Mercedes SL-CLASS R129 INTAKE MANIFOLD V12

r1292 メルセデスベンツR129 V12エンジンのインテークマニホールドです。こちらと一緒にご依頼頂いたタペットカバーは紫の結晶塗装で、こちらは艶々のオレンジ(!)でのご指定となります。

r1293 素材はアルミニウムで、純正の塗装が残っているのですが状態は余り良くありません。

r1294 塗装がシルバーなので余り目立ちませんが、所々で塗装が剥がれ、その下からは腐食が見受けられます。

r129 これをサンダーで削るのは現実的では無く、かといって当店の吸い上げ式サンドブラストでは能力が足りないので、いつもお世話になっているブラスト専門ショップさんにお願いする事にしました。多分相当大変だったと思います(本当にいつも有難う御座います)。

benz252 と言う訳で日本列島を半分程縦断して戻って来ました(笑)。

benz253 強力な直圧サンドブラストで旧塗膜も腐食も根こそぎ削り落として貰っています。

ただし今回のご依頼は「艶々仕上げ」ですので、この砂型鋳造特有の「梨地」を平滑にしなければならなく、まだまだ先は長く続きます。

benz254 最初はシングルサンダーで凸凹の素地を削り落とします。

benz255 そのままだと傷が深いので、ダブルアクションダンサーで均します。

benz256 作業は延々続き、ようやく素地調整が完了です。

benz257 各部のマスキングは通常テープやシートを使いますが、この時は6ミリ厚のMDF板をレーザーで丸くカットした物を作製しました。

benz258 それをインジェクションが付く箇所にピッタリ嵌め込みます。

benz259 よく脱脂洗浄し、台にセットします。

benz260 まずはプライマーを塗布します。

benz261 続けて2液ウレタンサフェーサーを塗布します。

benz262表側も同様にウェットコートで5~7コート塗り重ね、しっかりと溶剤を揮発させたら60℃40分程度の熱を掛けて硬化させます。

r12910 サフェーサーが完全硬化したらまずはダブルアクションサンダーを使って肌を落とします。この時使うペーパー番手は#320・#400・#600で、空研ぎで行います。

r12911 その後エアーツールが入らない箇所を#400・#600・#800程の耐水ペーパーを使って水研ぎします。

r12912 今は自分で下地から上塗りまで行うのでどの作業も先を見据えて出来ますが、小僧(見習い)の頃はこういった下地処理ばかりが延々続くので、この時点で塗装の仕事が嫌になって辞めていってしまう方が多いです。実際は下地の方が奥が深くて楽しいんですけどね。

r12913 よく清掃したら各部をマスキングします。

r12914 本塗りは裏と表を同時に行う為、それに対応したセッティングを行います。

今回のインマ二は左右のバランスがとても良く、中央に2×4材をビスで固定してまるでシーソーのようにして塗りました。

r12915 色については、以前施工したインテグラのヘッドカバーのオレンジにと言う事で、それに近い色を色見本帳から選んでいます。

r12916 そしていよいよ本塗りです。

r12917 ベースコートを塗る前に、サフェ研ぎ時に露出した素地部分にプライマーを塗布します。ピンポイントでグレーになっている箇所がそうです。

r12918 ベースコートを塗り、クリアーを塗って本塗り完了です。

r12920 スプレーガンのパターンは一番細くした状態にして、細部はもちろん、全ての面を均一に丁寧に且つ激しくスピーディーに塗り込みます。

r12921 2液ウレタンクリアーは思ったよりも塗装面の乾燥は早く、モタモタしていると塗装ミストが馴染まなく肌が荒れてしまいます。かといって塗り過ぎれば当然垂れますので、その日の気温・湿度、被塗物の形状や面積によって硬化剤やシンナーを選んで適切な塗装を行うようにします。

r12922 上塗り塗装後にも60℃40分程度の熱を掛け、その後は必要に応じて磨き処理を行います。

r12926 そして完成です。

r12927 クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーを使用しています。

r12928 艶々な仕上がりは偏に下地処理のお陰です。上塗り5%、下地に95%といったところでしょうか。

r12929 r12930 r12931 当然ですが裏側は塗りっ放しの仕上がりです。

r12932 その後無事エンジンにも搭載されたとの事で、オーナー様から画像とご感想も頂いております。こちらのレビューページでご確認頂けますので宜しければご参照くださいませ。

メルセデスR129 インマニ塗装 完成

r12926 こちらもお待たせしました!メルセデスR129 AMG600SLに装着予定の73エンジン用インテークマニホールドは艶々のオレンジ(RALカラー2004)にて完成となります。もう少し寝かそうと考えておりましたが問題無く完全硬化していましたので既に梱包も完了し明日以降で発送可能です。

最初の状態も紹介します。

 元々シルバーに塗装されていて、

ただ素地の状態が悪かったので「旧塗膜剥離→サンドブラスト処理→素地調整→リン酸処理→プライマー塗装→サーフェサー塗装→完全硬化→研磨」といった工程を行ってから上塗りを施しています。

r12928 丁度白いウレタンマットがあったのでそれを敷いて蛍光灯下でも撮影してみました。こちらの方が実物の色に近いと思います。

r12930 元々の素地は鋳造特有の梨地状態で、そのままだとさすがにこうはなりませんから、アルミ素地をシングルサンダーである程度削り、その後「プライマー→サフェーサー→完全硬化→研磨」といった行程を経ています。側面や裏側はそこまでしていませんがサフェーサー自体は全面塗っていますので艶自体はちゃんと出ています。

r12932 さすがにクリアーを塗り過ぎた為か上面は完全硬化後に多少の艶引けが起きましたが(たっぷり塗れば良いって物ではないのです)、その後磨き処理もしているので濡れたような艶を感じられると思います。整備屋さんにはちょっと申し訳無いですかね(気を遣うかと・・・)。

r12931当初裏側は色が飛ぶ程度と考えていましたが、本塗り時の固定設置が上手く出来たので折角ですから裏側も艶々に仕上げています。整備士さんは嫌がりそうですけどね(笑。むしろこれなら汚れてもウェスで拭くだけで直ぐ綺麗になりますからメンテナンス性は良いと思います)。

