NDロードスターヘッドカバー 本塗り

先日お預かりしておりましたマツダNDロードスターの純正ヘッドカバーです。

初期の頃に聞いた話では、新品時からヘッドカバーに付属されているオイルシール(ゴムキャップ)は単品では取り寄せられないとの事でしたが、今回オーナー様がそちらを入手出来たとの事で取り外しておきました(再利用は不可です)。

この型のヘッドカバーは元々表面にクリアーが塗ってあって、腐食し難い(見た目が汚くなりにくい)という利点はあるのですが、そのまま塗ろうとするとリン酸のような水溶性の物は効果が出ず、なので最初にシンナーを使って全体を洗い流しています。洗い流したシンナーは溶剤槽に戻していますが、これが妙に泡立つ塗料で、一体何なのでしょう・・・(ちなみにこのクリアーは溶剤も弾くので剥がさずそのまま塗ると後で全部剥がれてしまうと思います)。

元々塗ってあったクリアーが無くなると腐食はさらに早く進むので、それを抑える為に全体にプライマーを塗布します。

プラグ穴周りに結晶塗装を行うとキャップがしっかり嵌らず外れてしまう事があるとの事で(以前お客様よりそう伺った事がありました)、そこはベースコートの黒を薄膜で塗り、

それが乾いたらマスキングを行います。

そして色ですが、今回は「ディープクリスタルブルーマイカ (カラーコード:42M)に似せた感じの結晶塗装で」と伺っておりますので、

結晶塗装の原色の黒と青とオレンジを混ぜ、さらに配合データ(自動車補修用塗料用データ)を見てみるとブルーパールとアメジストパール(バイオレット系)が使われていたので、パウダータイプのそれらを入れて色味を表現しています。

全体が均一になるよう且つしっかり膜厚が着くよう塗り込みます。

その後直ぐに熱を掛けて塗膜を硬化(熱重合)させます。この時点では赤外線ヒーターを使い、大よそ140℃~170℃程の熱を30分程掛けています。

そして結晶塗装が完了です。お待たせしました!

熱々の状態だとまだ塗膜が柔らかく、この後冷えていくにつれて塗膜も固くなっていきます。

ただし規定通りの焼き付けだけだと塗膜が柔らかい感じがするので、後日もう一度、今度は熱管理のし易い恒温機(乾燥炉のような箱型の物)で120℃30分程の二度焼き目を行います。

単なる紺では無く、ふわっと浮くようなバイオレット&ブルーのパール感が判ると思います。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!