Mercedes Benz Engine Air Cleaner Box

benz369 以前ご依頼頂いたメルセデスベンツW124のエンジンエアークリーナーボックスです。本体を3コートキャンディーブルー、AMGプレートは黒ベースにSTANDOX MIX818のシルバー、スリーポインテッドスターもMIX818のシルバーに塗装しました。

benz30元は未塗装の梨地で、これにこのまま色を塗っても艶々にはなりませんので、まずは平滑な下地にする所からの作業となります。

スリーポインテッドスターは単なる嵌め込みでしたが中々抜け難く、傷付けないよう取り外すのが少々難儀でした。

benz291 まずは表面のザラザラとした梨地を#120~#240で研磨します。平らな所はダブルアクションサンダーを使い、その他は手研ぎで行います。細かい個所はさらにヘラを使って行い、とにかくこの後の下塗り塗料がよく食いつくよう表面に傷を付けておきます。

benz293 その後スコッチとウォッシュコンパウンドを使ってさらに細かい箇所の足付け処理をしつつ、脱脂洗浄も行います。シリコンオフで油分は取れますが、泥汚れなどは水溶性の洗浄が有効です。

benz298必要な個所をマスキングし、まずは全体に満遍なくプラスチックプライマーを塗布します。

benz301 続けて2液ウレタンサフェーサーを、十分に乾燥時間を置きながら5~6コート程塗り重ねます。

benz302 今回はエアークリーナーボックス以外の部品も大量にご依頼頂きました。

benz303 スリーポインテッドスターもザラザラな梨地なので表面を研磨し、「プラスチックプライマー塗布→サフェーサー塗布→完全硬化→研磨」の工程で平滑に仕上げます。

benz305 その後熱を入れてサフェーサーが硬化したら全体を研ぎ着けます。

benz307 最初から手研ぎでは時間が掛かり過ぎるので、平面はダブルアクションサンダー#320~#400を使って粗研ぎします。

benz308 さらにその後#600~#800の水研ぎで細部まで研ぎ出し、全体のペーパー目を均します。

benz326 ただしエアークリーナーボックスは思った以上に成型時の出来が悪く(しかしこれが梨地樹脂製品の一般的な仕上がりです)、そのままでは歪が目立ってしまうのでさらに修正する事にしました。

benz328軟化性のあるポリエステルパテを塗って平滑に研磨し、再度サフェーサーを塗って下地を作ります。

benz319 今回はキャンディーカラーのブルーをご指定頂きまして、塗料はハウスオブカラーの塗料を使いました(STANDOXの塗料に混ぜて使います)。

benz338 カラーベース(下色)にはシルバーでは無く、日産の純正色でもあるモンテレーブルー(カラーコード:B17)のブルーメタリックを使いました。画面下の青がそうです。

benz337また仕上がった時の色合いを確認する為、透明なアクリル板にキャンディーブルーのみを単色で塗りました。これを3種類作製しています。

benz391 カラーベース(下色)であるブルーメタリックのに、この透明な青=キャンディーブルーを重ねる事によって仕上がりの色味を確認します。

benz339実際に透明な色板をブルーメタリックの上に重ねてみました。

既存の色の上に透明な色を重ねる事によって通常の2コート塗装では表現出来ない鮮やかで深い青味を表現できます。

benz347 色が出来上がったらいよいよ本塗り開始です。隅々までよく脱脂をし、サフェーサーを塗っていない箇所には再びプラスチックプライマーを塗布します。

benz348 車体に装着されれば表側しか見えませんが、気分的に気持ちが悪いので裏側も一緒に塗っておきます。

benz352 まずはベースカラーとなるブルーメタリックを塗布します。これが日産純正色のモンテレーブルー(カラーコード:B17)のベースカラーです。

benz365 先ほどの塗膜の上に透明な青い塗装=キャンディーブルーの塗膜を重ね、さらにクリアーを塗って本塗り完了です。

カラーベースで3コート、キャンディーコートで4コート程、クリアーで2コートといった塗膜構成となっています。

benz285 AMGのプレートは別工程で作業しています。

benz345 こちらも一度では綺麗に仕上がりませんので、何回かの塗装工程を経て艶々に仕上げています。

benz368 付属品を組み付け、完成となります。画像の加工などは一切せず撮影してサイズを縮小しただけですが、普通のブルーメタリック(パール)とは色味が違うのが判ると思います。

