ロジクールワイヤレスマウス(OD)分解~色作成

 先日お預かりしておりましたLogicool G PRO wirelessのマウスです。こちらの前にご依頼を頂いておりましたホワイトパールの同型マウスが先日完成しましたので作業着手しました。大変お待たせいたしました!

まずは分解作業です。ソールを剥がし、ネジが見える状態にします(ソールは再利用不可ですがメーカーから新品が入手出来るようです)。

底のパネルを開き、端子を外します。

 バッテリーはステーと両面テープで固定されています。

先ほどのバッテリーを外すとクリックボタンを留めるネジが出てくるので、それらを片っ端から外していきます。ちなみにネジは数種類あるので(恐らくは2種類)、それぞれ着いていた箇所が判るようにしておきます。

クリックボタンが外れると、さらにその奥にシャーシとカバーを固定するネジが出てくるのでそれらも外します。

シャーシがゴソッと外れて、これで分解が完了です。

さらに詳しい分解方法はこちらの記事で紹介していますので宜しければご参照くださいませ。

分解は今回で3回目なのでさすがに慣れましたが、先日の二回目の組付けはやはり大変でした。塗装後は気を遣う&クリックボタンを知恵の輪みたいに入れないといけないので冷や汗が止まりません。

「G」の部分は本体とは別体ですが、恐らく一度外すと戻らない筈なので、いつも通りマスキングで対応します。また画像だと判らないのですが「G」が出っ張っているのでそれを平滑にしなければなりません。左右にあるパーティングライン(継ぎ目)も消しておきます。

色はOD(オリーブドラブ)でご指定頂いておりまして、それらしい色を色見本から探してみたのですが見当たらなく、

 なので以前施工したチタン製のメガネフレームの色見本を参考にしてみる事にしました。

オーナー様よりご指定頂いた色(CMYK値64.71:52.55:90.98:10.2)見比べてみると、それより明るくした感じです。

と言う訳で、以前作成したチタンフレームの色にオーカー(MIX574)を足し、ご指定の色に近づけました。配合データも残してあるので後で同じ色も作成可能です(後日色見本も作成して残しておくようにします)。

また塗装とは全然関係ないのですが、以前「塗装後の重さはどれくらいになりますか?」といったご質問を受けていて、(そんな事を気にする塗装屋さんは余り居ないと思いますが)私的にも気になったので量ってみる事にしました。

今回の未塗装状態が22.00gで、

前回ご依頼頂いていたホワイトパールのマウスは25.03gでした。

塗装による増加分は3.03gで、はがき一枚分といったところでしょうか。

ちなみにこの時は3回分(3工程分)の塗装を行っているので、一回の塗装では1グラム程となります。作っている量に比べると残るのは極少量なので いつも驚いてます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ロジクールワイヤレスマウス(ホワイトパール)塗装 完成

 先日本塗りを行っておいたLogicool G PRO wirelessのマウスです。

その後磨き処理を行い、さらに数日寝かしてから組付け作業を行いました。

 ネジと端子を元の通りに組み付けていきます。分解についてはこちらのページで紹介しておりますので宜しければご参照くださいませ。

 サイドボタンは予備を含め合計8個あって、とりあえず元のように左側のみクリック出来る仕様にしておきました。

 そして完成となります。大変長らくお待たせしました!

最初の状態も紹介させて頂きます。

今回はロゴ入れも承っておりましたので、オーナー様のご厚意により予備の同型マウスを一緒にお預かりさせて頂きました。

  マウス本体の色はトヨタのクールホワイトパールクリスタルシャイン(カラーコード:075)で、3コート塗装となります。

 ロゴの赤はフェラーリの「ロッソコルサ」(カラーコード:300)となります。

 クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

 マスキングに使う型はシートは1ミリの細い線にする事で、折れ曲がったフチの部分も違和感のないよう落とし込めているかと思います。

 インジケーターランプ部三か所は、ちゃんと光るようマスキングで残してあります。

 同じように「G」の部分も光るようクリアー抜きにしています。よく見ても段差は感じられないかと思います。

 参考用にお借りした未塗装品と一緒に並べてみました。

ちなみにこちらのオーナー様は前回ピンクでご依頼頂いた方で、そちらも紹介をさせて頂きます。

前回は艶消しクリアー仕上げで、気に入って頂けたようなので今回同型のマウスとキーボードの塗装をご依頼頂きました。こちらのページで作業内容を纏めていますので宜しければご参照くださいませ。

 今回入れたロゴはオーナー様から入稿して頂いたデータを使用しています。

 まさにオリジナル仕様といった感じでしょうか。

 それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度も当店をご利用頂きまして誠に有難うございました!

