S-WORKS カーボンフレーム&フォーク 下準備

sworks1 先日キャンディーグリーンの下塗りを終えていたSPECIALIZED S-WORKSのカーボンフレームです。全体を塗装後に一部修正を行い、さらに熱を掛けてその後じっくり寝かしておきました。

sworks 下準備をする前に4回目の計量を行ってみました。

剥離作業前の重さが1138.3gで、旧塗膜を剥離後は1057.2gで81.1g減、サフェーサーを塗って研いだ後は1112.9gとなり、その後キャンディーグリーンの下塗りを行ってこちらの数値となります。

ただしこの状態だとイモネジが3個入ったままで、こちらが4g×3=12gで、実際は1148.1gになります。キャンディーグリーン(ベースコート+クリアー)の塗装分が35.2gといった感じです。予想では40gだったので若干少なくて済んでいる感じですかね(ちなみにオーナー様からは重量増については全くの不問で、単に私が興味がある事と、今後の参考の為で御座います)。

sworks4そしていよいよ次の作業がロゴ入れとなりますので、一旦ここで塗装面全体に足付け処理を行います。

まずはゴミのブツや肌を平滑にする為、#1200の耐水ペーパーを使って表面を研磨します。

sworks5 ただしペーパーだけで全体を研磨しようとすると突起した箇所の下地を露出させてしまう為、ペーパーは平面だけに留め、その後はスコッチブライト(研磨粒子が付着した不織布)とウォッシュコンパウンドを使い、さらにポップナット周辺などの細かい個所はナイロンブラシも使ってしっかり足付け処理を行います。

sworks6 この足付け処理作業が結構手間が掛かり、さらには下地を出してしまう等結構ハイリスクな作業となるのですが、ここまでしっかり下地を行っておけば密着剤等の使用は必要ありませんので、数年経ってから下地に塗った密着剤が劣化して、表面のクリアーが浮いてくる(層間剥離)と言ったトラブルもありません。

車(四輪車)の塗装で今時足付け処理をしないで塗ると言う事は稀だと思うのですが、一昔前に全損車両の起こし(主に外車)やオールペン全盛期など、とにかく店頭に並べれば売れる!と言った時代に「洗車だけして密着剤を使ってそのまま塗る(!)」みたいな事が多発していて、そんな事も知らずに購入した方が数年経ってから塗装がベロベロと剥がれて来て、一体どうしたら良いかといった相談を本当に多く頂きました。

自動車の全剥離・全塗装なんて採算が合う筈も無いのですが、オーナー様と車が可哀そうなのでそういった仕事も何度かやりまして、ただやはりと言うか作業している時にはかなり激しい憤りを感じたりする事もあり、「こんな事をした塗装屋は地獄に落ちろ!」なんて本気で思っていたりもしました(笑)。まあ悪いのは経営者だと思いますけど(ただ請負の外注さんも多かった時代ですので)。

sworks7 フレーム下のワイヤーを通している所の点検口(?)の蓋は取り付けた状態でキャンディーグリーンを塗っていて、内側はそのままにする予定だったのですがフチが綺麗じゃ無かったので一応ベースコートの黒だけ塗っておく事にしました。

sworks8 画像だと塗ったばかりなので艶がありますが、この後艶消しとなりますので落ち着いた感じになります。

sworks9 各部をマスキングし直し、台にセットして本塗り準備完了です。

sworks10 同じくフォークも全体を足付け処理してあります。

sworks11 さらにペダリングモニターセンサーのカバーも足付け処理を行います。ネジ穴の部分はペーパーもスコッチも入らないのでナイロンブラシを併用しています。

sworks12 全体を良く脱脂&エアーブローした後、ベースクリアーを塗布します。これは色の着いていないベースコートとお考え頂ければと思います。通常のベースコート同様硬化剤は入れていません(6コート以上厚塗りする場合は数パーセント入れたりします)。

sworks13 ベースクリアーが乾くと全体が均一にしっとりとした仕上りとなります。

sworks14これを行っておく事で、この上に塗るロゴとの馴染みを良くして輪郭をシャープに仕上げられる効果があります。

本日はここまでで、ロゴ入れは後日、クリアー塗装はさらにその翌日になるかも知れません(今までの例だと3日掛かりで行っています)。DUPONTの時は「ベースコートを塗ってからクリアーまでは24時間以内に」といった縛りがありましたが(デモマンからそう言われていました)、STANDOXはそれが無いので時間に余裕を持って作業出来るのがありがたい所です。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

と、ここまでが昨日の記事で、本日無事本塗り完了致しました!

まだ画像がまとまっていませんので、紹介は後日とさせていただきます。

色味は相変わらず画像だと青味が強いのですが、実物はかなり良い感じですのでどうぞご安心下さいませ。