先日下準備を行っておいたトヨタセリカの1G-GEUエンジンヘッドカバーです。
こちらのセットは比較的程度が良かった方で、下地にエポキシプライマーを塗った上に2Kエナメル(1コートソリッド)のグレーを塗った物です。
こちらは腐食が酷かった方で、同じく下地にエポキシプライマーを塗り、その上にウレタンサフェーサーを塗った仕様です。かなりガッツリ研いでいる方ですね。
スチール製のプラグカバープレートは【激安コース】の仕様で、作業内容的にはプライマーを塗ってベースコートの黒を塗るだけの予定でしたが、予想以上に錆の浸食が激しく、なので前記したヘッドカバーと同じ様に耐蝕性の高い浸透型エポキシプライマーを塗ってサフェをしっかり塗って膜厚を充填後、さらに今回一緒に下塗りも行っておく事にします。
それぞれ研ぎ作業を行った際に金属素地が露出している箇所があるので、
プライマーを塗るのは金属素地が露出した箇所のみで良いのですが、今回のようにその範囲が広い場合は全体に塗ってしまった方が早いです。ただしそれに比例して上塗りを行った後の仕上がりが落ちる=肌の荒れや艶引けが起こる為、毎回何でも塗っておけば良いという訳では無くケースバイケースとなります。今回は下塗りなので艶引けになっても全然構わないという訳ですね。
ヘッドカバーのホースパイプ部にベースコートの黒を塗り、乾いたらマスキングをしておきます。
ヘッドカバーの色は旧塗膜を剥離する前に見本の中から近い物を選んでおいたので、
その色見本をアクワイヤー=測色機を使って配合データを取得します。
キャブレーションを行い、色板にカメラのレンズ部を当ててボタンを押して測色する事を3回繰り返します。
測色機についてはこちらの記事で紹介していますので宜しければご参照くださいませ。
ちなみにこれがあれば何でも色が作れるという訳では無く、まず平滑で状態の良い塗膜と、それを撮影する為にある程度の面積が必要となります。自転車フレームとかはまず無理で、今回のヘッドカバーもそれに該当する箇所が無かったのでこのような方法としています。時間的には目見当で色を作成した方が早かったりしますが、後で全く同じ色を作る上では非常に有効なので私的にとても気に入っています。
測色後、機械をPCに繋いでネットから配合データをダウンロードします(もしくは単にPCの中にインストールしたデータの中から抽出しているだけかも知れません)。
良さそうな物をさらに修正し、得られた配合データを基に指定された原色を混ぜて色を作成します。
出来た色を塗布します(念のためですが塗装最中に色を測って作っている訳では無く、判り易いよう順番を変えて紹介しているだけです)。
この後は通常通り熱を掛けて完全硬化させたら再度全体を足付け処理し、その後凹み文字部に青と黒の塗装を行って、最後にもう一度全体にクリアーを塗ります。
次の研磨足付け処理では下地を露出させてはダメなので、クリアーはいつも通りしっかり塗っておきました。
凹み文字部は#400までの仕上げなのでこの後ペーパー目が出ますが、再び研磨するので問題ありません。
怖いのはこの後に行う塗装で今回塗った塗膜を侵してしまう「チヂレ」で、なので当面は恒温機(乾燥炉)に入れっぱなしにして他の御依頼品と共に2度焼き、3度焼きくらいに熱を入れておくようにします。
プラグカバープレートはプライマーの上にクリアーを塗って下塗りとしておきました。
本来であれば2Kエナメルの1コートソリッド黒を塗っておければと思ったのですが、わざわざここでそれを作るのはコストが掛かりますし、どの道黒は隠ぺい力が強いので(2コート塗れば十分染まるので)、ここではクリアーで良しとしています。
浸食されていた跡は判らなくなったので、これでようやく本塗りに行けます。
それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!