ホンダメッキエンブレム&GMCホイールカバー サフェ入れ

 先日お預かりしておりましたホンダS2000用純正メッキエンブレム2個です。

サーフェサーを塗る案件が他にも沢山あったのでそれを待っていたのですが、逆にそれらの数が増えすぎてしまったので先に塗らせて頂く事にしました。

 既存の装飾クロムメッキは剥がさず、そのままの状態で素地調整を行い、まずはプライマーを塗布します。メッキと同様全体を包むような感じでフチから裏側までしっかり塗り込みます。

 ある程度乾燥させた後、ウェットオンウェットでサーフェサーを塗布します。

 完全に乾いてしまうと(硬化してしまうと)層間剥離を起こしてしまいますが、規定内の時間であれば(今の気温だと30分くらい)足付け処理無しで塗り重ねても剥がれません。イメージとしては半生同士がくっついてお互いが溶け合うような感じでしょうか(なのでタイミングを間違えるとチヂレやクラック等の問題を起こすこともあります)。

 サフェも同様に、裏側まで回り込むように塗っておきます。塗膜の切れ目から水(水蒸気)が入り込んだりしないようにですね。

今回のようにプラスチック素材(ABS樹脂)に装飾クロムメッキが施されている物の場合、厳密には(塗装屋の観点からして言うと)それらは密着していません。樹脂全体をメッキで包む事でその形を保持しているといった感じです。なので一部メッキが剥がれるとそこからささくれのようにペリペリと剥がれて広がっていきます。

装飾クロムメッキへ塗装する場合もこれと同じようにイメージをし、包み込むように塗っています。

 そしてこちらは先日パテ研ぎまで終わっているGMCのホイールキャップ(複製品)です。

 画像だと吊るしていますが、最初は置いた状態で表側に5コート程サフェを塗り、その後吊るして裏側も塗っています。

 段々形になってきました。

色に関しては、幸いにして以前作成した塗料が残っていたので、それをそのまま使う事が可能です。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ホンダストリーム内装パーツ19点 本塗り

 先日下準備を行っておいたホンダストリーム用の内装カバーパーツ19点です。

 全て片手で持って塗れるようボール紙の芯棒を固定し、台に挿せるようにしています。

 置いて塗るとフチの塗装が甘くなり、いざ取り付けてみると「色が入っていない!」(透けている)と言う事があるので、360度満遍なく塗れるようにしています。

 芯棒用のスチール台(新装開店などで花を飾る台)が足りないので、普段は保管時用として使っている自作の台も動員しています。100円ショップで売っているMDF板で作った物ですが、非常に使えています。

 フチまでしっかり足付け処理を行っています。

 素地が露出した箇所もあるので、まずはプラスチックプライマーを塗布します。

 そしてベースコートを塗ります。

 まずは青系の適当な色(余った塗料)を下色として1コート塗り、その後ご指定を頂いているスバル純正色「WRブルーマイカ」(カラーナンバー 02C )を2~3コート塗っています。

 ベースコートの肝はドライコートにならないようにする事で、塗り方もそうですが、その日の気温に合わせて希釈用のシンナーを選択します。

 ベースコート時でもゴミの付着には注意をしていますが、それでも着いた場合は、よく乾燥させてからペーパーで削ったりタッククロスで擦ったりして取り除きます。

 揮発が遅いタイプのシンナーに変え、さらにウェットコートで塗ると、ぱっと見は乾いているように見えても内部に溶剤が残っている場合があるので、ベースコートは追っかけて塗るような事はえず、1コート毎に十分な乾燥時間(フラッシュオフタイム)を設けて塗り重ねていきます。実はクリアー塗装よりこっちの方が時間が掛かっていたります(そして気も遣います)。

 そしてクリアーを塗って本塗り完了です。大変お待たせしました!

