トヨタパブリカ ステアリング 補修⑫

 先日サフェーサーを塗っておいたトヨタパブリカ700の純正ステアリングです。

ラインが足りない箇所にはポリパテを塗り、全体を#180→#240で研磨します。

 ホーンプレート(ボタン)も同様にサフェーサーを研いでラインを整えます。

 よく脱脂清掃し、台にセットして3回目のサフェーサーを塗布します。

 台は回しながら塗れるようにしました。

 貴重なエンブレムは外せない為、マスキングで対応しています。マスキングシートはサイズの違う物を3枚重ねています。

 主要な部分にはサフェーサーを5コート程、

 その他は3コート程に留めています。

サフェーサーを塗り過ぎて、無用にハンドルが太くならないように注意しています。

この後は再びサフェ研ぎを行い、上手くいけばいよいよ本塗りとなります。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

トヨタパブリカ ステアリング 補修⑪

 先日までに割れ修理~パテ作業を終えていたトヨタパブリカの純正ステアリングです。

 一度目のサフェ~ポリパテ作業である程度のラインが出てきましたが、まだまだ気になる処は多くあって、ただこの継ぎ接ぎの状態だと削っても切削性の良い方だけが削れて中々上手くいかないので、取り敢えずサフェーサーを塗る事にしました。本来であればここでスプレーパテを使いたいところですが、「出来るだけ純正のままに、太くしないで欲しい」と言うオーナー様のご希望もあるので、一度に膜厚が着いてしまうスプレーパテ(ポリパテ)は控え、匍匐前進よろしく小刻みに作業を進めていきます。

 ここでも無用に膜厚をつけないよう、主要な所は5コート、他は3コート程に留めておきました。

 割れていた箇所は跡形もなく、各部もシャープに仕上がっているかと思います(しかしまだまだです)。

 パックリ割れていて一旦直し、その後少しズレた箇所からまた亀裂が出た箇所も、裏からフレーム(金属)に保持する事で今の所は再発しないでくれています(多分ここはもう大丈夫です)。

途中何度も熱を入れていますが、今の所は他に亀裂が入った箇所は見当たらず、一応は安心しています。

上手くいけばこの後もう一度サンディングしてサフェーサーを塗り、その後最終研磨作業を経て本塗りに行けるかも知れません。

さらに何度か熱を入れてもう少し様子を見ますが、年内には何とか仕上げられればと思います。その間にクリアーのテストもしてみたいですね(ちょっとやってみたい裏技みたいな事がありまして)。

トヨタパブリカ ステアリング 補修⑩

前回から少し間が空いてしまいましたが、現在レストア中のトヨタパブリカ純正ステアリングです。画像はお預りした時の状態です。半年くらい前になります。

 中に金属製の芯が入っているので強度的には問題が無いのですが、それを固めている周りの被膜は劣化して亀裂が入ってしまっています。

 安直に考えると亀裂にそのまま接着剤を詰めたりすると言う発想になるのかも知れませんが、少なくとも私が知っているプロの方でそう言うやり方をする人は居ません。大体どうなるか結果は想像できますので・・・。

クラックが出ていた箇所は底まで削り込み、

紆余曲折を経て亀裂部分は何とかなったのですが、

ちょっと気になったので、当初はお預りしていなかったバネを受け取り、ホーンプレートに取り付けて合わせてみると・・・、

チリの酷さに衝撃を受けてしまいました(苦)。

と言う事で、ここから予定していなかった隙間部分の修正となります。

足りない部分にいきなりパテを盛っても後で剥がれてしまいますので、最初は構造用エポキシ接着剤(3Mパネルボンド)で骨となる部分を作ります。「俺が使うのは板金パテだから大丈夫だぜ!」と仰る方も居られるかも知れませんが、それはポリパテ(ポリエステルパテ)にタルクとかアルミとかカーボンとかの増粘剤や骨材を入れた名称(商品名のような物)なので、接着能力自体が上がっている訳では無いかも知れません。使うならZ-1パテのようなエポキシ系が良いかと思います。

 なので本来はこれも含め全てエポキシ系で通したいところなのですが、素材の樹脂がザクザク研げてしまう感じなので、ある程度の所(粗研ぎ)までに留め、その後は切削性の良いポリパテを使うようにしています。

全然盛り足りませんが、取り敢えずこれでエポキシは終了です。

 その後はポリパテを使います。硬化が妙に遅いのが難点ですが、プラスチック(PP)でもプライマー要らずで、硬化した後も柔軟性のあるISAMUのバンパーパテを使っています。

 一般的なポリパテに比べ、熱を入れても固まり難い特徴があるので、一度盛ったら数時間は何も出来ないといった感じです。「硬化剤が足りないじゃ?」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、計量器で計って作っているのでそれはありません(と言うかパテに関しては殆どの方が目見当でやってしまっているのではと・・・)。

と言う私も、昔はわざわざパテを計量器に乗せて作っていたりはせず、そもそも最初に勤めていたディーラーでそんな事をしている人は一人も居ませんでした。上司を前にしてそんな事をしたら怒鳴られるか村八分ですから、そう言った経緯から当面は目見当で混ぜていました。

ただその後独立してから、一緒にやっていた板金屋さんが自分の車(KP61)のリヤフェンダーをオーバーフェンダー化して、それを白く塗ってあげたらそこに黄ばみが発生し、「タカハタクンの塗り方ガー!」とか言われたのをきっかけに、原因を調べてそれからはちゃんと計って作る事にしました。