benz370 パテ処理とサフェーサーの二度打ちのお陰で美しいラインに仕上がりました。

benz371 カーボン製の社外品などもあるかも知れませんが、純正品に拘る方は多いと思いますので、そういった点では塗装はお役に立てるかも知れません。

benz372尚、キャンディーカラーは通常の塗装に比べて褪色し易いので、クリアーには耐UV性の高いクリアー(クリスタルクリアー)を使用しています。

benz376その他の部品は同じくキャンデイーブルーとキャンディーオレンジに仕上げています。

benz378キャンディーカラーでは通常の2コートメタリック・パールでは出せない鮮やかな色味や深みを表現する事が出来ます。勿論手間も増えますので通常よりも費用は高く、また長い年月で見ると色褪せるというデメリットもあります。

benz377それぞれの塗色(塗装)については色見本も作成していて、現在紫外線に当てた暴露テストも行っていますが結果は良好です。そもそも紫外線に当たらないエンジンルームの中なので心配はしていませんが、念の為と言う事ですね。

W124エンジンルーム内パーツ塗装 完成

benz368 大変長らくお待たせしました!メルセデスベンツW124エンジンルーム内のパーツ塗装、本日完成となります。

benz369 こちらはエアークリーナーボックスで、エンジンルームのほぼ中央に鎮座するパーツです。今回の塗色はキャンディーブルーで承りました。最初の状態も紹介しますね。

benz30素材はPA(ポリアミド)で、素地の表面はザラザラとした梨地でしたが、「研磨→プライマー塗布→サフェーサー塗布→完全硬化→研磨」といった工程で表面を平滑に仕上げて艶々の仕上がりにしています。また一部には凹みみたいな歪みがあったのでパテも使いました(結果サフェーサーは二度打ちです)。

benz285エアークリーナーボックスに装着されるAMGのプレートは別部品で、元々は未塗装の樹脂素材に凸文字のみ少々色褪せたシルバーがプリントされていましたが、今回新たに凸文字の上面を多少金属っぽいシルバーにして、プレートもブラックで再塗装、全体を艶々の仕上げにしています。AMGプレートの作業工程についてはこちらをどうぞ。

benz371 取り付けは中央を両面テープで、両サイドは浮き上がりを防止する為にシーラー(接着剤風)で固定しておきました。本日見たところしっかりついていたので無事完成の運びとなりました。

benz372 キャンディーカラーは3層構造の塗膜となっていて、パールとは違った色の深みをよく感じられる塗装となっています。今回採用したキャンディーブルーに関してはこちらで紹介しておりますので宜しければどうぞご参照下さい。ちなみに当初は紫系を想定していました。

benz373 その他のパーツはこちらで、主にエアークリーナーボックスを囲むパーツは同じくブルー系、その他全体に散らばったボックスケースなどはキャンディーオレンジとなっています。この画像だと大人しく見えますが、実際はオレンジの方が凄く派手で変化も激しい色味となっています。

こちらも最初の状態を紹介しますね。

w12423一部は金属のパーツですが、殆どがプラスチック(ポリアミドばかり)となっています。何が一番大変かと言うとやはり下地作業ですかね。

benz376 キャンディーオレンジもブルーと同じく3層構造の塗膜ですが、こちらは下色に純粋なシルバーを使っているのでその分色変化も派手です。

ただこの場合は下色と中色(オレンジ)での色味(色相・明度)が極端に変わるのでムラになり易く、イビツな形をしたパーツでそれを抑えるのに結構苦労をしました。なので一般的には下色にもオレンジ系を塗るのが普通なんですよね。

キャンディーオレンジの色を決める作業についてはこちらで紹介していますのでよろしければどうぞ。

benz378前回ご依頼頂いたR129のインマニは今回と同じ様な色相のオレンジで、ただあちらはソリッドカラー(パールでもメタリックでも無い色)だったので印象は全く違うように感じられると思います。

オーナー様のブログでは前回の仕上がりについてのご感想なども頂いておりますので宜しければどうぞ! → Good old days ≡Last Samurai ≡

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度も当店をご利用頂き有難う御座いました!新年に間に合いそうで良かったです(笑)。

