先日お預かりしておりましたトヨタ86用の樹脂製インテークマニホールドとカバーパネルの二点です。その後アルカリ洗浄槽に浸け置きして洗浄しておきました。黒いので判り難かったのですが、インマニ内部のベタベタはキュキュッとなるくらい綺麗になりました。
この後は足付け処理をする為にサンドブラストを行うので、当てたくない箇所にマスキングを行います。
足付け処理はペーパー掛けでも勿論良いのですが、この形を隅々までそれをするのは現実的では無いのでサンドブラストを行います。
そしてもう一点のカバーパネルです。今回はこちらも結晶塗装で承っておりまして、ただ凸文字部のシルバーを残そうとするとサンドブラスト処理が出来ませんから、今回はこれも塗り直します。また現状よりも金属感の高いシルバー(STANDOX JLM-906高輝度シルバー)を採用します。
通常は石刷りなどを行いますが、今回はそのままスキャナーで読み込みました。マイケル・J・フォックス主演の「摩天楼はバラ色に」を思い出します(判りませんか・・・)。
スキャナーで読み込んだラスター画像を基に、Illustratorを使ってベクトルデータを作成します。これでマスキングシートの作成準備が完了です。
その後2部品をブラストボックスに入れ作業開始です。ちなみにサンドブラスト作業は屋外で、今の時期だとかなり気温が高いので防塵マスクでは無くエアーマスクを着用して作業しています。これだと体の内部から涼しいですし、常に陽圧なので肺にもとてもやさしいです。
ちなみにPP(ポリプロピレン)やPA(ポリアミド)などのプラスチックパーツにサンドブラストを行うと表面が激しく毛羽立って取り返しのつかない事態になりますが、素地の粗さを目立たなくしてくれる結晶塗装であれば問題ありません。むしろこれのお陰で密着性が高くなり、このような事態が起こるのを防ぎます。
裏側も細部までしっかりブラストします。
カバーの凸文字は後でシルバーで塗るので既存の塗装は剥がしてしまいます。
その後はよく水洗いをし、乾燥させます。
サンドブラストをして何が変わったの?と思うかも知れませんが、
マスキングをしていた箇所を見るとその差が判り易いかと思います。 元々ツルツルだった表面がザラザラになり、この後に塗る塗装の密着性を高めます。
その後カバーの凸文字部分を#120→#180→#240→#320→#400と空研ぎをして平滑にし、
さらに#600→#800→#1000→#1200→#1500の水研ぎでペーパー目を均します。この後に塗る高輝度シルバー(JLM-906)はデリケートなので、しっかりペーパー目を整えておきます。
その後シンナーであ洗い流すようにして脱脂清掃し、
プラスチックプライマー→高輝度シルバーを塗ります。
その後乾燥させている間にマスキングシートを作成します。基のデータを0.5~0.7mmオフセットさせサイズを変更します。
元のサイズより少し食み出るようにしてマスキングシートを2重に貼ります(一枚だけだと塗料の溶剤で浮き上がってしまうので二重にしています)。
この後はインマニのマスキングを貼り直していよいよ本塗りとなります。部品が到着してそのまま塗れればとても簡単なのですが、途中工程で洗浄や足付け処理などを行うとそれなりに(と言うかかなり)手間が掛かっています。
それでは作業が進行しまいたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!