ロードスターリヤスポイラー サフェ入れ

road167 先日お預かりしておりましたロードスター用の社外品FRP製リヤスポイラーです。

車体への取り付けは接着剤(と恐らく両面テープとのハイブリッド)と思われますので、接着面には塗装が飛ばないようにマスキングしておきます。ちなみにしっかり足付け処理をしてしっかり塗るならば接着面でも塗って大丈夫です。中途半端にミストが飛んだ状態にするとザラザラになってくっ付きにくくなるので今回はマスキングしています。

road168 表面のゲルコートは恐らくオーナー様が多少なりペーパーを掛けたと思われ、ただフチなど低い個所は元の艶がそのまま残っています。

こういった粗は今は目立たないのですが、これをそのままにして上塗りをしてしまうとさらに目立ってしまい後の祭りに・・・となるので先に処理しておきます。

road173全体を#180のダブルアクションサンダーで研ぎ出し、さらに#240にクッションパッドを取り付けて全体を均します。ダブルアクションサンダーのペーパー面は結構固く、そのお陰で平滑なラインに研げるのですが、その勢いで角やアールを研ぐとラインが崩れてしまう(無くなってしまう)ので、そういった個所はペーパーの間にクッションパッドを入れて柔らかく当たるようにしてあげます。

最後は#240の手研ぎで角や谷のラインを均します。

road169 良く脱脂清掃を行い、2液のウレタンサフェーサーを塗布します。ウェットコートで6回塗りました。

ウレタンサフェーサーはその製品にもよりますが、いつも使っているSTANDOXのシステムフィラーはとてもバランスが良く、フラッシュオフタイム(コート間の乾燥時間)さえしっかりとってあげればかなりの厚塗りでも問題が起きません。

ただし塗装後にいきなり熱を入れると表面のみ硬化して内部に残った溶剤が出られなく、液体から気体になった際の体積膨張によって大き目のブリスター(膨れ)を発生したりもします。厚塗り出来ないタイプ(昔のだとDUPONTのLEプライマーなど)だとこれを注意していても巨大ブリスターが発生して結構苦労しました。

factory71 ちなみにサフェーサーの強制乾燥には通常60℃~80℃×40分程度の熱を掛けますが、FRP製品の場合は積層されたガラスクロスの間にしっかり樹脂が浸透しておらず、そこに「空間」が残っているとやはり熱でそこの体積が膨張した時にブリスターが発生します。超高級品(NISMO純正など)であれば繊維にしっかりポリエステル樹脂を浸透させているのでその危険性も少ないのですが、今回のは(と言うか殆どの社外品は)ちょっと怪しかったので、こういった場合は50℃程度の熱に抑え、その代わり長い時間掛けるようにしています。

と言う事で丁度良いのが当工場の幻の三階二階の屋根裏です。ある程度足場も出来ているので普段は物置として使っているのですが、夏場は地獄のような場所なので中々近づけません。ただこれはこれで使い道があるだろうという事で、以前温度計を屋根裏部屋の天井に貼っておいたんですよね。

factory72工場の一番最上段となる屋根の裏側です。温度計はギリギリ50℃を指していて、まさに今回のリヤスポを一日ここに置いておけばおよそ50℃×8時間(!)の熱が掛かりますから、FRP製品に塗ったサフェーサーを強制乾燥させるのに丁度良いのです。しかもこれなら環境負荷も掛かりませんしね。

この後サフェーサーが完全硬化したら全体を研磨して素地を整え、いよいよ本塗り予定となります。どうぞもう少々お待ちくださいませ!