BMWパニアケース蓋 補修塗装承ってます

bmw133 先日到着しておりますBMWパニアケースの蓋です。今回の御依頼は片側のみで、転倒傷の修理塗装となります。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

bmw135 色についてはカラーコードの「943」という事が判りまして、ただこれをスタンドックスで検索しても配合データは存在していませんでした。で、ネットで調べてみると「Dark Ferro」なる色名が見つかり、そこから再度スタンドックスで検索すると「944」なる配合データが見付かりました。実は車体色が2トーンカラーとの事なので、恐らくはこれで大丈夫なのでは、と思っています。

bmw134傷の具合はこんな感じですが、塗装屋的には肌の悪さの方が気になってしまいます。ラウンド(肌)が粗い上に艶が引けたような感じでちょっと微妙ですよね。今回塗ってこれは払拭出来るとは思いますが反対側と差が出てしまうのでは・・・と心配しています。しかしわざとこの仕上がりにするのはちょっと・・・(笑)。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

BMWのパニアケースが装着されたようです

bmw-7先日完成していましたBMWのパニアケース蓋が無事装着されたようで、オーナー様よりご感想と画像頂きましたので紹介させて頂きますね。

「早速取付けてみました。出来栄えは期待した以上に素晴らしく、塗装の品質、ラインの正確さ、作業の丁寧さにあらためて感嘆しました。それと、タンクに引かれた一本の子持ちラインを後部のパニアケースで2分割する我がアイデアも、なかなかのものだったなあと、手前味噌ですが満足しています。もちろん高畑様の素晴らしい仕上げあっての事ですが。重ね重ねお礼申し上げます。大変ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。」

との事です。いやいや、今回はトースカンのお陰です(笑)。

bmw-6タンクの模様はちょっと判り難いですが、こちらのモデルは車体の中央を幅10cmの白いラインがフェンダーからアッパーカウル、そしてタンクへと続いています。そのフチには5ミリのラインが付いています。

今回はこれを左右のパニアケースに分断するような形で配置しました。見ての通り凄い一体感でこのパニアケースが着いた状態が完成形、といった感じにさえ見えます。これは良いですね。

bmw-5こちらは完成時の画像をちょっとトリミングしてみました。太い方は40ミリ、細いラインは幅が5ミリです。「丁度半分」にするならば太い方は50ミリになりますがそれだとちょっとボテっとし過ぎだったのでオーナー様と相談して今回の40ミリになりました。この方がスリムで良いですよね。

ラインのシャープさは確かに大変で、普通にマスキングして塗るだけではやはりガタガタしてしまう箇所が出て来ますからラインを引いた後にも何度も修整してようやくここまでに仕上げています。まあピンストライプ(手書き)とかは出来ない分、こういったところで見せるしか無いですからね(笑)。

こちらこそこの度は有難う御座いました!

BMWパニアケース蓋塗装 完成

bmw99 大変お待たせしました!長らくお預かりしておりましたBMWのパニアケースの蓋は本日完成となります。それでは完成画像紹介させて頂きますね。

bmw100 今回の御依頼はボディ同色の2トーン配色で、黒い部分はBLACK SAPPHIRE(カラーコード:475)、白いラインはALPINWEISS III(カラーコード:300)となっています。どちらもSTANDOXの配合データがありましたので特に調色は行わず当然それについての費用も必要ありません(ただし二色目を指定の場合は別途必要となります。「白なら何でも良い」という事であればそれも掛かりません)。

bmw101 今回のライン入れはメケン(=目見当)による位置決めでは無くトースカンを使用したのでまるで機械で行われたかのような精度で対称性が出てています。

当店の場合、エアーブラシで絵を描いたりファイヤーパターンを施すような装飾的な塗装は出来ませんが、代わりにこういった事に重きを置いている所があるかも知れません。自分がやる仕事としては「職人技」といった人間味溢れるような仕上がりよりも、大量生産品でしか出来ない「どれをとっても寸分狂わない仕様」と言う方が好きなのだと思います。線の幅が途中から変わったら嫌ですよね。

