Kawasaki Z1ライトケース サフェ入れ

Kawasaki Z1ライトケース等塗装 承ってます

先日お預りしておりましたカワサキZ1のライトケースと、スピードメーターのギアケースです。

今回はサンドブラスト処理~重防錆仕様まで承っておりますので、途中で錆が出ないようタイミングを見計らって一気に作業を行います。

 まずはサンドブラスト(標準)で全体の塗装と錆を除去します。

 元々塗ってあった塗膜は薄膜だった為、いつものように溶剤槽での浸け置き剥離はせず、そのままサンドブラストを掛けています。

 しかしいくら外側を綺麗にしてもこういった鋼板が張り合わさった個所の内部は処理が出来ない為、今回は浸透型エポキシプライマーを併用して錆の進行を極力遅らせるような方法を行います。

 スピードメーターのギアーケースは本体のアルミ部分とスチールのシャフト個所も一緒に塗るので、内部とネジ山以外は全てサンドブラストを掛けました。尚、打痕跡はそのまま残って構わない(恐らく装着すると見えない)と言う事でそのままにしています。

この後綺麗なシンナーで洗い流すようにして脱脂~洗浄を行います。

 そして浸透型エポキシプライマーの準備を行います。スプレーで塗る分とは別に、シンナーで希釈した物を用意します。

 鋼板の合わせ目の隙間から、内部に流し込むようにして筆で塗り込み、

 さらにエアーブローをして奥まで行き渡らせます。

 他の個所も同様に、

反対側から噴き出すようになるまでしつこく繰り返します。

 裏からが終わったら表側からも同様に、

 親の仇のように行います。

 飛び散った余分はシンナーとウェスで拭き取ります。

 昔ディーラーに勤めていた時、パネル交換(確かクォーターパネルとバックパネル)をしてくれた社内外注の板金屋さんが、溶接で焼け焦げたその上に「シーラーも塗っといたから!」みたいな感じで自信満々で車を持って来たのですが、さすがにそのまま塗る訳にはいかず(塗る人も居ます)、スクレーパーとシンナーで全て綺麗に剥がしていたら凄く嫌な顔をしていました。そもそもシーラーに防錆効果は無いですし(変性シリコンシーラーの効果は防錆では無く防水です)、焼けた塗装(電着プライマー)の上にそのまま塗り重ねるって・・・(人によりますがディーラーの集中センターではそう言う事も普通にあって、年上の外注さんにはどうしても言い難い為に自分で直す事が多かったです)。

 その後は通常通り、スプレーガンを使ってプライマーを塗布します。

 先程筆で塗ったのと同じく、重防錆仕様で使う浸透型エポキシプライマーです。

 こちらのスピードメーターギアケースは通常のプライマーのみで塗装する予定だったのですが、

 ついでと言う事で同じようにエポキシプライマーを塗っておきました。どの道待っている時間は同じですし(エポキシはフラッシュオフタイムが長いのです)、わざわざガンを洗って塗り直す方が手間ですのでこういう場合は一緒に塗ってしまいます。耐久性も美観も高くなりますのでご安心下さい。

 プライマー塗装後、一定時間乾燥させたら続けてサフェーサーを塗布します。

 サフェーサーを塗る前にしっかりプライマーを焼いてしまうと(熱を掛けて強制乾燥~完全硬化させてしまうと)足付け処理無しでは十分に密着しませんが、既定の時間内なら半生(はんなま)の状態で違う種類の塗料を塗り重ねる事が可能です。「ウェット・オン・ウェット」なる工法ですね。

 ライトケースの内側は塗らなくても構わないと言う事でしたので、こちらはおまけ程度にベースコートの黒だけを塗っておきました。こちらもウェットオンウェットで大丈夫です(中途半端に熱を入れたり時間が経つと激しいチヂレを起こします)。

この状態で一日自然乾燥させ、後日熱を入れて全ての層(違う種類の塗膜)を一気に完全硬化させる、と言う算段です。肌が残るので外側の上塗りには使えませんが(使えない事は無いですが普通はしません)、新品ドアパネルへの交換などでは、裏側(室内側)にウレタンサフェを塗ってそのまま色を塗り、クリアーまで仕上げる、と言う事も全然可能です(ドアを単体で塗る場合もありますが、3コートパールやシルバーなど塗り方で色が変わる物は先に裏側を塗って車体に組み付けてから外側を塗ったりします)。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!