コペンメッキエンブレム 下準備

copen13 こちらもお待たせしております。コペン用のメッキエンブレムも順調に下地作業中で、研ぎの作業は先ほど紹介したマツダのフューエルキャップと同じ様な感じなので一緒に並行して作業しています。

ちなみにこちらのコペンのエンブレムは少しカーブが掛かっていますので無理に押し付けて折らないよう注意が必要です。と言っても素材のABS自体が折れる訳では無く表層のメッキが割れてしまうんですけどね(ベンツのスターの中古品などは良く見かけます。あれは外す時にヘラを挿し込んで全体的に起こしてあげないと駄目なんですよ)。

copen14ちなみにこれらの下地塗料も上塗り同様に60℃40分程度の熱強制乾燥をさせていますが、本塗りまでに時間がある場合はこんな感じでコンプレッサー(内蔵ドライヤー)の上に置いてその熱でさらに締まり切るようにしておきます。

下地の塗膜がカチカチになればそれだけ上塗り塗料に侵され難くなりますから、これによって上塗り塗装後の艶引けはし難くなって来るのです(=と言うのが艶引けのメカニズムで、よく勘違いされる「塗料が痩せる」と言うのは間違いです)。ただし下地が強過ぎる(=エポキシ)場合はその上に塗る塗料が下地を侵さないので、足付け処理が甘い場合などは密着不良で剥がれ易くなったりするんですよね。この辺の関係を把握しておくと色々と助けられたりします。

こちらも今週中には本塗りを行う予定です。もう少々お待ち下さいませ!

マツダフューエルキャップ 下準備

mazda2 先週サフェーサーを塗っておいたマツダのディーゼル用フューエルキャップです(と言ってもプリント以外は多分ガソリン用と兼用だと思いますが)。サフェーサーは#320→#400で空研ぎを行い、その後#600→#800の水研ぎ、そして最後に#800で均します。

mazda3ロゴ入れ用のマスキングシートも作製しておきました。丸くカットされているのはシートを貼る時に位置を合わせ易いようにですね。

mazda4軽油をイメージさせるグリーン色は決まった物(データ)と言うのがある訳では無いので、以前作業した時の画像を見ながら使った原色と色味を確認して色を作ります。今回で三回目なのでいい加減余分に作って取っておいた方が良さそうですなんですけどね(と言う事をやるとパッタリ来なくなってしまうと言うジンクスが邪魔をしていまして)。

今週中には本塗り出来る予定です。もう少々お待ち下さいませ!

“CORSAIR” PC Cases

corsair9  以前塗装をご依頼頂いたCorsairなるメーカーのパソコンケースで、作業内容と画像を纏めて再編集して紹介します。

corsair11 色は黒とブルーメタリックで、「元々塗ってある色に近い色で」と言う事でそれを元に作ります(と言っても簡易的な作製です)。

corsair3ケースの側面にはアクリルパネルを貼るとの事で、 今回は塗装以外に一部のパーツの加工も行いました。

corsair17ご希望は「艶々」と言う事なので、表面がザラザラとした梨地は「研磨→プライマー塗布

→2液ウレタンサフェーサー塗布→完全硬化→研磨」といった工程で平滑にします。

corsair21スチール製のパネルは元々塗装済みでしたが、こちらもザラザラとした塗装だったので全体を研磨します。

corsair25 内部のシャーシはボディーシューツのようなザラザラとした塗装だったので、こちらは溶剤槽に浸けて塗装を柔らかくし、スクレーパーとワイヤーブラシで剝がします。

corsair28 内部のシャーシはこんな感じで既存の塗膜は全て剥離しています。ちなみにこのシャーシは元々は箱型になっていて、固定されていたリベットはオーナー様自ら外して分解済みでした。

corsair30 金属が露出している箇所はそれ用のプライマーを塗布します。

corsair33塗装を行うには良質な下地が出来ている事が必要で、それの為にはかなりの手間と時間が掛かるケースも良くあります。また大量生産のように流れ作業のようには出来ないのでどうしてもコスト高になってしまうのです。ちなみに新品の塗装でプライマーやサフェーサーなどの下塗りがされている事は極稀です。

