TOTOTA1600GTヘッドカバー 本塗り

先日お預かりしておりましたトヨタ1600GTのヘッドカバーです。

そのままでも塗れる状態だったのですが、裏側の固着したオイル汚れが酷く、これを綺麗にしようとアルカリ洗浄槽に数日浸け置きしたのですが全く効果が無く、だったらという事でその後溶剤槽に浸けたのですがそれでも効果が見られず、いっその事サンドブラストを掛けてしまうか・・・と思ったのですが、

丁度重曹を使ったウェットブラストをテストしていたので、それを使って何とか綺麗にする事が出来ました。

その後リン酸処理を行い、よく乾燥させた後、マスキングを行いました。

まずはプライマーを塗布します。

色はこちらの画像を参考にとご指定頂いておりますので、青の結晶塗装用塗料(リンター)に、同じく白の結晶塗料を混ぜて色を作成しました。

今回サンプルで頂いた画像はかなり肌目の大きい塗膜だったので、結晶目も大きくしようと思い、しっかり塗り込みました。

その後赤外線ヒーターを使って140℃~170℃の熱を掛けると画像のように結晶目が現れます。昔ながらの荒々しい目と、それでいて結晶目が崩れないよう注意して均一に塗り込みました。

自動車ボディを補修する際に使うウレタン系の塗料は2液性で、この場合主剤と硬化剤を混ぜる事で硬化しますが、結晶塗装用の塗料(リンター)は1液の熱硬化型(熱重合型)の塗料の為、常温ならスプレーガンに入れたまま数日(数カ月)放置しても大丈夫です(勿論そんな事はしませんが)。そういった点で常に稼働しっぱなしの工業塗装(ライン塗装)では重宝されます。2液等の反応型だと数時間単位で全ての機器を洗浄しなければならない為、大量生産では全く実用的ではありませんので(夏場はサフェを塗っている途中に一回スプレーガンを洗うというくらいですので…)。

マニュアル上だとこの状態でも完全硬化していますが、凸部を研磨する際この状態だとまだ柔らかい感じがするので、後日改めて恒温機(乾燥炉)で120℃30分程の熱を掛けて二度焼きを行います。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!