先日ライン入れの検証を行っていた古いBMW Motorradのアッパーカウルです。
元々塗られていた白いラインテープはフタル酸樹脂塗料(所謂「ペンキ」)の可能性が高く、その上にウレタン塗料(またはラッカー・ポリエステル・エポキシいずれも)を塗るとチヂレやクラックが入る恐れがある為、完全に除去しておく必要があります。
さらに元々の肌は余り良くなく、ブツ(ゴミが付着して表面張力により突起状になった物)も多数あった為、全体を#800の水研ぎで平滑に均しておきます。
さらに全体をスコッチ&ウォッシュコンパウンドで足付け処理を行います。忘れがちなフチの断面などもしっかり足を付けておきます。
裏側も一緒に塗るので同じように足付け処理をしておきます。こういった場合は布状の研磨副資材(アシレックスレモン)が便利ですね。
よく水気を切って清掃し、マスキングを貼り直して台にセットします。
裏側も一緒に塗れるよう、こんな感じでスプレーガンが入るスペースを空けておきます。
最終脱脂を行い、よくエアーブローをして埃を飛ばしたらまずはベースコートを塗布します。
ベースコートの調色作業については以下の記事で紹介しておりますので宜しければご参照下さいませ(いつも見て頂いている方には直ぐ先日の事なのでわざわざリンクを貼る必要も無いのですが、初めてこのページにいらっしゃった方に判り易いようにしておりますので、少々クドクて申し訳無いのですが何卒ご容赦下さいませ)。
ベースコートを十分に自然乾燥させ、テープフリーな状態になったらライン入れのマスキングを行います。
最初に外側をフチのラインに合わせて3ミリ幅のラインテープを貼り、それに合わせて2ミリのラインテープを、さらにそれを挟むようににして3ミリのラインテープを貼っていきます。
一度で綺麗に貼れない個所は何度か重ねてガイド用のラインを出し、それが決まったら先ほどと同じように3重に貼っていきます。
テープを貼る際には微細な毛埃を挟まなないよう注意していますが(見つけ次第回収しています)、念の為最後にタッククロスを使ってチェックします。ラインの谷間にピッタリ嵌っている毛埃は目視では見つけられないのですが、これでササっと擦ると隠れていた毛埃が見つけられるのです。
ちなみにタッククロスとは埃の出ない繊維に多少の粘着物質が着いた物で、塗装前にエアーブローするときにこれもセットで使うのが基本です。何故か分かりませんが被塗面にのったホコリって超強力にエアーブローしても飛んでくれない場合があるんですよね。
これくらいのアール(曲線)なら先にゴールドを塗ってラインテープを貼る方が作業的には断然楽ですが、そうするとどうしても見切りラインが汚くなるので今回はわざわざこうしています。塗装屋さんなら判りますよね。
クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーへの変更で承っています。
元々の塗装は肌も綺麗ではありませんでしたが、高品位なクリアーのお陰で肉持ち感のある艶のある肌に仕上がっていると思います。
裏側は序でといった感じですが、元の塗装みたいにタオルが引っかかったりするようなザラザラな仕上がりではありませんのでご安心下さいませ。
この後一日自然乾燥させたら60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、磨き処理をしたらヘッドライト周りのゴムを着けて完成となります。お預かりしているフェンダーとも並べて色を確認してみますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!