AUDIXマイク ファイアーパターン 本塗り

先日お預かりしておりましたAUDIXのボーカルマイクOM11(右)と、SM58をベースに以前当店で作成しておいた色見本用のマイク(左)です。

左のSM58のマイクに比べると、今回ご依頼頂いた右側のOM11の方が長い為、これに合わせてファイアーパターンのデータを修正しました。

右が既存のSM58用で、それの縦幅を15mm伸ばしたのが左側のパターンです。横幅はそのままとしています。

それを利用してマスキングシートをカットしました。

が、PP(ポリプロピレン)製のこのシートはコシが強いので、今回のマイクだと途中にある段差でマスキングが浮いてしまいますから、

今回は2パターン共、通常の和紙タイプのマスキングシート(テープ)を利用する事にしました。カットにはレーザー加工機を使っています。

ただ以前のデータでカットすると台紙も一緒に切ってしまったので、出力を調整します。気温で変わるのでその辺もしっかりデータに残しておかないと駄目そうですね。

微調整をして上のマスキングテープだけをカット出来ました。

それぞれ二枚作りました。

マイク本体は#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)で研磨し、グリルボールはナイロンブラシとウォッシュコンパウンドで足付け処理を行っています。

まずは下色となる粗目のシルバーを塗布します。

グリルボールは黒のベタ塗りだったのですが、勢い余ってそちらもシルバーに塗ってしまいまして、ただこの後黒に塗り直しますのでごご安心下さいませ。

そしてファイアーパターンのマスキングです。予めカットしておいたマスキングシートに、転写用のフィルムを貼り付け、

それをマイク本体に貼り付けます。まずは一つ目です。

この段差部分が鬼門で、コシのあるPP製のマスキングシートだとここで浮いてしまいますから、今回は2パターン共和紙タイプのマスキングシート(テープ)で作成しました。

ただそれを二枚重ねると判り難いので、本来であればそれぞれを別けたかったのです。

「違う色のマスキングテープを使えば良いんじゃ?」と思うかも知れませんが、150mm幅のマスキングテープは特注で作って貰っている物なのでそうもいかないんですよね。

再び台にセットし、

ベースコートの黒を塗布します。グリルボールも黒に塗り直しておきました。

上に重ねたファイアーパターンを剥がし、

さらに薄っすら黒を塗り、もう一枚のファイアーパターンも剥がします。

今回はシルバーの部分を残しつつ、「青」のみのグラデーションで承っておりますので、左側のKK-13 BURPLEを使用します。

尚、こちらの透過性の青はHOUSE OF KOLOR社の顔料(または染料)で、これ単体では塗料として使えませんが、STANDOXのバインダー(樹脂分)に入れる事でキャンディーカラーとして使う事が出来ます(これとは違うUKシリーズは予め樹脂が入ってしまっているのでNGで、どうなるかと言うとクリアーだけが剥がれる層間剥離をお起こします)。

シルバーの部分を残しつつ、青をグラデーションさせます。

そしてクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

ただし今回の塗装ではマスキングの段差が結構大きく出てしまていますので、完全硬化後にこれを研いで均し、もう一度クリアーを塗る事にします。

良く見ると肌が変な風に見えるのはこの塗り分けによる段差が出来ている為で、この後の磨き処理である程度均す事も出来なくはないのですが、下地が出てしまうとかなり面倒な事になる事、他のご依頼品と一緒に塗ればそんなに手間では無いのでそうしようと思います。

グリルボールはこちらで完了ですので、熱を入れた後は本体が終わるまで保管しておくようにします。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!