②に続き、完成の紹介となります。
本塗り後に60℃40分程の熱を掛け、必要に応じて磨き処理を行ったら完成となります。
最初の状態も紹介しますね。
オーナー様のご要望に応じてロゴを作製し、事前にイメージイラストを作製しました。
新車時の塗装が良く無かった事もあり、結局塗膜の殆どを削り落として下地からのやり直しとしています。
このフレームはラグ部の継ぎ目のなる箇所があり、一度だけのサフェ研ぎではラインの形成が難しかった為、一旦クリアーを下塗りして微細なラインを再現しています。特に鋭角な谷ラインをシャープに美しく仕上げる事に意識しました。
アウター受け(ワイヤーガイド)については基本的には取り外して作業するのですが、取り付け時にカーボンチューブが割れる恐れがある事、また今回のようにチューブの端が接着剤で埋まってしまっていてリベットを揉んで外した際に裏側の破片が回収できない(破片がチューブの中に残る)と言う事もあり、最初から最後まで取り外さずに作業を行いました。
ただしアウター受け部分は手作業で旧塗膜の剥離は難しい為、そこのみをサンドブラストで処理しています。
ロゴ部分は黒では無く「スモーク」で、強い光に当たった場合のみ素地のカーボン目が見えるようになっています。
ヘッドチューブのロゴは元のデザインのままで、ただし二個あった物を一つとしてシンプルなデザインにしています。色のフルカラーロゴのグレーと御揃いにしています。
この辺はアルミでは無くカーボン素材なのでサンドブラストは使えず、窪みや穴の部分はリューターの先端にペーパーを巻くなどして手作業で行っています。
元々あったフルカラーのロゴは純正のデカールでは無く塗装で再現しています。
色は元々貼ってあったデカールとシールを参考に、それぞれの色から近似色を選んで作製しています。
クリアーは高品位なタイプのSTANDOXクリスタルクリアーを使い、まるで磁器のような美しい光沢感を表現しています。
ベースカラーのホワイトはロールスロイスのARCTICA(カラーコード:9561001)を使用しまいた。
ロゴ部分は新車時のような段差は無く、シャープな輪郭で美しく仕上がっていると思います。
最初の状態も紹介しますね。
最後に塗られているクリアー層が密着不良でペリペリと剥がれているような状態でした。
剥がれた所を見ると下から艶のある塗膜が見れる為、最終クリアーを塗る前に足付け処理は行われていない事が判ります。
私的な見解ですが、恐らくデカール等を貼って最終クリアーを塗る前には足付け処理では無く「密着剤」が使われていて、それが経年による劣化で塗装が剥がれて来たものと思われます。
接着剤と違い塗膜自体に密着効果は少ないですから、塗装の前に足付け処理を行うのはとても重要です。
塗装の塗り方に関しても、隠ぺい性の違いによる塗り方の順番やマスキング・スプレー方法によって無駄な膜厚を極力抑え丁寧に塗る事によってシャープで美しく段差の少ない仕上がりに出来ます。
今後の為に色見本を作製したり、
レーザー加工機でカットしたアクリル板を使って立体ロゴを作製したりもしました(これは仕事とは関係ありません)。詳しくはこちらの社外記でどうぞ。
さらにデータを使い回し、カッティングシートでタッチペン用ボトルのパッケージシールを作製したりも出来ます。
その後オーナー様から組み付け後の画像とコメントも頂きましたので紹介させていただきます。
「フレームは先週の先々週の金曜日に無事届いておりました。とても奇麗です。次の日には、組付け完了して乗り始めてました。