bmw102ライン入れのやり方としては、最初にトースカンを使って2ミリのラインテープを引き、それに重ねるようにして5ミリのテープを貼り、それにピッタリ沿うようにもう一度5ミリのラインテープを、さらにそれに沿って3ミリ(くらい)のテープを引いています。一番難しいのは基準となる最初の2ミリのラインテープで、それ以外は単に沿って貼っているだけなのでそんなに難しい訳ではありません。また各幅に関しても定規などは使っていなく、予め40mm幅にカットしたシートを貼ってそれにトースカンの位置を合わせて後はラインテープの幅を利用しています。技術と言うよりは事前準備の賜物といった感じです。

bmw104紹介はしていませんが流石に今回はフルポリッシュとなりました。上面はゴミが付いた箇所だけですが、ラインの見切り部分は全てペーパーを掛けて磨いています。白は隠ぺい力が弱いのでどうしても膜は付いてしまいますから塗膜の段差は強く出てしまうのです。なので最初に白を塗ってから黒メタリックの順番にしたかったのではありますが、マスキングの作業がどれくらい困難になるのかが読めなかったと言う事もあって、今回は安全な方を選んだと言う訳です。白から塗っても出来ない事は無いので、次回機会があればその順番も検討してみたいと思います(と言う過程を自分で決められる自由さが塗装の面白い所なのです)。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。明日の関東は10年に一度の大雪との事ですから引き取りにしても配送にしても控えた方が良さそうです。

この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

BMWパニアケース蓋 本塗り②

pania8ベースカラーの黒メタリックに使ったスプレーガンはいつも通り口径1.3ミリですが、ラインの白に使うガンは口径を1.0に下げ、さらにマスキング際には0.3ミリを使います。極力膜厚を付けないように最短距離で隠蔽させたい、といった感じですかね。隠蔽性の低い白では物理的に難しい所はありますが出来る事はやっておこうと言うことで。ちなに最終的には4丁出して来ています(苦笑)。

pania9ちょっと途中を撮影する余裕も無く、一旦は白ライン塗装を終えてその後の修整となります。画像では既に一周まるまる修整を終え、さらに細かい箇所をピンポイントで修整しているところです。画像で見るとちょっと判り難いですが、白いラインの途中に欠けている箇所があるのが判ると思います。 こういった所をネチネチとシラミ潰していくのです。

pania10 この程度の修整であればそんなに塗り込む必要はありませんからこれ以上ひどくなる事はありません。0.3ミリのスプレーガン(SATAのエアーブラシ)で薄く塗る程度でOKです。

pania11 こんな事を片側で10箇所くらい行いますから結構時間は掛かってしまいます。ちなみに修整する箇所は白だけでは無く黒い方も行いますから結果スプレーガンは4丁使う事になっているのです。洗うだけでもこれは大変です。

pania12 各部チェックしてこれならOKと思ったらよくエアーブローをして、新しいタッククロス(被塗面を拭く専用のウェス)を使って塗膜の表面を清掃します。単に乗っかっている繊維的なホコリであればエアーブローだけで飛んでいってくれますが、粒子的な物は表面に引っかかるような感じで少し撫でてあげないと取れてくれなかったりするのです。

pania14そしてクリアーを塗って無事本塗り完了です。何とかイメージ通りの良い感じに出来たと思います。

安全策を取って白は後からと言う順番にしましたが、やはりと言うか時間は結構掛かってしまいました。出来る限りの準備は前日に行っていたのですがそれでも本塗り当日は全然時間が足りなかった、と言う感じですかね。いつもより2時間オーバーしてしまいました。

pania13ベースとなっているのは純正部品ですから、同じBMWオーナーが見て「純正でこんな仕様ってあったっけ」と思ってくれれば面白いかと思います。社外品であれば元々塗ってあるような物もあるので「ふーん」くらいで終わってしまう場合もありますが、この辺のユーザー層は純正に拘る方が多いでしょうからきっと興味を持ってくれるのでは無いかと思います。

それにしても塗り終わった後はヘトヘトで、二階に上がったらカップラーメン食べて一時間くらいは寝ていました。やる事は現場作業だけでは無いので塗ったらそのまま帰れる、と言う訳にも行きませんでして・・・。

とにかくこれで去年からお預かりしていたこの案件も何とか先が見えました。油断は出来ませんがとにかく佳境は越えたと思いますのでどうぞ御安心くださいませ。まあ実際一番安心しているのは自分なのですが(笑)。トースカンが上手くいかなければ本当にどうしようかと思っていた所はありましたので・・・。

