ステップワゴンメッキエンブレム 下準備

先日お預かりしておりましたホンダステップワゴンスパーダの純正メッキエンブレムです。裏側に残っていた両面テープの糊をシリコンオフで除去しておきました。

素地調整を行い、まずはプライマーを塗布します。

尚、エンブレムの固定は裏側に両面テープを2段に三か所貼り、それをワニクリップで掴むようにしています。

プライマーは裏側に回り込むようにしてフチまでしっかり全体を覆うように塗ります。

この後はサーフェサーを塗る方法もあるのですが、

今回はトップコート=グレー色の1コートソリッドカラーを塗る事にしました。

通常使っている塗料とは違い、クリアーに直接顔料(色)が入ったタイプ=スタンドックスVOC 2Kエナメルとなります。原色の黒と白を混ぜ、規定量のハードナー(硬化剤)とシンナーを添加しています。

今回のエンブレムの場合はサイズが小さい事、また研ぎ作業が難しい(素地を露出させてしまう可能性が高い)と言う事で、サフェに比べて肌が荒れにくい方法で行ったという感じです。

ちなみにグレーでは無く直接ご指定の色=ホンダミラノレッドを塗る事も可能なのですが(その場合ベースコートの赤+クリアーでも問題ありません)、今回使ったプライマーの肌目が出てしまっている事、艶引けする可能性があると言う事で一旦隠蔽し易いグレーで完成させ、完全硬化後に改めて足付け処理をして本塗りという方法にしました。

ちなみに当初は、

①「プライマー塗装→サーフェサー塗装→完全硬化→研ぎ作業→本塗り」

②「プライマー塗装→本塗り→完全硬化」

の2通りを想定していたのですが、今回そのどちらでも無く、

③「プライマー塗装→下塗り→完全硬化→足付け作業→本塗り」

という方法にしたという感じです。

いずれも我流という訳では無く、塗料メーカーのマニュアルに沿った方法で(所謂ウェットオンウェット)、これらいずれの方法でも品質(主に塗料間の密着性)は担保された作業内容となっていますのでご安心くださいませ。

ちなみにメッキの上に透過性塗料=キャンディーカラーを塗った「カラーメッキ風塗装」や「ブラックメッキ風塗装」などの方法としては、

④密着剤塗装→本塗り

といった内容で、この場合今回使っているプライマー(黄色味のあるグレー)は使えませんから、経年で密着剤の効果が弱くなるとその上の塗膜がペリペリと剥がれてしまうという事になります。室内ショーケースの中で飾っておくのであればそれでも大丈夫なのですが、常に雨風紫外線下の暴露状態で果たしてその密着剤の効果がいつまで続くのか、といった感じですね

この後は60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、後日足付け処理を行ったらいよいよ本塗りとなります。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

S20ヘッドカバー サフェ研ぎ

先日サーフェサーを塗っておいたKPGC10型スカイラインGT-R、所謂ハコスカのS20ヘッドカバーです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと塗っておきました。

ガイドコートはこの後に行う研ぎ作業を目で見て判るようにする為の行為で、ただこういったちょっとした事でも手間は増えますから、「これくらいならやらなくても大丈夫」と思わなくても良いよう、安いスプレーガンにベースコートの黒を入れっぱなしにして手軽に使えるようにしています。

まずは凸部を研磨します。

最初は粗研ぎとして#120ダブルアクションサンダーでサフェと素地の凸凹&腐食を取り除きます。

その後当て板と#120を使い、手研ぎを行います。シャープさを出す為ですね。

既に一度塗装されている為かNISSANの凸文字がいつもより薄く、なので削り過ぎないよう注意します。

そしてサフェ研ぎです。今回のような形状だとエアーツールは殆ど使えなく、さらに小さい面が多いので、当て板には薄いアクリル板3mm、2mm、1.5mmを使って面出しを行います。

自動車補修塗装に使われるサフェーサーは2液硬化型で、模型等に使う1液ラッカーに比べとても固いのでどの場面でも当て板は必須、番手は#320から始めます。

ペーパーだけのコシに頼ると素地やサフェの凸凹が残ってしまうので、どんな狭い箇所でも必ず何かしらの当て板を使って研ぐのが基本となります。

ただし当て板を使うと角が当たったり同じ場所を研いだ際にスジ跡が残り易いので、研ぎ方向を変えながら、また固い当て板を使った後には柔らかい当て板(スポンジパッド)を使って均します。

