cannondaleカーボンフォーク 調色

 先日お預かりしておりましたキャノンデールのカーボン製フォークです。

今回塗装するのはフォークのみで、残るフレーム部分に色を合わせる為、旧塗膜を剥離する前にこのモスグリーンの色を調色して作成しておきます。

 今回の色は色々なパール顔料が使われていて、さらに同系色でも数種類がある為、それらを見つけるのが結構大変です。例えばレッド系のパールだけでも4種、グリーン系が3種など、それぞれの特徴(粒子の大きさや輝度感など)を確認しながら色を作っていきます。

 画像には映っていませんが、調色用ライトも使っています(画面右下だけ明るくなっているのが光が当たっている場所です)。

一枚で6~8回程塗っているので、100回くらいは色を見たかと思います。

最終的に使ったのはこちらの原色です。やはりと言うか色々なパール原色を使う事となりました。

ちなみにオレンジ・カッパー系のパールも使われているかと思っていましたが、どうやらブラウンの上にイエローパールが重なってそう見えただけだった模様です(パール顔料は透明で下の色を透かします)。

最初は「グリーン原色+イエローパール」の方向で色を作っていたのですが、これだとどうやっても色が出ず、その後「イエロー原色+グリーンパール」に変えて何とかなりました。

 四輪自動車と違って色を見る面積が小さく、しかも曲線的な部分しか無いので、比色するのも難儀でした。

フォークに塗料が着いてしまっていますが、こちらは全部剥がすので問題ありません。

色を作っている際、違う原色を入れてしまうとそれだけで使い物にならなくなってしまうので、最初は少量で作り、方向性が間違っていると思ったら早々に廃棄してしまいます。今回はそれを5回くらい行って、画像の塗料がその廃棄となった物ですが、これも下塗り用として使うのでゴミにはなりません。これでしっかり隠蔽し、最後の1コート(実際には念のためと言う事で1.5コート~2コート)を本番用の塗料で塗ればOKです。また本番用の塗料はタッチアップ用(40g)として余分に作ってあります。後で万が一の事があっても、下塗り用として大体の感じで色を作成し、最後だけそれを使えば今回のような調色作業(有料)は必要無いのでコストを落とせるという訳です。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

イヤホン テストピース(色見本)作製

先日ご依頼を頂いていたイヤホンプレートの色を作製し、実際に塗装した色見本を作製します。

今回のように色自体がオーダーメイドの場合、作製した塗料を色板=テストピースに塗装して発送、実物を確認すると言う事も可能となります。ただし本体のイヤホンプレートとは別に費用が掛かりますのでご注意くださいませ。

オーナー様のご希望としては、既存のプレートにある緑青よりも青味を強く、また参考画像も送って頂きましたのでそちらに合わせて色を作製します。画像の塗料は、キャンディーカラーのブルーとグリーンをそれぞれバインダーに20%添加し、それらを混ぜた物となります。

また他に頂いた参考画像のようにラメ(粗目メタリック)感を出されたいとも承っています。

ただSTANDOXの原色にはここまで粗いメタリックは無い事、また粒子のサイズが大きいと何度もクリアーを塗ってそれを埋めなければならない為、今回のようなマスキングで行う塗装にはお勧めが出来ません(と言うかお受付が出来ません)。上の画像を見ると肌がデロデロなのが判ると思いますが、これくらい塗らないとこのようなラメは埋まらないのです(本来は研いでクリアーを塗ってを何度も繰り返すので、画像の物はまだその途中なのかのかもしれません)。

 と言う訳で、STANDOXで一番粗いメタリック原色(MIX598)を使い、さらにラメの塗装では良く使われる「下地を黒」にしてギラツキ感を出す事としました。

粗目のメタリックは元々隠蔽力が小さい為、黒の上に塗っても下が透けます。

画像は取り敢えず使い捨ての厚紙に塗った物で、それぞれの色を確認したら本番用の色板に塗装します。

また色板の下色は二種類作る事にしました。

手前が黒の上に粗目のメタリック(MIX598)を塗った物で、奥(右)はいつものように一旦適当なシルバー(VWリフレックスシルバー)を塗り、その上に同じくMIX598を塗った仕様です。

