ムーブヘッドカバー&インマニ結晶塗装 完成

先日本塗りを終えていたダイハツムーブのヘッドカバーと、

インテークマニホールドです。

その後恒温機で120℃30分程の二度焼きを行い、凸文字部を研磨してアルミ地を光らせました。

腐食の進行を遅らせられるよう露出させたアルミ素地にはクリアーを塗っておきます。

その後60℃40分程の熱を掛けたら完成です。大変お待たせしました!

最初の状態も紹介します。

元々は未塗装で凸文字など無い製品でしたが、

御依頼頂いたショップさんから送って頂いたデータを基に、

金属加工会社さんにて2mm厚のアルミ板をカットして頂き、

構造用エポキシ接着剤で固定し、さらに接合部周りをエポキシプライマーサーフェサーで僅かな隙間も埋め、

ブルーパールを混ぜた結晶塗装の黒で仕上げました。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

ぱっと見は黒の結晶塗装ですが、

光に当たるとブルーパールの青味を感じられるかと思います。

被塗物(ヘッドカバー)本体と切り文字との間で僅かな隙間も無くすことで後から取り付けたとは判らない程の一体感を感じられるかと思います。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

参考までに左側が通常の黒の結晶塗装で、右側が今回のブルーパールを入れた結晶塗装です。それ単体だと色の違いは判り難いですが、こうやって見比べると色相の違いが判り易くて良いですね。

ムーブヘッドカバー&インマニ 本塗り

先日凸文字部の最終処理を行っておいたダイハツムーブのヘッドカバーと、

インテークマニホールドです。

インマニはサンドブラストを行い、ヘッドカバーと共にリン酸処理済みとなります。

インマニは裏側もしっかり塗れるよう、棚板の端にボルトで固定しています。

まずはプライマーを塗布します。

裏側を塗る場合は下から上を覗くようにして塗るのではなく、棚板ごとひっくり返して塗っています。この方が細部までしっかり見れますし、何より作業者(私)が無理の無い姿勢で塗れるのでその分仕上がりが良くなります。塗装の仕上りは技術的な事よりも、どれだけストレス無くそれがやり易いかによって大きく変わると思っています(勿論ある一定のレベルを超えての話ですが)。

ヘッドカバーも全体にプライマーを塗布します。パイプは元々メッキが施されていますが、耐食性の高い物では無いので一緒に塗る事にしました。

その後パイプ部分にはベースコートの黒を塗布します。

同じ様にインマニにもあるホースパイプ取り付け部もベースコートの黒を塗り、しっかり乾燥させたらマスキングをしておきます。

色は黒の結晶塗装にパウダータイプのブルーパールを混ぜて作ります。

塗料は、「顔料」「樹脂」「溶剤」(+添加剤)で構成されていて、それぞれの組み合わせで用途や特性が変わります。

今回の場合は「黒顔料」+「熱硬化型樹脂」(メラミン系等)+「添加剤」(伸縮率の違う樹脂」+「専用溶剤」に、「ブルーパール顔料」を単体で入れているだけなので何ら問題はありません。トラブルが起こるのは大抵違う種類の樹脂や添加剤(硬化剤等)を混ぜた場合ですね。

結晶塗装黒+ブルーパールの塗料を、全体の膜厚が均等になるようコートします。大体6コートくらい重ねています。

その後140℃~170℃程の熱を40分程掛けて焼付けます。

結晶塗装用の塗料=リンターは120℃20分程がマニュアル上での硬化時間なのですが、赤外線ヒーターだとどうしても一方向からだけの加熱で温度にムラが生じる為、高め&長めに設定しています。

ぱっと見は黒ですが、光に当たると青味が出るのを感じられるかと思います。

この後もう一度恒温機で120℃30分程の熱を掛けて二度焼きし、後日凸部を削ってアルミ素地を光らせます。

インマニは形状が複雑なので、スプレーパターンを一番細くし(丸吹き)、塗り難い所から狙い撃つようにして全体が均一になるようにしています。

今の小物塗装で一番プレッシャーが高いのがこの結晶塗装で、塗っている最終と塗り終わった時は心拍数が半端ない事になっているので、もう少し歳を取ったら受付を停止しようと思っています。いずれ塗り終わった後にそのまま倒れてしまうのではないかと…。

