは元々黒い樹脂に艶消し黒の塗装が施されていて、表面を#800→#1300相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン→オレンジ)で足付け処理を行っています。

フチまでしっかり塗れるよう、裏側は広くスペースを空けて固定しています。

まずはベースコートの黒を塗布します。

ここで肌を荒らすとこの後の高輝度シルバーメタリックに影響が出てしまうので、ウェットコートでツルンとした肌にしておきます。

続けて輝度感の高いシルバー=STANDOX JLM-906 SPFシルバーを塗布します。

SPFシルバーはベースコート用の樹脂(MIX599)で4倍程に薄めています。

手前手に持っている物が見本としてお預かりしたドアインナーハンドルです。

ドアインナーハンドルは本物のメッキ(装飾クロムメッキ)に艶消しクリアーを塗った物で、今回の塗装ではそれとは全く違う物ですが、それでも通常のシルバーメタリックに比べると輝度感(金属感)があるので一応は近い雰囲気に出来ているかと思います。

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

塗装屋さんなら判ると思いますが、こういった輝度感の高いシルバーはクリアーを塗ってしまうと輝度感が弱まるので、見た目重視であればベースコートのみで終わらせる方が良いのですが、そうすると塗膜の強度が無いので使っている内に摩擦で塗膜が擦り切れて下地が露出してしまいますから(純正部品あるあるですね)、なので基本的にトップコートを行う事は必須となります。またそのトップコートが艶消し・半艶の場合はさらに輝度感が弱まってしまうので、今回は見本の半艶とは変えて艶あり仕上げとしています。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スバルエンブレム(表スモーク/枠艶黒)塗装 完成

先日本塗りを終えていたスバルSKフォレスターの純正エンブレムです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきました。

予め作成しておいた両面テープを貼り付け、

枠とアクリルプレートを組み付けたら完成です。大変お待たせしました!

最初の状態も紹介します。

元々はこのようにカッティングシートが貼ってあった物を剥がし、

アクリルプレートには表側からスモーク塗装を、

メッキの枠は下地処理を行った上で艶あり黒の塗装を施しました。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

スモークの濃さはオーナー様より頂いた画像を参考に調整しています。

画像だと元々ある背面の青が見えますが、実際に車体に装着され目線より下になると殆どそれは感じられなくなるかと思います。

純正エンブレムの枠はABS樹脂に装飾クロムメッキが施された物で、そのまま上塗りを行っても十分な密着性は得られませんから、通常の塗膜と同様の耐久性が得られるよう下地処理を行っています。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

Lancer Brembo 46V Cnady Red

三菱ランサーエボリューション純正のブレンボブレーキキャリパーです(今回作業前の状態を撮影し忘れたので同型製品で別の物を掲載しております)。

サンドブラストと洗浄、マスキング作業についてはブレーキ専門でやっている方への外部委託でお願いしていて、預けて数日後にこの様な状態で戻って来ます。

あの状態で直ぐに塗れるようになっていますが、ロゴが入る前面を#120→#180のダブルアクションサンダーで研磨して均しています。

打痕や傷、梨地をしっかり平滑に仕上げる場合には別途エポキシ系プライマーサーフェサーを塗って研ぎますが、今回は2度塗り(実際には3度塗り)を行う為、その作業はこの時点では省きます。

まずは全体にプライマーを塗布します。

続けて膜厚をつけたく無い箇所(クリアーを塗りたくない箇所)にベースコートの黒を塗布します。

この後この部分をマスキングし、これ以上は最後まで塗らないようにします。

今回ご指定頂ているのはマツダ「ソウルレッドクリスタルメタリック 」(カラーコード:46V)で承っていますので、まずはカラーベースを塗布します。

高輝度のメタリックにマルーン系の原色を含んだ色となります。

通常であればこの上にベースコート系のキャンディーカラーを重ねますが、

今回はマツダ純正色の塗装と同様、トップコート(クリアー)に混ぜて使う方法で行います。キャンディーカラーの塗料もそれ専用の物を使います。

トップコートのキャンディーレッドを2コート程塗布し、

最後に通常のクリアーを1コート、まず最初の本塗りではトップコートを合計3コート塗っています。

また今回は「トップコートによる2コートキャンディーカラー」と、通常行っている「ベースコートによる3コートキャンディーカラー」それぞれの色見本も作りました。

それぞれカラーベースは同じで、片方はベースコートのキャンディーレッド、もう片方はトップコートのキャンディーレッド、最後にそれぞれクリアーを塗っています。正直どちらも変わらない(判らない)ので、今後同じようなご依頼であればベースコート方式にしようと思います。

キャンディーカラーでネックなのが「滲み」(ブリード)で、トップコートに透過性の塗料を使われている場合、その上に重ねた色=特に白系の場合には大きくその影響を受けます。具体的には白を塗っているのに「ピンク」になってしまう事ですね。

ですので最初の本塗り後には「クリアーのみ」の塗装を行い、完全硬化後に改めて下地処理(足付け処理)をし、ここでようやくロゴ入れ→3度目のクリアーコートを行っています。

非常に面倒な事になるのですが、幸いにして少し前にも紹介した「常温1時間で硬化するVOCエクストリームプラス」なるクリアーがあったので、熱入れ自体は全体で1回のみで済んでいます。

ちなみに2回目以降の塗装ではキャリパー全体では無く、「プレスライン暈し」を使って前面のみとしています(各画像はヒラヒラのマスキングテープを剥がした後となります)。