また今回は当店用の色見本も作製しておく事にしました。

 色板と同じく、下色に黒を塗り、粗目のメタリック(MIX598)を3コート塗った色見本です。黒の面積が大きいとその分光が反射せず、キャンディーカラーの発色(明度+彩度)が損なわれてしまうので、良さそうな塩梅にしています。

 こちらは下色にVWリフレックスシルバーを塗り、同じコート数だけMIX598を塗りました。ウェットに3コート塗っていますが、それぞれを見比べると下地が透けているのが判ると思います。

 参考画像を基に作製したキャンディーカラーをテストピースに塗装し、良さそうな色を選びます。今回はハウスオブカラーのKK-04オリエンタルブルーとKK-09オーガニックグリーンを4:1にした物と、オリエンタルブルー100%の二種類を使う事にしました。

また下色をシルバーと黒のそれぞれも別けて、合計4種類の色見本を作る事にしました。

色板もそれぞれ違う下色、違うキャンディーカラーで、合計4種類を作製しています。

こちらが下色をシルバーにした物で、

こちらが下色を黒にした色板です。それぞれの上に塗っている(中層の)シルバーメタリックはどちらも同じ原色(MIX598)ですが、粒子の粗さが違って見えるのが判るかと思います。

尚、上層のキャンディーカラーは、上段がブルー:グリーン=1:4で、下段がブルー100%となります。

VWリフレックスシルバー→MIX598→ブルー100%です。

黒→MIX598→ブルー100%です。

適当に作った色を塗って見本を作るのは簡単ですが、今回のようにそれの配合データを残すと言うのは実は結構大変です。上の画像にある色見本も、最初に作った色に少しずつ白を混ぜて塗っていると言う訳では無く、それぞれ一つずつ色の量を計って作製した物です。さらに艶消しになると色の見え方が変わるので併せてそれらも作りました。お陰でその年は大赤字になってしまったのですが、そういった事のお陰で今回のようなご依頼も頂けているのだと思っています。

 

色板と色見本はこの時点ではまだクリアーを塗っておらず、そちらは出来上がり次第社外記の方で紹介したいと思います。

どうぞもう少々お待ちくださいませ!

KATOクレーンミニカー デカール作製

 先日ご依頼を頂いていたKATO社製の1/50クレーンミニカーSR-250Riです。

少し前に分解作業も完了しましたので、旧塗膜剥離の前に各ロゴのデカールを作製しておきます。

 各ロゴは最初にIllustratorで作製しておいたので、それぞれを一纏めにして印刷の準備を行います。

 印刷に使うのはいつものALPS社製MD5000のプリンターで、ただ古い物なのでこれを動かすには昔のOS(Windows XP)が必要となりますが、ネット回線に繋ぐとウィルスが入り込んでしまう為、これ(とカッティングプロッター)専用のスタンドアローン機を使っています。IllustratorもVer.はCSと、全てが古いです(ただWin3.1から使っている身としては、これでも全然有難い話なのですが。笑)。

 まずはテストとして、黒の単色で印刷してみました。

 ここまでのサイズだともしかしたら細かい部分が潰れてしまうのでは?!と思っていましたが、元々貼ってあったデカールと遜色無く出来たので安心しました(ちなみにこれが駄目だったら以前お願いしたドライレタリング屋さんに外注依頼をする予定でした)。

 と言う訳で、各色に合わせてデカール用紙に印刷しました。

 「SUPERBOOM」「KATO」のロゴに使われた青は、日本塗料工業会(以下ニットコウ)の色見本帳の「G75-20L」でご指定頂いておりまして、こちらはALPSの「特色ホワイト」をベースに、沖の「特色ブルー」を3度重ね刷りしています。さらに白は「ベースホワイト」を重ね、下地を透けにくくしています。最後に「艶仕上げ」でクリアーをコーティングしています。レイヤーは3種類に分けています。

そしてこちらは小さくて見難いのですが、「つり上げ荷重65t」の赤です。

ご指定は同じくニットコウの「G05-40X」で、同じように「特色ホワイト」をベースに、「マゼンタ」を1度刷り、さらに文字抜きで「ベースホワイト」を特色ホワイトの上に重ねています。

後は「SR-250Ri」のグレーですが、こちらは当店にインクの在庫が無かったので、現在そちらを取り寄せ中です。既に黒でのテスト印刷は済んでいますし、MDプリンターでの印刷にとても詳しい知り合いの塗装屋さん(G-SHOCK塗装屋さん)に色味を確認して貰っているので問題は無いかと思います(色々とご教授頂き有難う御座いました!)。

