CORSAIRパソコンケース 素地調整

corsair21市販されているパソコンケースの殆どは表面がザラザラとしたような塗装が施されていたり、プラスチックパーツは素地がザラザラとされているのですが、このまま塗っても美しい仕上がりにはなりませんのでそれぞれ下地処理が必要です。これらのは塗装する以上に大変なのでどうしても費用が大きくなってしまいます。パソコンケースの塗装もお問い合わせは多いのですが実際に御依頼にまで至らないのはこういった事が理由ですかね。同じ面積を塗るにしても車よりも余程大変です(まあその分作業場は狭くても大丈夫ですが)。

上のパーツはケースのサイドパネルで、面積としては一番大きいですが平面形状なのでエアーツールが使えますから作業はやり易いです。最初は#120でザラザラを削って#180で均し、フチは裏は#240~#320で足付け処理をします。

corsair17 手間が掛かるのはこういった複雑な形状の部品で、しかも今回は上の大きなパネルが2トーン配色となるので費用も増大しています。

corsair18 プラスチックパーツは表面がザラザラな上に射出成型時の歪みが出来ていますからそれらも修正しておきます。ただ素材がABSなので比較的ザクザクと削れますから切削性の悪いPA(ナイロン)やPP(ポリプロピレン)ほど大変ではありません。ただパソコンパーツに使われているABSは自動車部品のそれよりも耐溶剤性が弱い傾向にあるのでそのまま色を塗ろうとすると表面が強く侵されたり(チヂレて艶が引けます)、成型時の継ぎ目なのかクラック模様が入ったりします(多分ストレスクラッキングでしょうか)。非結晶性プラスチックへの塗装はこの辺が厄介ですかね。

corsair19 サフェーサー塗布後にも研磨は行いますが、この段階では粗い番手が使えるメリットがあるのでここで出来るだけ素地の修正(調整)をしておきます。

corsair20フロントパネルの蓋関係はプラスチックパーツにアルミ板が貼られていて、アルミ板にはヘアーライン加工が施されているのでこちらも削っておきます。ちなみにこの黒いのは塗装では無くアルマイト処理が施された物で、厳密には顔料では無く染料です。イメージとしてはアルミ表面に出来た気孔に染込ませてあるような感じですかね。ちゃんとしたアルマイト処理であれば塗装よりも耐蝕性は良いので(APレーシングキャリパーなどが良い例かと)、塗装屋としてはちょっと勿体無い気もしないでは無いのです。ただ美観となると話は別ですし、「ちゃんとした」が前提ですから、アルマイト処理も塗装も単にするだけでは駄目なんですけどね。

尚シャーシのパーツに関しては、正方形のパネル以外(長方形のパネル)は既存の塗膜が駄目な物だったので結局全部剥がす事にしました。現在剥離用溶剤槽に着け置きしてあります。

ではまた作業が進行しましたら紹介させて頂きますね。この辺が一番大変なところですので当面は下地処理が続くかと思います。もう少々御待ちくださいませ!