W124エンジンルーム内パーツ 組み付け

benz393 先日本塗りを終えていたメルセデスベンツW124のエンジンルーム内のパーツです。クリアーが完全硬化したので磨き処理を行い、外してあった部品を取り付けます。

benz367ちなみにエアークリーナーボックス中央に着くスリーポインテッドスターですが、若干ペーパー目が残っていた箇所があったので塗り直しました。使用した塗料が高輝度っぽいシルバーのMIX818だったので、やはりと言うか普通よりもペーパー傷を拾い易いみたいですね。

足付け処理をし、再度MIX818のシルバーで塗り直しました。

benz394 とりあえず小物の付属品取り付けは完了していて、後はエアークリーナーボックスに先ほどのスターと、後はどうしても反りが戻ってしまうAMGのプレートの貼り付けですね。

それにしても凄い色味をしていますが、これはキャンディーカラー特有ですので

どうぞもう少々お待ち下さいませ!

W124エンジンルーム内パーツ 本塗り

benz347 大変長らくお待たせしました!メルセデスベンツW124のエンジンルーム内の補機類パールはキャンディーカラーのオレンジ&ブルーで無事本塗り完了しております。

benz348 エアークリーナーボックスについては当初は表面のみの塗装を予定していたのですが、何とか一緒に塗れそうだったので裏側も塗る事にしました。ただサフェーサーは塗っていませんので梨地はそのまま残るような感じですかね。装着すれば見えない部分なので問題は無いと思います。

benz349 各パーツもザラザラだった表面は下地処理でツルツルにしておきました。

benz350 こちらはコンピューターボックスのカバーで、ただ何故かキャップが嵌まるような形になっているので(と言うかてっきりパワステオイルのケースか何かとずっと思っていました)、一応その部分には塗膜の厚みを付けないよう予め艶消し黒で塗っておきマスキングをしておきました。

benz351 ちなみにエアークリーナーボックスの中央に嵌まるスリーポインテッドスターはシルバーの塗装で、これは途中の段階で一旦ブースの外に出して最後にクリアーを一緒に塗ります。

benz352 今回の塗色は「3コートキャンディーカラー」で(2コートキャンディーと言うのもあります)、まずはベースカラーとなるブルーメタリック(パール)を塗布します。ベースとしたのは日産のB17なる色で、ただ使われている原色の一部(MIX853)が廃盤になっていたのでその点は置き換えて変更してあります(MIX859に)。

ちなみにSTANDOXのサイトで見るとこの色は普通の2コートカラーのデータしか無かったので、今後の為に今回使った配合データと共に色見本を残しておこうと思います。先日社外記で紹介したフェラーリの鍵に塗ったビアンコフジ/イタリアの色見本みたいな感じですね。

benz353 その他のパーツもまず一旦全てこの普通のブルーメタリックに塗装します。アメジスト系のパールも入っていたりと、単体で見ても結構綺麗な色なんですけどね。

ちなみに今回のキャンディーブルーに関しては、同じSTANDOXユーザーの方から情報や励ましのお言葉を頂戴しまして、この場を借りてお礼申し上げます。お互い精進していきましょう!

benz354 そしてキャンディーオレンジの方のベースカラーです。こちらは粗めのシルバーで、ただその原色(MIX598)だと全く隠蔽が無いので、最初に適当なシルバーを塗ってその後にMIX818(今回AMGのプレートの文字に塗っている色とスターに塗るシルバー原色です)、そして最後に粗めのメタリックを塗っています。尚、先日紹介したダースベイダーの色見本もこれと同じ方法でやっています。

benz355 同じくその他のパーツもシルバーを塗っていきます。まずこの工程でベースコートは3コートです。

benz356 ちなみに各配色については事前に仕様書を作成し、このままオーナー様にもご確認頂いていますので多分間違いようが無いと思います。

benz357 そしてベースコートのキャンディーブルーを塗布し、続けてクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

最初の画像と見比べてもそうですが、普通のブルーメタリックパールとは全然違うのが判ると思います。勿論画像処理などはしておらず撮ったそのままです(サイズの縮小はしています)。

benz358塗膜の構成としては、

・NISSAN B17(オートカラー見本帳の3コート仕様データ)のベースカラーを3コートで完全隠蔽

・ベースコート仕様のキャンディーブルーを3コート

・クリアーを2コート(一部3コート)