それではまた進行しましたら紹介させて頂きますね。磨きでもちょっと時間が掛かりそうですので完成は今週末の予定です。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

BMW パニアケース蓋 本塗り①

pania本日は日曜日で休みですが、近々提出する為の確定申告の帳簿を作る為に自宅待機中です。ちょっとその間にこちらも進めておきたいと思います。明日は明日でやる事が山積みですので・・・。

画像は先日無事本塗り完了しておりますBMWのパニアケースで、画像数が結構あるので二部に分けて紹介します。

pania1置いている台が一斗缶を3個積み重ねた物で、ちょっと貧乏臭いですがこれが意外と按配が良いのです。今回のパニアケースも耳の部分は裏側に数ミリ残っていて、被塗物より大きい台に乗せてしまうとここが塗れないので駄目なんですよ。

pania2 そしてベースコート塗布です。直前まで「先に白を塗ってそこをマスキング」と考えていたのですが、どうも失敗しそうなので結局この順番となりました。最初から覚悟をしておけば悶々とした正月を過ごさなくて済んだんですけどね・・・。

白は比較的影響力の強い色ですが、ただ隠ぺい力はかなり低い色です。塗っても塗っても下が透けてしまうようですから大抵は4~6コート塗らないと安心が出来ません。それに対して黒系であれば2コートないし3コート塗れば完全に隠蔽しますから膜厚は半分で済みます。

今回はライン入れの塗装があってしかも「二本」がかなり近い距離ですから、スプレー方向等での塗り方による見切り部分の対応が出来ないのでどうしてもラインのフチに膜厚が付いてしまいガタガタの仕上がりになってしまいがちです。出来れば膜厚を少なくて済む、「後から黒」と言う順番にしたかったんですよね。

pania4 ただしこのようにマスキング作業もかなり手間を取りますから、この時に白が先に塗られているとなると相当神経質にならざるを得ません。台に置くにも白く塗った箇所が近くなりますから(画像では置いているように見えますが実際には塗面は接触していません)気が気では無くなってしまいます。神経が持たないんですよ。

pania5 と言う事でマスキング作業は練習の甲斐あって比較的スムーズに行きました。この一本を貼るのだけで1時間くらいでしょうか(笑)。いや、いくら事前に練習していても本番ではやはり時間が掛かってしまいます。ちなみに最初に貼ったのは2mmのラインテープです。

pania6 そして次に5ミリのラインテープを使います。今回は「40ミリ」の白いラインの横に5ミリの隙間を設け、さらに「5ミリ」の白いラインを加えます。親ライン+子ラインと言う感じで確かに一本だけよりもシャープさが映えて格好良く且つお洒落に見えるんですよね(ただしとても面倒ですので費用も上がります・・・)。

pania7 最初にトースカンを使って貼った2ミリのラインテープを基準に、それにピタリと合わせて5ミリのラインテープを貼り、さらにその上にもう一本ラインテープを貼ります。間に入れた5ミリのラインテープは本番用では無く「ガイド用」で、これはこの後必要無いので剝がしてしまいます。この湾曲したラインに幅5ミリのラインを綺麗に作る為の捨て駒と言うかスケール(定規)的な使い方ですかね。ちなみにマスキングテープを貼り積み重ねていく作業はそんなに難しくはありません。確かに髪の毛程の細さでのレベルで合わせていますが何も基準が無い状態で貼る作業よりかはこの方が全然楽なのです。最初に貼ったラインを。トースカン無しで反対側の部品にも同じ様に貼るなんて、一日費やしても出来るかどうか・・・と言うほどですので(ちなみに今回「ロクロ」も検討しましたが恐らくセンター出しが出来ないのでボツにしました)。

pania8そして二階から一階の塗装ブースに戻り、いよいよ白ライン部分の塗装となります。ちなみに被塗物の移動はエレベーターなので安心且つ楽チンです。と言うか裏手にある階段は木造製でかなり狭いのでこういった塗装途中の製品を持ってそこを通るのは非常に危険なのでして・・・。

それでは続きはまた後ほど(または後日)紹介させて頂きますね。ちょっと確定申告の帳簿を進めないといけませんので・・・(一年分を・・・恐)。