 と言う訳で、後はパテを持っては削って組み付けてーの繰り返しで形を整えていきます。

 ある程度の所までいったらホーンプレートを付けたままパテを削ります。

こんな研ぎ難い所にエポキシを盛ったら大変です・・・。

 と言う感じで、少し時間がオーバーしてしまいましたが、最初の状態に比べればある程度形は整ってくれたと思います。

 予定していなかった延べの作業時間20hとして、レーバーレートが¥8,000だとすると、これが16万円分くらいの費用になります。ただそんな請求が出来る板金屋さんは居ないと思いますので、大抵は自分の時間で吸収してしまい、結果レストア業は成り立たないと言うのが今の日本の現状です。

 ただそれでも自分のやりたい事が出来ればと言う事で、車の塗装(工場)は辞めて、現在の小物塗装になりました。車が入る工場と言うのは当然平地で、当然1台だけ入るくらいのスペースでは足りませんから、最低限の規模でやるにしても私には難しかったんですよね。

 ちなみにプレート本体の方の形も大分酷いのですが(笑)、こちらはアルミ素材なので後から変形したとは考え難いですから、このままにしておきます。それに合わせてパテのラインをガタガタにしたりとかはしません(笑)。

チリの調整は、この少々心許ない金具(笑)に依存している部分もありますので、この後も様子を見ながら作業をしていきたいと思います。これも再メッキを掛けたら気持ち良くなりそうですね(当店では対応しておりません)。

トヨタパブリカ ステアリング補修⑨

 先日までにサフェーサーを塗ってあったトヨタパブリカのステアリングです。その後極端に形が悪い箇所のみパテを塗っておきました。

 またその後ちょっと気になったので、オーナー様が持っていたホーンプレート固定用のバネをお借りする事にしました。

 ステアリングとホーンプレートはこのバネ(だけ)で固定されます。

 こんな感じでホーンプレートが装着されます。

 ホーンプレートが着く内側については極力手を触れないようにと考えていたのですが(そもそもホーンプレートの形が左右対称では無かったりしてここに手を出すと沼に嵌るのが確定していたので)、

 実際に装着してみると、

 明らかに形がおかしいと言う事で、オーナー様にお話してこの辺も修正をする事にしました(しかしながら納期はあと半年延長です)。

 尚、下地もまだまだこれからで、現在塗ってあるサフェも取り敢えず的な物で、ここからまだまだパテ&サフェーサーでラインを整えていきます。

元々裂けていて新たにABS板で再現した穴の部分は、このような感じでホーンプレートを固定する金具のネジを避けるようになっています。フチがガタガタですが、この辺もまだこれから仕上げていきます。

 小さい穴の周りにあったヒビも、構造用接着剤(3Mオフホワイト)とエポキシサフェーサーで何とか止まってくれたようです。

 この形を崩さないよう、一つ一つ手掛けで研磨しています。

 と言う訳で隙間の修正です。プレートは鋳物なので手を付けず、それに合わせてステアリング側の形を修正していきます。

 #120で足付けをし、よく脱脂した後に構造用エポキシ接着剤(3Mパネルボンド)を塗ります。

足りない部分をこちらのエポキシ接着剤で補い、その後ポリパテでラインを整えていきます。硬化させる為には各工程で熱を入れる必要がありますが、そこは他のご依頼品と一緒に恒温機(乾燥炉)に入れてコストを落とすようにします。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

トヨタパブリカステアリング補修⑧

 先日サフェーサーを塗ったパブリカステアリングに装着されるホーンボタン部分となります。既存の茶色は先日調色も行っています。

中央にある薄いエンブレムは剥がすと破損してしまう恐れがある為、今回はそのままの状態で作業を承っております。

フェラーリリモコンキーについているエンブレムのようにしっかりした物であれば裏から穴を開けてポンチで押し出すなどの方法がありますが、今回の物は薄いアルミフィルムのような物なので、ちょっとした事で折り目などが付いてしまいます。代わりのエンブレムはもう手に入れられないので仕方ありません。

尚塗膜の表面に出ているブツブツはブリスターで、塗装に使う圧縮空気に水分が入っていた(エアードライヤーを使っていなかった)か、昔の塗料なのでプライマーが機能していないのが原因かと思われます。

 最初の画像の状態から、「エンブレムの溝に沿ってカッターの刃を入れてマスキングテープをカットする」と言う方法でも構わないのですが(多分この方が一般的かと思います)、各行程で毎回それを行うのも手間ですし、万が一刃がエンブレムに当たる事も考えると恐ろしいのでマスキングシートを作る事にしました。また研磨時用、サフェ塗り時用、本塗り用と各サイズ(オフセット)を微妙に変えて作っておきます。

 本塗り時はエンブレムギリギリでマスキングをしたいですが、サフェなどを塗る際にそれだとフチに塗料が溜まって仕上りが悪くなる為、一回り大きめにカットした物を使います。

旧塗膜を剥がす際には粗目のペーパー(#120)を使うので、マスキングを三重に貼って保護しておきます。多分合計で10枚くらいは使うので、毎回手で切るよりはこの方が結果的には早かったと思います。

 よく脱脂清掃し、

 エポキシプライマーサフェーサーを塗布します。

続けてウレタンサフェーサーを塗布します。

この後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化さます。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!