corsair39既存の塗膜を剥がしてプライマーを塗ったシャーシ部です。これは仮組みをしているところですね。

corsair50ザラザラだった素地をサフェーサーで平滑にしたプラスチックパーツとアルミパーツを本塗り前に組み付けています。組み合わさる部分のクリアランスが殆ど無いので別々に塗ってしまうと嵌らなくなってしまう恐れがあったんですよね。こういうケースは極稀です。

corsair54シャーシは裏も表も見えるので吊るした状態で全体を一度に塗れるようにしています。

corsair55先ほど紹介した2つの部品を組み合わせたパーツですね。電源ボタンやUSB挿し込み口などがあるフロントパネルの一部と思われます。

corsair56フロントパネルの枠部分は黒とブルーメタリックの2トーンカラーで御指定承っておりまして、今回は先に黒だけを仕上げる事にして、クリアーが完全硬化したら再度足付け処理をして「ブルーメタリック→クリアー」で仕上げる事にしました。

corsair58サイドパネルは先に裏側を艶消し黒で塗装し、表面は艶有りブラックで仕上げています。

corsair64先ほど紹介したフロントパネルは全体に足付け処理をした後にプレスラインより内側をブルーメタリックに塗り、この後マスキングを全部剥がしてもう一度全体にクリアーを塗布します。

corsair65こんな感じですね。蓋をした時に溝が青っぽく光るような仕上げをイメージしています。

corsair68大変だったのは内部シャーシの塗り分けで、マスキングを貼る箇所が平面ではありませんし、裏表を同時に塗るのでまるでパズルのような作業でした。

corsair72さらに「リベットの頭はブルーメタリックで」といった事も御指定頂いていましたので、それらも一つ一つマスキングして塗装しています。ちなみに組み付け時に打ち込む新たなリベットはそれ単体で塗装しています。

corsair71こんな感じでようやくベースコートの塗装が完了です。パソコンをご存知の方なら良くお判りかと思いますがこちらはケースの裏側にあたるところですね。

corsair74そしてクリアーを塗って本塗り完了です。確か一日ではどうにもならず本塗りは二日に分けて行ったと思います(STANDOXはベースコートとクリアー塗装との間で時間制限が無いので大丈夫ですが他のメーカーでは制約があると思いますのでご注意下さい)。

corsair85そしてクリアーが完全硬化後、単体で塗っておいたリベットを使ってシャーシを組み付けます。

corsair88シャーシは4部品の内の3つを2トーンカラーで仕上げています。既存の塗膜は全て剥がして下地からやっていますからこれだけでも相当の費用が掛かっています。

corsair90そして完成です。フロントパネルのカバーにはケースメーカのロゴも同じブルーメタリックで入れてあります。

corsair91こちらはドライブの蓋ですね。

corsair93先ほどの3枚の蓋がこのパネルに組み合わさるのだと思います。プラスチックパーツは全てザラザラでしたが下地処理をしたお陰でこのように艶々に仕上がります。

corsair99サイドパネルも艶々です。

corsair96フロントパネルの枠とカバーを組み合わせてみました。内側に塗ったブルーメタリックはこんな感じで隙間から少しだけ見えるようにと考えられています。

corsair101今回の塗装では相当の費用が掛かっていますので、恐らくはケース自体は一生物と考えての御依頼なのかも知れませんね。総額は私の初任給の倍くらいの金額になりましたので・・・。

corsair102単色であればここまで大変では無かったのですが、とにかくこのカラーリングに拘っておられたようで、実作業時間は測っていないので判りませんが、御預かりしてから完成までは3ヶ月掛かりました。

corsair104何より大変なのはオーナー様がイメージしている内容との擦り合わせで、ただ仕上がった物を見て頂いたオーナー様からは理想どおりと喜んで頂けまして本当に何よりでした。いやはや有り難い限りです。