 製品自体の歪は仕方無いですが、元々塗られていたデロデロ肌は払拭出来たと思います。

 クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーとなります。

 クリアーに使う硬化剤・シンナーもそれぞれ気温や塗装面積によって使い分けます。遅くし過ぎると垂れてしまい、早くし過ぎると肌が荒れます。

 また肌を無くすような塗り方をする場合、クリアーの表面に極小さいピンホールが発生する事がありますが(ワキ)、それはガン距離が遠すぎるからで、これの対策としてはスプレーガンと被塗面までの距離を5cmくらいまで近づければ解消出来ます(ただリスクが高いのでお勧めはしません)。

自動車ボディの肌(新車肌)とは違い、小物を塗装する場合は極力テロテロに塗るようにしています(デロデロとは違います)。

時々「鏡面仕上げ」といった言葉を聞きますが、塗装ではどうしても肌が残るので鏡のような完全なフラットには仕上がりません。誤解を招くので私的にそういった言葉は使わないようにしています。

他に似たような事では「ピアノブラック」といった言葉もありますが、ピアノの黒い塗装が特別艶があって漆黒と言う事でもありませんので、これも私的には殆ど使いません。

さらに塗装の現場では「焼く」といった言葉もよく使いますが、実際に焼き付け塗装を行っている訳では無く、そもそも自動車ボディの塗装に使うアクリルポリウレタン塗料は、熱を掛けてもせいぜい80℃くらいです。

インターネットが普及した今なら簡単に調べられる事でも、昔は働いている会社の中だけが世界の全てみたいなところがありましたから、周り(親方)が焼く焼く言っているとつい変な覚え方をしてしまうんですよね(勿論私経験済みです)。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

銅製エフェクトマイク塗装 完成

 先日本塗りを終えていたボディが銅製のエフェクトマイクです。その後熱を掛け、安全な場所で寝かしておきました。

 付属していた部品を元の通りに組み付けします。

 外した端子は予めつけておいた印を見ながら元の位置に取り付けます。

 ステーも組付けて各部を清掃し、

 そして完成です。大変長らくお待たせしました!

最初の状態も紹介させて頂きます。

 元々は銅の素地にクリアーが塗られた状態で、

それを剥がしてプライマー→サーフェサーを塗って表面を平滑に研磨し、

ファイアーパターンのデータとマスキングシートを作成し、

 一旦全面を艶あり黒に仕上げた上で、艶消しクリアーをファイアーパターンの柄に塗装しました。

 パッと見は目立たなく地味なのですが、オーナー様は既に派手なファイアーパターン色の楽器をお持ちとの事で、今回は敢えてこのようにご希望されました。

 密着剤などは使わず、各工程でしっかり足付け処理を行ってから塗装をしていますので、自転車フレームの塗装のように経年でクリアーだけがペリペリと塗装が剥がれてくるような事もありません(フェザーエッジも綺麗に出せます)。

マイク側が艶消し、

コネクター側が艶ありの黒になっています。

 ストロボを使った撮影もしてみましたが、艶消しと艶ありの差が判り難かったので今回は自然光をメインに撮影しました。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

ロジクールワイヤレスマウス ロゴ入れ本塗り

 先日下塗り(本塗り)を行っておいたLogicool G PRO wirelessのマウスです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきました。

 既に下塗りとして2回分の塗装を行っていますが、それでもまだ「G」の部分とインジケーターランプ部には段差(凹み)が残っているので、

 下地を出さないようそこを砥石&#800で水研ぎし、#1200でペーパー目を均します。さらに全体を#1500で肌の落とします。

 その後細部まで足付け処理が出来るよう、ウォッシュコンパウンドとナイロンブラシを使って擦ります。

 フチや角は研磨した際に下地が出やすいので、スコッチ(不織布に研磨粒子が塗布された研磨副資材)を使って優しく足付けします。

 その後良く乾燥させ、台にセットしたら本塗り準備完了です。いよいよ今回のご依頼の肝ですね。

 まずはベースクリアー(色の着いていないベースコート)を塗布します。

ベースクリアーを塗る意味としては、この後塗るロゴの赤が馴染むようにです(同じ成分の塗料が溶け合う感じです)。

 そして一旦台から外し、被塗面に触れないよう気を付け、クリックボタンを仮組みします。

 クリックボタンは本体内部のメカニカルに固定される為、仮組みとしても一旦は内部の組付けを行います。しっかり位置が出るようネジも止めます。

 ロゴが入るのはスイッチ部分だけですが、位置がズレないよう組付けて作業を行います。

 予め作成したデータを使い、マスキングテープをレーザー加工機でカットしました。

マスキングテープのレーザーカットについてはこちらの記事が判り易いかと思いますので宜しければご参照下さいませ。

 本来は緑色のPP(ポリプロピレン)製のマスキングシートの方がマスキング際が綺麗に仕上がるのですが、

 PP製のシートはコシが強すぎて、鋭角に折れ曲がった部分では画像のようにフチが浮いてしまう為、今回は馴染み易い紙タイプのマスキングテープを使っています。ただしこの場合カッティングプロッターでは綺麗に切れない為、レーザー加工機を使ってカットしています。またキツイ3次元曲線でもしっかり貼り付けられるよう、1ミリ幅の線状(紐状)にカットしています。緑色のマスキングシートは位置出しの為のガイド用で、今回のマスキングは以前塗装したスマホカバーの時と同じような遣り方となります。