#320→#400までの研ぎが粗研ぎで、この時点で大まかなライン出しが完了します。体中粉まみれになるので一度やり始めると中々その場を離れ難く、また一度集中してしまうと姿勢を変える事も忘れて没頭しまうので、この後の数日間は腰や首を痛めます。明らかにこういった作業(サフェ研ぎ)が他の仕事に影響が出てしまう事が判ったので、現在こういった作業(自転車フレームや今回のようなヘッドカバー艶あり仕上げ)は基本的にお受付はしておらず、例外としてこれまで施工した内容と同様でご依頼を頂いてきた方のみの対応となっております。何卒ご理解頂けますようお願い申し上げます(恐らく他ではここまでやらないのではないかと…)。

この状態だとまだ研ぎスジや深いペーパー目が残っているので、

清掃後、再びガイドコートを行います。

ここからは#500程度の布状研磨副資材で細かいライン出しや素地の均し作業を行ないます。

ここでも同じく当て板を使うのが基本で、最後の最後に素手(指かアシレックス専用パッドの使用)で研ぎ作業を行ないます。

よく脱脂清掃をしたらマスキングを行います。

本来であれば研ぎ作業ではさらに番手を細かく#800→#1500で仕上げを行いますが、

それらは非常に手間と時間が掛かる為、一旦下塗りを挟に、細かい箇所の修正は後日行うようにします。初期の頃はここから直接本塗りに行っていましたが(どの場合でも普通はそうです)、多少手間が増えても下塗りを挟んだ方がリスクが少ないですし、身体的にも全然楽なので(プレッシャーが全然違います)、数年前からこの方法にしています。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ホンダN-VANメッキフォググリル 下準備

先日お預かりしておりましたホンダNVANの純正メッキフォググリルです。

自動車部品のメッキパーツは大体がABS樹脂に装飾クロムメッキが施された物で、その特徴としては「耐食性が高く傷が付き難い」であり、美観に優れている反面これに塗装をしようとすると密着し難いので厄介な物でもあります。

確実なのは薬品でメッキを剥がしてしまうという方法ですが、少々手間が掛かる事と、部品自体の強度が落ちるという事もあるので通常は行いません。なのでメッキを残しつつ通常の塗膜と同様の密着性が得られる下地を作ってからの上塗りとしています。

被塗面に素地調整を行い、よく脱脂清掃した後にまずはプライマーを塗布します。

メッキは被塗物全体に施されているので、それを覆うように裏側にもしっかりプライマーを塗っておきます。

このままウェットオンウェットで上塗りを行う事も可能ではあるのですが、仕上がりが劣ってしまう場合がある為、

一旦サーフェサーを塗って区切りをつけるようにしています。特に今回のように艶消し仕上げの場合には艶具合が下地に依存してしまうので、そのまま上塗りを行う事はまずありません。塗装屋さんなら判ると思うのですが、ウェットオンで艶あり仕上げにした場合は艶が引け、逆に艶消し仕上げだと艶が出る(ダマとムラも出る)ので通常はしません。ここまでの工程でゴミが付いたらそれでお終いですし…。

メッキパーツはそれ自体でラインが出ているのでここでサフェを厚塗りをする必要は無いのですが、この後研ぎ作業を行った際に下地のメッキが露出したら最初からやり直しになってしまうので(厳密にはその時点でプライマーを薄膜にしたウェットオンで対応)、一応3コート程を塗っておきます。

爪の部分はサフェを塗らないようにしています。

ちなみにここまでの工程は、先日スバルのメッキ枠にサフェを塗った時と一緒に行っていました。どちらも同じABS+装飾クロムメッキ製品なので作業内容はほぼ同じなので効率をよくする為ですね(現在の料金設定ではいずれも単品での施工では採算が合わなく、なのでタイミングを合わせて他のご依頼品と一緒に作業するようにしています)。

その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと塗っておきました。

こちらのガイドコート、余り意味が無いように見えますが、

右が水研ぎ後の状態で、それぞれの違いが良く判るかと思います。

サフェは膜厚が充填できるという効果がある反面、それ自体で凸凹とした肌を作ってしまうのでそれを平滑に研ぐ必要があり、ただ肉眼ではそれが判り難いので、研いだ跡が良く判るよう今回のようにガイドコートを行うのは必須となります。エンジンバルブの擦り合わせで当たり面を確認する際に使う光明丹と同じような役割ですね。