尚、ロゴはいつもの白では無く、さらにパールを重ねた3コートホワイトパールの仕様となっています。それだけに失敗(滲み)が生じた場合には取り返しがつかなくなるので、途中クリアーコートのみの塗装工程を入れておいた次第です。ロゴがピンクになったら最初からやり直しですからね・・・。

その後クリアーの暈し際を磨き処理したら完成となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

ちなみに今回ロゴに採用したホワイトパールですが、塗ってみて判ったのですが面積が小さい(線が細い)ので、普通に見てもパール感は殆ど判りません。

近くで見てようやくそれが判るといった感じです。ですのでこの面積で煌めき感をアピールするにはただのパールでは無くガラスフレークを使った方が良いかも知れません。

ちなみに今回塗装した「クリスタルレッド」(カラーコード:46V )とは別に、似た色で同社の「プレミアムレッド」(カラーコード:41V )があり、これについては「風」=キャンディーカラーをベースコート方式で行った事例は何度もあります。

Mitsubishi Lancer brembo Cnady Red

Mitsubishi Lancer brembo Cnady Red

Lancer EVO Engine Cover

Lancer Evolution Engine Cover

と思って調べていたら、以前既に「46V」のベースコート仕様=クリスタルレッド風で塗装した事例がありました!↓

Lancer Evolution Engine Cover

今回はキャンディーカラーもトップコートにした2コート仕様なので一応「初」となりましたから、既存の「クリスタルレッド風3コートキャンディー塗装」と比較できたのは良かったと思います。

ただSTANDOXから供給されるキャンディーカラーはトップコートに使える物のみなので(ハウスオブカラーでいうUKシリーズ)、ベースコート・トップコート両者に使える同社KKシリーズ(Kandy Koncentrate)のような物で販売してくれると助かるんですけどね。

ちなみにマイクのキャンディーレッド塗装に使っているのは同社ハウスオブカラーのKK11アップルレッドとなります。今回使っている赤より黄色味(オレンジ寄り)な感じですね。

テールランプに使っている物は違うメーカーの物で、少し青味(黒味)があるのが特徴です。耐候性を高めた為か塗れば塗る程色味が濃くなるのでその点に気を付けて塗る感じですね。

この度も当店をご利用頂きまして誠にありがとうございました!

SHURE BETA58Aマイク塗装(ピンク&ピンクゴールド)承ってます

先日到着しておりましたシュアBETA58ボーカルマイクです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

ご依頼内容はマイク本体(グリップ部)をパステルっぽいピンクに、グリルをピンクゴールド、クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーへの変更で承っています。

参考に以前施工した時の画像を紹介します。

グリルはこの時と同じようにピンクゴールド(3コートキャンディーカラー)に、マイク本体は上記の画像では白とピンクのグラデーションにガラスフレークを重ねていますが、今回はこちらをパステルピンクのべた塗りで行います。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

エアフィルター用遮熱板 本塗り

先日下準備を行っていたヤリス用のアルミ製エアフィルター用遮熱板2枚です。

元々黒かったのですがそちらの塗膜は剥離し、現状は黒アルマイトが残った状態となります。全体は#120で研磨足付け作業→リン酸処理を行っています。

まずはプライマーを塗布します。

吊るして塗る事も出来ますが、スプレーのし易さと全体の肌(膜厚)を均一に出来るよう、地面に対して水平の状態で塗装を行うようにしています。

ひっくり返して裏側も塗ります。

また結晶目の確認の為、事前にテストピース=今回は趣味で作っている色見本キーホルダーのパーツを塗ります。素材はアクリル樹脂なのでプラスチックプライマーを塗っています。

画像だと一枚ですがこれを2つ、それぞれコート数(膜厚)を変えて塗っていて、実際に熱を入れて結晶目を確認します。

問題無い事を確認したら、理想の仕上がりに近い方を参考に本番に挑んでいます。通常の艶あり仕上げと違って「熱を入れて初めて仕上がりが判る」というような塗装なので、本塗り前のシュミレーションは重要な作業となります。

そして本塗り完了です。お待たせしました!

ヘッドカバーのように凸凹している場合はある程度誤魔化しが効きますが、今回のようにフラットな面だと粗が非常に目立つので、全体が均一な膜厚になるようかなり意識して塗っています。塗装中は心拍数が異常に高くなっているのが判るので、いつか塗り終わった直後に心筋梗塞で倒れて誰にも発見されないまま死んでしまうのでは・・・と思っていたりします(なのでいずれスマートウォッチを購入しようかと)。

その後120℃程の熱を掛けて塗膜を硬化(熱重合)させます。

良い感じに結晶目が出てくれたと思います。

業者さんからのご依頼ではこちらの日記で紹介する事は無いのですが、先日お納めした新規でご依頼頂いたショップさんからのヘッドカバー結晶塗装では「すばらしい仕上がりですね。お客様に画像見せたところ驚いてました」とのお言葉も頂戴しました。

ちなみに上手く結晶目が出てくれなかった場合には、このまま溶剤槽に着けて塗膜を全て洗い流して一からやり直します。塗った直後(焼き付けた直後)なら比較的簡単に剥がせるのでそれが一番手っ取り早いです。精神的には相当やられますが…。

ちなみに今回は裏と表という概念がありませんので、両面どちらも美しい結晶目に仕上がるにようにしています。これがどれだけ大変か塗装屋さんなら判って頂けるかと…。

この面は元々結晶塗装にはせず「艶消し黒」とする予定でしたが、

メインのこちら側と同様、両面共しっかりとした結晶目に仕上がっているかと思います。

この後はもう一度恒温器で二度焼きを行いましたら改めて完成の紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!