カメラパーツ 調色&艶調整

先日お預かりしておりましたカメラパーツです。

今回は調色と、艶調整の作業も承っていますので、塗膜を剥離する前にそれらを行います。

ちなみに艶具合については以前に色見本を作製していて、

まずはこちらを参考にしてスタート地点を決めるようにします。

今回の場合だとこちらの「艶消し」:「半艶」=1:1の混合率の物が近い感じで、これを参考に3種類の艶具合を調整する事にします。

ちなみに上の画像の色見本では、左側の車型の色見本とカメラのパーツを比べると後者の方が艶が無い感じで、その右側のプレートとカメラパーツを比べると後者の方が艶があるように見えますが、「左側と右側の艶具合は同じ」となります。全然違って見えますがこれは「曲面」か「平面」かの違いで、それだけでここまで艶具合が違って見えるのです。不思議ですよね。

と言う訳で、まずは調色作業から始めます。

まずは原色の黒からスタートしてみると、カメラパーツの色はそれよりも白味=グレー寄りなのが判りました。

また艶のない状態のまま見ても色味は判りませんので、艶出し剤=当店の場合はスプレーガンにシリコンオフを入れてスプレーして確認するようにしています。市販の缶スプレータイプの艶出し剤(同じく揮発速度の遅いシリコンオフ)の方が便利なのですが、余り使う機会が無い当店だと中のガスだけ先に無くなってしまうので少々面倒ですがスプレーガンを使うようにしています。

調色には専用のライトを使います。当時10万円くらいで買ったインバータータイプの物ですが、今はLEDとかになっているのでしょうか。

シンナーで希釈した白を数滴ずつ入れてその都度乾燥→艶を出して色味を確認してを繰り返します。

調色が終わったら今度は艶調整の作業となります。といってもこちらは塗りながら艶の具合を変えられる訳ではないので、予め艶具合が変わる配合にしたクリアーを用意し、それぞれを塗って確認する方法となります。本塗り同様の作業なので手間と時間も相応に掛かります。

また艶具合は本塗り時の環境(膜厚等)によっても変わる為、塗装条件もそれに合わせて行います。今回は被塗物が小さいと言う事もあり、肌目が出にくいようスプレーガンタイプのエアーブラシ、IWATA HP-G5(口径0.5mm)を使います。霧が微粒子化されるので肌理の細かい塗り肌を目指します。

最初にあった色見本と同様、曲面と平面それぞれ同じ仕様で塗った物を3種類作成します。

缶スプレーのような1液ラッカーの艶消しクリアーなら塗って直ぐに艶具合が判るのですが、今回のような主剤と硬化剤を混ぜる2液ウレタン系の艶消しクリアーの場合は数時間掛けて艶が消えていくような感じなので、先に条件を決めて本塗り同様に塗装→完全硬化してから艶具合の確認といった方法となります。

また塗って直ぐに熱を掛けたりしても艶具合が変わるので(安定しないので)、とにかく直ぐには艶の確認が出来ないといったもどかしさがあります。

その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させたら、艶具合を確認する前に予め作成しておいたシールを貼り付けます。

今回は、K9140(半艶):K99150(艶消し)を、

・「1:1」

・「1:1.5」

・「1:2」

の3種類作成しました。

その中で最も近かったのがこちらの「1:2」 =「半艶1:艶消し2」の配合率となります。これにハードナーが重量比で27%、シンナーが18%入ります。

上の画像で見るとやはり左側=曲面の色見本の方が艶があり、右側=平面の方が艶が無いのが判るかと思います。ただしこれらは同じ艶具合です。艶具合どころか色自体も違って見えるのが特徴です(艶が無いと白=グレー寄りに見えます)。

ここまで厳密に管理しても塗り方ひとつで艶具合は変わってしまったりするので、とにかく事前に出来るだけの事をやっておく必要があります。

こちらのデータに未記載な物としては、


・ハードナー:VOC20-25

・シンナー:2K 10-20 18%

・温度:12℃

・湿度:50%


といった感じです。後で書き足しておきますね。

ちなみにここまでやっても艶具合は塗る環境で変わり、例えばベースコートの膜厚や肌によっても影響されるので、実際には「一旦艶あり」で仕上げ、その後再び足付け処理を行って艶消しクリアーだけを塗るのが正解だったりします。小物の塗装で厳密にそこまでは不要かも知れませんが、自動車車体の補修塗装=ベースコートを塗る部分と塗らない部分(暈し箇所)で艶具合が変わってしまう筈なので、以前頂いた自動車塗装屋さんからの質問には「私だったら一旦艶ありで仕上げた後に調整した艶消しクリアーのみで塗ると思います」と回答しておきました。面倒ですが後日また塗る機会があった時には絶対助かると思うんですよね。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

Z33ブレンボキャリパー塗装 完成

大変お待たせしました!先日本塗りを終えていた日産Z33用ブレンボキャリパーの塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介します。