裏側はペーパーが当たり難いので(下地を露出し易いので)ナイロンブラシとウォッシュコンパウンドで足付け処理のみとしてあります。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

メッキ素地の下地処理

先日お預かりしておりましたスバル純正エンブレムです。プレート部分は先日裏側を削って黒の塗装を行っておきました。

裏側に残っていた両面テープ糊のカスを除去し、素地調整を行った後にまずはプライマーを塗布します。

フチまでしっかり塗れるよう裏側に周り込むようにしてメッキ素地全体を覆う様に塗ります。

そしてこちらは先日お預かりしておりましたホンダフリードの純正リヤガーニッシュです。

スバルエンブレムの枠と同様装飾クロムメッキが施されていて、このまま上塗りは出来ませんから、同じく素地調整を行った後に、

プライマーを塗布します。

こちらも裏側まで満遍なく塗布します。

続けてサーフェサーを塗布します。

プライマーは防錆や密着性を高める為の効果があり、サーフェサーは主に膜厚の充填の役割があります。

この他のやり方としては、プライマーやサーフェサーなどは塗らず、メッキ素地にスプレー糊のような「密着剤」なる物を使ってそのまま上塗りを行う方法もありますが、そうすると無用に飛び石傷が多かったり(「点」では無く「面」でしかくっ付いていない為)、何かのきっかけでペリペリと剥がれたりする場合があるので、当店では対応していません。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

フリードのリヤガーニッシュはタイミング的にかなり早いのですが、それ単体で作業を行うと採算が合わない為、今回スバルエンブレムと並行して作業を行っています。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スバルエンブレム(アセント&アウトバック)塗装 完成

大変お待たせしました!先日本塗りを終えていた北米スバルアセントオニキスエディションと、同社アウトバックのスバルエンブレム塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介します。

最初はアセント用のフロントエンブレムをわざわざ海外から取り寄せて頂き、

その後ご友人(?)の方の物という事で、アウトバック用の新品エンブレムも送って頂きました。同じ物、同じ仕様であれば複数割引が適用出来るのでこれはお得な方法かと思います。

メッキの枠はに本塗りを終えていて、完成したプレートとそちらを、新たにカットした両面テープで固定します。

両面テープは手でカットした方が早いのですが、新品時と同様の美しいラインのようにするのは難しいので、台紙からデータを作成し、レーザー加工機でカットしています。以下のツイートで動画が見れますので宜しければご参照くださいませ。

スモーク濃度はこちらを参考に調整しています。

左手前、オレンジ色の台紙が見えているのがアウトバック用の新品エンブレムとなります。

こちらが中古品だったアセント用の物となります。届いてから判った事ですが、どちらも同じ型式の物となります(そして現在作業中のフォレスターの大きいエンブレムも!)。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

メッキの枠はそのまま上塗り(今回の場合は艶ありの黒)を塗っても十分に密着しませんので、それ用の下地処理を行った上で塗装を施しています。

密着性は通常の塗膜と同様で、フェザーエッジも出せますので補修も可能です。

一般的に行われている密着剤を使って塗られたメッキパーツは「面」では抑えられていても「点」ではくっ付いていない為、飛び石等による傷が付き易く、また一部が剥がれるとそこを起点にペリペリと剥がれて来ます。ペーパーを掛けるとエッジがブツブツと切れるように剥がれるのでスムースはフェザーエッジは形成出来ず、その上から塗った塗料でチヂレ(または激しいエッジマッピング)が生じる為、全部剥離するか、部品自体を新しい物に交換して塗装する必要があります。私が一時期勤めていた町工場で、アメ車(ダッジチャージャー等)のメッキモールにスモーク塗装を行って「ブラックメッキ風」にする作業が多かったですが、やはり後で剥がれて来て、それの収拾には大変な目に遭いました(事前に剥がれる事は元請けさん、社長に進言し、さらには見積書にもその旨を記載おきましたが、結局泣くのは現場の方々でした)。

ですので当店でのメッキへの塗装は「スモーク」は受け付けておらず、今回のように下地を完全隠蔽する塗色のみとなっております。メッキ素地を活かした透過性塗装が格好良いのは私も知っているのですが、「だから言ったのに…」とは思いたく無いんですよね。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度も当店をご利用いただきまして誠に有り難うございました!