 ロゴ用のマスキングが出来たら再び分解し、

 ガイド用のマスキングシート(緑色)を剥がして、塗装しない周りの部分を養生します。

 そして赤を塗ります。

 赤はフェラーリ純正色のロッソコルサ(カラーコード:300)となります。

 マスキングを剥がし、ガタガタになった各部も修正を行いました。

 実際マスキングをして塗るだけではこんなに綺麗に仕上がるのではなく、フチは普通にガタガタになります。サイズが大きければそれも目立たないのですが、今回のように小さい物だとちょっとした事でも汚く見えてしまうので、一旦それらをペーパーで研磨して均し、一辺づつのラインをそれぞれ修正(塗装)しています。またその際には見切り部分が綺麗に仕上がるよう、PP製のマスキングシートを使ったりもします。実はこの辺が地獄のような作業でして、マスキングを剥がしてからクリアーを塗るまでに軽く4時間は掛かっていたりします。普通ここにそんなに時間を掛けていたら「いつまでやるつもりだ!」とクビになりますが、幸いにして今はそれが出来る環境にあります。

 そしてクリアーを塗って本塗り完了です。大変お待たせしました!

  クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーとなります。

 「G」のロゴとインジケーターランプ部の段差(凹み)も全く感じられない程になりました。

 時間を掛けたお陰でロゴも綺麗に塗れているかと思います。

画像だと判りませんが、回り込んだフチまでしっかりロゴの赤は塗装していて、少なくとも「UV印刷や水圧転写、ステッカーでこうは出来ない」と言うくらいの仕上がりには出来ているかと思います(逆を言うとコストを考えればロゴは塗装では無くこれらの方法が一般的です)。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛け、ロゴの段差は#1500~で研いで平滑に均して磨きます。さらに今回は(今回も)組み付けがあるので、少し長めに寝かしてから作業を行いたいと思います。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

BMWヘッドカバー 凸文字取り付け

先日お預かりしておりましたBMW E24ヘッドカバーです。

今回はこちらの「ALPINA」の凸文字を入れるよう承っておりましたので、業者さんにて厚さ2ミリのアルミ板で文字をカットして頂きました。先日完成したRB26タイミングベルトカバーの「8」と一緒にお願いしています。

 そのままだと正確な位置が出せないので、

 切り文字をお願いする時に作成しておいたデータを基に、ガイド用のマスキングシートを作成します。

 それをヘッドカバーに貼り付け、凸文字の位置を合わせられるようにします。

尚、ヘッドカバーはリン酸処理済みです。

 アルミの切り文字は接着面をダブルアクションサンダー#120で研磨して足付け処理し、さらにリン酸で化成処理を行います。主に切り文字の断面(側面)の足付け処理の為です。

 さらにシリコンオフで脱脂処理を行います。

 取り付けは金属同士の接着に適した構造用エポキシ接着剤(3Mオフホワイト)を使います。

 親の仇くらい良く混ぜて、満遍なく塗り込みます。

ガイドに合わせてそれぞれの切り文字をマスキングテープで固定し、このまま60℃40分程の熱を掛けて固めます。

 熱々の状態で取り出しました。

 フチはこのようにエポキシ接着剤が食み出ているので、

 それが冷えて固くならない内にカッターとピックツールで除去します(時間が経つと刃が立たず大変な事になります)。

 それでもどうしても隙間は出来てしまうので、

 そこにエポキシプライマーサーフェサーを筆挿しして隙間を埋めます。いつものウレタンサフェでは無いのは耐熱性と接着性と充填性、全てにおいてエポキシの方が優れているからです(ただしエポキシサフェは研げない程に硬くて粘りがあるので安易に使えません。そして耐候性が無いので使用は下地に限ります)。

 シンナーを含ませた綿棒とウエスで余分を拭き取ります。

この後再び60℃40分程の熱を掛けて硬化させます。

並行してサージタンクの方も作業を行いますので、それらも進行次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!