三菱 i(アイ)ヘッドカバー 本塗り

 先日下地処理を行っていた三菱i(アイ)のアルミ製エンジンヘッドカバーです。いよいよ本塗りとなります。

 良く脱脂処理しエアーブローをしたら、アルミ素地が露出している個所へ(とそうかも知れない部分にも)にプライマーを塗布します。

 そしてカラーベースを塗布します。色はマツダ「ソウルレッドプレミアムメタリック 」(カラーコード:41V)の配合データ通りとなります。

 その上に透過性の赤=キャンディーレッドを塗布します。こちらはマツダのソウルレッドとは関係無く、当店でテールランプの塗装に使用している色を使用しています(ですので表記される色名が「風」となっています)。

画像はまだ1コート目で、この後2コートを塗り重ねます。

 途中昼休憩を挟んで2時間くらい自然乾燥させたらマスキングをして凸部を研磨します。

 元々#180まで研いでいたので、同じく#180から始めて最終#800相当(アシレックスレモン)まで仕上げます。

 マスキングを剥がし、タッククロスとエアーブローで残った研ぎ粉を綺麗に取り除きます。

 アルミ素地が露出した個所に密着剤を塗り、クリアーを塗って本塗り完了です。クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」の仕様となっています。

 今回はサフェーサーを使った下地処理をしていませんが、元々の素地の状態(製品自体の仕上り)が良かった事と、下塗り後の研ぎをする事でサフェ無しでも十分綺麗な仕上りに出来ていると思います。

 プラグホール部分は「プライマー→ベースコート黒」のみの塗装で、そこは膜厚を着けない様ブツ切りのマスキングをしている為、クリアー塗装終了後直ぐに剥がして見切りが汚くならないようにしています。

ブルー系のメタリック(パール)は2コート仕様でも比較的綺麗な色を出せますが、赤系は一般的な2コート仕様ではこういった色を出せません(クリアーに赤を混ぜるというのはNGとして)。

なので赤系の場合は今回のように3コートのキャンディー塗装として行いますが、補修の事を考えると難しい面があり、それ故に各自動車メーカーは長年それを避けていたのです。

が!そこでマツダが抜け駆けしてこれをやってしまったと言う事で、「今までに無い色」みたいな感じで(実際には遥か昔からありました)この色が売れに売れたと言う訳です。日産は昔からこういう事が好きなようなので勝手にやっててくれればと思っていましたが(笑)、まさかマツダがやるとは思いませんでした。

ただそれでもカスタム塗装のキャンディーカラーのように下色を純粋なシルバーにするのでは無く、今回のように多少なり色を入れる事でその後に塗る赤の塗装を楽にしてくれています。コート数は少なくて済みますし、ムラやダマも非常に目立ち難くなります。実際に通常であれば5コート塗るところを、今回は3コートで済んでいます(ベースコートは合計6コート以内と言う事で、ただそれでも念の為硬化剤はかなり入れています)。

この後は常温で自然乾燥し、後日60℃40分程の熱を掛けて強制乾燥硬化させます。

それでは完成次第また紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

三菱 i(アイ)ヘッドカバー 下準備

 先日下塗りを終えていた三菱i(アイ)のアルミ製エンジンヘッドカバーです。その後60℃40分程の熱を3回程行って塗膜を完全硬化させておきました。

 今回は素地の状態が悪くないヘッドカバーだった為、通常行っている「研磨→プライマー塗布→サフェーサー塗布→完全硬化→研磨」の工程を省き「2度塗り」と言う工法で行っていますが、こうやって艶が出るとやはり色々と粗が判ります(ただそそれでも鋳造としては良く仕上がっている方です)。

 塗膜がウネウネしているように見えますが、これは塗り方が悪い訳では無く素地自体による物です。

 そもそも下塗りなのでクリアーの塗装はいつもより控えめで、肌が荒れる(細かくなる)事はあってもこのようにデロデロの状態にはなりません。

 と言う事で、ここから当て板と#800での水研ぎで素地を均していきます。

尚、通常の当て板では細かい個所に当たらない為、こういった場合は3ミリ厚のアクリル板片を使っています。

 平面は普通の面部分を使いますが(画像もアクリル板で、台紙が着いたままの状態です)、

 狭い個所はアクリル板の断面を使って研ぎ出します。3ミリの厚みがあれば十分で、常に違う方向に「面」を意識して動かしていくと凸凹した個所も平らになっていきます。

 その後は同じく#800を、やはり小さくカットしたスポンジパッドを使って全体を均していきます。当て板が固いと曲面は多角形=カクカクしたラインになる為、それらを滑らかにしていく感じです。以前施工したBRZのインテリアルパネルを塗り直したのはまさにそれが原因です。

 本来は先にやっておくべきだったのですが、凸状になった三菱のマークとMIVECの天面を研磨してアルミ素地を露出させておきます。本番では#800相当まで使って光らせますが、後でまた研ぐのでここでは#180までとしています。

 その後はスコッチとナイロンブラシとウォッシュコンパウンド(液状の研磨材)を使い、細部まで足付け処理を行っておきます(ガッチリ固まっていたので大変でした…)。

その後よく洗浄し、マスキングをしておきます。オイル注入口の径を測り、カッティングプロッターでマスキングシートをカットし、貼り付けておきます。

尚、色は以前施工したインプレッサフロントグリルと同様の、マツダ純正色「ソウルレッドプレミアムメタリック」風の塗装となります。現在下塗りで塗っているベースカラー(小豆色のメタリック)をもう一度塗り、その上にいつもテールランプに塗装している透過性の赤=キャンディーレッドの仕様となります。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ちください。もう少々お待ちくださいませ!