念の為ですが、デカールの作製は塗装の付帯作業と言う事で、これ単体ではお受付しておりませんのでご了承下さいませ。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

SHURE SM58マイク カモフラ塗装 色確認

 先日お預りしておりましたSHURE SM58マイクは「ピンクカモフラ」で承っておりまして、またその一部を「グレー」に置き換える内容でご指定を頂いておりますので、まずはそれの色を決める作業となります。

尚画像に映っているマイクは色見本用の物で、本物のマイクでは無くシリコーン樹脂で型を取ってレジンを使って複製した物となります。当然ですがマイクとしては使えなく、あくまでも色見本用の物となります。

 以前に作成した色見本のマイクのピンクカモフラはこの4色から成っていて、今回はこの一番薄いピンク(左上)をグレーに置き換える事とします。

 一応イメージイラストを作製してみました。一番薄いピンクがグレーに置き換わっているのが判ると思います。

 グレーはRALカラーの色見本帳から選ぶことにしました。

ちなみに色見本帳と言えば以下のようなニットコウ(日本塗料工業会)の物がメジャーですが、これで色を見つけても配合データが存在しなく、結局二度手間になってしまうので私は殆ど使っていません。ちなみにこれを見本としてメケン(目検討)で色を作製した場合、後で何かしらの理由で同じ色を作らなくてはならなくてもそれが出来ません。配合データを残したい場合は、色を足したら毎回それを計りながら記録する必要がある為(さらに厳密には塗って減った分も差し引く事が必用)、信じられない程の手間が掛かります。

以前PANTONEの色見本をSTANDOXのデータに置き換えたくてそれらしい事を実際に試した事がありますが、まさに地獄のような作業でした。

 その点こちらのRALカラーは誤差こそあれ配合データがあるので(STANDOXの場合)、後で「全く同じ色を作る」と言う事が可能になるのです。

グリルボールのメッシュ(網)の部分も一番薄いピンクなので、こちらもグレーになる予定です。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

アルファロメオヘッドカバー 色検証

 先日お預りしておりましたアルファロメオGT 2.0 JTSヘッドカバーの塗色を検証しました。

今回はヘッドカバーと一緒にPANTONEのカラーチップを添付して頂きまして、こちらの「187C」なる色は、フェラーリの赤(画像にあるロッソコルサ300)より茶色寄りの筈なのですが、実際の色見本と比べてみるとピンクに見えるくらい白い(淡い・明るい)感じです。

「???」な感じがしますが、この辺が印刷と塗装との違いでして、やはりと言うか実際に塗装した物と見比べてみないとこういった事は判らないものです。

画像は色見本帳から適当な赤を選んで並べた物で、どちらも同じソリッドカラーの赤ですが、右側が「鮮やかな赤」、左側が「落ち着いた赤」といった色味となります。

 先程と同じ様に、右側が鮮やかな赤で、左側が落ち着いた赤の色見本に分けてみました。

今回は左側の「青黒い赤」の中から選ぶような感じにします。

 尚、今回のパントンの色に近い色見本と言うのも見つかったのですが、ピンクが濁ったような色で、塗装として見ると全然綺麗ではありません。

また参考までに、アルファロメオの代表的な赤「ロッソアルファ」(カラーコード:130)とも見比べてみました。大分違いますよね・・・。

尚、今回のイメージとしては、「余り派手派手しくない反面、濁りは感じられないような落ち着いた赤」といった色にしようと考えておりますが、そういった事から考えるとフェラーリの赤でも悪くは無く、ただそれよりも多少なり青黒い色味と言う事で、

 こちらのホンダミラノレッド(カラーコード:R81)にしようと思います。

こちらは以前施工した日産L型ヘッドカバーにも採用した色で、一見派手に思われがちですが(オーナー様もそう感じられているかと思います)、フェラーリのロッソよりも落ち着いた色味で、今回御希望されるイメージに丁度良いのでは、と思った次第です。

またこちらのR81の配合データの色見本は4種類ありますので、その中から一番青黒い色(最下段milano red/BL.D)を採用しようと思います。

作業着手はまだかなり先になるかと思いますが、進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう暫くお待ちくださいませ!