裏側はプライマーを塗る時と同様、棚板ごとひっくり返して塗っています。

貼り付けた切り文字の根本=接合部をしっかり埋める事で本体との一体感が生まれ、一見して後から取り付けたとは判らない仕上がりになるようにしています。

次は恒温機を使って120℃30分程の二度焼きを行い、凸文字の天面を削ってアルミ地を光らせ、その部分の腐食の進行を遅らせられるようクリアーを塗っておきます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ムーブヘッドカバー&インマニ 凸文字 サフェ入れ

先日アルミ製の切り文字を取り付けておいたダイハツムーブのヘッドカバーです。その後60℃40分程の熱を入れて接着剤を硬化させておきました。

通常であればこのまま本塗りにも行けるのですが、

この隙間が残ってしまうと「後から取り付けた感」が出てしまうので、

エポキシプライマーサーフェサーを筆で塗り、虱潰しに隙間を埋めていきます。

食み出た箇所は後で研磨するので問題ありません。

何周か繰り返して隙間が全部埋まったら、再び60℃40分程の熱を掛けて硬化させます。

その後食み出た部分をワイヤーブラシ&ペーパーで研磨して足付け処理し、凸文字の天面を#120と当て板を使って粗研ぎしておきます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ムーブヘッドカバー&インマニ 凸文字 取り付け

先日下準備をしておいた、カットされたアルミ板です。

予め位置を決めたマスキングシートを指定の箇所に貼り付けます。

そのままフリーハンドで貼り付けるとどうしてもズレが生じてしまうので、予めデジタル上で各々の文字を整列させ、それをガイドとして一つ一つ貼り付けていくという方法となります。

取り付けに使うのは3Mの構造用接着剤DP460オフホワイトで、オフィシャルサイトのページには「優れた強度と高い耐衝撃性、耐疲労性を備え、厳しい接着条件を満たすことができます。多くの用途でボルトやビス、ネジ、リベット、スポット溶接の代わりに使用することができます。」といった紹介がされていて、要は一度着けたらもう剥がせない(削り落とすしかない)というくらい強固に取り付けられる接着剤という事ですね。

塗り方としては、まず母材の方にヘラでしごく様にして満遍なく塗り付け、

切り文字の方にも塗り、

ガイドに合わせて貼っていきます。

同じ様にヘッドカバーも。

ガイドに使っているマスキングシートはPP=ポリプロピレン製で、これはプライマー無しだと塗料も接着剤もくっ付かない特徴がありますから、

このまま固まるまで剥がさずそのままで、

凸文字の位置がズレないようになってから剥がすようにしようと思います。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ムーブヘッドカバー&インマニ 凸文字下準備

先日に引き続き、ダイハツムーブのヘッドカバーとインマニの下準備となります。尚、どちらもアルカリ洗浄槽で清掃済みとなります。

インマニの方には深い傷があったので、

シングルサンダー#120→ダブルアクションサンダー #120→#180で均しておきました。

同じ様に、ヘッドカバーの凸部を削った箇所もダブルアクションサンダーで均しておきます。

インマニはサンドブラスト(軽め)も承っていますので、各部をマスキングし、ブラストボックスの中に入れ、

サンドブラストを行いました。

ちなみに当店でおこなっているサンドブラストは軽めの吸い上げ式のみで、腐食が激しかったり、再発の可能性が高いマグネシウム合金の場合はそれ専門の会社に外部委託するようにしています。この場合そもそもの費用が高い事と往復の送料が掛かるので、大体倍くらいの金額となります。

カットして貰ったアルミ板はバリがあるので、

 

当て板に貼った#120のペーパーで擦ってそれを取りつつ、足付け処理としています。

ただ切り文字の断面にペーパーを当てるのは難しい(とても面倒)なので、この場合はリン酸を使った化成処理としています。

この時同時にヘッドカバーとインマニもリン酸処理~洗浄を行っておきます。

リン酸処理が終わったらよく洗浄して乾かしておきます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!