三菱 i(アイ)ヘッドカバー 下塗り

三菱 i(アイ)ヘッドカバー塗装承ってます

先日お預りしておりました三菱i(アイ)のエンジンヘッドカバーです。先日アルファロメオのヘッドカバーの本塗りが完了しましたので、続けてこちらも作業着手しております。同じ様な内容なので並行して作業が出来そうかと思いきや、中々そう上手くは行かない訳でして(頭の切り替えが難しいのです…)、長らくお待たせしておりました。

 ヘッドカバーは新品でも腐食(黒ずみ)防止の為か、アルミ表面が油っぽくなっている事が多く、そのままリン酸処理をすると弾いてしまい効果が無い為、まず最初にシンナーで洗い流すようにして全体を脱脂清掃し、その後リン酸処理を行います。

さらに水洗い後には一日以上乾燥させ、よく水気を飛ばしておきます(またはタイミングが良ければ恒温器に入れて一旦熱を掛けてしまいます)。

 その後全体にプライマーを塗布し、

 プラグキャップは恐らく外から被さるタイプの為、無用に膜厚を着けないようベースコートの黒を塗り、

テープフリーになったらマスキングをします。ここは最後までクリアーは塗らないようにします。

 続けて下塗り用のベースコートを塗ります。と言っても使うのは本塗り時と同様、マツダの「ソウルレッドプレミアムメタリック」のカラーベースを使います。次に本塗りを行う時、ベースコートの膜厚が薄く済むようにですね。尚ベースコートは薄ければ薄い程仕上りが良く(艶引けが無く)、逆に厚くなると塗膜の強度(主に密着性)が下がるので塗り過ぎには注意が必要です(どうしても厚膜になる場合は一旦クリアーを塗って反応させ、二回に分けるという手があります)。

 アルミ素地の時には判りませんでしたが、やはりと言うか鋳造素地の粗さが目立ちます。

 何でもない面もカクカクしていたりと、巣穴や傷以外でも、そのまま上塗りをしていたらちょっと残念な仕上りになっていたと思います。

 そしてクリアーを塗って下塗り完了です。いつもの仕上りと違ってデロデロしているのはクリアーを塗り過ぎた訳では無く(むしろいつもより塗っていません…)、素地が粗いからです。ただ鋳造製品にしては全然良い方で、だからこそ下地処理無し(素地調整無し、サフェ研ぎ無し)でもここまで仕上ります。普通はあり得ないのですが…。

 尚、本塗り時にはもう一度これと同じカラーベースと、さらにキャンディーレッドを重ねて鮮やかなソウルレッドプレミアムメタリック風の仕上りにします。

また本塗りの前には、先日アルファロメオのヘッドカバーでも行ったように、ある程度ペーパーを掛けて表面を均しておこうと思います。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせていただきますね。チヂレ防止の為まだ少し先になると思いますが、どうかもう少々お待ち下さいませ!

三菱 i(アイ)ヘッドカバー塗装承ってます

 先日到着しておりました三菱 i(アイ)のエンジンヘッドカバーです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

 ご依頼内容は結晶塗装では無く「艶々仕上げ」で、ただし今回は素地の状態が良いので下地処理はサフェーサーの使用では無く、「2度塗り」での対応となります。三菱のマークとMIVECの凸文字は研磨して素地を露出させ、その上にクリアーをコーティングするように仕上げる予定です。

以前「2度塗り」の方法で行った施工例がありますのでそちらを紹介させて頂きますね。

日産L型ヘッドカバー2トーンカラー塗装 完成

上記のL型ヘッドカバーは凸文字部を「白」にする為、最初の本塗り(下塗り)で一旦ヘッドカバー全体を白に塗装しています。サフェーサーの代わりにトップコート(白)を利用した感じですね。

他には以下のマツダアテンザのフロントグリルもそういった塗装方法となっています。

MAZDA6 Front Grill

ただしこれは素地が比較的良好な場合のみ対応出来る事で、素地の状態が悪かったり、梨地の凸凹が粗いと余計に酷い結果になるので全くお勧めが出来ません。

梨地やシボ模様にそのまま上塗りを行う場合は、それらを飛躍的に目立たなくさせる結晶塗装や、もしくは艶消し仕上げがお勧めとなります。

参考までに、以下のマツダアテンザの樹脂製エンジンカバーは、元々かなり粗い(深い)梨地でしたが、艶消しクリアーで塗る事で比較的格好良い仕上りに出来ていたりします。これが艶ありだったらデロデロな感じになって非常に気持ちの悪い仕上りになってしまいます。

MAZDA 6 Engine cover

 今回の製品は比較的綺麗な素地ですが、やはりと言うか素地のそのまま、しかも鋳造製品ではありますので、よく見ると小さい巣穴や傷などが残っています。素地の状態だと気にならない物でも、塗装を行うと塗料の表面張力によりちょっとした粗はさらに目立つようになり、さらに全体が艶々になるとそういった部位ばかりが目立ってしまう事になりますが、サフェーサーとは言わないまでも、一旦下塗りをを行う事でこういったちょっとした粗はかなり目立たなくする事が出来ます。

尚、ご希望の塗色はマツダの「ソウルレッドプレミアムメタリック」風で、以前施工した記事がありますのでそちらを紹介させて頂きますね。

Nissan Skyline R32 GT-R Engine parts

R31スカイラインヘッドカバー塗装 完成

インプレッサWRXグリルモール塗装 完成

画像は撮影する環境によって変わるので、それぞれ違う色味に見えますが、どれも同じ塗装となります。

尚こちらは3コートのキャンディー塗装となりますので、通常の塗装に比べて割増費用が必要となっております。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!