イヤホンプレート塗装 完成

大変お待たせしました!先日本塗りを終えていた64 AUDIO Fourte Noirのイヤホン塗装、完成となります。オーナー様のご希望により、本日既に発送させていただきました。

最初の状態も紹介しますね。

 元々は銅製のプレートに薬品か何かを使って緑青の意匠をつけ、それにロゴをプリントしてクリアーが塗られていました。

小さい物なので分解した状態で塗らないと難しいところもあり、オーナー様にメーカー(販売店)に取り外し可能かを調べて頂いたのですが、対応は出来ないという事で今回はマスキングにて行う事となりました。

色についてはブルー系のキャンディーカラーで、今回はオーナー様が予め実際の塗色を見られたいとの事で事前に調色作業を行い、画像の色板(テストピース)を作成して発送しました。尚、調色作業・色板の作成は別途有料にて対応しております。

 またプリントしてあった文字の段差が、元々塗られているクリアーに対してかなり厚みがあった為、このままは塗らず(削らず)、一旦クリアーを下塗りとして塗ることにしました。

今回のイヤホンは、形状的に普通にマスキングをしようとしても上手く貼れない為、予め型を作り、レーザーでカットしたマスキングシートを使って対応しました(経験のある方なら判ると思いますが、通常のカッティングプロッターでこの細かさを正確にカットする事は出来ません)。

キャンディーカラーの塗色は「ブルー:グリーン =4:1」のブルーグリーンとしています。

下色に黒を塗り、その上にSTANDOXの原色では一番粗いメタリック(MIX598)を重ね、明るさを抑えつつギラツキ感を強調させています。

 クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」の仕様となります。

奥にある色板は車型と平板どちらも同じ色で、 正面だと明るい青緑となりますが、透かしでは黒さが表現されているのが判ると思います。

 フラッシュを使った撮影もしてみました。

どの画像もサイズの縮小以外は未加工となります。

こちらはスポットライト下で撮影した画像です。オーナー様に頂いた参考画像のギラツキに近い感じに出来ているかと思います。

それでは到着まで今しばらくお待ちくださいませ。この度も当店をご贔屓頂きまして誠に有難う御座いました!

イヤホンプレート 本塗り

 先日クリアーの下塗りをしておいた64 AUDIO Fourte Noirのイヤホンです。

周りが傷つかないようマスキングテープを貼り、ロゴ部分の段差を削って平滑にします。

3ミリ厚のアクリル板を当て板にし、#600で平滑に研ぎます。

 その後コシのある#800相当の研磨剤(トレカット イエロー)で全体を研ぎつけ、同じく#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)でペーパー目を均します。

 マスキングを剥がし、よく脱脂清掃して、再び貼りなおします。

 マスキング完了です。

 最終脱脂処理をし、エアーブローをして埃を飛ばしたら本塗り開始です。

 今回は事前に色板を作成していてオーナー様に確認を頂いておりますので(別途有料)、本塗りではその時に一緒に作ったこちらの色見本を参考にして行います。

 まずは下色としてベースコートの黒を塗ります。

 続けて粗めのメタリック原色、MIX598を塗布します。

 さらに続けて透過性の青緑(キャンディーブルーグリーン)を塗布します。ブルー:グリーン=4:1の割合で、ベースコート用の樹脂(MIX599)で10倍くらいに薄めた物となります。

 そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

 画像だと色が薄く見えていますが、実際には事前に作成した色板の通り深みのある青緑になっていますのでご安心くださいませ。

 クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーとなります。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせていただきます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

イヤホン クリアー下塗り

 先日下準備を終えていた64 AUDIO Fourte Noirのイヤホンです。この後の研ぎの為、レーザーでカットしたマスキングシート(マスキングテープ)を貼ってあります。

 いざ表面を研いでみようとすると、プレートにプリントされたロゴが予想以上に厚く、平滑に研ごうとするとそれが露出してしまう恐れがあったので、一旦クリアーを塗って全体の嵩上げをする事にしました。下地が露出するとチヂレやエッジマッピング等のトラブルが起きてしまう為、それの予防ですね。

 表面を#800で足付け処理します。

またペーパーが当たったマスキングテープは微妙にズレたり繊維が毛羽だってしまう為、一旦剥がして貼りなおします。

 毎回をカッターを使ってマスキングシートを手作業で切る場合、被塗物(イヤホン)に傷が付いてしまう恐れがありますが、今回のように機械でカットしていればそのリスクが取り除けます。

 フチのマスキングテープはクリアー塗装後すぐに剥がせるように最後に葉ってあります。

 ちなみに実際に作業して判ったのですが、画像左側「64」の方はプレートが本体より低く、右の「tia」のプレートは本体より高くなっています(ただかなり微妙なので誰も気付かないと思いますが・・・)。

 よく脱脂し、エアーブローをしてマスキングテープにゴミ(繊維)が噛んでいないかを確認します(止まった状態だと判り難いのですが、エアーブローをするとヒラヒラ動いて見つけやすくなります)。

エアーブローだけだと飛んでくれない埃もあるので、タッククロス(不織布に粘着剤が付いた専用のウェス)も併用します。

 そしてクリアーを塗って下塗り完了です。フチに貼ってあった最終マスキングテープは二回目のクリアー塗布直後に剥がしています。

まだプリントの段差は残っていますが、この後研ぎを行って下地を出さずに平滑に出来ると思います。まずはいつものように60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

イヤホンプレート 下準備

先日お預かりしておりました64 AUDIO Fourte Noirのイヤホンです。

その後色板を作成し、オーナー様に送ってその中から色を選んでいただいておりました。

今回採用する色は上の画像の右下の「黒を下色にしたキャンディーカラーの青緑」となります。青緑はハウスオブカラーのオリエンタルブルー(KK-04)とオーガーニックグリーン(KK-09)を4:1の割合で混ぜています。

