フェラーリ355ヘッドカバー結晶塗装 完成

先日本塗りを終えていたF355ヘッドカバーとプラグカバー一式です。その後120℃30分程の熱を掛けて二度焼きしておきました。

#120のダブルアクションサンダーで粗研ぎをし、その後は#120→#180→#240→#320→#400→#500→#800と番手を上げてアルミ素地を光らせます。

そのままの方が金属感があるのですが、経年でアルミの表面は曇ってしまう為、腐食の進行を出来るだけ遅らせられるようクリアーを塗っておきます。

その後60℃40分程の熱を掛けてクリアーを硬化させ、さらに数日寝かしたら完成となります。大変お待たせしました!

最初の状態も紹介します。

作業前は塗膜が剥がれ掛かった状態でしたが、

それらを綺麗に剥がし、今回は素地調整(リン酸処理)とプライマーを塗っておきましたので、新車時のように塗膜がペリペリと剥がれて来ることは無いかと思います。

ちなみに今回のように塗膜が剥がれたのは塗料の耐久性が落ちたからと言う訳では無く、密着性が無くなった事が原因となります。

焼き付け型の塗装はそれ自体で密着性の良い塗料なのですが、金属素地に塗る場合、プライマーを塗っていないと今回のように経年で剥がれてしまいます。職業訓練学校自体、金属塗装業界の重鎮(何かの組織の会長)が講師としていらっしゃった時、「工業塗装の多くではコストが優先され、それ自体で密着性が良い焼き付け塗装はプライマーを省かれる場合が多々ある。気づいた時にはもう10年経っているのでクレームが入る事も少ない。ただし車の外装塗装でそんな事があってはならないので、そこには十分コストが掛けられている」みたいな話をされていました。ヘッドカバーは自動車塗装と言うよりは金属塗装=工業製品とみなされているのだと思います。

今回はプラグホール周りにもプライマーとシルバーを塗ってみました。

恐らく今後100年以上必要とされ続ける部品だと思いますので、何もしないより(塗らないより)長持ちしてくれると思います。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

色は鮮やかな赤となります(他には日産系のドス黒い赤などもあります)。

近くで見ると均一なチヂレ目になっているのが判ると思います。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

フェラーリ355ヘッドカバー 本塗り

先日お預かりしておりましたたF355ヘッドカバーとプラグカバー一式です。その後アルカリ溶剤槽に浸け置きして油分の洗浄を行っておきました。

その後、廃シンナーを貯めた溶剤槽に浸け置きをして塗膜を剥がしておきました。

剥離剤と違って簡単には剥がれてくれませんが、途中スクレーパーやワイヤーブラシで擦ってを繰り返し、最後に綺麗なシンナーで洗い流すようにして洗浄をすれば、

このように綺麗に剥がれてくれます。最後の洗浄に使うシンナーや、スプレーガンを洗った後に本来なら使い捨てる物を溶剤槽に貯めて再利用しているので、無用にゴミが出ないという点でとても気に入っています。

先ほどの状態からリン酸処理を行った状態です。アルミの輝きが無くなって表面が鈍く曇っているのが判ると思います。

まずはプライマーを塗布します。

プラグカバーの裏側は元々何も塗られていないので通常なら(業者さんからの下請け仕事なら)そのままですが、出来るだけ長持ちして欲しいので、プライマーを塗っておく事にしました。

ただしこのままだと格好悪いので、

シルバーを塗っておく事にしました。

同じ様にヘッドカバーの内側(プラグ周り)にもシルバーを塗っておきます。

そのままでも良かったのですが、折角塗って綺麗になったのでプラグホール周りにはマスキングを行い、

その上にプラグカバーを 被せて、

赤の結晶塗装を塗って本塗り完了です。お待たせしました!

別々に塗ると塗膜の厚みの違いから結晶目(チヂレ目)が変わってしまうので、この型のヘッドカバーはいつもこのように重ねた状態にして上塗りを行っています。

その後赤外線ヒーターで、140℃~170℃程の熱を40分程掛けて塗膜を硬化させます。

結晶塗装用の塗料(リンター)は、硬化する過程で塗膜の表層が収縮し、チヂレたような模様を表現します。

チヂレ目は、塗膜の厚さや熱を掛けるタイミングによって変わります。

マニュアル上ではこの状態でも硬化しているですが、凸部を研磨する際に「グニュッ」となって半生に感じる事があるので(殆どそうです)、念のため後日今度は恒温機(乾燥炉)で120℃30分程の熱を掛けるようにします。

この後は凸部を研磨してアルミ地を露出させて光らせます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

フェラーリ355ヘッドカバー結晶塗装承ってます

先日到着しておりましたF355ヘッドカバーとプラグカバー一式です。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

当ウェブサイトでは紹介していませんが、フェラーリのヘッドカバーで一番ご依頼が多いのがこちらの型となります。新車時からの塗装は概ねこのような状態になっていて、なのでエンジンを整備したり買い取った車を販売する際、整備工場や自動車販売店からご依頼頂く事が多い案件の一つです(正規ディーラーからもご依頼頂いています)。

剥がれる原因はプライマーが塗っていないからで、下地処理さえちゃんとやってあれば塗膜自体こんな風になる事はありません。

以前施工した同型製品の画像も紹介させて頂きます。

色はこの時と同じく鮮やかな赤の結晶塗装で、研磨した後の凸部は腐食の進行を遅らせられるようクリアー筆塗りも承っております。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

Ferrarri355 Engine Tappet Cover

ferrari7フェラーリ関係で多いのがテスタロッサ系とこちらのF355ヘッドカバーです。タペットカバーとプラグカバーが別体となっていて、この時は1セット+プラグカバーのみをご依頼頂きました。

ferrari8フェラーリ系のヘッドカバーはプライマーが塗っていないので経年で塗装が剥がれてしまうのですが、車体自体が貴重なので再塗装して復活する機会が多いのだと思います。

ferrari10 再塗装の際には必要な下地処理を行い、プライマーも塗装するのでその後新車時の塗装のように簡単に剥がれる事はありません。

ferrari11 エンジンのオーバーホール時にと言う事で、業者様からのご依頼も多いです。正規ディーラー様からもご贔屓を頂いております。

ferrari12 ferrari9フェラーリのエンジンパーツの場合は純正の状態を優先し、研磨したアルミ素地には基本的にクリアーを塗りません。酸化(腐食)の進行は早くなりますが、金属素地そのものの輝きが残るのが特徴です。勿論ご希望によりクリアーを塗る事も可能です。お気軽に申し付け下さいませ(クリアー筆塗りは結構面倒なのですが、私的には何もしないで腐食していくのが嫌なのでサービスで対応しております)。