ロジクールワイヤレスマウス ロゴ入れ本塗り

 先日下塗り(本塗り)を行っておいたLogicool G PRO wirelessのマウスです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきました。

 既に下塗りとして2回分の塗装を行っていますが、それでもまだ「G」の部分とインジケーターランプ部には段差(凹み)が残っているので、

 下地を出さないようそこを砥石&#800で水研ぎし、#1200でペーパー目を均します。さらに全体を#1500で肌の落とします。

 その後細部まで足付け処理が出来るよう、ウォッシュコンパウンドとナイロンブラシを使って擦ります。

 フチや角は研磨した際に下地が出やすいので、スコッチ(不織布に研磨粒子が塗布された研磨副資材)を使って優しく足付けします。

 その後良く乾燥させ、台にセットしたら本塗り準備完了です。いよいよ今回のご依頼の肝ですね。

 まずはベースクリアー(色の着いていないベースコート)を塗布します。

ベースクリアーを塗る意味としては、この後塗るロゴの赤が馴染むようにです(同じ成分の塗料が溶け合う感じです)。

 そして一旦台から外し、被塗面に触れないよう気を付け、クリックボタンを仮組みします。

 クリックボタンは本体内部のメカニカルに固定される為、仮組みとしても一旦は内部の組付けを行います。しっかり位置が出るようネジも止めます。

 ロゴが入るのはスイッチ部分だけですが、位置がズレないよう組付けて作業を行います。

 予め作成したデータを使い、マスキングテープをレーザー加工機でカットしました。

マスキングテープのレーザーカットについてはこちらの記事が判り易いかと思いますので宜しければご参照下さいませ。

 本来は緑色のPP(ポリプロピレン)製のマスキングシートの方がマスキング際が綺麗に仕上がるのですが、

 PP製のシートはコシが強すぎて、鋭角に折れ曲がった部分では画像のようにフチが浮いてしまう為、今回は馴染み易い紙タイプのマスキングテープを使っています。ただしこの場合カッティングプロッターでは綺麗に切れない為、レーザー加工機を使ってカットしています。またキツイ3次元曲線でもしっかり貼り付けられるよう、1ミリ幅の線状(紐状)にカットしています。緑色のマスキングシートは位置出しの為のガイド用で、今回のマスキングは以前塗装したスマホカバーの時と同じような遣り方となります。

 ロゴ用のマスキングが出来たら再び分解し、

 ガイド用のマスキングシート(緑色)を剥がして、塗装しない周りの部分を養生します。

 そして赤を塗ります。

 赤はフェラーリ純正色のロッソコルサ(カラーコード:300)となります。

 マスキングを剥がし、ガタガタになった各部も修正を行いました。

 実際マスキングをして塗るだけではこんなに綺麗に仕上がるのではなく、フチは普通にガタガタになります。サイズが大きければそれも目立たないのですが、今回のように小さい物だとちょっとした事でも汚く見えてしまうので、一旦それらをペーパーで研磨して均し、一辺づつのラインをそれぞれ修正(塗装)しています。またその際には見切り部分が綺麗に仕上がるよう、PP製のマスキングシートを使ったりもします。実はこの辺が地獄のような作業でして、マスキングを剥がしてからクリアーを塗るまでに軽く4時間は掛かっていたりします。普通ここにそんなに時間を掛けていたら「いつまでやるつもりだ!」とクビになりますが、幸いにして今はそれが出来る環境にあります。

 そしてクリアーを塗って本塗り完了です。大変お待たせしました!

  クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーとなります。

 「G」のロゴとインジケーターランプ部の段差(凹み)も全く感じられない程になりました。

 時間を掛けたお陰でロゴも綺麗に塗れているかと思います。

画像だと判りませんが、回り込んだフチまでしっかりロゴの赤は塗装していて、少なくとも「UV印刷や水圧転写、ステッカーでこうは出来ない」と言うくらいの仕上がりには出来ているかと思います(逆を言うとコストを考えればロゴは塗装では無くこれらの方法が一般的です)。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛け、ロゴの段差は#1500~で研いで平滑に均して磨きます。さらに今回は(今回も)組み付けがあるので、少し長めに寝かしてから作業を行いたいと思います。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ロジクールワイヤレスマウス 下塗り②

 先日、クリアーと適当な下色(VWハーベストムーンベージュ)を塗っておいたLogicool G PRO wirelessのマウスです。その後熱を入れて塗膜を硬化させておきました。

 前回ご依頼を頂いたピンクの時は、この時点ではクリアーだけの下塗りだったのですが、今回はマスキングシートの型が出来ていたので少しでも楽に且つ綺麗に仕上げられるよう白系の下色を塗っています。

尚、ここでは「G」の部分を平滑にする為と、目立たないのですがカバーパネルにあるパーティングライン(4箇所)を均す為の作業となります。本来ならサーフェサーを塗りますが、透明なそれは無いのでクリアーで代用しています。カーボン地を活かした塗装にする場合と同じですね。

 「G」の箇所を#800→#1500耐水ペーパーと砥石を使って段差を平滑にします。

 また被塗面全体を#800相当(アシレックスレモン)で足付け処理しています。

 ここからのマスキングは本番となるので、正確な位置に貼れるようトレース台を使います。

 元の黒が食み出ていますが、オリジナルのサイズを極力そのままで残したいのでこの時点ではこれでOKです(むしろサイズが小さくなってしまう方がNGです)。

インジケーターランプは直径が1ミリで、これについては市販のマスキングシート(ハイキューパーツさんの1.0mm~2.8mmのタイプ)を使います。本当はこれより小さい円にしたいのですが、カッティングプロッターだとこのサイズでは綺麗な円に切れないのでダメなのです。

前回の下塗りでは直径1.2mmを使っていて、今回は本番用の1mmとなります。こちらもフチの黒が残っているのが判ると思います。

 「G」のロゴは前回はオリジナルより+0.1mmオフセット(大きくした物)を使っていて、今回はノーマル(オリジナルサイズ)のマスキングシートを使います。

 台にセットし、下塗り準備完了です。

マスキング前に脱脂処理は行っていますが、マスキングシートが貼って無い部分を最終脱脂しておきます。

 同じく下塗りをしておいたサイドボタン8個も足付け処理を行ってあります。

 まずはカラーベースの塗布です。

色はトヨタのクールホワイトパールクリスタルシャイン(カラーコード:0751)で、こちらは3コートホワイトパールとなるので、まずは下色=カラーベースの白からとなります。青とバイオレットが入った白となります。

 しっかり下地を隠ぺいしたら、再び工場二階に場所を移します。

 マスキングを剥がしました。

 この時点ではどうしても塗膜(ベースコート)が厚塗りになり、マスキング際がガタガタになっていますから、この時点で軽くペーパーを当てたりタッククロスで擦ったりして均し、改めてマスキングをし直します。

 「G」のロゴはさらに小さく、オリジナルに対して-0.05mmオフセット(小さく)した物を使います。

 インジケーターランプも同様にマスキングシートを貼り直します。

 そしてマスキングし直した箇所に薄っすらと再びカラーベース(白)を塗ります。ここではあくまでも際のガタガタを均したいだけなので薄目でOKです。

 カラーベースが乾いたら、再びマスキングを貼り直します。今度はオリジナルに対して0.1mmオフセットしたマスキングシートです。

 インジケーターランプのマスキングも貼り直し、

 パールベースを塗布します。

 パールベースには、輝きの強いホワイトパールと、同じく輝きの強いブルーパールがほぼ同量入った配合となっています(その他バインダー=樹脂も含まれます)。

 マスキングシートを剥がしました。

そしてクリアーを塗って下塗りが完了です。

内容的には本塗りと変わらないのですが、今回はこれにさらにロゴ入れ(赤)を承っていて、さすがにそれを同時に出来る自信は無かったので別工程にする事にしました。

 クリックボタンにもロゴが入るので、これらもまだ下塗りです。後日熱を掛けて塗膜を硬化させ、再び足付け処理を行います。

 サイドボタン×8はこの時点で本塗りが完了です。これだけでも少し救われました・・・。

クリアーはクリスタルクリアーとなります。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

 

ちなみにワイヤレスマウスの塗装は一個ずつでの作業となる為、現在お預かりしておりますオリーブドラブ色のマウスの次となると、作業着手はおよそ七か月後、完成は1年くらいが目安となります。ご迷惑をお掛けして申し訳御座いませんが何卒ご理解、ご了承の程宜しくお願いいたします。