となっています。

今回は下色にある程度しっかりとしたブルーメタリック(パール)を塗る事で、シルバーに直接キャンディーカラーを塗るよりかはその塗膜は半分で済んでいますから、今後キャンディーブルーが褪色するにしてもそのスピードは半分で済むと言う算段です。

benz359 画像で見ても美しいですが、実物は如何にもキャンディカラーと言う色らしく、深みや発色は普通の色とは全然違います。

benz361キャンディーオレンジは暖色系の色と言う事もあってその鮮やかさはとにかく凄いです。

benz360 この画像だと比較的大人しく見えますが実際は凄い派手です。

キャンディーオレンジの塗膜構成としては、

・適当なシルバー(何かで余った物)→MIX818→MIX598で合計3コート

・ベースコート仕様のキャンディーオレンジを5~6コート(硬化剤を5~10%添加)

・クリアーを2コート(一部3コート)

となっています。

benz362 ちなみにキャンディーカラーでネックとなるのが「色が入り難い部分」で色が薄くなってしまう事で、それの対策としては通常のスプレーガン(今回のキャンディーオレンジはIWATAの1.0を使用)とは別に、口径0.3mmのエアーブラシも使って塗っています。全体にキャンディーカラーを1コート塗る度に、谷のプレスライン全てをエアーブラシで拾っていくと言う作業で全体的に均一なキャンディーカラーに仕上げていると言う訳です。自分でやっていて気持ちが悪くなりましたよ(笑)。

benz363 最初にシルバーで塗っておいたスリーポインテッドスターも最後に合流し一緒にクリアーを塗りました。

benz364 キャンディーカラーの特徴としては角度が付いていくに連れて色が濃くなっていくことで、今回の場合は正面は鮮やかな明るいブルーなのに側面は藍色のように見えます。

benz365 さらに照明を落として見てみるとこんな感じで、見る角度によって色自体のコントラストが変化しているのが判ると思います。通常暗くなれば彩度も落ちて見えますが、この場合は彩度はそのままで明度だけが変化しているって感じですかね。

benz366同じくサイドカバーもこんな感じです。

ちなみに各パーツ(特にブルー系)はエンジンルーム内では隣接して装着されるので、それぞれの部品が色ブレしないようにも気をつけています。スモーク塗装と同じく塗料中の着色成分はコート毎に含有量を変えているので、途中で色が無くならない様に注意しつつ塗り方(膜厚)も同じ様になるようにしています。まあ塗装の基本なのでそんな偉そうに言う事でも無いのですが(苦笑)。

この後熱を入れて完全硬化させ、磨き処理を行った後に外したパーツを組み付けて完成予定となります。完成予定としては年末、もしかしたら年明けになるかも知れませんが、オーナー様曰く年中無休らしいとの事ですので(笑)、お正月早々に到着と言うことになるかも知れません。

ちなみに当店は12月28日~1月6日までが休日予定で、ただ多分その半分は普通に出勤していると思いますので発送業務はほぼ通常通り対応出来ると思います。

それでは完成までもう少々お待ち下さいませ!

W124エンジンルーム内パーツ AMGプレート本塗り

benz340 先日パテを盛ってサフェーサーを塗っておいたエアークリーナーボックスのサフェ研ぎを行います。またうっかり洗浄槽に入れっぱなしだったコンピューターボックスの蓋も同じくサフェーサーを研いでおきました。

benz341 そしてエアークリーナーボックスに貼り付けられるAMGの樹脂性プレートですが、あれだけ曲がりを修正したにも関わらずまた反り返っていたのでさらにしつこく、逆の山なりになるくらいに曲げ返しておきました。

benz342AMGのプレートは文字の部分となるシルバーは先日塗ってあるので、次はいよいよベース部分となる黒を塗る事にします。ちなみにクリアーも塗ってあって、全体的に再足付け処理も完了してあります。

benz343 ベースコートの黒はプレート全体に塗るようにして、その後十分に乾燥をさせたら上の画像のように周りをマスキングして「凸文字天面」の黒を剥がします。剥がすと言うよりかは拭き取って削るといった感じですかね。

benz344 コツとしては最初はシンナーを使ってベースコートの黒を拭き取り(ただし周りに落ちるとアウトです)、残った膜をペーパーで削り落とすといった感じです。

benz345全体に削りカスなどが無い事を確認したらクリアーを塗って本塗り完了です。

次はいよいよ本体の塗装ですね。早ければ週末辺りに、遅くても来週半ばまでには本塗り予定です。どうぞもう少々お待ち下さいませ!