スーパーセブン カーボンフェンダー 旧塗膜剥離

先日お預かりしておりましたロータススーパーセブンのプリプレグカーボン(ドライカーボン)のリヤフェンダーです。

当店で塗装する前に塗られていたクリアー層は、カーボン素地に密着しておらず、ストレスが大きく掛かる所から剥がれて来てしまっています。

ただそれのお陰で塗装の剥離は思っていたよりも簡単で、ヘラとエアーブローでバリバリと剥がれていってくれます。

カーボン素地の凸凹を埋める為に恐らく5回分くらいのクリアーが塗られていて、その上に当店で施工した透明なグリーンメタリックが重ねられています。

出てきた素地は全体に艶が出たような状態で、所々ペーパーが当たった後はあるのですが、もしかしたらちゃんと足付け処理がされていないのかも知れません。

表面は少しヌルヌルするようなベタベタするような感じがします。密着剤は最初の数年は問題無いのですが、経年でそれが劣化すると密着力が低下し、何かのきっかけでペリペリと剥がれて来たりします。ただここまで簡単に(そして綺麗に)剥がれるとなると、使われている材料自体に問題があるのかも知れません(恐らくはポリエステル系かと思います)。

と言う訳で、全体に#180~#240のダブルアクションサンダーを当て、角やフチは#240の手研ぎで研磨~足付け処理を行います。

その後裏側を清掃します。

続けて表側もスコッチとピンク石鹸で繊維の隙間の不純物(主に離型剤)を掻き出すように擦り、水を流して弾かない状態になるまでこれを何度も繰り返します。新品だと10回以上行う場合もありますが、今回は3回で大丈夫でした(恐らく剥がれた塗装面の方にくっ付いてくれたのではと)。

最後に新しいスコッチ#320とウォッシュコンパウンドで満遍なく研磨・足付け処理を行います。最初からウォッシュコンパウンドを使わないのはコスト的に勿体ないからですね(これ一つに1Lくらい使ってしまうと思いますので…)。

水で弾く箇所が一つもない事を確認したらよく乾かしておきます。

裏側をマスキングします。

これでクリアー下塗りの準備が完了です。先ほどの塗装を剥がした時の状態に比べると艶が無く、全体がしっかり足付け処理されているのが判ると思います。

私が最初に勤めたディーラーの内製工場では、塗装と板金がそれぞれ判れていて、板金屋さんがパテを塗る際、脱脂作業と言うのをしている事は殆ど見ませんでした。手で擦ってエアーブローをするだけです(そういう時代という事もありました)。

それでもパテは十分密着する訳ですが、10年後、20年後にどうかと言うと、何かのきっかけで剥がれたりする事はあると思います。これは塗装も然りで、単に飾っておくだけなら良いのかも知れませんが、実用するとなるとその辺で差が出て来るのだと思います。まあエアーブローなら1分で済むところを、わざわざ1時間以上かけてやってくれるかどうかは難しいのかも知れませんが・・・。

この後は他のご依頼品でクリアーを塗る際にこちらも一緒に塗るようにして、表面が平滑になるまでそれを繰り返すようにする予定です。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!