ロジクールワイヤレスマウス&キーボード 下塗り

先日ロゴのマスキングシートを作成していたLogicool G PRO wirelessのマウスです。その後オーナー様よりロゴの位置等にはOKを頂いておりましたので、引き続き下準備を行います。尚、画像のマウスは塗装する物では無く、ロゴ入れの際に確認が出来るようにとお預かりしたもう一個の予備用です。

 塗装するマウスはこちらの方で、既に分解も済んだ状態となります。

裏側に塗料が着かないようマスキングをし、被塗面を#800相当(アシレックスレモン)で空研ぎ足付け処理を行っておきます。

前回はそのまま下塗りとしてそのままクリアーを塗ったのですが、今回は予め下塗りとしても色(ベースコート)も塗っておく事にしました。その方が本塗りの時に色が隠ぺいし易く、綺麗に仕上がるからです。

 本番では「G」のロゴは既存のサイズより小さくしますが、今回は下塗りなので逆に0.1mm大きくし、インジケーターランプの3個の円も本番で使う1.0mmでは無く一回り大きい1.2mmのマスキングシートを使いました。多少黒が残るような感じです(下塗りなのでOKです)。「G」のデータは前回作製した物を使っています。

 そして並行して今回一緒にご依頼を頂いているロジクールのG PRO Xキーボードも作業を行っています。こちらは先日プリントのロゴをデータ化するところまで進行しております。

側面を見てみると、成型時の歪が結構酷いので、

 #120→#180→#240→#320→#400と空研ぎでラインを整え、

その後#500~#800相当(アシレックススカイ~レモン)でペーパー目を均し、足付け処理を行っておきました。

ここで失敗したのが表面(天面)で、元々艶消し(極細かい梨地)になっていたので歪が判らなかったのですが、この後下塗りを行って艶が出る事で表面にも結構な歪がある事が判明しました。なのでもしかしたらサフェ入れも行うかも知れません。

 そして台にセットし、下塗り準備完了です。

キーボードは素材がPS(ポリスチレン)だったら違う塗り方になっていたのですが、シリコンオフを塗っても全く溶けもしなかったのでABS樹脂だという事が判り、マウスと同じくベースコートからの塗装にしました。

 またどうせならという事で、その他のパーツも下塗りを行う事にしました。今回はホワイトパールでご依頼を頂いていて、黒から白系にするにはかなりベースコートを塗らなければならなく、それによって起きる艶引けの防止と言う訳です。ベースコートは少なければ少ない程塗膜の強度が上がり、また仕上がりは良くなります。

 表面には元々艶消しの黒が塗られていましたが、フチなどはプラスチック素地がそのまま残っている箇所もあったので、念のためプラスチックプライマーを塗布し、続けて適当な白(具体的にはVW社のハーベストムーンベージュ)を塗りました。

 ここで完全に隠ぺいする必要は無く、大体下色として機能するくらいまで塗ったらマスキングを剥がします。またそのままだとマスキング際の段差が激しいので、軽く研磨して均しておきました。

 マスキングをしてプラスチック素地が露出した箇所に再びプラスチックプライマーを塗布し、クリアーを塗って下塗り完了です。ぱっと見は終わった体に見えますが、まだ全体の半分にもなっていません(私的には10%未満です)。

 「G」の部分はガタガタですが問題ありません。とにかく透明な部分に白が掛かるのを避けたかったのでこの時点で汚く仕上がるのは想定内です。

 そして角度をつけて見てみると「G」の部分が一段低くなっているのが判ると思います。Gの部分は実際には本体とは別部品で、元々少しここが低くなっています。

塗装する上ではこのままだと支障をきたすので、その部分だけクリアーを2回多めに塗り(計4コート)、完全硬化に砥石を使って平滑にしておきます。

その他のパーツも一緒に塗っておきました。

 そしてキーボードですが、

歪の件もそうでしたが、素材に黒の染料が練り込まれていた為にブリード(滲み)も発生しています。自動車部品ではこういう事は殆ど無いのですが、一般的な着色樹脂(顔料)だと黒さが足りなく、デザイン性を重視した電化製品では漆黒さを出す為に染料を混ぜて成型させる事がよくあります。最初の頃は色々悩みましたが、何でも塗る今の小物塗装屋になってからは普通に出現するのでもう慣れました(対処方法も問題ありません)。

それではまた作業が進行しましたら紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!