他にも違う画像をフェイスブックページで紹介していたりします。宜しければそちらもどうぞ。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

メルセデスR129ヘッドカバー結晶塗装 完成

r12923 大変お待たせしました!メルセデスR129 AMG600SLに装着予定の73エンジンヘッドカバーは紫の結晶塗装で本日完成となります。長らくお待たせしました!

r12919実物はもっと紫色の発色が良いのですが、画像だと中々上手く再現出来なかったので蛍光灯下で撮影してみました。ただこちらだとのぺっとしてしまって結晶塗装の良さが判りにくいですよね。是非実物で感じて下さいませ。

最初の状態も紹介させて頂きますね。

r129元々は半艶っぽいグレーシルバーに塗られていて、素地の状態は悪くは無かったのですが一応全部剥がして塗り直しています。

 

r12924 このヘッドカバーも素地はザラザラの梨地状態だったのですが、結晶塗装ならばそういった素地の粗さも目立たなくしてくれます。今回一緒にご依頼頂いたインマニの方は結晶塗装では無く通常の艶々仕上げですからこうはいかず下地作業にかなりの時間を費やしています。

r12925遠目で見ると艶消しに見えますが近くで見ると多少艶があるのが判ると思います。触ってみてもザラザラといった感触では無いので思っているよりも汚れは付きにくく、ホコリが乗っても普通にタオルで拭けば綺麗になりますからわざわざブラシなどで洗ったりしなくて大丈夫です(と言うかそれは傷が付いて逆に汚れやすくなってしまうのでお避け下さいませ)。

それでは続けて一緒にご依頼頂いていますインテークマニホールドも紹介しますね。あちらも凄いですよ・・・。

メルセデスR129インマニ 磨き処理

r12922先日本塗りを終えていたR129のインマニです。塗膜が完全硬化したので最終的な磨き処理を行い、近日中には完成画像も紹介出来ると思います。

小物の塗装で使っているコンパウンドは主にこの3種類で、広範囲になった場合はさらにもう一段階粗い物を加えて4種類を使います。

コンパウンドはペーパーと同じく、使われている研磨粒子によって切削能力の違いや傷の残り方が違いますから、粗い番手から初めて徐々に細かい番手に移行します。呼び方としては「粗目→中目→細目→極細め→超微粒子→超々微粒子」といった感じで、ただこれらはメーカーや商品名によって適当に付けられてるところがあるので現場の人間からすると記載されている事は余り信用せず、実際に使ってみて自分なりのシステムを組むといった事が一般的ですかね。

ちなみに私的に好んでいるのは3Mの製品で、あっと驚くような性能はありませんが余計な成分が入っていないので安定して使えるのが気に入っています。よくある事としては、磨き作業を楽にする為に塗膜を柔らかくする為の溶剤成分が入っていたり、摩擦熱によるバフの絡みを軽減する為にワックスが入っていたりする物がありますが、そういった一見便利そうな物は何かしら弊害があるので結局長くは続かないんですよね。やっぱり天然が一番ですよ(いや、多分100%化学合成です・・・)。

それでは完成次第改めて紹介しますね。もう少々御待ち下さいませ!鋳造製品のインマニとしてはちょっとあり得無い艶ですよ(笑)。

メルセデスR129インマニ 本塗り

r12916 サフェーサーでは埋まりきらなかった巣穴などもあるのでそこはスポットパテ(ラッカーパテ)で拾っています。

よく脱脂をしてエアーブローをしたら本塗り開始です。

r12917サフェーサーを研磨した際に素地のアルミが露出した箇所もあるのでそこはスポット的にプライマーを塗布しておきます。部分的にグレーになっているところがそうですね。

r12918 いきなり本塗り完了ですが、オレンジ系は隠ぺい力が弱いのでまず最初に隠蔽性の高い無機顔料(鉱物系です)のオキサイドレッドを入れて作った近似色で下塗をし、その上に今回採用したRALカラーの2004のオレンジを塗布しています。ベースコートが計4コート、クリアーはクリスタルクリアーでいつも通り2コートとなっています。

r12920 板で隠れた箇所は色が塗れていませんが装着されれば見えない部分なので問題無いと思います。そもそも裏側をここまで塗る予定も無かったですしね。

r12921こんな形ですから磨く事は想定していないのでとにかくクリアーは肌を荒らさないように注意し、塗り始めから塗り終わりまでは一度も止まらず一気に塗り上げます。一応塗る順番と言うのもあって、しかもそれは1コート目と2コート目とでは違う塗り方になるようにしています。最初に仕事を教えて頂いた上司曰く、自分の塗り方の癖は修整するのが難しいからわざと違うところから始めたり繋げたりして塗り方にムラが無いようにするんだ、との事でした。言われた事をその通りにやらないと大変お怒りになる方でしたから、むしろそのお陰で身に染みて覚えられているのだと思います。世間一般的にはその事を「トラウマ」と呼ぶみたいですけどね(笑)。いや、本当に感謝しています。

ちなみに物が物ですから梱包はかなりのストレスとなりますので発送までは少し長めに、大体一週間くらい御待ち頂ければと思います。完成次第改めて紹介もさせて頂きますね。もう少々御待ち下さいませ!