コペン コーナーセンサー&ドルフィンカメラ 本塗り

先日お預かりしておりましたダイハツ純正コペン用コーナーガイドセンサーと、Data System社のドルフィンアイカメラのカバーです。

マスキング用のデータは以前作成した物があったのですが、今回も新たにいくつかのデータも作成する事にしました。

最初の頃はゴム部分だけをマスキングして一度に塗っていたのですが、

その後内側と外側を別に塗った方が綺麗に仕上がるという事で、また今回はそれぞれのデータと、さらに0.2mm小さくした物も作成しています。以前ロジクールのマウスで「G」のロゴをクリアー抜きにした時と同じような方法ですね。

色の配合データをプリントアウトし、この様な感じで作業着手するまで保管しておきます。

そして後日タイミングが来たので作業を開始しました。まずは表面を#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)で研磨します。

研磨紙(研磨布)やスコッチ等ではゴム付近の細かい隙間に届かない為、ナイロンブラシとウォッシュコンパウンド(液状研磨剤)を使って足付け処理を行います。

その後台にセットし、

よく脱脂清掃し、エアーブローで埃を飛ばします。

カメラのカバーには元々艶消し黒の塗装が施されていますが、フチや断面などでプラスチック素地が露出している箇所があるかも知れないので、一応こちらにもプラスチックプライマーを塗布しておきます。

ソナーはまず外側からで、まず最初にプラスチックプライマーを塗布します。

色はダイハツ純正色の「パールホワイトⅢ」(カラーコード:W24)を御指定頂いておりまして、こちらは3コート仕様となるので、カラーベース(下側)と、パールベース(上側)のそれぞれ2種類を作成しています。

まずはカラーベースを塗布します。

この後マスキングを剥がすとフチがガタガタしている箇所もあるので、

もう一度新しくマスキングを貼り直し、

細部を修正します。

尚、この時点ではパールベースはまだ塗りません。

続けて内側の塗装となります。こちらは金属と思われる素材の上に艶消しの黒が塗ってあります。

外側と同じ様に一回では綺麗に仕上がらないので、マスキングを剥がしては新しい物に貼り直し、細部を修正しています。塗装屋さんなら判ると思いますが、普通にマスキングをして塗るだけではこのようには仕上がりません(一度に塗ろうとするとフチがガタガタになります)。

カラーベースが完了したら、

次のパールベースの為にマスキングを行います。

パールは塗り方で色味が変わってしまう為、内側と外側を一緒に塗る事としています。またこの際には最初に作ったデータより0.2mm小さい(薄い)マスキングシートに変更しています。ベースカラーをパールカラーがしっかり覆うようにですね。

パールベースを塗り、

ここでも一旦マスキングを剥がします。

再度新たにマスキングを貼り直したら、

最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

画像ではマスキングシートが貼ってありませんが、これはクリアーを塗った直後に剥がしているからです。

クリアーを塗った直後にマスキングシートを剥がす事で、ぶつ切りをした断面が滑らかになるようにしています。

自動車の車体でそれをやろうとするのはかなり難しいですが(マスキングシートが塗装面に触れたり落下させたりしたら塗り直し確定になる為)、小物の場合は手で持ってしっかり保持出来る事、また上下を逆さまにした状態で行う事で比較的安全に剥がす事が出来ます(しかしそれでもリスクはかなり高いのですが…)。

カメラカバーも同じように塗装していて、

プラスチックプライマー→カラーベース→パールベース、

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ブレンボブレーキキャリパー塗装 完成

大変お待たせしました!先日本塗りを行っていたブレンボキャリパー一式の塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介します。

元々はこのような状態だった物を、

ブレーキ屋さんにてオーバーホールとサンドブラスト処理を行い、

改めてシルバーの塗装を施しました。

シルバーはVW社のリフレックスシルバー(LA7W)を、

ロゴにはフェラーリのロッソコルサ(カラーコード:300)を採用しています。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

車体取り付け面は塗膜が厚くならないよう、プライマーとベースコートの黒を薄膜の塗装で仕上げています。

この日の撮影はホワイトバランスの青味が強かったので、

キャリパーでは珍しくストロボを使った撮影もしてみました。

実際の色味はこちらの方が実物に近くなります。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

レンジローバーリヤゲートモール 本塗り

先日お預かりしておりましたランドローバー レンジローバーリヤゲートモールです。

こちらの製品は恐らくメッキの上に艶消しクリアーが塗られた状態で、よく見ると表面にゴミが混入しているのが判ります。#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)で足付け処理をしています。

まずはベースコートを塗布します。

色は事前にお貸出しした色見本の中から、アルファロメオ「GRIGIO TOURING/TITANIO 」(カラーコード:585A)を選んで頂いての採用となります(色見本上だと「フィアット」になっていますが、実はアルファロメオの色となります)。

ベースコートは3コート程で、しっかり乾燥させたら、

最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

クリアーは2コートで、一回目を60%くらいの力で、2回目を70%~90%といった感じで塗っています。

勿論全体を100%の力で塗れればそれが理想的なのですが、そうするとワンミスで失敗=場合によっては塗り直しとなるので、人間の力としては中々難しいと思います。が、いずれ3Dスキャンで形状を立体的に読み込み、その日の気温や湿度、塗料の粘度やエアー圧等までをAIが最適化して、機械による完璧な塗装が出来る日も来るかも知れませんね。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