元々はこの様な状態だった物に、

日産KADの艶消し仕様で塗装を施しました。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

ロゴのサイズは元と同じで、

フロントが80ミリ、

リヤが40ミリとなります。

ロゴの色はSTANDOX MIX571=原色の黒そのままとなります。

今回は塗装とは別にオーバーホールも行いました。尚、サンドブラストとOHにつきましては外部の方への委託作業となります。

部品はお持ち込みで、ブーツ・シール・ブリーダーバルブキャップ(ゴム)を交換し、その他(ピストン等)は再利用しています。

ボルト&ステー取り付け部やガスケット当たり面、パッド固定ピンを通す穴の内側は塗膜の厚みをつけないようプライマー&ベースコートの黒のみを薄膜で塗装しています。

ブレンボを塗る際には一旦全部の塗膜を剥がしてしますが、既存の塗装に問題が無ければ無理に剥がす必要はありません。自動車ボディ=例えばボンネットを塗装する場合、全部剥がしてから塗るなんて事はまずありません。3回の塗装でも上から塗り重ねていくのが通常の方法で、それによって何か問題が起きるという事もありません。問題が起きるとしたら作業の方法自体で何か間違えているという事になります。

ただブレンボキャリパーの場合、元々塗られている塗装(新品時の塗装)に問題があって、よく見受けられるのがベースカラー(今回の場合だとゴールド色)とトップコート(クリアー)との密着性が低く起こる層間剥離で、この場合一部で剥離が起きているだけでも「全て剥がれる可能性がある」という事になるので、こういった場合では全部剥がしてから塗り直す必要があります。キャリパー以外の新車時塗膜では、トヨタのホワイトパールクリスタルシャイン(カラーコード:070)などは新車時から下地と上塗りとの間で密着性が低く、経年でペリペリと剥がれたりするのは有名な話ですよね。なのでブレンボキャリパーの場合はほぼ100%剥離を行ってから塗装を行うようにしています。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

TE27サイドガーニッシュカバー 下準備

先日調色作業を終えているトヨタTE27フロントサイドガーニッシュのカバーパネルです。別色のフロントグリルロアモールとサイドガーニッシュは数日前に本塗りを終えていますので、続けてこちらの塗装の準備を行います。

塗り分けも元の通りで承っていますので、マスキング用のシートを作製します。

大量生産であればマスク型を作って簡単に塗り分け塗装が出来ますが、一個(実際には12か所)の為に数十万~数百万円のコストを掛けるのは現実的では無いので、この辺は手作業で行うしかないですね。

それぞれ6か所の輪郭を写し、

サイズを測って、

ベクターデータ化します。

実はここまでの作業はそんなに大変では無く、これから各部を修正するのに膨大な手間と時間が掛かります。型合わせは実際にカットしてそれを貼り、細部を修正→再びカットして貼るを一か所で2時間~3時間、しかも途中で発覚したのですが左右で微妙に形が違う!現代のようにデータから金型を作って製造している訳では無いようで、となるとこれ専用のマスキングシートを合計12か所、一か所3時間としてデータを作るだけで36時間掛かってしまうという計算です。

一般労働で考えるとこれだけで5日間、ブラック労働が可能な個人事業者でも丸々2日は掛かってしまうので、こうなると現実的ではありません。

と言う訳で今回はマスキングシートでは無く「マスキングテープ」をカットして使う事にしました。

マスキングシートはPP=ポリプロピレン製で見切りがシャープに仕上がるのが特徴ですが、厚みがあるので重ね張りに適していません。テープとテープを重ねた際に微妙に隙間が出来たり浮いたりするので「一枚物」で作るのが理想となります。

分かり易いよう、以前施工した時の内容を紹介しますね。

この時のインプレッサボンネットダクトカバーは、メッシュ部分を塗装しない(樹脂素地のまま)にする必要があった為、

この谷のラインに合わせたマスキングシートを作製しました。これも中々の地獄だったのですが、現代のパーツは左右で形が対象になっている場合が殆どなので(金型をデータから作成している為)、マスキング用のデータも片側のみ作ってそれを判定すれば済むので2箇所のみでOKなのが特徴です。

ただこのマスキングシートはコシが強く厚みもあるので上記のように一枚物で作る必要があり、重ね張りには適していません。

と言う訳で、今回は基となるデータは一つだけで、それをマスキングシートでは無く「マスキングテープ」をカットして、被塗物の形状に合わせて貼っていく方式にしようと思います。予めカーブの形にあった幅1ミリのマスキングテープを貼っていくような感じですね。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

フォレスター上下グリルベース 本塗り

先日下準備を行っておいたフォレスターSJフロントグリルです。メッキモールは先に本塗りを終えています。

全体的に#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)で処理していて、さらに細部をナイロンブラシとウォッシュコンパウンド(液状研磨剤)で足付け作業を行ないます。

