スバルアウトバック グリルモール枠 本塗り

先日お預かりしておりました、スバルアウトバックBS9 X-BREAK用グリルモール3点です。

現状は新品塗装済み品で、まず既存の塗膜の凸凹を均す為に腰のあるペーパー(トレカット)を使って研磨し、その後当たりの柔らかい布状研磨副資材(アシレックスレモン)を使いフチの足付け処理を行います。水は使わず、空研ぎのみのシステムとなります。

その後良く清掃し、芯棒を取り付けて台にセットします。手で持って塗れるようにですね。

グリル枠は比較的大きいサイズですが、こちらも片手で持って塗れるようにします(実際には片手で持つには大きかったので、台に挿した状態で塗りました)。

車体を塗っていた時は自分が動いてスプレーしていましたが、今の小物になってからは被塗物を動かした方が(回した方が)身体への負担が少なく、また綺麗に塗れるという事が判ったので、現在では殆どをこのスタイルにしています、。

また裏側は大きくスペースを空けるようにし、内側のフチなどをしっかり塗れるようにしています。

よく脱脂清掃し、エアーブローを行って埃を飛ばします。乾燥して静電気が起き易い時期になったので念入りに、ですね。

足付け処理の祭、どうしても角など鋭角な部分は素地が露出し易いので、こういった箇所にはプラスチックプライマーを塗布しておきます。保険も兼ねてこういったフチは全体を塗っておきます。

そしてベースコートを塗布します。

色は黒で、STANDOX原色の黒=MIX571となります。いずれは黒だけでも水性ベースコートに替えたいのですが、担当してくれているオートサプライヤーさんが回っている工場(自動車塗装店)で水性を使っている所が殆どなく、情報が余りにも少ないので停滞してしまっています。Twitterで見ていると殆ど水性ベースコートを使っている方が多いのでてっきり世の中はもう水性化しているのかと思いきや、都内の方がまだ少ないみたいです。そう考えると郊外の方が進んでいるのかも知れませんね(都内での塗装工場は跡取り等の問題から将来性が無いので、もう新しい設備投資はせずフェードアウトしていっているのかも知れません)。

ベースコートの黒を塗っただけでも見た目は艶消し黒っぽいのですが、これだと少し艶が出過ぎている事と、あとはこのままでは塗膜としての強度が低いので(ラッカー缶スプレーと同程度なので)、

最後に艶消しクリアーを塗って本塗り完了となります。お待たせしました!

艶消しクリアーは艶ありと同様2液ウレタンで、一般的には艶消しよりも艶々に仕上げる方が難しそうに思われますが、実際には全くの逆になります。プラモデルとかとは面積が違うからですね。

艶消しの場合はムラにならないよう、また塗膜として完成した時に極力傷が付かないようしっかりウェットに塗り込みます。

プラモデル等の塗装だとシンナーを増やしてドライコートにした方が綺麗に塗れるイメージがありますが、それだと傷が着き易いですし(そもそもプラモデルは実用品としての耐久性を想定していません)、そのような塗り方をした場合、ある程度大きさの面積になるとムラムラになってしまいます。

小物の塗装だとそこまで気を遣う必要が無いと思われがちですが、わざわざ当店に御依頼されるという方は恐らく細かい所まで気になってしまう傾向にあると思いますので、作業する方としてもどうしても気を遣わざるを得ません。ちなみに艶消し・半艶での仕上がりを良くする為の具体的な方法としては、ハードナー、シンナー共に指触乾燥を遅いタイプにし、塗り終わってから表面が乾くまで時間が長く取れる仕様にしています。

ただそうなるとゴミが着くリスクが高くなりますから、艶消し・半艶塗装の前には特にブース内の清掃をしっかりしてからの本塗りとしています。今回は高圧洗浄機を出す程では無いですが、壁~床全部水で洗い流しています。

が!それでも上手くいかない場合はあるので、その時はもう一度塗り直して対応します。実際今回も全て塗り直しました。

「失敗」と言ってもその程度はあって(そもそも塗装に「完璧」は存在しません)、私的には70%のラインを超えたら良しとし、それ以下と思う場合は修正を行います。雇われでやっていた時はこのラインが30%くらいでも普通に通るのですが、自分でやっているとどうしてもこの辺は厳しくなってしまうんですよね。

一個だけ塗り直すと艶具合が変わってしまう恐れがある為、3個全部塗り直しています。

言わないと判らないかも知れませんが、一回目の本塗り時に比べると格段に良い具合に出来たと思います。

各画像は既に塗り終わってから一日経った状態で、この後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!