BNR32 Timing Belt Cover RB26→RB28

スカイラインR32 GT-Rの純正アルミ製タイミングベルトカバーです。

元々エンジンパーツ一式がオレンジに塗装してあって、

今回はこちらの「RB26」ので小文字を「RB28」への変更で承りました。

既存の塗膜はあまり密着していないように見受けられる為、こちらも一旦全部剥がして塗り直しとします。その他の最初の状態はこちらのページでご覧いただけます。

他のエンジンパーツはそのままとなりますので、既存の塗膜を剥がす前に元のオレンジを再現出来るよう調色作業を行って塗料を作成しておきます。

STANDOXの原色ではここまで鮮やかな色を再現する事が難しいと考え、下地に白を塗り、それを透かすようにして鮮やかなオレンジを表現しています。

調色作業について詳しくはこちらのページで紹介していますので宜しければご参照くださいませ。

裏側も剥がして塗り直す為、フチに塗ってあるシーラーを綺麗に剥がします。

その後溶剤層に浸け置きをして旧塗膜を剥がします。

その後平らな面をダブルアクションサンダーで均し、

サンドブラスト処理を行いました。詳しい内容はこちらのページで紹介しております。

そして「6」の部分を削り落とします。

 

「8」はアルミ板からカットした物を使用します。

リン酸を使った化成処理を行い、

構造用エポキシ接着剤を使って貼り付けます。

位置がずれないよう固定し、

熱を掛けて硬化させます。

熱が下がらない内にはみ出た接着剤を削り落としておきます(冷えると固くなって歯が立ちません)。その他詳しい内容はこちらのページでも紹介しております。

その後プライマーを塗装し、

サーフェサーを塗って熱を掛けて塗膜を硬化させます。

サフェを研いでラインを整えます。

最終#800でペーパー目を均します。

台にセットし、いよいよ本塗り開始です。

まずは裏側にベースコートの黒を塗布します。

続けて表面に調色したオレンジを塗布します。

RB28の凸文字部を研磨してアルミ地を光らせ、

クリアーを塗って本塗り完了です。

↓塗り終わった直後の動画です。

本塗についての内容はこちらのページで紹介しています。

最後に切り取っておいたシーラーを元の通りに貼り付けて完成です。

その他の画像はこちらのページで紹介しています。

↓完成時の動画も撮影しています。宜しければご参照くださいませ。

↓その後オーナー様の」SNSでも紹介して頂きました。

スマートフューエルリッド&フリードメッキモール サフェ入れ

先日お預かりしておりましたスマートのフューエルリッドです。

もう一個の方は艶々の塗装が施されているので軽い下地処理(研磨・足付け処理)でそのまま上塗りが出来ますが、こちらはザラザラとした梨地の為、「研磨→プライマー塗布→サーフェサー塗布→完全硬化→研磨」といった工程で平滑な下地をつくる必要があります。

表面をダブルアクションサンダー#120~#180で研磨し、フチや凸凹部分は#180→#240の手研ぎで、さらに裏側は#320相当の布状研磨副資材で足付け処理を行っています。上塗りだけでなく、パテやサフェ、接着剤を塗布する面には足付け処理が必須となります。

よく脱脂清掃し、裏側にサフェが飛ばないよう(飛んでも構わないのですが研ぐのにも手間が掛かる為)マスキングをします。フチはピッタリ貼るのではなく、少し浮かした状態でボカシが出来るような感じですね。

プラスチックプライマーを塗る前には念の為ガスプライマーも塗っておきます。ガスプライマーを使う場合はPP(ポリプロピレン)やPA(ポリアミド)等、塗料が密着し難い樹脂の場合で、元々は「足付け処理無しでくっ付く!」というのがうたい文句でしたが、余り信用しきれない所があるので結局どちらも行う事になり、「便利な物が新製品が出る度にさらに余計に時間が掛かる」という状態になっています。雇われの身だったら一番最初に首になるパターンですね(実際勤め人の時にボーナスが同僚の半分になっていてビックリしました。笑)。

サーフェサーは5~6コート程塗っています。先ほど紹介したRAV4のパーツより梨地の凸凹が大きいのと、PPのようなオレフィン系は研磨した際に表面が毛羽立つ傾向にあり、それを埋める為です。

ちなみにその毛羽立ちは水研ぎやドライヤーの熱で抑える事も出来るのですが、それが返って塗料の密着性を高められると考えているので(木の根っこのようなもの)、敢えて残すようにしています。アンカー効果の期待ですね。

フチにサフェが溜まって固まらないよう、マスキングを剥がしておきます。

フチまでしっかり塗りつつ、裏側には無駄に飛散させないようにしています。

そしてこちらはホンダフリードGB5の純正フロントグリルメッキモールです。

うっかり撮影し忘れたのですが、こちらは先ほどのRAV4の外装パーツやフューエルリッドとは違うプライマーを使用しています。以前ご依頼頂いたリヤメッキガーニッシュと同じ方法ですね。

メッキの場合と同様、裏側にも回り込んでしっかり塗っています。メッキの上に色が乗っても密着せずペリペリと剥がれるのが嫌だからですね(その他両面テープ等を貼ると塗膜と一緒に剥がれたりもします)。

メッキパーツはラインが出ているのでサフェは薄くで構わないのですが、フチに段差があったりする場合、サフェを研いでいる時点で下地を露出してしまう恐れがありますから、そうならないよう余分に塗ってあります。プライマーを3コート、サフェを4コートといった感じでしょうか。

この後は一晩以上自然乾燥させ(塗膜中の溶剤をゆっくり排出させる為)、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!