素材はABSなので塗料との相性は良く、

むしろ足付け処理すら不要でそのまま塗られている場合も多いようですが、

この先数十年変わらない(剥がれない)塗膜になって欲しいので当店ではABS樹脂でも足付け処理を行っています。ちなみに知り合いの水圧転写屋さんは完全に足付け処理無しでそのまま塗っちゃうとの事でした。ちなみに新車時の内装パーツなどの塗装済みパーツも大ABS樹脂で、理由は先述した通りですね(足付け処理無しでそのまま塗っています)。

また念のためプラスチックプライマーも塗布しておきます。これもABS樹脂だと不要論がありますが、塗って悪い事は無いので(コスト高以外は)こちらも通常の樹脂素材と同じようにしています。

フロントグリルのフィンは表側からだけだと奥まで塗れないので、逆側(裏側)からも塗れるようスペースを広くした固定方法にしています。

まずはベースコート=黒を塗布します。

黒はスタンドックス原色MIX571そのままとなります(シンナーで希釈はしています)。

艶消し・半艶仕上げは塗装後の磨き処理が出来ないので、極力ゴミが付かないよう事前に高圧洗浄機を使ってブース内の壁や床などを清掃しています。

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

クリアーはスバルエンブレムとフォグカバーを塗った時と同様、艶消しクリアーと半艶クリアー=STANDOX K9140とK9150を1:1で混合、ハードナー 27%、シンナー18%の割合としました。規定ではシンナーは9%となっていますが、肌目を出さないよう希釈率を倍にしています。

塗った時は通常のクリアーと同様艶がありますが、

時間の経過と共にクリアー中に含まれた顔料(恐らくはシリカゲル)が表面に現れ、

数時間すると艶が消えています。

半艶そのままだと艶があり過ぎて、逆に艶消しそのままだと艶が足りないので、それぞれを半分ずつ混ぜて使っています。これは独自の方法と言う訳ではなくSTANDOXのマニュアルにもある方法で、今回の場合だと「グロスレベル60°測定角でML3 16-25 GU」といった感じですね。

以前車体を塗っていた頃は一つ一つの作業で塗装カルテ的な物を作っていたのですが、台辺り単価が10分の1以下程度になった小物塗装でそれをやると採算が合わないどころか会社が傾いてしまうので、それの代わりとしてこちらのブログを利用しています。先に塗ったパーツと後からご依頼頂いた物で色や艶具合が変わると格好悪いですから、その辺をメモ代わりに使う感じですね。

以前塗装したスバルエンブレムは現在もお預かり保管中ですので、完成時にこちらに取り付けます。

エンブレム下の凸部天面は凸凹した梨地を研磨して平滑にしておいたのでツルっと仕上がっています。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。取り外した部品(クッションシール等)が多いので少し時間が掛かるかと思いますが今しばらくお待ちくださいませ!

カメラパーツ塗装承ってます

先日到着しておりましたカメラの外装パーツです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

状態としては艶消し~半艶程度の黒が塗装されていて、一部塗装が剥がれて素地のアルミが露出した状態となっています。

既存の塗膜はアルミに密着していないように見受けられますので、一旦全部塗装を剥がし、リン酸処理→プライマー塗装(これを行わないとまた剥がれます)、そして調色と艶具合の調整(色板の作成)も行うよう承っています。

以前の施工事例を紹介しますね。

例えばこちらは以前当店で塗装したBMWのパニアケースで、「当店規定の艶消し黒」となります。黒は原色そのまま(STANDOX MIX571)、艶具合も当店規定の「艶消し」となります。事前の確認などはしていません。今回のカメラのパーツに比べると艶が消え過ぎているのが判るかと思います。

こちらはフォレスターのフロントバンパーフォググリルで、メッキモール部を「当店規定の半艶黒」で塗っています。カメラのパーツの塗装に比べると艶があり過ぎるのが判るかと思います。

こちらのスバルインプレッサのステアリングスイッチパネルを塗った時は、左の塗装を参考にして調色を行い、さらに艶具合も併せるよう調整作業を行ないました。左が見本、右が当店で塗装した物となります。

艶消し~半艶クリアーも艶ありと同様2液ウレタン系の塗料なので、塗り終わってから熱を入れて完全硬化させないと艶具合がどうなるのか判りません。ですのでこの時は調色し終わった色を色板(色見本)に塗装し、それぞれ違った配合のクリアー(艶消しクリアー+半艶クリアー)を塗って完全硬化→見本と艶具合が最も合っている物を選んでそれを再現するといった方法となっています。また塗る環境(塗装時の雰囲気温度によるハードナーの選択や塗り方の違い)によって艶具合も変わるので、それらも踏まえて作業を行なう必要があります。

今回は見本となる物が被塗物となるので、旧塗膜を剥離する前にこれらの作業を行なって色見本を作製、その後それに合わせて本塗りを行うといった方法になります。パーツ自体は小さく個数も一個だけですが、作業時間は本塗りの数倍の時間と手間を要する為、費用もそれだけ大きくなります(塗装するだけの3倍~5倍といった感じになります)。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!