先日お預かりしておりましたバイク用のアルミカウルパネルです。
表面は切削で凸凹の模様が入っていて、今回こちらを艶あり黒への塗装で承っていますので、まずはこちらの下地を平滑に整えます。
素材がアルミなので比較的簡単に研磨出来ると思っていたのですが、これが非常に硬く、なので当初予定していたダブルアクション#120を中断し、シングルアクション#80からのスタートに変更しました。
ダブルアクションサンダーは切削力は弱いですがラインを崩し難く、逆にシングルサンダーは削る能力は強いですが傷が深く入り易くラインも崩しやすいというデメリットがあります。パテの研磨にシングルアクションを使う事はまず無いという感じですね。
なので削り過ぎないよう、この時点で表面の模様は完全には取らないで粗削りに留めておきます(特にライン周り)。
その後ダブルアクションサンダーで#80→#120→#180とラインを均しながらペーパー目を細かくして均していきます。最後は手研ぎで鋭角なライン(フチ周り)を整えます。
裏側にも同じように切削跡(模様)があるのですが、今回こちらはそのまま残す仕様なので、足付け処理としてサンドブラストを行います。
アルマイト処理された表面には塗料が密着し難く、また今回のように凹凸が着いた箇所はペーパー等では足付け処理がし難い為、エアーの力で砂(ガーネット)を勢いよく当て素材を研磨するサンドブラストを使って表面を荒らすようにします。
表側はラインを崩さぬよう研磨していますが、念のため今回はサーフェサー作業を間に入れる事にしました。
固定には全ネジを使っています。スプレーガンからのエアーで被塗物が揺れてしまうとガン距離やスプレーパターンの重ね量が曖昧になってしまうので、かなりしっかり固定するようにしています。
続けて表面にサーフェサーを塗布します。コート毎にフラッシュオフタイム(乾燥時間)を10分程設け、1時間程の時間を掛けながら4~5コート程を塗り重ねます。
裏側はシンナーで希釈したサーフェサーを1コートだけ塗っておきます。表面とは逆で、こちらは凸凹としたラインを埋めないようにですね(中途半端に埋まると凸凹というよりデロデロとした感じになってしまう為)。
続けて裏側にベースコートの黒を塗布します。当初はサフェは塗らずプライマーのみ、上塗りは裏と表を同時に行う予定でしたが、先で説明したように今回は念のためサフェ研ぎを行う事にしたので、先に裏側だけを塗っておく事にしました。自動車の新品ボンネットを塗る際と同じような感じですね(ただ自動車のボンネットを裏表同時に塗る場合もありますが)。
続けてクリアーを塗ります。裏吹きなら1コートソリッド(クリアーを塗らない仕様)でも十分なのですが、今回はクリスタルクリアーの仕様で承っていますので、こちらも2コート仕様としています。
現状では塗ったばかりなので肌が多少デロデロとしたような感じですが、完全硬化後には切削の模様が浮き出たような感じになると思います。
表側はこのような感じで、食み出た上塗り分(黒)はサフェ研ぎの際に一緒に研ぎ落してしまいます。
この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。
それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!