アウディTT樹脂製エンジンカバー 下準備

 先日2トーンカラーの結晶塗装で御依頼を頂いておりましたアウディTT用の樹脂製エンジンカバーです。

 TFSIの文字はシルバーに塗り直す為、マスキング型を作製します。またこのままだと如何にもプラスチックの成形品といった感がありますので、削ってシャープに整えます。

 紙がズレないようテープで固定し、鉛筆の芯を当てて輪郭を抽出します。

 それをスキャナーで読み込み、画像加工ソフト(Illustrator)でベクトルデータを作製します。当然ですがスキャンしてそのまま使えるという訳ではありません。

さらに今回は結晶塗装の前に文字を塗る為、少し大きめに覆えるよう元の輪郭線から0.5mm程オフセットしました。

 それをカッティングプロッターでカットし、凸文字に仮貼りします。

 こんな感じで庇状に少し食み出た感じになります。良さそうなので本番用のもカットしておきます。

 フォーリングスのエンブレムが嵌る周りにはガムテープの糊か瞬間接着剤が付着したような跡があったので、それらはペーパーで削り落としておきました。弾力性のある物が着いているとそこだけサンドブラストが効かず(柔らかい物には効果が弱いのです)凸凹になってそのまま跡が残ってしまうからです。

 全体にサンドブラストを当てて足付け処理が完了です。結晶塗料にも使われている焼き付け型塗料は最初は密着性が良いのですが、それに頼って下地処理を疎かにすると数年後に全部剥がれてしまったりするので注意が必要です。

その後水洗いをして良く清掃しておきます。今回の樹脂材であるPA(ポリアミド)は吸水性が高く、また表面はサンドブラストで激しく毛羽立っているので水分が飛び難い為、この後は時間を掛けて十分に乾燥させておきます。

その間に凸文字をペーパーで削っておきました。凸文字の中は中空なので削り過ぎると穴が開いてしまうのですが(途中で気が付いて恐ろしくなりました・・・)、いつも通り#120→#180→#240→#320→#400と空研ぎを行い、#600→#800の水研ぎで均してあります。最初に比べると大分シャープになったのが判ると思います。

この後凸文字の天面をシルバーで塗装し、先ほど作成したマスキングテープを貼って結晶塗装を行う、と言う寸法です。他には以前行ったロータスの樹脂製エンジンカバーのように、型を作って後から凸文字部を塗るという方法もありますが、大変過ぎるのでそのような事は誰もしないのが普通です。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!