キーボード枠3点 下塗り

先日お預かりしておりましたキーボードの枠×3点です。

黒いキーボードは前回と同じくSTANDOX原色のシルバー「MIX812」を採用しますが、アイボリーの二つは「現状と似た感じで」と承っていますので色を作成します。

 最初は白の原色から始めて、

 黒・オーカー・オキサイドレッド・グリーンを足して似たような色を作成します。

 これらが今回使った原色です。各色とも白系の色を作る場合には王道の物ですね。

 素地調整としては#800相当で軽く足付け処理を行っています。

 素材はABS樹脂とPS樹脂で、いつも使う脱脂用溶剤(ノルマルヘキサン)だと溶けてしまうので、IPA=イソプロピルアルコールを使って脱脂を行います。ガソリンタンクに入れる水抜き剤に入っている溶剤ですね。最近使う機会が増えたので新たに専用ボトルを用意しました。

 プラスチックプライマーを塗り、1コートソリッド=STANDOX2Kエナメルを塗りました。トップコートの樹脂(所謂クリアー)に直接顔料が入ったような塗料で、クリアーと同じように硬化剤を50%(MSハードナーの場合)入れて使います。

もちろんサーフェサーでも良いのですが、その場合肌が荒れるので完全硬化後にはしっかりとしたサンディングが必要となり、その分コストが上がってしまいます。

今回はラインの修正は必要無いので、軽い足付け処理のみで済むトップコートをサフェ代わりに使っているといった感じです。

ちなみにアイボリーなら「直接1コートソリッドで塗ってしまえばそれで終わりでは?」と思う塗装屋さんもいらっしゃるかも知れませんが(良く判ります)、PCに使われているABS樹脂やPS樹脂は耐溶剤性が無いので、塗装して効果した後に射出成型時のジェッティングやフローマークが出たりして艶が安定しないんですよね。ムラムラになってしまい、結局塗り直す事になるのです(気にし過ぎかも知れませんが、塗装屋さんなら分かって頂けるかと)。

逆にプラモデル用塗料のように素材を侵しにくい物を使えばこれらの問題は起きないのですが、そうなると耐久性の方で結局オーナー様が希望されるレベルにはならないんですよね(触れたところだけ艶が出てしまうというのを払拭されたいのが今回のご依頼の一番の理由な筈ですので)。

この後は普通のクリアーと同じく60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、さらにチヂレ防止に二度焼きくらいしてから本塗りを行う予定です。どうぞもう少々お待ちくださいませ!