プレートは取り外しが難しい(と言うか非常に高価な物なので破損した場合のリスクが高すぎる)為、周りをマスキングして対応しますが、普通にマスキングテープを貼っても綺麗には出来そうも無い為、予めマスク型(マスキングシート)を作る事にします。ちなみに画像だとプレートの方が高くなっているように見えますが、実際にはプレートの方が周りよりも低いです(なので難易度が高くなっています)。

 まずはマスキングテープを貼ってボールペンで溝をなぞります。

 それをスキャナーで読み込んで、PCで輪郭線を作成します。

 出来上がったデータを別のPCで読み込み、

 レーザー加工機でカットします。

その後、カットしては貼ってデータを修正してを何十回と繰り返していきます。

プレートの周りのマスキングをする部分は傾斜がついていて、そのままマスキングテープを貼ろうとするとズレてしまいますから、マスキングシートの幅を1ミリにしてそれを防ぎます。これを通常のカッティングプロッターでやろうとすると精度が出ないので、今回は非接触でカットが出来るレーザーを使っています。

 こんな感じで足付け処理の準備が完了です(本塗り時にはまた貼りなおします)。

 元々のこれは銅のプレートに薬品を使ってこの柄を表現しているようで、よく見ると段差が結構ありますから、まずはこれをペーパーで研いで平滑にします。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

イヤホン テストピース(色見本)作製

先日ご依頼を頂いていたイヤホンプレートの色を作製し、実際に塗装した色見本を作製します。

今回のように色自体がオーダーメイドの場合、作製した塗料を色板=テストピースに塗装して発送、実物を確認すると言う事も可能となります。ただし本体のイヤホンプレートとは別に費用が掛かりますのでご注意くださいませ。

オーナー様のご希望としては、既存のプレートにある緑青よりも青味を強く、また参考画像も送って頂きましたのでそちらに合わせて色を作製します。画像の塗料は、キャンディーカラーのブルーとグリーンをそれぞれバインダーに20%添加し、それらを混ぜた物となります。

また他に頂いた参考画像のようにラメ(粗目メタリック)感を出されたいとも承っています。

ただSTANDOXの原色にはここまで粗いメタリックは無い事、また粒子のサイズが大きいと何度もクリアーを塗ってそれを埋めなければならない為、今回のようなマスキングで行う塗装にはお勧めが出来ません(と言うかお受付が出来ません)。上の画像を見ると肌がデロデロなのが判ると思いますが、これくらい塗らないとこのようなラメは埋まらないのです(本来は研いでクリアーを塗ってを何度も繰り返すので、画像の物はまだその途中なのかのかもしれません)。

 と言う訳で、STANDOXで一番粗いメタリック原色(MIX598)を使い、さらにラメの塗装では良く使われる「下地を黒」にしてギラツキ感を出す事としました。

粗目のメタリックは元々隠蔽力が小さい為、黒の上に塗っても下が透けます。

画像は取り敢えず使い捨ての厚紙に塗った物で、それぞれの色を確認したら本番用の色板に塗装します。

また色板の下色は二種類作る事にしました。

手前が黒の上に粗目のメタリック(MIX598)を塗った物で、奥(右)はいつものように一旦適当なシルバー(VWリフレックスシルバー)を塗り、その上に同じくMIX598を塗った仕様です。

また今回は当店用の色見本も作製しておく事にしました。

 色板と同じく、下色に黒を塗り、粗目のメタリック(MIX598)を3コート塗った色見本です。黒の面積が大きいとその分光が反射せず、キャンディーカラーの発色(明度+彩度)が損なわれてしまうので、良さそうな塩梅にしています。

 こちらは下色にVWリフレックスシルバーを塗り、同じコート数だけMIX598を塗りました。ウェットに3コート塗っていますが、それぞれを見比べると下地が透けているのが判ると思います。

 参考画像を基に作製したキャンディーカラーをテストピースに塗装し、良さそうな色を選びます。今回はハウスオブカラーのKK-04オリエンタルブルーとKK-09オーガニックグリーンを4:1にした物と、オリエンタルブルー100%の二種類を使う事にしました。

また下色をシルバーと黒のそれぞれも別けて、合計4種類の色見本を作る事にしました。

色板もそれぞれ違う下色、違うキャンディーカラーで、合計4種類を作製しています。

こちらが下色をシルバーにした物で、

こちらが下色を黒にした色板です。それぞれの上に塗っている(中層の)シルバーメタリックはどちらも同じ原色(MIX598)ですが、粒子の粗さが違って見えるのが判るかと思います。

尚、上層のキャンディーカラーは、上段がブルー:グリーン=1:4で、下段がブルー100%となります。

VWリフレックスシルバー→MIX598→ブルー100%です。

黒→MIX598→ブルー100%です。

適当に作った色を塗って見本を作るのは簡単ですが、今回のようにそれの配合データを残すと言うのは実は結構大変です。上の画像にある色見本も、最初に作った色に少しずつ白を混ぜて塗っていると言う訳では無く、それぞれ一つずつ色の量を計って作製した物です。さらに艶消しになると色の見え方が変わるので併せてそれらも作りました。お陰でその年は大赤字になってしまったのですが、そういった事のお陰で今回のようなご依頼も頂けているのだと思っています。

 

色板と色見本はこの時点ではまだクリアーを塗っておらず、そちらは出来上がり次第社外記の方で紹介したいと思います。

どうぞもう少々お待ちくださいませ!